出水から弾丸が放たれて倒されるの覚悟したが、オレには当らなかった
「これは…エスクード改!?」
前と後ろに一菜専用の防御トリガーのエスクード改が守ってくれた
「たいちょ!?…っく、すみません」
姿を現したことで一菜は当麻さんの狙撃でトリオン供給機関を撃たれてしまった。すぐに戦闘を続けられないことを知って、短く謝ると光となって玉狛へと飛んでいった
「これでお前一人だ。ネイバー」
残りオレだけとなった状況に勝ち誇ったように宣言する三輪。確かに援護も望めなくなった今は数では負けている。それでも勝つと思えるのはブラックトリガーがあるからなのか、多くの戦場を戦い抜いてきたからなのかは分からない
ただハッキリしているのは護るために戦うと言うことだ
「そんな状態で動けるのはすごいよ!でも、もう限界だろ」
「っく…ナメるな!!」
動く早さが落ちているが、それでもオレの攻撃を受け止めている。反撃する余裕はないのだろうけど
民家の壁に棒を当てると瞬時に影が伸びて横から数本伸びた。三輪の逃げ道を制限すると近づいて振るが弧月で受け止めた。出水はいつでも援護できるように少し離れた位置にいるが、三輪が近くにいる以上下手に攻撃はしてこなかった
「当真さん狙撃できないの?」
するとスナイパーの当真に援護を求めるがそれは不可能だ。位置的にはオレの真後ろにいるから、撃てば三輪も命中してしまう。移動すればいいのだろうが、その間に決着がついてしまえば意味がない。そもそもオレのサイドエフェクトじゃ一度見られているためあまり意味はない
三輪が弧月を振り下ろすが受け流してカウンターで先端で顔を殴る。一瞬よろめいた後地面に突き立てて伸びた影から棒が飛び出す。肩や足を貫いて今度こそ戦闘不能なほどダメージを追ってしまった
「こりゃ……負けか?」
「まだやるなら相手になるぞ?だけどあっちのほうも風刃相手に無事じゃないだろう?すでに何人かベイルアウトしているし」
戦況までは分からないが、迅さんの方で見える反応は3つ。少し離れた位置に2つだから5人だが、このあと玉狛に行って捕獲のために戦おうと思ったら多分無理だろう。三輪が教えてしまった
「おまえらネイバーはいつもそうだ…オレ達から大切なものを奪って…お前はまだ分かったいないんだよ!!!大切な人を失う悲しみを!迅だってそうだ!!」
「姉一人失ったくらいで自分が一番不幸ですみたいに言うな」
1人くらいとは言ったが、家族を失う悲しみは誰も同じ。オレだけならまだいいけれど、さすがに迅さんまで言われたら黙って聞き流すことができなかった
「くらい…だとっ!!」
「5年前。まだ未熟だったオレは調子に乗って攻めてきたネイバーの中に突っ込んで捕まった。本来なら交渉材料として無事ですむはずだったが、そうはならなかったんだ」
「どういう意味だ?」
「拷問だよ。裏切って仲間になれってね。まだ10歳の子供にだよ?結構怖かった死ぬんじゃないかって、おかげでまだ身体には傷跡が残っているんだけどね。数日して父さんたちが助けてくれたんだけど、同じ牢にいたやつがもう手遅れで、トリガーを使えば助かると思って渡したらブラックトリガーを作って消えたよ」
今でも思い出す。このブラックトリガーを見るとあいつの顔を思い出す、身に付けていると側にいるような気がする。小学生の年のころにそんな壮絶な経験をしていることに三輪達は何も言ってこなかった
「それだけじゃない、街に帰ろうとした時母さんがね、目の前で殺されたんだ。怒り狂ってそのネイバーを殺してしまったよ」
「ころ…した?」
「そうだよ。何人も。戦ったネイバー全員殺してやった。母さんの敵だと何度も思いながらね。けどやっぱり、復讐しても気持ちが晴れることなんてなかった。戦うことに疲れてオレは、母さんが生まれたこの
確かに三輪みたいに沢山大切な人を失った人も居る。けれど復讐したってその先はどうなるんだ?誰にだって幸せになる権利はある……オレはそれを何度も、いっぱい奪ってしまった」
たとえ憎いほど敵だったとしても。殺すことはなかった。むしろ自分自身を傷つけ貶めていった。そのことに気付くのに時間がかかり沢山心配もされた。そんなオレが幸せになっていいはずがないけれど、笑って生きていたいと思っている
「オレは……「護」って名前をくれた父さんと母さんに、オレ自身に恥じないようにしようと
国を捨てる前に父さんが教えてくれた。オレの名前はオレが大切だと思ったものを護れるように、と願いを込めて付けてくれたのだと
