もしもZ戦士たちが、異世界の怪しげな組織に目をつけられたら。 作:レイチェル
正直、大学のレポートを甘く見てた。
その代わりいつもより多いです。本当はもっとコンパクトにまとめるはずだったのに・・・・・・・
~???~
そこはいくつもの鉄くずや工具が乱雑に置かれていた。そんな部屋の中央に置かれていたものは紫色の丸い円盤―――俗にUFOと呼ばれる乗り物だった。
そしてそのUFOを開発していたのは白と紫の色をした宇宙人(ただし、頭には二本の黒い角、腕はピンク色)部下たちから「フリーザ様」と呼ばれている、後に宇宙の支配者と呼ばれる者だった。
しかし、この
「・・・・・・・と、ここを締めてっと。こんなものでしょうか。」
「フリーザ様。」
フリーザに声をかけたのは、肩までかかった緑色の髪を後ろでちょこんとくくったザーボンだった。
「どうしました?まさか、
「いえ、全くありません。今のところとても順調です。あとは赤子でも後遺症なしに安全に使用できると証明されれば、実用化できます。」
そう、この装置は後に惑星ベジータで赤ん坊がほかの惑星へと送られる時に使われる装置だった。
だがフリーザの族が惑星ベジータを発見するのはもう少し先のお話。
「それはよかったです。わたしは常々子供にかける教育の時間が無駄だと思っていましたからね。
ところで・・・・・・・・やっぱり自分のこと『おれさま』っていっちゃだめなのか~?」
さっきまでの支配者としての風格はどこへやら。今のフリーザはまるで駄々をこねる子供だった。そんなフリーザを呆れたように見ながらザーボンはこう言った。
「フリーザ様、常々申し上げておりますでしょう?支配者の一族たるものそれなりの品格、教養、しゃべり方を身に付けなければ。コルド様からも言われているでしょう?」
「でもなー、おれさまあんな言葉遣いすると、体がむず痒く・・・・・・・・・・」
「でももなにもありません!・・・・・・・・・全く、二十年前からお仕えして言葉遣いを教えているのにどうしてこうなったのやら・・・・・・・・・」
この時のザーボンは、ばいきんまんがフリーザに転生したのだということを知らなかった。
だからフリーザはこう言った。
「で、でもおれさまは、」
「自分のことは『わたし』です。」
「わたしはそっちの方のしゃべり方の方がしっくりくるというか・・・・・・・・・・」
この時はフリーザ自身も自分が転生者だということをまだよく分かっていなかった。
その時、ザーボンの気配が変わった。
これは・・・・・・・殺気だ。
「フリーザ様・・・・・・・・・・」
そしてザーボンは
「それ以上なにか言ったら、コルド様に報告をしますよ。」
その言葉にフリーザは震えながら、
「パ、パパにだけは言わないでくれええええええええ!」
「フリーザ様は言葉遣いが悪いですねえ。やっぱり、ここはコルド様に・・・・・・・」
「・・・・・・・・わたしが悪かったです。どうか許してください。」
その言葉にザーボンはこともあろうにすっとぼけながらこう言った。
「私が?フリーザ様を、許す?なにを言っているのですか、フリーザ様?私はあなた様の部下ですよ。逆はあっても、私がフリーザ様を許す、なんてことはありません。」
そのあまりにも白々しい物言いに、フリーザは丘に打ち上げられた魚のように口をパクパクさせることしかできなかった。
「ところでフリーザ様、その後ろにある機械はなんなのですか?」
ザーボンはさっきまでフリーザがいじっていた紫色のUFOを指さしながら聞いた。
「・・・・・・・・・・あ、ああこれはUFOですよ。自分でもなんでだかわかりませんが、こういう乗り物に乗りたくなりましてね。」
「さすがフリーザ様です。思い付きで簡単にほかの人にはまねできないような発明をなさるとは。」
「ところでザーボンさん、例の技術がある星は見つかりましたか?」
「パンに命を吹き込む技術がある星、でしたね。申し訳ありません。総力を挙げて捜索してはいるのですが・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・そう、ですか・・・・・・・・。」
