地元の弁当屋の店長はどうやら元死神の給仕長だそうです。   作:すくのすくお

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オリキャラ1人追加します(唐突)


5食目

――

―――

 

現世、浦原商店、午前零時。

 

 店の奥の小さな和室。閑静な空座町の夜とは遥かに違う空気をもったその空間には'元十二番隊隊長'や'元二番隊隊長'、'元鬼道衆総長'、そして'元護廷十三隊給仕長'がちゃぶ台を囲んで難しい顔をしていた。

 

 文面だけ見るととても物騒な面々だが、'雑貨屋店長'、'黒猫'、'筋肉ヒゲ眼鏡'、'弁当屋店長'と言い替えると少しは雰囲気が和らぐ……と思う。

 

 

 それはともかく、何故このような実力者が集まって会議をしているのか?その原因は'朽木ルキアの指名手配'にある。

 

 指名手配されたのが唯の悪人だったりよっぽどの大罪を犯した死神ならば干渉しないだろう。だがしかし、捕まれば死刑とまで言われているのが四大貴族の1つ'朽木家'の人間であり、その上罪状は'人間への死神の力の贈与'……確かに大きな罪だが死刑にまではならない筈だ。

 

 更におかしいのがその判決が'中央四十六室'、現代日本で言うところの'最高裁'からなされている事だ。

 

 

「なぁ浦原くん、ここは暫く様子を見てみないかい?」

 

「どうしてまたそんな意見を?」

 

「ある程度そのルキアちゃんを泳がせておいたらいずれ死神が捕まえに来るだろう。まずはその時に来た死神のチェックだ。それがもし'藍染くん'や'市丸くん'とかだったら超警戒。それ以外なら尸魂界に追いかけていって真の首謀者……黒幕を探し当てるのさ」

 

「いやァ〜、流石に少し危なくないっスか?アタシらは堂々とあっちへ大手を振って飛び出せる身分ではないし、何より朽木サンが辛い思いをするっス」

 

「なんじゃ喜助、まさかビビっておるのか?心配なぞ要らんじゃろう。儂等に出来るのは影から一護達を見守るだけじゃからのう」

 

一拍。

 

 

「死神の力を貰ったのって一護くんだったのか……まーさか彼がそうとはねぇ…」

 

「お主、まさか知らんと話をしておったのでは無かろうな?」

 

「こっちはてっきり知ってるとばかり思ってたっスよ……」

 

 

 

 会議すること約1時間。最後の方はテッサイがビールを買い、万里が酒の肴を作り小さな飲み会になっていたのは秘密だ。(万里はバイク移動なので飲んではいない)

 

 結局、全体の意見としては'朽木ルキアの周辺の出来事は全て黒崎一護達に任せ、自分達は影からサポート'といった形になった。

 

 

 

 

 

 バイクに乗って帰宅する途中、深夜1時だと言うのに通りすがりのボロアパートの入口で何やら人が揉めている姿が目に入った。

 

 1人はしわくちゃの短パンに白いボロボロのタンクトップを着た酒臭い(&小汚い)おっさん。

 

 もう1人は青いショートヘアに赤茶色の目をした小柄なジャージ姿の女の子。

 

 

 口論は深夜にも関わらず男の方が大音量で話していたので自然と耳に入ってきた。

 

「おいコラァ!テメェは一体いつから家賃溜め込んでると思ってんだよこのチビィっ!!」

 

「すいません……本当にお金が無いんですっ!私服も全部売り払ったし、もう何も売るものがないんですっ!残りのお金も学費に当てなければいけないので……」

 

 

 酒に酔っているらしい男は手に持ったビール瓶を飲み干すと女の子の目の前の地面で叩き割って怒鳴り散らした。

 

「おうおうおうおうっ!お涙頂戴話なんてどうでもいいんだよォっ!金がねぇなら体で払ってもらうしかねぇよなぁ!!アァン?文句あんのかよテメェ!何だよその目はっ!」

 

 涙目で睨む女の子。怒りの頂点に達したらしい男は先程割ったビール瓶で殴ろうとする。ビール瓶の先は複雑に割れていて最悪の場合大怪我をしてしまいかねない!更にこのままだとこの女の子は心身共に傷を受けてしまう!

