どこぞの三水戦   作:ひょっとこ_

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川内かわいい(挨拶


マルキュー:覚悟

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから、あいかわらず私に出撃命令が下されることはなく、日々は過ぎている。

 今日も、ただ黙々と提督の隣で書類を片していく。

 

「なぁ、川内」

 

「なに? 提督」

 

「敵さんとやりあうのは、怖いか?」

 

 ど真ん中、直球。

 思わず言葉につまる私に、提督はそれを是と見たのか、一つ、頷いた。

 

「まぁ、だよな。人間、だったんだしな……」

 

 またも、それは私が気にしていることであった。

 人間と艦娘。艦娘と深海棲艦()

 守られる者と守る者。互いに傷つけあう者。

 大別すれば、今の世界は、人間と艦娘と深海棲艦という三つの要素から成り立っている。

 内二つの立場として、ものを見ることができる俺は、歪な存在である。

 人間としての感覚と艦娘としての戦う力が、俺の中には同居しているのだ。

 戦うということに恐れを抱く人間()と、戦わなければいけないと理解している艦娘()。その二つの感覚が、ここ最近、私の中でせめぎ合っていた。

 

「それも、ある、けど……」

 

 でも、一番癪なのは、そんなことで悩んでしまう己のことであった。

 まだ人間であった頃、俺はあまり悩むということをしていなかった。即断即決を地で行き、直感と勘だけで生きていたのだ。おかげで親しくしていた友人などからは、野生育ちだの、直感人間だの、女顔のくせして生き図太いだのとさんざ言われていたものだ。今思うと失敬極まりないな。

 まぁ、それはともかく。

 そんなようだった私であるから、こうして艦娘となった今、こんなことで悩んでしまっている自分がなんとなく癪だったのだ。

 

「……でも、それは正しい感覚だ」

 

 私の話を聞いていた提督が、体ごとこちらを向いて、視線を重ねて、そう言葉を投げた。

 

「たしかに、今は艦娘だよ、お前は。けれど、人間だった過去を誰も否定なんかしねぇから、それはそれでいいんだ。他の艦娘の中にも、お前みたいに思っているやつもいっぱいいるだろう」

 

 なにせ、彼女たちは戦艦の記憶()をその身に宿しているのだから。

 そう続いた提督の言葉に、ふむ、と得心を得た気がした。

 かつて帝国のために奮戦した艦たちも、同様に、悩みの中で戦っているのだ。暗い水底の感覚を知りながらも、また、この国のために、彼女たちは戦っている。

 そうとわかれば、私がこうしていていい理由は、うん、なくなったわけだ。

 

「……わかったよ、提督。私も、頑張ってみる。それで、いい……?」

 

「……ああ。でも、無茶だけはしてくれるなよ?」

 

「それは、もちろん」

 

 そんなわけで、明日からは日程に訓練の時間も加えなきゃかな。

 教官は……うん、神通か、那珂に頼もうっと。

 そうと決まれば、さっそくお願いしにいこう。

 

「提督、ちょっと席外すね」

 

「ああ。……あ、なら、行きがけに茶を頼む」

 

「ん、りょーかい」

 

 部屋に備え付けてある給湯設備でお茶を汲み、ついでに戸棚のほうからお茶請けも用意する。お、羊羹。……いいなぁ。

 

「……そんな物欲しそうにしねぇでも、帰ってくるまで取っといてやるから」

 

「ほんと!? 絶対だよ!」

 

「わーった、わーった」

 

 とっとと行っちまえとばかりに手をひらひらさせる提督に、手を振って、執務室を飛び出す。

 たしか今日のこの時間帯から明日は二人とも特に予定は入っていなかったはずなので、善は急げだ。

 その後の羊羹に思いを馳せつつ、私は二人がいるはずの艦娘寮中の川内型姉妹に割り振られた部屋へと急いだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんとなく書き綴りましたが、実際、非常にデリケートな問題だと思います。
テンプレってものは使い古されていますが、だからこそ、それが我々にとっての普通であるということなんでしょうね。


ああ、なんかこの章もあまりおっぱいが出なさそう。。
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