がっかりしたようにつぶやく。
「フリーザ様、その星には一体何があるのですか?」
その言葉にフリーザは、ばつの悪そうな顔になってこう言った。
「それが、自分でもよく分からないのですが・・・・・・・・・・そこに大切な人を置いてきたような気がしまして・・・・・・・。」
この頃のフリーザは、まだドキンちゃんのことをよく思い出せていないときである。
「と、ところでザーボンさん。もう変身して戦闘力を8万まで落とすことが出来るようになりましたよ。これならもう外へ出ても大丈夫ですよね?」
フリーザの一族は他の種族と違い強力な力がある一族。だから動くことはもちろん外に出歩くことでさえ変身して戦闘力を落とさないと、自由に動いたりすることは許可されていなかった。(もっとも、コルド帝王のように自分より強いものがそばにいれば出歩くことはできた。)
修業して強くなろうと努力している者からしてみればとんでもない話である。
「上出来です。そういうことを言い出すということは、どこか行きたい星でもあるということですね?」
にっこり笑ってザーボンはそういったのだがフリーザは、
「別にここが行きたいということではないのですが・・・・・・・・そうですね、強いて言えばこのUFOの試運転に適した場所へ行きたいですね。」
といった。
その言葉にザーボンはうなずいてこう提案した。
「そうですか。では、新しく支配下にはいった惑星『トロピカル』へ行きましょうか?」
「トロピカル・・・・・・・?それはどんな星なのですか?」
「それが、かなり不可解なところがある星で・・・・・・・」
「言ってみなさい。」
「文明の発達した跡があるのに人っ子一人いなくて、その星のお墓と思われる場所があたりを埋め尽くすほどにあったのです。」
話を聞く限り不気味な惑星である。けれどフリーザは首を傾げながらこう言った。
「別に不可解でもなんでもないじゃありませんか。繁栄していた惑星が何らかの理由により滅びた、ということでしょう?というか、その状況なら『支配した』というよりも『開拓した』という言葉の方が正しいでしょう?そんな星は少なくないそう教えてくれたのはザーボンさん、あなたじゃありませんか。」
その言葉にザーボンは全く悪びれもせずにこう返した。
「申し訳ありません。では、その星へ行くということでよろしいですね?」
その答えは決まっていた。
「もちろんです。」
というわけで、二人は惑星『トロピカル』へと出発した。
~惑星トロピカル~
お目当ての星に降り立ったフリーザとザーボンは茫然としたようにこう言った。
「た、確かに・・・・・・・・・お墓だらけですね・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・私もまさかここまでとは・・・・・・・。」
惑星トロピカル。墓だらけというのは誇張でもなんでもなかった。
フリーザとザーボン(あとは部下数十名)とともにトロピカルの荒野と思われる場所に降り立ったのだが・・・・・・・・・・辺り一面には、こんもり盛り上がった土に十字に交差された木の棒と、典型的な墓が辺り一面に、何百、いや、何千とあったのだった。当然フリーザたちの乗ってきた宇宙船の下にもつぶれた墓があった。
「フリーザ様、ザーボン様、申し訳ありません!前回偵察に来た時にはここはただの荒野だったのですが・・・・・・・・・」
一緒にきた数十人の部下の一人、部下の一人がそういって謝ってきた。
「当然でしょう。謝る必要はありません。」
墓の土を手に取って調べていたザーボンが言う。
「どういうことです、ザーボンさん?」
「この辺りにあるお墓はごく最近に作られたものだからです。しかも土の渇き具合からして半日もたっていないでしょう。」
「ではまだ生き残りがいて、そのものがこのお墓を作ったと?」
「そう考えるのが自然かと。」
「スカウターに大きな反応は?」
「五千を超える反応が一つしかありません。」
「少なすぎる・・・・・・まさか・・・・・・・・・・・・・・!」
