風間さんに合格祝いだと奢ってくれた2度目の昼食を食べ終えて、担当時刻の2時前に予定場所に着くとオレが所属している木崎隊隊長…木崎レイジが先に来ていた
今日はレイジさんと2人での防衛任務だ
「こんちわッス、レイジさん」
「ああ、いつも通り早いな護は」
無表情でオレに言うレイジさんは予定より早く来たオレを褒めた、時間前に来るのは当然なのだが、ついさっき時間を平気で守らない人がいたため早めに来た、ホントは昔からのクセで、作戦開始前には配置に着いていることが日常だったため、早く来るのは当たり前になっている
そのおかげか学校で遅刻は1回もしていない
「レイジさんもッスよ、あっ、そうそうオレ無事合格したッスよ」
「そうか!それはおめでたいな、オレが非番なら赤飯でも作れたのだが今日は無理そうだな」
オレの合格を知ると声だけは嬉しそうに言っていたが、ポーカーフェイスが上手いレイジさんの表情はあまり変化が無い
「いいスよ、祝いの言葉だけでも嬉しいッス、っと、そろそろ時間スよレイジさん」
「ああ、いつも通り暴れて来い、援護してやる」
「了解ッス!!」
木崎隊の戦術は大抵が前衛にオレと
だが全員がガンナー…アタッカーの2種類のトリガーもセットしているため基本的には援護の必要も無かったりするが
援護があったほうがスムーズに事が運ぶから、もう随分前からこの隊形で戦っている
「いけるか?」
「愚問スよレイジさん、むしろ人の方が苦戦するッス」
自惚れとも聞き取れるオレの言葉は嘘でも何でも無い、空高く跳んだオレに砲撃しようとバンダーが狙うが機関銃型のレイジさん専用トリガーから放たれる
オレが重力に従って落下しようとしたところでメイン…サブ両方のトリガーにセットしてある腰に装備した弧月を2本抜いてXの字を書くように交差させて『旋空』でバンダー、バムスターの半分を斬る
丁度落下地点にはモールモッドが最高硬度を誇るブレードを構えてオレを待ち構えるが
「『
弧月を納刀して両手に出したトリオンキューブを1つに合わせて、4×4×4=64発の弾を落下地点周囲に放った
『
アステロイドとアステロイドを掛け合わせて作られる合成弾で、その名前の通り貫通力が飛躍的に上昇する
(残りはバムスター4、バンダー4、モールモッドが5)
オレが落下中にレイジさんがモールモッドを4体、倒したことで残りは5体に減っていた
雑魚だからと言って長時間離れる訳にはいかないから1度合流しようとレイジさんとオレの間を塞いでいるバムスターを切って合流した
「どうした?何かあったのか?」
「いや、離れすぎないように合流しようかなーと、思っただけッス」
「そうか、なら今度は後ろを任せるぞ?」
「アイアイさ~」
今度はレイジさんが前衛、オレが後衛に回り弧月を収めて
最初にやってきたモールモッドのブレードを回避しながらレイガストを握っている拳で弱点の目を殴る
レイジさんのパンチをもろに食らった目は砕け散り、そのモールモッドは活動を停止した
だがすぐに近くにいたモールモッドが襲い掛かるが、オレがアステロイドで怯ませて阻止してその隙にレイジさんが再びパンチを当てて倒す
レイジさんに攻撃当たらないのはオレだと判断したのか、残っていたバンダー4体が一斉に砲撃してきたが、見え見えの攻撃が当たるはずもなく跳んで回避する
すぐに合成弾…
これで残りはモールモッドが……と思っていたらレイジさんが残り3体を倒し終えていた
「流石スねレイジさん」
「護が援護してくれていたから倒しやすかっただけだ、終了までまだ時間があるから気を抜くなよ」
「了解ッス」
オレは敬礼と一緒に軽いノリで答えた
その後はトリオン兵が来ては倒して、来ては倒して、で気付いたら
もうすぐ終了の時刻になるとレーダーにこちらに向かってくる反応があり、そちらに顔を向けると三輪隊の4人が屋根の上を跳んでやってきた
「うおお!!?なんじゃこりゃ……」
「す……すごい………」
オレたちの元まで来た三輪達がソレを見て米屋と古寺が驚いた
「……これをお前達2人で………?」
三輪が確認を取るように聞いてきて、そうッスとオレが答える
奈良坂にいたっては開いた口が閉じないようだ
三輪隊が見ているソレは活動を停止したトリオン兵の
担当していた時間が終了して、今日は玉狛に泊まろうと思いレイジさんと一緒に帰ると、そこで待っていたのはテーブルには沢山のご飯が出来ていて、茶碗には赤飯が盛られていた