三輪はなにか言いたそうだったけどなにも言わなかった。その時迅さんの方でベイルアウトした光が2つ本部のほうへ飛んでいくのが見えた
3つあったトリオンが無くなっているから迅さんの完勝なんだろう
「うわーすげ、風間さんと太刀川がいるのに倒したのかよ。攻撃特化の風刃ですごいな」
ブラックトリガーは他のトリガーを同時に使えないから、風刃は受け太刀する以外防ぐ方法がない。それなのに隠密部隊の風間隊だけでなく、1位の太刀川まで倒したのだ。きっと未来が見えるサイドエフェクトのおかげでもあるのだろうけど
三輪と米屋もボロボロだから戦闘続行は不可能。もう終わりだろうと迅さんの元に合流しようとしたが一度足を止めて振り返って言った
「あ、言い忘れてたけど。迅さんだって母親と師匠を亡くしてるらしいから、ネイバーが恐ろしいってのは知っているからな」
オレもレイジさんから聞いたってだけで本人から直接は聞いていない。たしかレイジさんも父親を亡くしているといつか言っていた気もする。それがネイバーなのかは分からないらしい
迅さんと合流すると揃って本部へ。会議室に入れば上層部の人たちがこっちを睨んできた。それもそうだ、ネイバーを庇うだけでなく本部隊員を撃退してしまったのだ。おまけにオレのブラックトリガーを持っていることを知ったのだから
どう納得させるのかと気になっていたらまさか風刃を本部へ返還するということだった
「ちょ!迅さん!?本気?それは師匠が残したブラックトリガーなんスよね!?」
「ああそうだよ。そんな心配しなくても最上さんはこの程度じゃ怒らない。それにA級部隊を退けたブラックトリガーはかなり価値が上がったしね」
「価値って…そうかもしんないッスけど」
言われればそうなのかもしれない。価値が付いた風刃は魅力的だと思う。それでも師匠の形見であるブラックトリガーを手放すのは、本当にそれでいいのかオレには分からなかった
交渉がそれで成立するかと思えば当然そうはならなかった。問題はオレだ
「護くん。君は何故ブラックトリガーを保持していることを報告しなかったのかね?」
「言ったら没収されるからッス」
「ふざけているのかね?」
オレはふざけてないどいない。言えば没収されるのは分かりきっていたことだからだ。大切なこのブラックトリガーを取られるわけにはいかない。たとえ玉狛が3つも所持するということに本部が危機感を抱いてもだ
「護。どうしていままでブラックトリガーを使わなかったんだ?」
すると今度は叔父さんが聞いてきた
「絶対に護りたいからッス。コレを使うときはそういう時って決めてるッスから」
無闇に使うものじゃないは当然だけど、ノーマルトリガーだけだとどうしても限界がある。それでベイルアウトするなら力不足で仕方ないけれど。今回みたいに絶対に守らないといけないときは使おうと決めていた
だからいままで使うことはなかったのだ
「なるほど。どうしても譲らないというのなら今度は天羽を使おう」
「っ!!それでもどうッスかね?」
オレに渡す気が無いと知ると城戸さんは今度は天羽を刺客に送ると言ってきた。直接戦ったこと無いけど、天羽が戦った後は更地になるような危険なブラックトリガーを持っている。防御特化のオレのとは反対だけどどこまで防げるか分からない
それにブラックトリガー奪取に賛成していた鬼怒田さんと根付さんも躊躇っている。唐沢さんだけが意外と落ち着いていて大人の余裕を見せられているような気がした
「そんなことしなくても大丈夫ッスよ、城戸さん。こいつはもう勝手にブラックトリガーを使いませんよ」
緊張感の走る会議室に迅さんはいつもの調子で言った。サイドエフェクトでもう分かっているからなのかもしれないけど、それで本当に引き下がってくれるのかとオレは不安だった
少しの間があって城戸さんが口を開いた
「…護くん。今後一切勝手にブラックトリガーを使うのを禁止する」
「了解ッス。もし辞める時はこっちのトリガーを返すッス」
遊真のブラックトリガーを取りに行かないのなら使うつもりもないし、守らないといけない時にノーマルトリガーでやられそうな場合では使うけれど。さすがに城戸さんも結構怒っているだろうから許可は取ろうと思うけど
もし勝手に使って没収されそうならノーマルトリガーを返すつもり。そのことに根付さんたちが驚く
「当然ッスよね?コレはオレのでボーダーのじゃないッス」
最初に適合したのは偶然だけど、ボーダーからもらったものじゃない。友人が命欠けて作ってくれたトリガーだ。没収されるくらいなら辞める方を選ぶ
