「で、ようやっと深海棲艦たちの活発化も治まったので、祝勝会やりまーす」
夕飯時、鎮守府の全員が食堂に集まった折を見て、そんなことを発表した。
本来なら直接戦闘には参加していなかったうちの鎮守府だが、まぁ、お祭りムードに乗って、この機会に少しでも羽を休めてほしいという提督のささやかな気持ちだ。
一瞬だけ静まり返った食堂は、すぐにいつも以上の賑わいを取り戻す。
「祝勝会っぽい! 素敵なパーティしましょ!」
「ビンゴとか、出し物もあるのかしら。まぁ、なんにせよ、あたしが一番だけどね!」
「速さなら島風が勝つけどねぇー、ふっふーん」
「祝勝会……
「
「なんでしょ~、飲み会ですか~? ……ヒック」
「ほら、ポーラさんちょっと飲みすぎですってば! ああ、もう、加古もこんなところで寝ないでっ」
「うぇへへー、もう食べられましぇーん」
「もう! 最近の重巡はちょっと緩み過ぎですっ」
「黒やーん、祝勝会やてー」
「聞いた聞いた。で、龍やん、またなんか漫才にでも付き合えって言いはるんやろ?」
「さっすがぁ、わかってるぅっ」
「あら、喜ばないの? 五航戦の」
「うぐっ。……素直に喜んでたところにあんたがそうやって水差すんでしょ、一航戦!」
「ワオ、きっと素敵なpartyになりマース」
「榛名もそう思います、姉様」
「そうだな、そうなってくれることを祈ろう」
「あらぁ、長門、ここにお米粒ついてるわよ」
「む、どこだ? ……すまん、取ってくれ、陸奥」
「あら、長門ったら。うふふ」
それぞれ、思い思いに楽しみなようでなによりのことだなぁと、食堂を後にする。
向かう先は執務室。提督と祝勝会の幹事を務めるので、いろいろ打ち合わせや準備があるのだ。
「そうか。みんな、喜んでたか」
「うん」
「それはよかった」
言ったきり、手元の書類をぼうっと見続ける提督に首を傾げる。
ふむ、なにか考え事かしらん。
「提督、なにか悩みごとだったら、私に言ってみてよ」
「む……。いや、べつに悩みごとってわけじゃないんだけどな」
「じゃあ、なに考えてたのよ」
「あー……んー……むー……」
「なにさ。はっきりしないなぁ」
「……まぁいいか。うん、川内、少しこっちに来てくれ」
言って、手招きをする提督。
どうやら執務机を回りこんで、傍に来いということらしい。
「よし、じゃあ、左手貸して」
「え、なんで―――っそ、それって!? て、提督!?」
執務机の引き出しから出てきた小箱、その中身を、そっと、差し出された私の左手の薬指にはめる提督。
「…………」
あまりのことに思わず立ちすくみ、閉口した私を、提督が椅子に座ったまま見上げる。
「その、ダメ、か……?」
「…………」
「川内……?」
不安そうにこちらを見やる提督に、私は――――、
「ぷふっ」
――――少し、噴き出してしまった。
「て、提督、ふふっ、私、まだ改二になったばかりだし、練度足りないと思うけど、くっくっ……」
ケッコンカッコカリは、練度を最大限高めた艦娘のためのものだ。
私にはまだ、とてもではないが無理だといえる。
でも、そんな私の言葉を聞いた提督が、唇を尖らせてこう言った。
「ああ、だから、まぁ……唾つけとけ、みたいな……? それにお前だったら、そう遠くないうちにできるだろーしな……」
「ぇ、ぁ、ぁぅ……」
今度こそ私は、顔を真っ赤に染め上げ、なにも言えなくなってしまったのだった。
四章最終話でございました
はい、川内と提督も行き着くとこに行き着いたって感じですかね
お粗末でした
さて、次章はどうすっかなぁ。。