おっさんPの奮闘記   作:九十九茄髪子

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そろそろ話を加速したい・・・


第4話

「はっ・はっ・・」

 

「・・・ふぅ・」

 

うわーえろーい。事務所併設のレッスンルームに倒れ伏す2人のアイドル(女子高生)を眺めながらそんなことを考える。

汗で首元に張り付いた髪の毛、上気した頬、激しく上下する胸元、うっすら透けたTシャツからはブラジャーが‐

 

「はぁ・・いつまで・・見てんのよっ」

 

「おっと」

 

さすがにじっくり見すぎたらしい、多少は呼吸を落ち着けた礼子が投げてきた上履きを受け止める。というかやっぱりこいつは手が早いな。芸能界でやっていく以上そのあたりの強制もしていかなきゃならんか。そんなことを脳内のプロデュース手帳に書き込み上履きを投げ返す。礼子は投げ返された上履きを見るだけで取ろうとしない。

 

(やっぱり体力はかなり必要そうだな)

 

隣の志乃はといえば寝ころんだままこちらに視線もよこさない。

新人アイドル達の惨状を見ながらこうなった理由を思い出す。

 

 

 

 

土曜日

今日はいよいよ例のテストという事で、事務所には全員が集結している。

ちらりと2人の様子をうかがうと、礼子は明らかに自信満々といった様子。これからの試験への不安などみじんも感じさせない。志乃の方はいつも通りといった感じか、特に力が入っているわけでもなく、かといって緊張をしていないわけではなさそうだ。

事務所内のテストとはいえ、初回は誰しも多少なりとも緊張するものであるが、それを感じさせないあたり、この2人は向いているのかもしれない。

 

♪~♪~♪~

 

2人のダンス、歌を社長と聞いて判断していく。

確かに、歌・ダンスともにそれなりの力はあるようだ。2週間という期間の課題だった割には形になっている。がそれはあくまで一般人のレベルであって芸能界のレベルではない。

よしんば届いていたとしても下の下、目標としている日高舞と比べたら天と地どころの話ではない。

しかしそれは仕方がない、彼女たちはまだ素人なのだ。この原石を磨いていくのが自分達の役割である。

一通り確認し終えたので彼女たちをその場に残し、社長と打ち合わせをする。

やはり社長も同じ考えだったようで、これから彼女たちは元々決めてあったプランB‐地獄の基礎トレコース‐を行うことが決定した。因みにプランAは即オーディションだったわけだが、まあほぼ無いだろうと予想していた。

取り敢えず社長はこのままトレーナーさんに連絡してくると言ってその場を後にした。

 

(あの人のコースは辛いぞ・・・)

 

かつて自分もお世話になったトレーナーさんを思い出す。初めて会ったときは3女を生んですぐだったか。既に3女もいるとは思えないプロポーションであり、子供たちにも優しいお母さんであったが、レッスンは地獄だった。楽器の扱いからダンス、ボーカルまで徹底的にしごかれたものだ。その後4女を生んでもその勢いはとどまることを知らず、子供を連れてレッスンされたものだ。

 

(まあおかげで4姉妹とはかなり仲良くなったわけだけど)

 

因みに、4人が4人とも整っている顔をしている為、最初はスカウトに行ったんだが

 

『まさかうちの後継者たちを連れて行くなんて言わないよな?』

 

そう言ってこっちを睨んだ表情を思い出すだけで少し体が震えてくる。

っと考え事をしている間にレッスンルームに付いたらしい、ドアを開けると2人の視線がこっちを向く。というか俺が来る間は仲良くしてたのかな?同い年だから話題はあると思うんだが・・

 

「あら?社長さんは?」

 

「社長はちょっと用事でな」

 

「で、どうだったの私たちの評価は?まあ聞かなくてもわかるけど」

 

「おっ分かってるなら話は早い、取り敢えず明日からはひたすら基礎トレだ。アイドル活動は早くて半年後だな」

 

「はぁ?!どういうことよ」

 

「いや、どれだけ自信過剰なんだよ。今のままじゃ全く話にならん、これは社長も同意見だ。」

 

「納得いかないわよ、あれだけで何がわかるって言うのよ」

 

「志乃も同じ気持ちか?」

 

「ええ、あまり納得できないわね?」

 

「よしわかった、今から一時間お前らにダンスレッスンをつけてやる。ちゃんと最後まで余裕を持ってこなせればオーディションを受けさせてやる。それでいいか?」

 

「その言葉忘れるんじゃないわよ」

 

「ええ、言質はとったから」

 

「よし、じゃあダンスは今回の課題の曲でやるからな」

 

 

 

 

 

で冒頭に戻るわけだ。外の自販機で買ってきたスポーツドリンクを2人の前に置き、自分の分も開ける。

完全にへばってるのを横目に時計へと視線を向ける。

 

(開始から40分か、まあもった方かね)

 

「わかったかー?基礎体力が全然足りてないんだよ。技術はともかく体力は全ての基本だからなこれからは徹底的に行くからな」

 

「わかった・・わよ」

 

「・・・ええ」

 

「因みに明日からのレッスンは俺じゃなくて専門のトレーナーさんに話を通してある。あの人のレッスンは俺なんかの比にならないからな、覚悟しとけよー」

 

「やるわよ、やってやればいいんでしょ」

 

「見返してあげるから」

 

「よーし2人ともその意気だ。取り敢えず平日は学校が終わったら事務所に来ること。それとトレーナーさんだが“ガチャ”おっ?」

 

ドアが開いたので全員の視線がそちらへ向かう。

出入口に立っていたのは切れ長の目をしたポニーテールの美女。

 

「あー丁度良かった。2人ともこの方がこれからレッスンを担当してくれるトレーナーの青木さんだ。因みに若く見えるけど4女の母だからな」

 

うさん臭そうな目を向けていたが4女の母といった瞬間目を真ん丸にして驚いている。

 

(そりゃそうだな、俺も昔からの付き合いじゃなきゃ信じられんし)

 

「久しぶりだな山下、あの事故は残念だったな」

 

「いえ・・・それよりこの娘達が」

 

「うむ、ほう、いい目をしているなお前ら、だが目だけだ、実力がついてこなきゃ意味がないぞ」

 

「言われなくてもやってやるわよ」

 

「同じくよ」

 

「よし、そこまで言うなら今日は顔合わせだけのつもりだったが軽く見てやろう。」

 

「「え“っ」」

 

「ほら何をしてる早く立て、時間は有限なんだちゃっちゃといくぞ」

 

あーあスイッチが入ってしまった。ああなると止まらないからな・・・取り敢えず最低限の資料だけやって今日は2人とも家まで送ってやらないとな。多分終わったらまともに動けないだろうから。

今日の予定を考えながら、悲鳴の上がり始めたレッスンルームを後にした。

 

 




お察しの通りトレーナーさんは、トレーナー4姉妹の母親です。
年齢は女性に聞いてはいけない、いいね
マストレさんたちみたいに愛称をつけようと思ったけどネーミングセンスが無かったのでそのまま青木さんで
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