「誰が作ったんだ?」
レイジさんは防衛任務に出ていて作っておらず、まだ支部の誰にも言っていない、ならオレが言ったのかと思ったレイジさんが振り向いてきたがそれは違う。すると2階から降りてきた迅がレイジさんの疑問に答えた
「宇佐美とオレが作ったんだよ、今日護が支部に来て合格した事言う未来が見えてな。だから宇佐美と一緒にさっきまで作ってたんだよ、でオレからの合格祝いはコレだ」
そう言ってオレに渡されたのはいつも迅が箱で注文しているぼんち揚げだった、しかもダンボール1箱分
「あ……ありがとうス………」
ぼんち揚げは好きだし、たまに食べるけど箱で渡されたのは初めてだ、反応に困ったが祝ってくれているのは分かるから礼を言う
「それで宇佐美はどこに行ったんだ?ここにはいないようだが?」
レイジさんの言うとおりリビングから見えるキッチンには誰もいない、烏丸はバイトで居らず小南は学校の文化祭で忙しいと最近は遅くまで準備している
「宇佐美はロイを呼びに行ってて、京介もさっきバイトが終わったと連絡が来た、
「流石スね、迅さんは………」
未来視のサイドエフェクトを持っている迅は暗躍が趣味だ。ともあれ、迅の言うとおりその後すぐに玉狛支部支部長の林藤匠と息子の林藤陽太郎が帰ってきた
「よーう合格おめでとう、ほいこれ、オレからの合格祝いだ」
そう言ってオレに渡したのは有名な温泉旅館の2泊3日に宿泊チケットだ
「いつも任務ばかりで叔父さんとゆっくり出来ていないんだろ?たまにはボーダーの事は忘れて楽しんで来い」
「ッ~ありがとうッス
「はっはっは、いいぞ感謝しろー」
林藤支部長の懐の広さに感激してチケットを掲げながら喜んだ
「おれからもあるんだぞ」
若干ふて腐れた感じに頬を膨らませた陽太郎がオレの制服の裾を引っ張りながら合格祝いがあると言ってきた
「なんだ陽太郎?」
子供の感謝といえば「―――ちけっと」みたいなのだろうと思っていたが少し違った、スポーツドリンクが1本とラムネ、ガム、アメ、チョコと駄菓子が入った袋を渡された
てっきり陽太郎のおやつだろうと思ったが違ったようだ
「………いいのか陽太郎?お前のおやつじゃないのか?」
もらえるものは喜んでもらいたい所だが、流石に5歳児から袋に入ったお菓子までもらうほどではない
「うむ、”ゴウカク”ってのはおめでたいのだろう?だからこれはおれからのおいわいだ」
子供にしては健気なところが嬉しく抱きつきながら「ありがとうッス陽太郎~」と礼を言った、どうやらこのお菓子は100円均一の店で「3個で100円」とかそういうのだった
その後地下に続くドアが開き、宇佐美が「何か」を引っ張りながら入ってきた
「あ~ほらもう来てるよ!!」
「やめろ~うるさいのはイヤだ~離せ~~」
「いいから来なさい!!それっ!!」
宇佐美が力強く引っ張ると1人の少年が現れた
何度言っても直さない寝癖が鶏のトサカみたいになっていて、しかも太陽を嫌うため肌は病気と見間違うほど白い
名前はロイと言い玉狛支部の数少ないエンジニアの1人
レイジさんの機関銃型トリガーはこの世界に来て初めて知った強そうな武器として模倣したものだ
小南の『双月』も「合体…変形は
「うぅ~~、これだから女は自分勝手で嫌いなんだ、護~~オレを癒して~~」
仕方ないと言った感じに立ち上がりゆらゆらとオレに近寄った
「ふざけんな!オレにそんな趣味は無いッス!!」
抱きつこうとするロイを両手で押し退けようと力を入れるが一向に離れようとしない、以前に抱きつかれた時にはクンクンと首元を嗅いで「護~汗で良い匂いする~」と言って股間を触られた事がある
別に同性愛に偏見とか軽蔑はしていないし、
「ロイその辺にしとけ、じゃないとそれ以上はただじゃ済まさないぞ?」
助け舟を出してくれたレイジさんに感謝しつつロイは仕方ないと言った感じにようやく離れた。前に寝ているレイジさんに襲い掛かろうとしたが当然返り討ちに合い、1時間くらい支部の屋上に出された経緯がある。あのときのロイは干物になっていた、因みに季節は夏だ、お水もセットという優しさもあったけど
「………木崎に言われると従うしかない………太陽はもういやだ………………それとコレを渡しておくよ、それじゃお休み~~」
去る前にポケットからトリガーを取り出しオレに渡して地下に戻って行った
「あ~もう……遅れたけど合格おめでとう、そのトリガーは私と
