地元の弁当屋の店長はどうやら元死神の給仕長だそうです。 作:すくのすくお
しばらくの月日が経った。
汀華・織姫・茶渡は夜一と共にそれぞれの能力の修行。
石田は山奥で滅却師の高みへと成長する為の修行。
そして一護は自分の潜在能力を開花させ、死神になる為の修行をしていた。
―――
――
―
千鶴苑、夜1時。
「ふぁー………ねっむいなぁ………」
汀華は1人、改装された屋根裏部屋の窓を開けて座っていた。
何故なら修行の最終日に夜一から「夜の一時に窓を開けて待っていろ」と言われてその通りにしていたからだ。
「万里さんはもう寝ちゃったからなぁー……ん?」
汀華がふと窓の外に目をやると何か怪しげな球体が飛来してきた。
それはどんどん近づき、汀華の頬を掠めて奥の壁にぶつかり、血しぶきのように破裂した。
「きゃっ……!?これは……?」
その血しぶきの様なものはだんだんと文字の様になり、やがて[これから浦原商店へ集合]と読めるようになった。
「………さて、そろそろ行こうかな。荷物は……そうだな、折りたたみナイフは……一応ポケットに入れてっと、後は………家族写真………」
数少ない家族との思い出。汀華は机に置かれた写真立てに小さな声で
「お父さん、お母さん、行ってきます。」
と語りかけ、千鶴苑の玄関へと向かった。
―――
――
―
浦原商店の前の道路。そこには既に一護、織姫、石田、茶渡の四人が揃っていた。
「よう、遅かったじゃねぇか」
「色々と準備に手間取っちゃってね。あのインクみたいなのも綺麗に掃除しなきゃだし」
「えっ……汀華ちゃん、この前夜一さんが放っておけば勝手に消えるって説明してなかったっけ?」
「多分聞き逃してたっぽいわね……」
「まぁ、皆揃って集まれたのならいいじゃないか。ほら、浦原さんが来るよ」
石田がそう言うと、店の中から浦原がやって来た。
「全員揃ってるみたいっスね。結構結構♡」
お馴染みの扇子をヒラヒラさせて店の中へと誘導する。
「そんじゃ、中で説明しましょうかね。尸魂界へ行く方法。ちゃんと聞いといてくださいよ?でないとあっちへ着く前に死ぬ事になる」
息を呑む五人。それぞれ覚悟を決めた表情を見せ、浦原に付いて地下の広大な勉強部屋へと降りていった。
―――
――
―
その勉強部屋で五人は浦原から穿界門の事、断界の事について教わった。
そして、とうとう出発するとなった時、岩場の裏から体全体をすっぽりとマントで覆った人影が現れた。
「さて、皆さん。今回は特別ゲストをお呼びしてるっス!さあ、マントを脱いでください!」
皆の前に現れたマント姿の男はバサッと音がする程の勢いでそれを脱ぎ捨てた。
「やぁやぁ、千鶴苑の店長が助太刀に来たよ!」
「「「ば、万里さん!?」」」
普段と変わらない格好をした万里。いつもと違う点と言ったらその左手に鞘に入った小太刀を握っている所ぐらいだった。
「万里さん……何でここに!?」
「てーかちゃんが心配だし、それに夏の間は休業してるから時間が有り余ってるんだよ」
「そ、そうなんだ……」
そこへ一護が話しかけてきた。
「な、なぁ……万里さん、万里さんの斬魄刀ってどういう名前なんだ?」
「ん?ああ、俺の刀の名前は'不還刃(かえらずのやいば)'って言ってね。なかなかいい人だよ?」
「いい人……なのか。今度試しに戦ってみたいぜ」
そんな軽い会話をしているのも束の間、浦原が最後の説明を、夜一が覚悟の確認をしてとうとう出発の時が来た。
穿界門の中を全力で駆け抜け、尸魂界へと急ぐ。
残された時間は少ない。
少しばかり急ぎ足になってしまった反省m--m