普通に考えるのなら、スカウターに反応した者がこの星にいる者たちを殺した。そう考えるのが妥当だろう。
そう、普通に考えるのなら。
フリーザはこのときはまだ若輩者とはいえ、多くの部下の命を預かっている身だ。
だから『最悪の可能性』を考え、後ろに控えていた部下たちに命令した。
「みなさん、一刻も早くこの星の生き残りを探し出すのです!もしもこの星に住む者がなくなった原因が何らかの伝染病や病気だとすれば、わたしたちも感染している可能性があります。」
新しく発見された星での伝染病。それは星を地上げしてほかの異星人へと売るという仕事をしているフリーザたちにとってみれば、もっとも恐れていることだった。
怪獣など、力で倒せる相手など問題ない。この宇宙にはフリーザの一族を超える力を持つものなどいないのだから。
しかし、細菌やウイルスなどは話が別。ワクチンを持っていれば問題はないのだが、もしなければ・・・・・・・・・・・・・・そう。実際にあったのだ。伝染病によって地上げしようとした者たちが全滅したということが。
部下たちはようやくことの重大さがわかってきた。とたんにパニックにおちいる。
「こ、この星にいたら死ぬうううううううううううううう!」
「こんなところで死ぬのは嫌だああああああああああああああ!!」
「オレ、生きて帰って来れたら結婚するんだ・・・・・・・・・あはははは・・・・・・。」
「こうなったら隣にいるコイツを生贄にして・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・もういっそ自爆このバカを殺そうか・・・・・・・?」
阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
「お静かになさい!」
ザーボンが一喝した。
とたんに静かになる。
「A班、B班、C班は生存者の捜索。残ったD班、E班はお墓を掘り起こして死体の検分を。とにかくこの星の者たちが死んだ原因となる情報を集めるのです。」
「「「「「「は、はいっ!」」」」」」
部下たちはバタバタと作業を始めた。
その様子に感心しながらフリーザは言う。
「すごいですねえ、ザーボンさんは。」
フリーザは抜群の統率能力を持つザーボンに感心した。
ザーボンも、フリーザの一族に仕える一族として多くの部下を持っていた。だからこそできたことだった。
「フリーザ様、申し訳ありませんでした。」
そう言ってザーボンはフリーザに頭を下げる。
「・・・・・・・・・・・・。」
フリーザは何も言わない。
「まさかこの星がこのようなことになっていようとは・・・・・・・・・こんなことならこの星へ来ようとフリーザ様を誘ったりしませんでしたのに・・・・・・・・・・・!」
「全く、本当ですよ。」
フリーザをよく知らない者はこのときのフリーザを冷静だと判断するだろう。
しかし付き合いの長いザーボンは、フリーザが怒っているとはっきりわかった。
「・・・・・・・・・・・。」
「知っていますか?わたしの一族は他の種族と違って体が病気に対してもそこそこ丈夫にできているんでよ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「でもザーボンさん、あなたは違うのですよ。もっとご自分の体を大切になさってください。」
「・・・・・・・・ありがとうございます。フリーザ様!」
ただザーボンは、フリーザが後ろを向いてしまったので、そう言ったときのフリーザの表情を見ることが出来なかった。
その時だった。部下の悲鳴が聞こえたのは。
「何事です!?」
「フリーザ様、襲撃です!何者かが我々を襲って・・・・・・・ぎゃあああああああああ!」
そう叫んで倒れる部下。倒したのは肌がピンク色の一人の少年だった。ただ、年の割に大きな体をしているので、それ以上の年齢にも見えるだろう。
「お前ら・・・・・・・オレの仲間が眠っている場所になにしてくれてんだ!!」
そう言って墓を掘り起こしていた者たちを次々に殴り飛ばしていく。雑魚ではないだろう。
