前回から1ヶ月以上の空きですね・・・
「大丈夫か?護?」
「・・・」
叔父さんが心配して声を掛けてくれるが大丈夫ではない。怪我もしているし
「・・・とりあえず今後のことについてだが、護くんのネイバー疑惑はもう消しようがありません。なので方向を変えて、4年前の大規模侵攻を防ぐために我々のトリガーを提供したのが護くんということにしましょう」
「たしかに、トリガーは元々ネイバーから貰ったものだからな。あながち間違いではないわい」
こっちに来たばかりの頃に聞いたことがある。ボーダーのトリガーはネイバーから提供してもらったのだと。プロスペリタースのと違い、組みかえれるから個人に合わせた戦闘スタイルを作れる。4つずつセットできるから汎用性も高いから、1人1人違うことでいい訓練にもなった
「・・・詳細は追って伝える、君はもう帰りたまえ」
「・・はい。ごめんなさい」
「次からは気をつけることだ」
城戸さんから帰るように言われてそうすることにした。オレがここに居ても何も役には立たないから当然だ。出るときに謝ってレイジさんと車に乗った。向かったのはマンションだが、ここに住むわけじゃない。しばらくは玉狛支部に居ることになった。ここに居たら他の住人にも迷惑だし、街の人たちは野放しにされているのが納得しないだろうからとボーダーの施設に閉じ込めている、ということにするらしい
それでも行くのは着替えを取りに行くためだ。さすがに手ぶらで行くには服が少なすぎる
「護、それは?」
「プレゼント、クリスマスの・・・」
叔父さん用に買っていたプレゼントを持って動かないオレをレイジさんは声をかけてきた。掠れた声で答えてメモ帳から1枚取り出して一言書いてリビングのテーブルに置いた
必要なものも1時間と少しで用意はできた。冷蔵庫の中のものも。叔父さんは料理はあまりできないから残してたら腐ってしまう、だから玉狛で消費しようとレイジさんが言ってきた
車に揺られている間ぼんやりと春多たちのことを考えた。あの時、オレが置いていかれたと知った2人はどれほど辛かったのだろうなと。きっと、いや絶対周囲から酷い言葉を掛けられたと思う。それでも諦めずに見返してやると奮起していた2人は強いなと思う
オレは・・・多分無理だ。今でも立ち直れるか分からない。こんなんじゃ隊長として情けない
車に揺られて玉狛に着くと陽太郎が泣いていた
「
どれくらいないていたのかは分からないが結構酷い。顔が鼻水と涙でグチャグチャで、目元が腫れていた。嗚咽交じりの陽太郎の叫びは少しだけ、オレの心を癒してくれた。小さな子供とはいえ、言葉にして悪くないと言ってくれるのはうれしい。それに子供だからこそ、ウソ偽りない言葉だから響くものがあるだなって。身をもって知るなんて思いもしなかった
「ありがとう陽太郎。そう言ってくれると嬉しいよ。ん?なんだ、雷神丸お前もか?」
レイジさんが抱き上げた陽太郎と撫でていると足元に来た雷神丸が顔をこすり付けてきた。言葉は分からないけど心配されているの分かる。ほんのちょっと、癒されたと思った。だが現実はいつもオレに刃を突きつけてくる
『-ということは今後私たちの身が危険が及ぶ、という事なんでしょうか?』
『えーそうですね。ボーダーがしっかり拘束していれば恐らく大丈夫でしょう。ですが相手は我々に紛れていたネイバーですからね。一体何をしてくるかわからないので確証が無いというのもありますし、いまだにトリガーと言う技術がどういうものなのか明かされていないので、脱走と言う可能性もありますね』
『ほんとうに危ないところでしたね。私の娘がネイバーが潜り込んでいたとされる中学校に通っているのですが、もう常に近くにいたのかと考えると信じられません!なんでネイバーなんて化け物がいるんですかねー?』
『さっさと死んでほしい!あったりまえだろ?あんだけ人殺しておいてなに自分は平然と学校に行ってるんだよ!って話ですよ!』
『ネイバーなんてね、存在しちゃいけないよ。さっさと自分の世界に帰って!化け物がここで生きる場所なんてね無いんだ-』
「気にするな。マスコミが故意に悪意のある言葉だけ選んだだけだ」
「でも・・・あの言葉は紛れもない本心ですよ。当然ですよね?自分たちと違う異物は受け入れられない・・・動物も結局怖くて分からないから管理して、調べて、殺してっ・・・・オレだって・・・ネイバーだから怖がられるの・・当然、なんだよっ」
テレビを切られても頭の中には討論やインタビューの言葉が響く。確実にそれはオレの心を蝕む呪いにも等しい
「護・・」
「荷物・・・片付けます」
