ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。 作:投稿参謀
だから番外編、という言い訳。
銀河帝国。
その名の通り銀河を支配する、この巨大国家の是非の判断は未来の歴史家たちに委ねるとしても、その前身となった共和国、そしてその守護者であったジェダイオーダーの崩壊が歴史の必然であったことは、衆目の一致する所だった。
保身と利権にしか興味のない議員たち、自浄作用を失った元老院、組織として硬直を起こしていたジェダイ。
これらに対するフラストレーションはクローン戦争の勃発と言う形で爆発し、やがて銀河帝国の樹立と言う形で帰結した。
その銀河帝国であるが、別に逆らう者に弾圧を加えてなんかいないし、エイリアン種族を差別もしていないし、元老院に解散を命じたりもしていない。
もちろん『力による恐怖を持っての支配』などと言う脳筋なドクトリンを採用もしていない。
それどころか帝国から独立したいという星には……妖怪染みた政治的手腕で帝国側が損をしないように調整した上でだが……自治も認めていた。
難点と言えば、戦艦などの巨大な物をやたらと造ることだが、これも経済を回していると言う観点から見れば、必ずしも税金の無駄使いとは言えない。
つまるところ、銀河帝国は建国時に期待された役割を、ほぼ完璧に果たしていた。
それでも、その統治に不満を抱く者はいる。
例えば旧共和国の頃の栄光……汚職にまみれた……を忘れられない者たち。
ハット族やブラックサンなどの犯罪組織に、宇宙海賊。
そして……ジェダイオーダーの残党。
グランドマスターたるヨーダ自身の手によってオーダーが解散した後、多くのジェダイはヨーダやオビ=ワン・ケノービのように完全に隠居するか、プロ・クーンやシャアク・ティのように帝国の許可の上で小規模な道場を開いてフォース感知者を教育するか、あるいはセイシー・ティンのように全く違う職に就くかだった。
しかし、一部のジェダイはあくまでもオーダーの掲げていた方法こそが正しいとし、帝国への恭順を拒んだ。
これは帝国の皇帝が昔年の宿敵、シスの暗黒卿であったことも決して無関係ではないだろう。
だが今や彼らこそが秩序と平和を脅かす存在と成り果ててしまったのは皮肉としか言いようがない。
こう言った反社会的な勢力に対する対抗策として組織されたのがダース・ヴェイダー率いる『死の小艦隊』である。
死の小艦隊は普段、銀河を巡りながら犯罪組織や反乱軍と戦い続けているのだが、今は未知領域の端の方にある未開の星系……現地の人々が太陽系と呼ぶそこの、第五番惑星に当たる巨大なガス惑星の影にいた。
ダース・ヴェイダーの息子、ルークを取り戻すためだ。
無論、ヴェイダーとて今回のことは私事であるワケだから最初は単身で動くつもりだったのだが、皇帝のゴリ・オシによって艦隊を出動させることになったのだ。
楔形の艦体を持つスター・デストロイヤーが大小合わせて10隻は並ぶその威容は、『小艦隊』と言うには規模が大きい。
勘違いされがちだが、スター・デストロイヤーは
この戦艦には一隻でもって惑星を焦土とするだけの火力があり、故に
それが、10隻。
単純計算で、この星系の第三惑星程度ならば10回は火達磨に出来ることになる。
そう考えれば、この艦隊がどれだけ恐ろしいか分かるだろう。
中でも旗艦であるエクゼキューター級スター・ドレッドノート一番艦エグゼキューター、あるいは単純にスーパー・スター・デストロイヤーと呼ばれるこの艦は、全長約19kmと言う馬鹿げた威容を誇っていた。
その艦橋では、突如として『消滅』したヴェイダーに代わって副官のファーマス・ピエット提督と、ヴェイダーの個人的な友人であるオビ=ワン・ケノービが二頭体制で指揮を取っていた。
と言っても、オビ=ワンに正式な指揮権があるワケでもなく、ピエット提督に助言するにとどまっているが。
正直なところ、オビ=ワンはこの短い航海の間に乗員からの信頼を獲得していたが、ピエット提督は彼のことを疎んでいたのだった。