「生き残りが向こうから来てくれましたか・・・・・・・・・・ザーボンさん!」
フリーザがそう言った瞬間、ザーボンはあっという間にピンクの少年をとらえた。
「は、離しやがれ!」
「フッ、たかだか戦闘力七千が戦闘力一万九千の私にかなうわけないでしょう?」
どうやらさっきの大きな反応はこの少年だったようである。
そしてフリーザが進み出た。
「別にわたしたちはあなたを取って食おうとしてるわけではありません。」
「な、なんだと!?勝手に他人の墓を荒らしやがって・・・・・・・・・・・・・・!」
「えっと・・・・・・まあこれは仕方なくやったことなのですけど・・・・・・・。」
「なんだと!!」
警戒心を解かないピンクの太った少年。困り果てるフリーザ。
そして、最悪のタイミングで墓を掘り起こしている部下たちが叫ぶ。
「ヒャッハーーーーー!この死体は新鮮だぜ!!見ろよ、死後硬直がまだ解けてないぜ。」
「そんな野郎の死体よりこっちの女の死体を見てみろよ。かなりの上玉だぜ!くそ~、生きてる時に会いたかったぜ。そしたら、このおれがたっぷりかわいがってやれたのによ!」
見るとピンクの少年は、怒りに震えていた。
「皆殺しだあああああああああああああああ!」
「頼みますから、こっちの話を聞いてください・・・・・・・・・。」
気が付けば、最強の一族が見ず知らずの少年に懇願する、という何とも奇妙な光景があった。
・・・・・・・・事情説明中・・・・・・・
「つまりまとめると、半年前から病気が流行りだし、今生き残っている者は三人しかいない。そこへたまたま我々が来たと。そういうことですね、ドドリアさん。」
「まあ、そういうことだ。オレもいきなり襲い掛かって悪かったよ、ザーボン。」
ピンクの少年―――ドドリアがそう答えた。
「全く、私のことを呼び捨てとは・・・・・・・・・。これだから育ちの悪いものは・・・・」
「なにか言ったか?」
「なんでもありません。」
「それにしても、これだけのお墓を一人で作ったのはすごいですねえ・・・・・。」
フリーザが感心したように言った。
「いや、昨日までは三人で・・・・・・・・・・・。」
そう言って悲しそうに目を伏せる。どういうことかとフリーザとザーボンが問い詰めようとしたとき、部下の一人が報告に来た。
「フリーザ様、ザーボン様、この惑星で流行っている伝染病のことですが、掘り起こした死体から調べてみたところ、惑星コルド№37にワクチンがありました。無人宇宙船によりあと三十分でここに届くそうです。」
ここでドドリアは驚きの声をあげる。
「ワクチン!あるのか!!」
「まあ、伊達に多くの星を支配していませんからね。医療に特化した星もありますよ。」
フリーザのその言葉を聞いた瞬間、ドドリアは土下座して言った。
「頼む!アボとカドを、おれのほかに生き残っているやつを助けてくれ!!おれのことはどうなってもいい。あいつらはまだ子供なんだ。だから・・・・・だから・・・・・・!」
そんなドドリアは今にも泣きだしそうだった。
「泣いているだけではわかりません。どういうことなのか説明してください。」
ザーボンが冷たく言った。
「ザーボンさん、なんだかドドリアさんに対して冷たくないですか?」
「そんなことないですよ。ただ、ドドリアとは馬が合わないと思っただけです。」
「あなたさっきまでドドリアさんのこと呼び捨てじゃありませんでしたか?」
「あんな育ちの悪いやつは呼び捨てで十分です。でもフリーザ様はちゃんとさん付けですよ。なんといってもフリーザ様は宇宙を支配する一族なのですからね。」
「・・・・・・・・不公平だ。」
そんなことはさておき、フリーザとザーボンはドドリアから事情を聞きだした。
どうやらほかの生き残り、アボとカドは、年端もいかない双子の子供だということ。毎日数えきれないほどの人が死んでいく中で三人は出会ったということ。そして昨日までは元気だったが、今日になって病気を発症しておそらくは三日後には死んでしまうということ等々。
