ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。   作:投稿参謀

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クローン・コマンダーのフォードーは、今や黒歴史(レジェンズ)となったカートゥーン版クローン大戦の同名登場キャラがモデルです。
ほとんど、名前を借りてるだけですが。



クローンにも五分の魂

 アイツベルンの城の外、言峰綺礼は装甲服の兵士に見つからなよう茂みの中で息を潜めていた。

 彼が師や父の命に背いてまでここにやってきた目的はただ一つ。

 

 衛宮切嗣に問うことだった。

 

 あの男は綺礼が求め続ける答えを知っているはずなのだ。

 

 だが、衛宮切嗣と綺礼の間には、無数の兵士と暗黒卿ダース・ヴェイダーがいた。

 忍び込むには警戒厳重に過ぎるし、ここで無理に城に押し入ろうとすれば、兵士とヴェイダーばかりか他のサーヴァントまで敵に回る可能性がある。

 

 ならばどうする?

 

 このまま、あの聖杯問答とかいうのが終わるまで待つのか?

 

 いや、そんなことは出来ない。理性ではそうするのが得策と分かっていても、欲求に逆らうことが出来ない。

 

 ……ならば、城の中に入るために策を考えなければ。

 警戒を解くためには、混乱が起きればいい。

 飛び切り、大きな混乱が。

 

  *  *  *

 

 しんみりした空気が広がる中、ヴェイダーは話題を変えることにした。

 

「……らしくもなかった。ああしかし、私に願いを問うなら、もう一人問うべき相手がいるはずだ」

「そこの兵士か」

 

 話題を逸らされたことを自覚しつつ、ランサーはここまで給仕に専念し全く発言していないアサシンことクローン・コマンダーのフォードーに視線をやる。

 視線が自分に集まるのを感じ、フォードーは居心地悪げだった。

 

「ふむ、確かに。兵士よ、貴様も自ら望んでこの場にいるのだ。願いを言うのが筋と言うもの」

「……そうは言われましても」

 

 ライダーに睨まれて、フォードーは困ったような声を出した。

 

「私はあくまで兵士です。命令を聞き、戦うことが私の生き方ですから、皆様のような大願や王道などありません。……しかし、あえて言うならば戦いそのものが目的、でしょうね」

「武人、と言うワケか」

 

 ランサーの言葉に、フォードーは首を横に振る。

 

「そんな立派な物ではありません。我々兵士は勝つためなら汚い手も使いますし、弱い相手をあえて狙うことも、強い相手を数で押し潰すこともあります。……しかし、それが我々なのです。戦いを求めるのは、それが我々の存在理由だからなのです」

 

 ヴェイダーはチラリと中庭の外周に並ぶストームトルーパーたち……それを指揮するコマンダー・レックスを見た。

 彼は深く悲しみながらも、それも仕方がないと受け入れているようだった。

 クローンの悲哀は、クローンにしか分からない。

 

「誤解しないでいただきたいのは、我々は命令されれば敵を殺すことに躊躇いはありませんが……決して喜んで殺しているワケではないと言うことです。兵士と、殺人鬼は違う。……違うと信じている。もしも私のマスターが無関係の人間を巻き込むことを是とする輩なら、このブラスターで撃ち殺していたでしょう」

 

 そこまで言ってから、フォードーは獰猛に笑んだ。

 

「しかし、敵が皆さんのような英雄豪傑となれば、戦う甲斐もあろうというものです」

「むう、貴様のマスターは幸せ者よな。貴様のような兵を配下に持てるとは」

「確かに。価値観の相違はともかくとして、貴殿のような割り切った人物は好ましい」

 

 ライダーは満足げに笑い、ランサーも何処か納得しているようだった。

 アーチャーは無言だったが何故か自慢げだった。

 

「……私としては、あまりお前たちとは戦いたくはないのだが」

「ヴェイダー卿、……いえ、敢えてスカイウォーカー将軍と呼ばせていただきます。貴方があの恐れ知らずの英雄、アナキン・スカイウォーカーだったとは……」

「…………アナキンは死んだ。己の傲慢と愚かさのツケを払ってな。……お前の名も聞いている。コマンダー・フォードー。ムウニリンストやハイポリの戦いで名をはせた英雄だ」

 

 お互いに相手を知っているらしいヴェイダーとフォードーに、ライダーが怪訝そうな顔をする。

 

「何だ何だ、貴様ら知己か!」

「直接対面したことはない。お互いに、名を知っているというだけだ」

 

 素っ気なく答えるヴェイダー。フォードーも頷いて肯定の意を示す。

 