「あまりにも身勝手過ぎるとは思わないのかね?」
「何の連絡もなしにいきなり夜襲しかけてこようとしたそっちのほうが身勝手すぎると思うッスけど?」
「そのことに関しては私も同意見だ。論議を差し置いて実力行使をするのは見過ごせない」
身勝手なのが分からないほど馬鹿じゃない。それに先に仕掛けてきたのはボーダー側だ。叔父さんまでも賛成してくるってことは今回のことは知らされていないってことなんだと思う。遊真のブラックトリガーを奪うのが緊急性が高いのなら、防衛本部長の叔父さんと話し合ってから行動するのが普通だ
ネイバーを恨むのは勝手だけど、だからって好き勝手倒して奪っていい理由にはならない。命より大事な物だって誰にだってあるのだから
叔父さんの言葉で会議室は一気に張り詰めた空気になってしまった。城戸さんたちと派閥が違うのは知っていたけれど、ここで完全に割れてしまったら迅さんがしてきたことが無意味になってしまう。防衛派の叔父さんたちが玉狛に付いてしまったらそれこそ、城戸さんは本気を出してくるに違いない
沈黙の会議室を終わらせたのは迅さんだった
「まあまあ大丈夫ッすよ。もう終わったことなんだしこれ以上ピリピリしたってしょうがないでしょ。護も勝手に使わないんだし、使えるやつも他にいないからこのまま持たせておくのが1番ですよ。城戸さん」
臆することなく言えるのはすごいなと思う。オレだったらあんな無表情で話してくるやつは苦手でボロ出してしまいそうになる。結局それ以上追及されることなく迅さんの取引があっただけで終わった
「あーやっぱり城戸さん苦手ッス・・」
「そうか、でも昔はあの人も普通に笑ってたんだぞ?」
「えーー!?絶対嘘でしょ!城戸さんが笑うとか天変地異でも起こるんじゃないッスか!!」
鉄面皮が笑うところなんて経験上オレは知らない。笑ったら笑ったで多分気持ち悪いと思う。迅さんは普段から嘘ついたりするから、城戸さんが笑ったという話は半分だけ信じることにして玉狛に帰ろうと廊下を歩いていると、風間さんと太刀川さんがいた。説教でもされるのかと思って更に気分が下がるが、風間さんがブラックトリガーの奪取の命令が取り下げられたと言ってきた
仕事が早ないなーと、何食わぬ顔で通り過ぎようとするが、太刀川に腕を掴まれた
「待て待て護。お前がブラックトリガー使うほどなのか?守りたいものって」
「そうッスよ。ブラックトリガーは誰かの命を犠牲にして作られるんスから、危険だからって奪おうとするのは横暴ッス」
「迅。なぜ風刃を差し出した?」
オレが太刀川さんに聞かれている間に、風間さんは迅さんに聞いていた。確か聞いた限りでは風刃は迅さんの師匠だと。それほどの思い入れがあるはずなのに、そこはオレも気になって耳を傾けた
「なぜって、そうするのが1番だからだよ。それに、遠征にも出るA級を退ければ箔が付くからね」
はぐらかすように具体的なことは答えなかった。わざわざ箔を付けて手放すなんて、確かに取り引きするための物の価値は上がっているが、あくまで迅さんが使ったから上がっただけだ。「未来視」のサイドエフェクトで
オレが使ってもわからない。サイドエフェクトのおかげで建物越しでも位置がわかるが、シールド無での戦闘でどこまで戦えるかは自信ない。少なくても混戦状態で狙撃を躱す、なんて芸当はできないだろう
自販機前で少し話をして太刀川さんたちとは別れた。家に帰ろうかなと思ったとき、メールが着た
「えーっと、『急用ができたから帰れそうにない』か。絶対さっきのことッスよね・・ごめんなさい、っと」
叔父さんからのメールだった。先の会議室で今回の事は知らされていなかったみたいだった。あとでオレのブラックトリガーのことを聞いてくるだろうから、謝罪の言葉と一緒に情報を渡すと付け足して返信した
「あ、春多にもメールしないと。この1年何してたんだよ!あいつに限ってサボったって事はないだろうが、もう一度扱き直してやる!」
一度閉じたスマホを再度起動させて春多にメールを送った。少ししてごめんなさいと帰ってくるが、無視して特別メニューを考える。もちろん宇佐美先輩のやしゃまるシリーズは使うつもりだ。あいつの叫ぶ姿が目に浮かぶようだ
最近GE3をクリアしたのですが・・・・
今までのシリーズの話が面白かったとだけ言っておきます。せめてユウゴが死ぬとかそういうイベントがあってもよかったと思うけどなー
リンドウしかり、ジュリウスしかり・・・隊長・ロングブレード・面倒見がいいと3拍子揃っているのに