今日は青年誌のグラビア撮影、珍しく志乃1人でお仕事になる。
礼子は今日は雑誌のインタビューが入っており、今頃は事務所でレッスン中だろう。
デビュー曲の発売から既に半年が過ぎた。デビュー曲はミリオン、そのままの勢いで先月出したセカンドシングルもオリコン首位スタートし、今なお好調な売り上げを維持している。
元々人気が出始めていたところにこのCDの連続の成功により、正に爆発的に人気が急上昇したレディビーストの2人はトップアイドルに順調に近づいていると言っていいと思う。
今年度のIU(アイドルアルティメイト)でもかなりいい線にいくのではないかと言われている。
そして露出が増えるにつれ今回のように単独の仕事も増えてきた。
やはり2人一緒の仕事が一番多いのだが、豪快な性格で 歯にものを着せずズバズバ言う礼子は女性陣からの支持が、色気と大人の雰囲気が漂う志乃は男性陣からの支持が増えている。今回の仕事もそれが顕著に現れており
「プロデューサー、入っていいわよ」
控え室で着替えていた志乃から声がかかり、ノックをしながら控え室に入る。
「ふふ、お待たせプロデューサー」
控え室で待っていた志乃を見て思わず息を飲む。志乃の水着姿を見るのは今回が初めてと言う訳ではないのについつい圧倒されてしまう。
スラッとした手足に背中に流れる黒髪、髪と同じ漆黒ビキニの中では見かけによらず豊満な胸がはち切れんばかりに主張している。下に目を向ければ色々と心配になる角度の水g
「じろじろ見すぎよ」
ギュッと頬をつねられ視線を彼女の顔に向ける。
「全く、だらしない顔して」
「まあ、それだけ魅力的だったってことだ」
「そんなに魅力的なら触ってみる?」
そう言いながら胸を寄せるように挑発的なポーズを見せる。ただ少し耳の辺りが赤くなっているのが見え、そんな初な反応をされるとこちらもイタズラ心が沸いてくる。
「そうだな、そこまで言うなら触らせてもらおうかな?」
「えっ、ちょっと、冗談よ冗談」
「誘ってきたのはそっちだろ?大人しくしてろよ」
「いや、ちょっと、ほんとに、まって」
ジリジリと近付いていくと身をよじるようにして身体を隠そうとしている。
ただそうすると今度は魅惑的なお尻がこっちを向くわけで本人は気付いていないのだろうが、こちらに向けてお尻を振るような格好になりさっきより余計にエロい。
「大丈夫だ、直ぐに済むから」
「いや、せめて初めてはちゃんと…」
もう手が届く所まで近付く、志乃はきゅっと目をつむり首筋まで真っ赤になっている。
ポン
「ったくこれに懲りたら大人をからかうんじゃねーぞ」
「ふぇっ」
頭に手を置き声をかけるとどこか抜けた声をあげ、少し売るんだ瞳で此方を見つめるその顔はさらに真っ赤になりー
「~~~~~」
その日柊志乃の控え室には凄まじい破裂音が鳴り響き、その後彼女の撮影を見守るプロデューサーの顔は普段より一回りほど大きく腫れていたらしい。
「すまんな、待たせたか」
「いえ、菜々は大丈夫です」
とある日、一通り外回りを終えた俺は事務所のソファーで待っていた小柄な少女に声をかける。この場は彼女から話があると言われ設けたものであり、正直嫌な予感もしないでもない。
「で、今日の話って言うのは?」
「あの、菜々のデビューの件についてなんですけど」
「それはこの前話した通り、来月を予定しているが、それが?」
「いえ、デビューさせてもらえるのはありがたいですし、文句なんてあるはずないのですが…」
「ふむ」
「ただ、菜々はこのままデビューしても大丈夫なのかなって。礼子さんも志乃さんも凄い魅力的で、アイドルとしても凄くて、その後輩の菜々は何も特徴がなくて、スタイルもよくないですし…本当にっ…いいのかなって」
「・・・」
まさか順調にステップを踏んでいったあいつらの存在がこんな影響を及ぼすとは思っていなかった。いや、菜々がこれだけ悩んでいたのに気付けなかったのはプロデューサーである俺の責任である。
身近な先輩アイドルがトップアイドルと言ってもいいような存在になり、いざ身近に感じるとマイナスなイメージがどんどん先行していったのだろう。
今も前で目に涙を溜めながら俯く少女を見て後悔が押し寄せてくる。確かにデビュー以降忙しくなった彼女達に掛かりきりになり、まだレッスン生の菜々を見ていられる時間はかなり限られていた。
それでも彼女をスカウトしてきたのは自分である。なら最後まで面倒を見るのが筋と言うものであり、忙しかったなんてのは言い訳にもならない。
「不安にさせてすまなかった」
彼女に向かって深々と頭を下げる。
「いえ、そんな、な、菜々に魅力がないのがわ、わるいんです」
「いや、それは違う。先ず魅力が無いようなやつはスカウトしないし、俺の目が曇っていても社長が許すはずがない」
「で、でも菜々なんて背もちっちゃいですし」
「それがどうした?むしろ小さいほうが可愛くてアイドルとしては欠点にならない。それにだ、今日まで青木さんの地獄の特訓を耐えてきたんだろ?