「しかし、今の我々はマスターの指揮下にある身。……知己といえど、戦うことに躊躇いはない。たった今、マスターから命令が下りました。『この場で全力で戦い、勝て』と」

「え? な、ああ!」

 

 フォードーを包む空気が変わったことに気が付いたウェイバーの横の空間が歪む。

 そうして現れたのはフォードーと同系統の装備に身を包んだ兵士……クローン・トルーパーだ。

 

「うわああ……!」

「ッ……!」

 

 驚愕するウェイバーとケイネス。

 それもそのはず、中庭の各所、さらには中庭を取り囲む城の屋根の上に、次々とクローン・トルーパーが現れたのだ。少なくとも数十人はいる。

 

 赤、青、黄、緑、様々なカラーリングのアーマーに身を包み、様々な武器で武装している。

 

 ランサーが飛ぶように立ち上がるとケイネスを守れる位置に移動し、ストームトルーパーたちも、ブラスター・ライフルを構える。

 

 フォードーも立ち上がって、ヘルメットを被り直す。

 

「我々は、元々がジャンゴ・フェットの遺伝子から生み出されたクローン。兄弟にして戦友、生きるも死ぬも共にする。……死んでからもとは、思わなかったが」

「全員で一体扱いのサーヴァントだと言うの!?」

 

 進み出たレックスに庇われながらも驚愕するアイリスフィール。

 ヴェイダーといい、この聖杯戦争にはイレギュラーが多すぎる。

 アーチャーは露骨に不機嫌そうだった。

 

「アヤツめ……!」

 

 一方でヴェイダーは動じておらず、そしてオビ=ワンは苦々しげな表情だった。

 

「待ってくれ! これではまるで……」

「オーダー66のよう、ですか? いいえ、これは我らの意思でもあります。結局のところ、我々は戦うことが好きなんです」

 

 オビ=ワンの叫びをにべもなく切り捨て、フォードーはマスクの下で勝気に笑う。

 

「ケノービ将軍、そして帝国軍の兵士たち、どうか手出しないでいただきたい! これは聖杯戦争だ!! あくまで魔術師とサーヴァントの戦いだ!!」

「……ッ!」

「オビ=ワン、下がっていてください! ……ルークを頼みます」

 

 息子を師に預け、聖杯戦争の正式な参加者たる……正確にはルークの宝具だが……ヴェイダーがライトセイバーを起動する。

 クローンたちは重火力の者やスナイパーライフルを持った者が屋根の上に並び、小回りの利く者が庭にいる。順当だが、それゆえに崩しにくい布陣だ。

 部下に指示を出そうとしていたコマンダー・レックスを、ヴェイダーが制する。

 

「お前たちも下がっていろ、レックス」

「ヴェイダー卿、しかし……!」

「兄弟で戦いたくはなかろう」

「……ッ! 申し訳ありません」

 

 申し訳なさそうに頭を下げるレックス。

 そんな中、ライダーは杯を地面に置き、立ち上がる。

 

「貴様たちのマスターは幸せ者だが同時に愚か者でもあったようだな。これほどの(つわもの)たちを捨て駒に使うとは」

「そう言わないでください、征服王。あの人にはあの人なりの事情がありますので。……戦術的に下の下なのは否めませんが」

「それに自分たちはあくまで兵士。命令には従うのみ!」

「加えて、戦いの中でしか己の存在を実感できないってのもあるな」

「正直、興奮を隠し切れん。こんな英傑たちと戦えるとは、兵士の冥利に尽きるってもんだ」

「そして無関係な者を巻き込まずに済むなら、言うことなしです!!」

 

 クローンたちは口々に好戦的なことを言っていた。

 それに対し、ライダーもまた豪放な笑みを浮かべて両腕を広げた。

 

「いや天晴(あっぱれ)!! 戦いに生きる業を受け入れながら人の道を外れまいとする、その生き様たるや見事! ならば! 余も己の覇道のなんたるかを魅せねばなるまい!」

 

 そして、魔力が迸り、景色が変わった。

 




クローンたちの価値観を簡単に言うと、自分たちが戦いにしか生きられないことを認めてるし、命令も厳守するけど、そこに無関係な者、無力な者を巻き込むのは断じて御免、というケルト組とかと気が合いそうな感じです。

ある意味、他の英霊たち以上に切嗣にとっては理解し難い(理解したくない)価値観なんじゃないかなあと。

次回、王の軍勢VSクローン兵団。
ちなみに言峰がこんなやらかしてるのに、時臣が何も言ってこないのには理由があります。
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