またオレの所為で周りを巻き込んでしまった。また誰かを失うのかな?いやだな・・・失いたくないから、護ろうと決めたのに
「あ・・・・」
荷物を広げてタンスなどに服を片付けていると筆箱を机から落としてしまった。シャーペンや消しゴムとか入れているとふと目に映ってしまった。紙を切れるカッターナイフを
カチ・・・カチ・・・・カチ
ゆっくり黒いパーツを押すと音を鳴らしながら刃が現れた。紙を切るための道具であると同時に人も傷つける事のできる凶器でもあるそれから目が離せなかった
「・・・・これで・・・」
テレビで言った人たちを殺せば化け物とか言われなくなる。それもいいかもしれない。大丈夫、人を殺すのはもう慣れているんだ。いまさら怖気づく事なんてない・・・ただ、オレも傷ついて心が死んでいくだけだ。前みたいにオレから大切なものを奪おうとするやつらを・・・殺せば・・・護れるんだ。春多も、一菜も。レイジさんも陽太郎もロイも玉狛のみんなを・・・
「っ!!・・レイジさん!隊長は!?」
「部屋だ。それと乱暴に開けるな」
学校が終わった春多と一菜まっすぐ玉狛支部に帰ってきてレイジに注意されながらも、護が居る部屋に向かった
「隊長!!・・・え?隊長?」
「いない・・どうして・・?」
心配で焦る気持ちを抑えきられずに乱暴に開けて入るとそこには誰も居なかった。服の片付けも途中だった。2人は他にもトイレ、仮想戦闘ルーム、支部長室など隈なく探したのだがそこにも居なかった
「それはおかしいだろ?帰ってからずっとオレはここに居た。護が出たのなら気づく」
上へあがる階段はリビングと玄関の2箇所あるが、玄関を開ければ音で分かるのだ。なにより護の様子が心配だったためレイジは晩御飯の準備をしながらも気にしていたため気づかないというのはおかしいのだ
「オレ、探してくる!!」
「春多!レイジさん、私も行ってきます!」
「気をつけろよ!」
居てもたってもいられない春多は外へ出て護を探す事にした。一菜も同様で一言残して後追うように出た
「隊長ー!!」
大声を出して走り回るが返事が返ってくることは無かった。レイジも料理の合間に護の携帯に連絡をしてみたが応答がない。何度も何度も留守電になってしまうのだ。部屋に上がって見渡しても居ないのは当然だが、少しだけ異変に気がついた
「護・・バカな事はするなよ」
荷物の片付けは途中なのは異変の一つだったが、それよりも気になったのは机の上に散らばった筆記用具たちだ。勉強していた、というわけでもない。プリントもなにも無いのだし、机に置いたら傾いて出てしまったという可能性だってある。じゃあどうして気になるのか、ないのだ。カッターナイフが
レイジはもしかしたら護が人を刺す、などという考えをしたくないのだが。今の護は正常ではないからどうしてもそんな想像してしまうのだ
「っ!・・病院?」
突然鳴り出した携帯を見たら何度か行っているため登録していた病院からの連絡だった。最悪な想像が過ぎったためまさにそれはうれしくもない連絡だった
春多たちは川沿いに走って探しているが一向に見当たらない。街の方に行ってしまっているのかもと考えているが、いまのこの状況で行くとは思えず。支部に帰ってからの護の様子を知らないため、ネイバーを化け物と叫んでいる人を殺しに行っているんじゃないか、という考えまでにはまだ至っていなかった
「きゃ!?は、春多・・」
「どうした!?こ・・これは。血?」
のども疲れていた一菜はふと地面を見ると赤い点が見えた。コンクリートに赤は見えづらいのにとよく見るとそれは血だった。春多も来てそれは点々と続いているのが分かった
「も、もしかして・・・」
「そんなわけないだろ!だって、隊長はもう、殺したくないって・・」
血痕を見たことでついに護はまた人を殺したのではないかと想像してしまった。軍人だったころ殺すごとに荒んでいく護を間近で見ていた2人はもう取り返しの付かないところまで壊れてしまったのではないかと考えてしまう。春多は必死で否定しようとするも、血を見続けているうちにしてしまったんじゃないかと、一菜と同じ意見になっていた
信じたい。けれど目の前の現実がそれは無意味なものだと語りかけていた
「春多!一菜!乗れ!!護が見つかった!」
レイジの運転する車が2人の近くで止まった。護が見つかったと聞きすぐに乗り込んで向かった。場所は三門総合病院
当初から護がボロボロにうちのめされることは考えていたけど、ここまでしてしまったのはちょっと予定外ではあったなー・・
護がここから立ち直ってくれるといいですね