「マジで!!?やった~オレだけのトリガー」
チケットをもらったときと同じように上に掲げて喜んだ
ボーダー隊員はトリガーは1つだけだが、オレ用のトリガーを開発している間は玉狛にある予備のトリガーを使っている、だけどこれからは自分だけのトリガーで戦える。慣れるには時間がいるがそこはレイジさんたちが相手をしてくれよう
「さっ、そろそろ食べようか」
宇佐美がそう言って皆が椅子に座り林藤支部長の「合格おめでとう」言葉と共に食べ始めた
途中宇佐美に借りていたトリガーを返してコンソメスープを飲もうとした時、迅が「そろそろだな」と呟くとドンッとドアが乱暴に開ける音がして、皆がそっちを向くと肩で息をする小南がいた
「はぁ……はぁ……何で…………先に食べてるのよ……?」
「小南が来るまで待っていたら折角の料理が冷めるだろう?」
途切れ途切れに言う小南に迅が答えた
「…………それも……そうね、はい、護。合格おめでとう、まぁアタシが教えたんだから合格して当然だけど」
手に持っていた袋を勢いよくオレに差し出して言ってきた
祝っているのかバカにしてるのか分からないが、とりあえずありがとうと言い袋の中を覗くと有名な洋菓子店のどら焼き、イチゴ大福が5つずつ入っていた。使っている材料も良いやつのだから1つでもそれなりに高い、ざっと計算すると3890円くらいのはずだ
「ここの店って桐絵ちゃんが気に入ってる店の!?しかもどら焼きとイチゴ大福じゃないスか~」
「まあ、これくらい当然よ」
腰に手を当てて言ってきた、相変わらず態度がでかいなあと思いつつももう一度礼を言う
その後、玄関のドアが開く音がして玉狛のメンバーは殆どが揃っていて客でもなければ残りの烏丸だろうと思った
オレの予想通りというか当たり前だけど烏丸がやってきた
「護、合格おめでとう、これオレからの合格祝いだ」
「ありがとーとりまる~………おお、これはすごいッス」
烏丸から渡されたのは水色の模様が描かれたガラスコップだ、しかも説明を聞くと「サンドブラスト」という技法で、ガラスコップに
「以前に家族旅行で行った時体験したのを思い出したんです、護の成績なら確実に合格するだろうと思って一昨日の非番のときに作ってきたんです」
「ありがとうスとりまる~、一生大事にするッス」
「そうか、なら作ったかいがあったな」
その後からは烏丸も加えて宇佐美と迅が作ったご飯を食べた、オレの専用トリガーが完成したと知った小南は模擬戦しようと言ってきたが、防衛任務の後にまた戦うのは精神的に疲れるから明日と言った
翌日
日が昇り始めている朝は少し冷えたがベッドから出てジャージに着替えると支部を出る、思ったとおりそこにはレイジさんが屈伸をして準備運動をしていた
「おはよう護、いつも通り準備運動したら走るぞ」
「はいッス」
レイジさんに言われたとおり体を動かして準備運動を済ませると一緒に走った
玉狛支部は元々水質調査のために建てられたのだがそれをボーダーが買い取り、玉狛支部として利用している、そのため川沿いを走って橋を渡れば自然とランニングコースになる
迷う事も無いから玉狛支部に泊まったときはいつも走っている
1時間かけて走り終えるとシャワーを浴びて汗を流し、オレとレイジさんはキッチンに立った。本当なら今日はレイジさんの当番だが今回はオレもいる為手伝ってもらう事にした
メニューが半分ほど出来上がったところで新聞片手にやってきた林藤支部長と、玉狛支部のマスコットとも言えるカピパラの雷神丸と乗ったまま寝ている陽太郎が運ばれてきた
その後は烏丸、小南、迅、宇佐美と来ていつも通りの玉狛時部の朝の風景になった
今日は土曜だから学校が休みで朝食を食べ終えた途端、小南が模擬戦と言ってきたが叔父に作った弁当を届けるためにこれから出ると言った
わざわざ夜中に友達にメールして手伝いが遅れると言ったらしい、「小南ごめんッス」とだけ言って本部へ向かった
前作を編集でき次第投稿していきます
どれが好きですか?
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自戒の絆
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失った先にあるもの
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彼方の傭兵