地元の弁当屋の店長はどうやら元死神の給仕長だそうです。 作:すくのすくお
空座第一高校。
いつもと何ら変わりのない教室。
'普通の学生'ならもうすぐ訪れる夏休みを楽しみにしている筈だ。無論、汀華もその中の1人だった。
だが、一護や織姫に茶渡、石田(本日学校休み)や汀華はとある違和感を感じていた。
――――'朽木ルキア'の記憶が自分達を除いて消えている。
終業式も終わり、教室の中では一気に夏休みムードが広がった。
汀華はいつもの様に早めに帰って千鶴苑の雑用をしようと思っていたが、一護の友人でクラス1のお調子者である浅野が汀華を呼び止めてこう言った。
「夏といえば海!海と言えば夏!(以下略」
要約すると、男女で10日間の海への旅行に行こうという企画だった。彼曰く'浅野ツーリング'だそうだ。
だがそう上手くいくはずもなく、一護が
「わりぃ、俺用事あるからパス」
それに続き織姫やその友人も次々と断っていき、茶渡も
「俺も……今回は遠慮しとく……」
次々と断られていく浅野。最後の砦とばかりに汀華を涙目で見るが、
「そもそも私、水着持ってないけど?」
浅野啓吾、撃沈。
―――
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放課後、千鶴苑へ帰った汀華がいつもの様に調理道具を洗っていると、店へと電話がかかってきた。
偶々近くに居た万里が電話に出ると電話越しに織姫の声が聞こえてきた。
「すいません、万里さん。そちらに汀華ちゃんは居ますか?」
「あぁ、ちょいと待っててね。今呼んでくる」
厨房の方へ大声で声をかける。
「おぉーい、織姫ちゃんから電話来てるよー!」
「今行きまーす!」
手を拭き、小走りで電話へと近寄り受話器を取る。
「もしもーし、織姫ちゃん、何か用?」
「……黒崎君、多分あっち(尸魂界)に行くつもりだと思うの。だから、私達も特訓して黒崎君を手伝おうよ!」
「織姫ちゃん……本気なの?」
「大丈夫!さっき茶渡君にも電話したし、師匠にも話をつけたの!」
「師匠ぅー?誰かそんなに強い人が居るの?」
「まぁまぁ、それは行ってからのお楽しみ!」
「……まぁ、'黒崎君を手伝う'なんて私は言ってないけどね?」
「えっ………」
「'皆で朽木さんを助ける'つもりならあるわよ。私も参加させてもらうわね」
「……うん!じゃあ後で集合ね!」
受話器を置き、電話を切る。
何事も無かったかのように仕事へ戻ろうとすると、目の前に万里が立っていた。
「てーかちゃん、まさかあれだけこてんぱんにやられたのに……尸魂界へ行きたいのかい?」
「ば……万里さん……あのっ!」
「言いたい事はよーくわかるよ。幸いな事に夏休みの間は休業だし、雑用も殆ど終わらせてくれた。てーかちゃんが店にいなくても問題は殆ど無いけど保護者として行かせたくは無いな」
「そ……そんな……」
「てーかちゃんを行かせたくは無いし、勝手に出ていかないように見張っていたい位だけども残念なことに今から楽しみにしていたテレビが始まってしまうな。多分観ることに集中し過ぎて誰かが出入りしても気づきそうにはないな。これは困ったなぁ」
「………ありがとうございますっ!」
「……やれやれ。さて、こっちはこっちで動きますかねぇ」
―――
――
―
空座町のとある空家。
そこに集まった茶渡、織姫、そしてジャージ姿の汀華。
3人の目の前に居るのは黒猫……もとい、夜一だ。
「お主らが尸魂界へ行くのにはまだ力不足じゃ。尸魂界へ行きたいのなら修行を受けてもらわねばならん」
「はい!」
「……ウム」
「了解です!」
「威勢がいいのう。どれ、儂の修行はちと厳しいぞ?」
―――
――
―
その頃、浦原商店では一護が死神になる為の過酷な訓練をしていた。
全てはルキアを助ける為、彼等は修行をしていた。
普通の生活には戻れない事は百も承知だ。
それ故に心に火が灯るのだ。
石田「僕が登場していない……だと……!?」
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