そしてそれは真っ当な軍人としては当然の反応だった。
* * *
そんな二人だが、急な通信が入ったのでまとめて本来はヴェイダーしか入れない部屋に通されていた。
跪くピエットと頭を下げるオビ=ワンの前には、黒いフードつきのローブをまとった老人の顔が映し出されていた。
『して、未だ彼の星に乗り込んではおらぬと?』
「ヴェ、ヴェイダー卿からの連絡が有り次第、部隊を降下させる予定です」
静かなのに異常な迫力を持った老人の声に、ピエットは哀れなほど汗を流しながら答える。
それもそのはず、この老人こそが銀河帝国の頂点に立つ銀河皇帝シーブ・パルパティーンその人なのだから。
『ふーむ、しかし魔術師に聖杯戦争か。死者の霊魂を呼び出すとは、シスにも無い技。興味はあるのお』
顎に手を当てて考える皇帝に、オビ=ワンは顔をしかめる。
「死者を冒涜する、恐ろしい技であると私は考えますが」
『いかにもジェダイらしい考えよの、マスター・ケノービ。……しかし、そんな危険なことにルーク君を巻き込むとは、ヴェイダーめの怒りも納得と言うもの。……余だって怒っとる』
ギラリと皇帝の黄色い目が輝く。
皇帝がルークを孫のように可愛がっていることは、近しい者なら誰でも知る話し。
それこそ、血縁者がいない……多分……皇帝の後継者は、ルークなのではと、まことしやかに囁かれるくらいには。
『ふむ……決めた! やっぱりデス・スターを発進させるぞい! 余、自らその星に出向いちゃるわい!』
『…………はい?』
思わず、オビ=ワンとピエットの声が重なる。
『いやちょうど良い機会じゃ! いっぺんデス・スターを動かしてみたかったし、ルーク君が危険な目にあっておるのにジッとはしていられんわい!』
「いえ、あの……」
『よっしゃ! そうと決まればヨーダにTELしなければ! それじゃ現地集合じゃから!』
一方的に捲し立て、皇帝の立体映像が消える。
しばらくの間、二人は唖然としていた。
先にアクションを起こしたのはピエット提督だった。
「な、な、な……何じゃあコリャアアアッ!!」
誰にともなく絶叫した提督は帽子を脱いで床に投げつけた。
「何で帝国の上司、あんなんばっかりなんだよ! 皇帝は気まぐれ起こしてばっかりだし、ターキン大提督はパワー厨だし、ヴェイダー卿は……そうだよヴェイダー卿だよ! 何であの人、任地に子供連れ回してんだよ! この艦はもちろん、主な任地にも子供部屋用意させてるし! 野球選手かよ! って言うか兵士に子守りさせんなよ! 兵士はまだしも提督に子守り頼もうとするなよ!!」
何か、色々溜まっていたらしく叫び続けるピエット。中間管理職は辛い。
「もうやだー!! 胃が痛ーーーい!!」
ひとしきり叫んだ所でピエット提督は蹲った。
オビ=ワンはそれを憐みを込めて見つめ、そして傍によって背中をさする。
「その、あまり根を詰めない方がいい」
「あなたに何が分かるってんですか……ヴェイダー卿の下で働くのは、どれだけ大変か……兵士たちからも尊敬とかされないし、他の提督からは嫌味を言われるし」
嘆くピエットに、オビ=ワンは懐から何かを取り出した。
それは、瓶詰の胃薬だった。
「私も、昔は型破りな師に振り回されたり、破天荒な弟子やそのまた弟子に振り回されたり、そのことで評議会のお歴々に色々と言われたりしたものさ。おかげで慢性的に胃が痛くてね。この薬が一番良く効くから、飲むといい」
「ケノービさん……」
遠く見るような目で薄く笑うオビ=ワンに、ピエットはその苦労を察し、胃薬を受け取る。
こうして、帝国軍の提督とジェダイマスターの間に、友情が生まれたのだった。
書いた通り、大艦巨砲主義なのは皇帝(とターキンとか)の趣味。
ちなみにデス・スターにスーパー・レーザーが搭載されているのは『その方がカッコいいから』
ジェダイオーダーは壊滅ではなく解散し、ジェダイたちは細々とながら活動しています。
そこに皇帝がシスとしてのやる気が無い+一部ジェダイがダーク・ジェダイ化で
結果的に『フォースのバランスが取れて』いるのが今の銀河の状態。
さあ、次回こそ話を進めよう!(戒め)