「もう、オレはこれ以上病気で死ぬやつらを見たくねえんだよ・・・・・・・もう仲間の墓も作りたくねえ・・・・・・・!」
「「・・・・・・・・・・・・。」」
フリーザ、ザーボン、ドドリアの三人はアボとカドの元へ行くのだった。
~宇宙船内 集中治療室~
「「兄貴!!」」
「アボ、カド!良かった・・・・・・お前らもう死んじまうもんかと・・・・・。」
「そんなに泣かないでくれよ、兄貴らしくもない。」
「アボの言う通りだぞ。兄貴はもっとどっしり構えていてくれよ!」
ここはフリーザの宇宙船の治療室。アボとカドの状態はフリーザとザーボンが思っていた以上に悪かった。そこで二人をかかえて離さない二人をドドリアを引っぺがして集中治療室に入れられていたのだ。
ちなみに青い方がアボで赤い方がカドだ。
「あ~・・・・・ごほん、ごほん。」
三人が感動の再会をしているところに、わざとらしくフリーザが割って入ってきた。
ちなみにザーボンは部下たちにワクチンを配っているのでここにいない。フリーザとドドリアはすでにワクチンを接種ずみだ。
「あなたたち、わたしの部下になりませんか?」
それは、思いがけない提案だった。三人が驚いて何も言えないでいる。
フリーザは続けた。
「こんな
その提案にドドリアが答える。
「そうしたいのは山々なんだが・・・・・・・・・・」
「なにか不都合でも?」
「まだ墓に入れてないやつらが大勢いるんだよ・・・・・・・・。見ず知らずの赤の他人なんだが、ちゃんと眠らせてやりてえんだよ。」
「兄貴、そんなこと気にしなくてもいいんですよ。そんなのおれとカドに任せて兄貴はフリーザ様と一緒に行ってくださいよ。」
「そうですよ。兄貴は強いんだからこんなところで・・・・・・」
「あー、なにか勘違いをしていませんか?わたしはあなた
フリーザが、何を言っているんだか、というように言った。
「場所を教えて下さい。わたしたちもお墓づくりに協力しますよ。三人でやっていたんじゃいつまでたっても終わりませんからね。」
「「「・・・・・・・・フリーザ様!!」」」
そういうと三人はこう言った。
「おれ、一生フリーザ様についていきます!」
「「兄貴が行くならオレたちも!!」」
フリーザはその言葉に微笑んだ。
「決まりですね。では今日のところはゆっくり休んで、明日から作業を始めましょう。」
それは、あと一日もあれば完治するという医者の診察結果から出た判断だった。
しかしドドリアは首を振り、
「いいや、おれは今から始めますよ。・・・・・・・こいつらはともかく、おれは体力だけがとりえなんだ。いつまでも休んでいるわけにはいかねえよ・・・・・・!」
「「兄貴が行くならオレたちも!」」
「馬鹿野郎!お前らまだ病み上がりなんだぞ!ここでまた体を壊したらフリーザ様に迷惑がかかるだろう!!」
そのやり取りにフリーザは息をつく。
「あなたもですよ、ドドリアさん。あなただって発症していなかったとはいえ、感染していたのですよ。だから今日は三人全員ゆっくり休んでいてください。
いいですね?」
とフリーザ言った。フリーザは意識していなかったが今の言葉には宇宙を支配者する一族の、有無を言わせない迫力があった。
三人は反射的に背筋を伸ばし、返事をする。
「「「は、はいっ!!」」」
その慌てたような返事を聞き、フリーザは不思議そうに、
「案外聞き分けがいいですね。もうすこしごねると思ったのですが・・・・・・・」
「「「(どの口がそんなことを!!)」」」
三人はそう思ったが、あれだけの威圧感を感じた後では口が裂けても言えなかった。
「それでは三人とも今日のところは十分に休んで下さいね。」
そういってフリーザは部屋から出ていった。
「フリーザ様。」
そう呼び止める声。
「ザーボンさん・・・・・・。」
「こちらの仕事は終わりましたよ。三人の様子はどうですか?」
ザーボンは今回のことの報告書を
実は今回の報告書はザーボンによってかなり脚色されたものになっていた。
