どこぞの三水戦   作:ひょっとこ_

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川内かわいいよ川内


マルフタ:思い思われ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一通り泣いた後、落ち着きを取り戻した神通は、やや赤くなった目元を恥ずかしそうに隠しながら、事の経緯を教えてくれた。

 曰く、俺たちは、この鎮守府(・・・)の工廠でつい先日生み出されたばかりの新米艦娘である。

 また曰く、俺は、というか川内は、提督にお目見えしていた際、原因不明の高熱により倒れたとか。

 加えて曰く、それから二日間、今日という日まで川内()は、寝たきりだったらしい。

 

 

 

 

 

 さて、整理、推察しよう。

 俺が川内として気がついたのは、つい今しがた。川内が倒れたのは三日前だ。

 因果関係はわからないが、件の高熱とやらのせいでこうなったのはたぶん間違っていない。

 そして、その変化(・・)は、俺がこうして平常に活動できている時点ですでに完了している。と思われる。

 これ以上の動きはないはずだ。

 元に戻る。つまり、俺が排除され、川内が本来の自身を取り戻すのには、また変化(・・)が必要になってくると思うのだが、そのトリガーに関しては、推察するどころか、皆目見当もつかない。

 謎そのものである。

 謎。いい言葉だ。なんとなくかっこいいだけでなく、よくわからないけれどなにか神秘的な響きと期待させるようなワクテカ感が、この一文字に混在している。

 いや、それはさておき。要すると、だ。

 川内は謎現象によりその自我を失い、その空隙に俺という異物が混入した結果、俺は川内になった。

 どうだろう。わからないが、たぶんそう外れてもいないと思う。

 

 

 そう、つまるところ、どこまでいこうがさっき自覚したとおり、俺は「川内」なのだ。

 川内型軽巡洋艦一番艦「川内」。かつての大戦時、帝国海軍に存在した水雷戦隊のうち第三水雷戦隊を率いた彼の艦は、参加した四戦中、実にその三つが夜戦という稀な艦歴を持っている。

 そして、俺は、そんな川内の魂を受け継いだ艦娘である川内型軽巡洋艦ネームシップ「川内」となってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 状況は、理解した。

 だからいい、とまではいかないが、こうなってしまった以上、俺もこの抗うことのできない流れ(・・)の中を、せめて自分の足で歩くくらいのことはしないと、この体の持ち主は納得してくれないのではないだろうか。

 

「なぁ、神通。ちょっと話があるんだけど、さ……」

 

「お話、ですか……? はい、なんでしょう。あ、那珂も呼んだほうがいいですか?」

 

「ああ、うん。お願い」

 

「わかりました。少し待っててくださいね、姉さん」

 

「あんまり、急がなくてもいいからね」

 

 だから、まぁ、軽く俺のことについて触れておこうと思う。

 元人間で、艦これというゲームをやっていて、そして、何を成すでもなくただ無為に日々を生きていた俺という男について。

 で、この話をまず最初に聞いて欲しいのが、神通や那珂であってほしいと願うことは悪いことではないと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに川内の中の人は、提督としては平均並みです。
デイリーだけやって、艦を愛でることだけを繰り返していました。そんなやつです。
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