 

 

―――その時、その男と女の子の間にバイクで割り込む男がいた。

 

「おーっと、待ちなさい。話は途中から聞かせてもらったが、お前さんは一体何者だ?職業は?」

 

「あん?誰だか知らねぇが、俺はこのアパートの大家だ!今はとうとうこのガキしか住んでる奴が居ねぇが、こいつはこいつで金を払わねぇんだよ!それも3ヵ月もだ!言っとくが俺は親の都合とかそんなの知らねぇし関係ないからな!」

 

「オーケー。それじゃ大家の次は君……って、てーかちゃんじゃないか!大丈夫かい?」

 

「ば……万里さぁぁぁん……グスッ……」

 

「おーよしよし、泣くな泣くな。辛かったろう。よく堪えたなぁ。もう安心だぞ?」

 

 

 大家と一方的な口論になっていたジャージ姿の女の子。その女の子の名前は[雨宮 汀華(あまみや ていか)]。彼女は幼い頃から両親と共に千鶴苑によく訪れていたが'とある不幸な事件'により両親が死別してしまう。その時目覚めた'とある能力'のせいで親戚からは白い目で見られながら極々僅かな仕送りを貰い辛うじて生活していたが、三ヵ月前のある日突如仕送りどころか全ての関わりを断絶されてしまった。その日から何とか食い扶持を繋いでいったが、すっかり栄養失調に陥ってしまいその上このような屑大家に目をつけられてしまったのだ。

 

 

 そして住処ごとすべてを失いかけた時に、偶然万里が横を通りかかったのであった。

 

 

「おいこらテメェ!いきなり現れてこのガキを庇いやがって!とっとと金を渡しやがれ!」

 

「………そういや自己紹介が遅れていたな。俺の名は'百川 万里'だ。」

 

「テメェの名前なんてどうでもいいんだよォっ!金がねぇと酒が買えねぇんだ!早く渡せって言ってるのが聞こえねぇのか!?」

 

「汀華ちゃんはこっちで預かる。荷物をまとめ次第ここから退去させよう。滞納していた家賃は俺が払おう。幾らだ?」

 

「百万払え。それ以外認めねぇからな!!」

 

「お前さんはどうやらどうしようもない屑のようだな。何?三ヶ月で百万?阿呆らしいな。それにさっきの怒鳴っていた文句、しっかり録音しておいたからな?体で払えとかほざき散らかしていた所もはっきり入ってるぞ?」

 

「て、テメェェェェェ!!ぶっ殺してやる!」

 

 

「あまり物騒な言葉を使うな。阿呆に見えるぞ?」

 

 屑大家がビール瓶を振り回しながら突進してくる。だが所詮酔っ払いの無謀な喧嘩。元死神の身体能力には叶うはずもなく、一瞬で後ろを取られ当て身で気絶させられた。

 

「さて、ゴミはゴミ捨て場へ。屑は警察へ…っと」

 

 

「ば………万里……さん…………」

 

「てーかちゃん、もう大丈夫だ。君はとりあえずこれを食べて寝ているといい。その間に色々な事が解決している筈だからね……」

 

 

 そう言って万里が手渡したのは行者にんにく等の滋養強壮に良い具材を入れたお握り(お米は柔らかめ)だ。本来はスープやおじやからゆっくり食べさせるのがベストだが、持ち合わせがコレと浦原商店での飲み会の残り物のスナックだけだった為、仕方がなかったのだ。

 

 よほどお腹がすいていたのか、彼女はすぐに食べ終わると安心したのか壁にもたれかかって眠ってしまった。

 

 万里はそれを確認すると、最初に汀華の部屋の荷物を全て大理石で作った箱に入れた。驚いた事に私服は一つも無く、学校で使う物とジャージ、下着が2セット、そして写真立て両親と写った写真が一枚だけだった。

 

 全てを詰め終わると、次は警察へと電話をかけた。この屑大家のやらかした事は全て警察へと話し、大家の身柄を確保させた。後の操作で大家の自室の床下から薬物が見つかったらしいが、最早我々には関係がなかった。

 

 

 全てが終わると、万里はバイクの荷台に先程の大理石の箱を置いて固定し、眠っている汀華をおぶった形で千鶴苑へと帰宅したのであった。

 

 

 

深い深い夜。

誰もが眠っている空座町で一つの命が救われた。




汀華ちゃんの今までを書いてる途中に泣きそうになったのはここだけの秘密
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