おっさんPの奮闘記   作:九十九茄髪子

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なかなか本編に入っていけない・・・


第3話

「ここ?」

 

我が24プロダクション初のアイドルである彼女‐高橋礼子が事務所に来ての第一声がこれである。

いや確かに少し古めのビルだけどそんなに不満かね?

 

「不満かい?」

 

「私の想像していた芸能事務所とだいぶイメージが違っただけよ、それで私以外のアイドルは?」

 

いませんよー、あなたが記念すべき第一号です。やったね

そんな事を言うと手が飛んできそうな気がしたので、肩をすくめるだけにとどめておく。

 

「はぁ・・・決断を間違えたかしら」

 

そんなこと言わないで、ほらコーヒー飲む?お菓子もあるよ?

 

「で、私はどうすればいいわけ?」

 

少し眉を寄せながら聞いてくる。そんな顔も様になっている気がしてくる。

 

「とりあえずは今どこまでやれるのかの確認かな」

 

「確認?」

 

「そ、取り敢えずは一曲歌ってもらう、それと体の動きも見たいから軽くダンスもしてもらう」

 

「ふーん、それって今すぐなの?」

 

「いや、後日俺とトレーナーの前でやってもらう。一応それまでは準備期間かな?」

ほれっ、と一応用意していたMDとビデオテープを渡す。

 

「その中に課題の歌とダンスが入っているから練習しといてくれ」

 

「ちなみに楽曲は?」

 

「みんな大好き日高舞ちゃんの曲」

 

そう告げると礼子はあからさまに不機嫌そうな顔をした。やっぱりこの娘は日高舞が嫌いなんかねーその辺聞いとかないとな

 

「なぁなんで「でこれを覚えてくればいいわけね?何時まで?」えーっと再来週の土曜は空いてるか?」

 

「ええ、問題ないわ。完璧に仕上げてきてあげる。」

 

そういうとあっという間に礼子は帰ってしまった。ぽつんと残された事務所で冷えたコーヒーを片手に煙草に火をつける。

煙を吐き出しながら出ていく前の彼女の眼を思い出す。

初めて会ったときに見た強い意志をともした強い眼差し、特に日高舞の名前を聞いてからが顕著だった。

対抗意識が強いのは結構だがあまりにも強すぎると‐

 

「潰される・・・か・・・」

 

昔のことを思い出す。自分たちに憧れてきた、彼方達より売れてやる。そう意気込んでいた後輩達もあんな目をしていた。あの眼のころはよかった、次第に自分たちが思ったより売れない事により焦りの色が混じり始め、差が広がっていくにつれてだんだん色あせて、目から火が消えてしまっていった。

そうならない為にもプロデューサーがうまく導いてやらなきゃいけないのか。

 

「責任重大だな」

 

そう呟きながらすっかり短くなった煙草を灰皿に押し付けた。

 

 

ガチャ

今後の計画書や、必要な書類を用意していてそろそろ17時を回ろうという頃、事務所のドアが開いた。今この事務所に所属しているのは、社長と俺と礼子。俺はここにいて、礼子は帰った今ここに来る人物は

 

「ご苦労様」

 

「お疲れ様です」

 

長々いったが社長しかいないわけで、社長のコーヒーを用意しようと席を立つ。

 

「ああ山下君、すまないが飲み物は2人前もらえるかな?」

 

こんな時間から来客か?と思いながらも給湯室に引っこむ。来客ならお茶かな?

そんなことを考えながら2人前の飲み物を用意し、給湯室をでた俺を待っていたのは何時ものように微笑んでいる社長と、その向かいに座る少女の姿だった。

 

「どうぞ」

 

お茶を配り、社長の隣に座る。対面の少女を観察してみる。

座っているので正確には分からないが、身長は礼子と同じくらい。年も同い年か?

礼子は動の美人という感じだったが、この娘は静の美人という印象を受ける。

礼子もそうだったが制服を着ていなければ成人していると言われても疑えないような色気がある。というかこの場所に社長が連れてきたという事は‐

 

「さて山下君、彼女は私がスカウトしてきた柊志乃君だ。山梨の出身らしいが今は一人暮らしをしながら東京の学校に通っているとの事だ。柊君、彼がこれから君をプロデュースする山下君だ」

 

そう社長に促されるままお互い一礼する、うわっ髪をかきあげる仕草とか絶対高校生じゃないぞこれ。

 

「さて山下君例のものを」

 

「あ、はい」

 

先ほど礼子に渡したものと同じMDとビデオを彼女に渡す。

 

「先ずは今の力を見たい。この中に入っている内容を私たちの前で見せてもらう。日程に関しては・・・」

 

「連絡が取れなかった為事後報告になりましたが実は私も一人スカウトしまして、彼女は再来週の土曜にテストする事になっています」

 

「ほうそれはいい知らせだ。では柊君、再来週の土曜ということで良いかね?」

 

「はい大丈夫です。」

 

「よし、では解散としよう。山下君悪いが柊君を送って行ってくれるかい?」

 

「わかりました。じゃあ柊さん下で待っていてもらえるかな?」

 

彼女が出て行ったのを確認して、荷物をまとめる。

 

「彼女を送ったら今日はもうそのまま上がりなさい」

 

「わかりました、すみませんがお先に失礼します」

 

そういいつつドアノブに手をかける

 

「山下君」

 

「はい?」

 

「絶対彼女たちをトップアイドルにしてあげような」

 

「・・・はい!!」

 

ドアを閉めるときに見えた社長の顔は少し泣いているようにも見えた気がした。

 

 

 

「すまんな、待たせたか?」

 

壁に寄りかかっていた志乃に声をかける

 

「いいえ、大丈夫です。というか送っていただかなくても結構ですが?」

 

「いやいや、こっちは社長に言われてるからね、そんな訳にはいかないよ」

 

「そうですか」 

 

「それに柊さんみたいに綺麗な娘を一人で返しちゃ不安だし」

 

「・・・」

 

おっふ、冗談めかして言ってみれば華麗にスルー、というか言っちゃ悪いが何考えてるのか分からないんだよな。こういう時礼子みたいに感情を露わにしてくれるとやりやすいんだが。

 

「車こっちだからついてきてくれる?」

 

専用駐車場なんてものはないので近くで駐車スペースを借りている。

 

「・・・」

 

歩いていても無言で辛いんですが、俺本当にこの娘をプロデュースできるのかね、いきなり不安になってきたよ

 

「あっ」

 

無言でついてきていた彼女が立ち止まって店頭を眺めている。あそこは外国の輸入品をいろいろ扱ってるとこだったか?

そっと彼女の後ろに回り何を見ているのかと思えば‐

 

「ぶどうジュース?」

 

ばっっと音がしそうな勢いで振り向く、ってか俺が近づいたのに気付かないくらい夢中だったのか。白い彼女の首筋がどんどん赤く染まっていく

 

「欲しいのなら買おうか?」

 

「いえ、高いですし、大丈夫です」

 

確かに輸入品という事もあり、普段スーパーで見るような品物よりお高い値がついている。だがジュースにしては高いというだけで

 

「気にすんな、事務所所属記念的な贈り物ってことで」

 

「ありがとう・・ございます」

 

結局その後車で彼女の家まで送る間に、進展らしい進展はなかった。

ただ、少し嬉しそうにジュースを抱える彼女を見ているとあのジュースを事務所に常備しておこう、そう思ったぐらいだ。

 






そんなわけで志乃さんです。
登場当時は未成年だからぶどうジュースで許してねっと

一応イメージとしては今の舞台は99~00年辺りをイメージしています
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