ただえさえ兄クウラより実力が劣る弟フリーザ。いずれコルド帝王は大王と呼ばれる陰の支配者になる。では次の帝王の座は一体だれが就くのだろう?クウラとフリーザが帝王の座をかけて覇権争いをするのは確実だ。
実力の勝る兄との戦い。そうなったときに少しでもフリーザが有利になるようザーボンはすでに動いていた。ザーボンのちょっとした親心である。
「元気すぎるくらいでしたよ。
あ、そうそう、あの三人をわたしの部下にすることにしたいんですけど・・・・・・・」
フリーザの最後の方の言葉はザーボンの顔色を窺っていたため若干小声だった。
「フリーザ様、あなたは上司で私は部下ですよ。私に許可をとる必要はありません。
でもそうですね。強いて言えば、ドドリアを部下にするのは賛成。アボとカドを部下にするのは反対、といったところでしょうか。」
「その理由は?」
「あの二人がまだ子供だからです。しかるべき教育を受けさせてからでも遅くはないかと。なので私個人の意見としては、アボとカドはとりあえず惑星コルド№3に留学させる、といったところでしょうか。」
「№3・・・・・・というと惑星スタディーのことですね?」
惑星スタディー。分かりやすく説明すると惑星そのものが教育機関となっている星だ。いくつもの、基礎教育からマイナーな専門科目を学ぶことのできる学校がある。特筆すべき点は、勉学意欲があれば老若男女、種族を問わず受け入れているところだ。
「なるほど・・・・・・・わかりました。ここはザーボンさんの意見に従いましょう。
どこの学校に入れるかはザーボンさんにお任せします。」
「了解しました。」
その時、ドドリアたちがいる部屋から笑い声が聞こえてきた。
ザーボンが口を開く。
「いいものですね。ああいう関係は。」
フリーザがどういうことかと思う。
「血のつながりはない。でもお互いを必要としている。そういう関係はとても美しい。そう思っただけですよ。深い意味はありません。」
「・・・・・・・・・・・。」
「では私はあの三人にお話があるのでこれで。」
そういうとザーボンは部屋に入っていった。
フリーザはザーボンの言葉を反芻していた。
「血のつながりはない・・・・・・・・・・・・お互いを必要・・・・・・・・」
何か大切なことを忘れているような・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・ドキンちゃん・・・・?」
それは、フリーザが、いや、ばいきんまんがドキンちゃんを初めて意識した瞬間だった。
しかしそれは今のばいきんまんにしてみればちょっとした違和感のようなもの。強く意識するのはもう少し先だ。
「とりあえず持ってきたUFOの試運転でもしましょうか・・・・・・・・」
~ナメック星~
「という思い出のUFOをあなた方は壊したのですよ!!」
紫のUFOの残骸。壊したのは「ドラゴンボールを使わせてほしい」というフリーザの言葉に怒ったナメック星人である。
ナメック星人が叫ぶ。
「そんなのこちらの知ったことか!!第一、今の話にUFOはあまり出てこなかっただろう!?」
11話へ続く
もっとUFO出すはずだったのに!
いつの間にか妙な話になってしまいました・・・・・・・
ドドリアとの出会いを書きたいと思って、惑星トロピカルという名前にしたらアボカドもトロピカルフルーツじゃないかと気付き二人を出してしまいました・・・・・・
えっ、キュイ?
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
完璧に忘れてました・・・・・・・・・・。
次回でやっと原作の方へはいれるかな?
ちなみに惑星スタディーはクラッシュブレイズの完全なパクリです。
ティラ・ボーンのドラゴンボールバージョンとでも言いましょうか・・・・・・・・
ちなみに金銀黒天使や赤紫怪獣夫婦を出す予定はありません。というか、エメラルドの瞳に金髪というどっかで聞いたような特徴に、のその気になれば石造りの城を粉砕するような13(19?)歳や、怒りに任せて太陽を爆破しようとする人は扱いきれない・・・・・・・
クラッシュブレイズは大好きなんですけどね・・・・・・・