あれは生半可ななやつじゃ無理だ、それだけの事をやって来たんだ菜々は大丈夫、それとも俺が言うことじゃ信用できないか?」
「いえ、そうじゃなくて…本当に、本当に菜々でいいんですか?」
「ああ、代わりは考えられない。いや、菜々が安部菜々をプロデュースしたいんだ」
「プロデューサーさん…」
「あいつらと比べる必要はない、みんな違って当然なんだ。大事なのは自分の個性をいかに出すかだ」
「個性ですか…」
「そこを伸ばすのがプロデューサーの仕事だ。絶対にトップアイドルにしてみせる、俺を信じてくれ」
「……はいっ!」
「それにだ安心しろ、アイドルとして成功出来なければ俺が責任をとる」
「えっあ、ああの責任って、いや、まだはやいです」
さっきまで涙目だったのが今は顔を赤くしてあたふたしている。
「何にせよだ、改めて宜しくな」
「はいっ、菜々頑張ります。」
これからのより忙しくなる未来を思い浮かべつつ、二度と今回の様なことがないようプロデューサーとして自信のレベルアップを心に誓った。
さて世の中にはデジャブという言葉が存在する。始めてみる光景なのに見たことがあると感じるあれである。
というのも、今日は遂に菜々のテレビデビューの収録である。
控え室での菜々は面白いぐらいに緊張してテンパっており、こちらがしたアドバイスも聞こえていたのかかなり怪しい。現にスタジオに送り出した時は手と足が同時に動いていたし、雛壇に座っているその目はどこか焦点が合ってないようにも感じる。
まあ最悪今日は事故ってもいい、アイドル安部菜々の初お披露目なのだ、印象に残らないよりは印象に残る方がいいに決まっているー菜々が口を開くまではそう思っていた。
「はい、では次はあのレディビーストと同じ24プロダクション所属、2人の初めての後輩だそうです。安部菜々ちゃんです。」
司会者からの紹介と共に拍手が起きカメラが菜々の顔をアップに抜く。
あ、あかん焦点の合ってなかった目が何だかぐるぐる渦巻いてきたように見える。
「は、はは、はいっ!えっと、あの、あびぇあ、にゃな、いやちぎゃ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う、歌って踊れる声優アイドル目指して、ウサミン星からナナはやってきました、安部菜々17歳です! キャハっ!」
「う、ウサミン星ですか・・・?」
「そ、そうです、ナナはウサミン星からやって来たウサミン星人なのです!」
まるであの日の焼き増しのようにスタジオの空気が止まった気がする。最初の噛み噛みだった部分はまだよかった、菜々自身の小柄さもあり庇護欲をそそられるファンも生まれただろう。がウサミン星人?あの初耳なんですが。
別にこういった電波系というアイドルは若干ながら存在する。ただこのアイドルの欠点は路線変更が非常に難しい事だ。一度やるとずっとこの路線を維持しなければいけないため、色々な方面で話題にならなかった時最終手段意味合いが強い。
そして17歳ってこの前18歳の誕生日パーティーしたよな?礼子達からプレゼント貰って喜んでたよな?
「えーっウサミン星は電車で1時間です」
そんな事を考えていると質問が進んで・・・おい、いきなりぼろが出てるんですけど、電車で1時間は住んでるアパートだよな?
ディレクターの方に手で大きく×を作りながら頭を下げる。こういったキャラ付けをするなら事前にしっかり教えて欲しかった、特に念入りな打ち合わせが必要だし、菜々自身どこまで設定を練ってあるかも不安である。
菜々はようやく質問攻めから解放され、どこか魂が抜けた顔をしている。
取り敢えず帰ったらみっちりミーティングだな、もう彼女のアイドル活動は動き出してしまったのだから。
因みに放送後の反響はそれなりにあったらしく、一部では熱狂的なファンも生まれたとか。本当に世の中何が受けるか分からないものだ。
ウサミン星人の件について彼女に詰め寄ると、完全に頭が真っ白になり子供の頃に考えてなりきっていたウサミン星人が頭に浮かび思わず口走ってしまったとの事。
幸い細かい設定を書き込んだノートがあるらしいのでご両親に連絡してもらい事務所に送ってもらった。
渦中のウサミン星人であるが立ち直る迄に1週間ほどかかり、事務所内でのウサミミ着用を某キングに義務付けられた事をここに記す。
礼子さんお休み回
よく考えたらこの頃の菜々さんは
年齢が17に近いからボロが出にくそう
まだ若いからね