『索敵機を飛ばした瑞穂より入電、敵艦隊の内訳が判明。戦艦ル級1、軽巡ト級2、駆逐イ級3。繰り返します、戦艦ル級1、軽巡ト級2、駆逐イ級3』
「委細了解。敵艦隊を発見次第、攻撃開始します」
『ご武運を』
官制担当の大淀からの入電で得た情報を後ろに続く五名に報告し、追って、作戦を伝える。
「今回、敵には空母系がいない。よって、索敵能力を著しく欠いている敵艦隊の側部に二手に分かれて接近、合図で開幕魚雷による先制攻撃から、一息に接敵、超超近距離からの砲撃で一気に片をつける。いい?」
ずいぶん頭の悪い作戦だと、立案者ながらに思う。
けれど、私たち以外にまともに戦える子はいない。ならば、やるしかない。
リスクを承知で、迅速かつ確実性の高い方法で敵艦隊を撃滅させなければ、もしも、取り逃がした敵艦がそのまま鎮守府にでも侵入してしまえば、その被害など、考えたくもない。
「ずいぶんと過激な作戦ですね、川内さん」
「わっかりやすくて、いいじゃん。あたしは好き。綾波も同じでしょ?」
「それは、まぁ……」
「江風も好きだぜ、そういうの。駆逐艦の本懐って感じっ」
「こら、江風、戦果を挙げようとするのはいいですが、少しは自重も覚えなきゃダメですからね」
「姉貴、あンま心配すンなって。そう簡単に江風さんは沈まねぇさ」
「ふふっ、江風も少しは落ち着いたほうがいいけど……。まぁ、僕たちがフォローすればいい話さ、海風」
「もう、時雨姉さんはちょっと江風に甘すぎです……」
「大丈夫、マイペースでいいんだよ。ね、川内さん?」
そんなことを考えているのがバレたのか、おもむろに視線を投げてくるみんなに、ふと苦笑が漏れた。
「……うん、そうだ。マイペースでいい。なにも敵に合わせてやることもない。みんな、ちゃっちゃと終わらせよっか」
『了解』
報告のあったエリアまで、あと少し。
事前の打ち合わせのとおり私たち三水戦は、二手に分かれ、それぞれ敵艦隊の側部へと迂回していった。
甲班。旗艦川内、綾波姉妹。
「敵艦隊を目視にて確認。航行速度を落として、作戦範囲まで接近する」
『了解』
「綾波、私の合図で照明弾よろしく。したら、みんなで魚雷ぶっこむからね」
「わかりました」
「敷波もよろしくね」
「わかってる。そっちこそ、しくじらないでよね」
「当たり前っ」
乙班。白露姉妹。
「見つけたよ」
「敵艦見ゆってな!」
「あ、こら、江風、声もうちょっと抑えなさいっ」
「ふふっ。……二人とも、準備はいいかい?」
「はい、姉さん」
「いいぜ、時雨姉貴」
「うん、いいね。さぁ、やろうか」
『了解』
潮風に煽られながら、攻撃目標地点へと先を急ぐその艦隊は、人類の敵、深海棲艦のものである。
旗艦に戦艦級を据え、軽巡級が二隻に駆逐級が三隻。
六隻編成のその艦隊は、今回己たちに任されたこの作戦を甘く見ていた。
手薄になった古参鎮守府の撃破。その任務概要のとおり、かつて己たちを存分に苦しませた鎮守府のうちの一つを襲撃しようと、今、こうして向かっているわけだが。
敵の迎撃が未だにない。
その気配すらなく、艦載機さえ飛んでこない。
しめた、と旗艦の戦艦級は口角を吊り上げ、配下の艦たちに激を飛ばした。
そのときだった。
潮風と波が立つ音、そして己らが水を切る音しかなかったこの場所に、唐突に異音が混じった。
バシュ、っと布を裂くようなその音は、聞き覚えのある照明弾を撃ち上げる際のものだ。
まだ、昼間だろうに。
なんて、呑気なことを一瞬考えてしまった、それが致命の隙であった。
水泡と飛沫、水中に隠れて迫っていた魚雷。
それが艦隊の両横っ腹に突き刺さり、あ、と思った瞬間にはもう遅かった。
「残念、だったね……!」
「てぇーっ!」
「ふふんっ、いいね、いいね! いっくぜー!」
乙班が電光石火の如く駆逐級を三隻、行動不能に追いやる。
「よく狙って、ってそれまでもない距離ね……てえぇぇぇいっ!」
「喰らえぇっ!」
甲班、綾波型の姉妹が、軽巡級を二隻、討ち取る。
そして。
「沈めえぇぇっ!」
旗艦、川内が、最後に残った戦艦級に主砲を叩き込んだ。
てけとーに考えた作戦だなんて口が裂けても言えないので、みなさんもシーッでお願いします