ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。   作:投稿参謀

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過去編が終わんない……。


もはやクロスオーバーの体を成してない件

「我々は、分離主義者に感謝するべきかもしれませんな」

 

 クローン戦争のさなか、何回か共に戦う機会のあったウィルハフ・ターキンという軍人は、こんなことを言った。

 彼の艦隊が分離主義勢力の艦隊を粉砕した時のことだ。

 ヴェネター級スター・デストロイヤーの艦橋で、アナキンと並んだターキンは冷ややかな視線を瓦解しゆく敵艦隊に向けていた。

 

「それはどういう意味です?」

「ああ、誤解しないでいただきたい。共和国への忠誠は揺るぎませんよ。……私が言いたいのは、彼らが反共和国的な勢力を纏めてくれたおかげで、スムーズに彼らを殲滅できると言うことです」

 

 広い額と高い鼻、そして鋭い目が猛禽類を思わせるターキンは、ニコリともせずに言い放った。

 

「元々、共和国に逆らう勢力は増加傾向にありました。彼らがそれぞれに好き勝手すれば、我々はその都度対応しなければならない。しかし分離主義勢力として纏まってくれたおかげで、その手間は省けたわけです。無数の小さな虫を全て潰すより、一匹の蛇の頭を落とすほうが、遥かに簡単だ」

「……あんたは、この戦争が起こって良かったと言うのか?」

「そうは言いません。ただ、前にも話ましたがジェダイのやり方は生温い。……もっと、敵に恐怖を与えなければ。裁判を受ける権利など与えず、分離主義を掲げる者は首を刎ねてしまえばよろしい。そうすれば、多くの者は恐怖に震えて逆らうことも考えないでしょう」

 

 ターキンの弁に、アナキンは顔をしかめる。

 

「それは危険な考え方だ。……それこそ、分離主義者のやり口だ、それは」

「ある意味では、彼らの方が効率的ですからね。金と権利を与えれば人は怠けるが、恐怖を与えれば良く働く」

「…………そんなやり方をすれば、反発が増すばかりだ」

「ですから、その反発する気力もなくなるほどに痛め付けてやれば良いのです。恐怖の下であっても、秩序は秩序、平和は平和ですからね」

 

 内心でターキンの言い分にも一理あると感じながらも、ジェダイとして、また人としての良心から反論する。

 

「そんな平和は、一時の物だ」

「その『一時の平和』さえ、銀河にとっては貴重なのではありませんか?」

「人々に犠牲を強いるとしてもか?」

「私の計算では、無秩序による死よりも、戦争と弾圧による死の方が少なくなるでしょうね。……これだけでも恐怖による秩序には意味があると言えるでしょう」

 

 アナキンは納得しかねるようだが、切嗣は納得していた。

 ターキンの言い分は、切嗣がこれまでやってきたことと、ほとんど同じだった。

 救える数が多い方を選ぶべきだ。

 

 しかし、次のアナキンとターキンの会話で、その考えも凍りつく。

 

「では、あんたは惑星をその住民諸共、粉々に吹き飛ばせば平和が来るとすれば、そうするのか?」

「面白い質問ですね。……そうですね。可能なら、するでしょう。惑星をも破壊する力を独占できれば、誰も逆らおうとはしないでしょうから。しかしそれが虚仮脅しでないことを証明するためには、星一つでは足りないかもしれません。二つ三つは破壊しておいたほがいいでしょう」

 

 事もなげに、ターキンは言ってのけた。

 表情も変えずに。

 

 アナキンはジェダイ故に、ターキンの感情が全く揺れ動いていないことを察していた。

 

 この男は、そんな場面に出くわせば躊躇いなく『やる』だろう。そう確信した。

 

 切嗣は絶句していた。

 惑星を破壊……想像もつかない。核兵器の比ではない。

 それを何の躊躇もなく成せるのか。

 

 切嗣は殺すたびに罪悪感が残る。

 しかし、ターキンにそれは無い。

 ただ、冷徹と言うのも生温い機械的な打算のもとに殺すのだ。

 

 ある意味で、ターキンは切嗣の理想像だった。

 人の命その物に価値を見出さず、数としか見ないで、殺す者と救う者を選択する。

 

 その理想像を前にして、切嗣は只々戦慄することしか出来ないのだった。

 

 ……お互いの実力を認めあっていたアナキンとターキンだったが、アナキンの弟子であるアソーカの一件を巡って、二人の間には深い溝が出来た。

 それが曲りなりにも修復されるのは、大分先の話だった。

 

 そう、アソーカ・タノはジェダイから離脱した。

 

 誤解から聖堂爆破の犯人扱いされ、その誤解を解くために脱走までして真犯人探しに奔走したアソーカ。

 アナキンは彼女を疑ったことなどない。

 しかし、彼女の考えなしな行動が、結果的に彼女自身を追い詰めていることに気が付いていた。

 

 ……果たして真犯人は発見された。

 

 しかし、ジェダイ評議会……この頃には結構な数が離脱していた……その中でも特にメイス・ウィンドウはアソーカに謝罪することはなく、あくまでも試練であったと言った。

 

 確かにアソーカは先走った。考えなしだった。

 しかし、一言謝罪してもいいのではないか?

 

「評議会は私を信じなかった。だったら、私も信じない……」

 

「もうここにはいられない……おしまいよ」

 

 評議会に信用してもらえなかったことは、アソーカにジェダイ離脱を決意させるには十分だった。

 

 そしてこの事は、アナキンの中に積もり積もっていたジェダイへの不信を、確実な物へ変えていた。

 

 また、愛する妻との擦れ違いもあって、当たり散らすことが多くなった。

 この頃のアナキンの姿は、切嗣から見ても子供っぽい物だった。

 

(おいおい、これで良く僕のことを『まるで子供』なんて言えたもんだな)

 

 そう苦笑せざるを得ないほどに。

 

 そんなアナキンの苦悩にも関わらず、クローン戦争は共和国側の優位に傾いていた。

 ジェダイの長ヨーダは、どう言うワケか分離主義者の先を読むように策を張り、確実な勝利を重ねていた。

 

 ……やがて、コルサント上空にまで分離主義者の軍が迫り、最高議長パルパティーンが誘拐されるという事件が起こった。

 

 アナキンとオビ=ワンは議長を救出するために敵旗艦に乗り込み、捕らえられた議長の眼前で分離主義勢力の首魁、シスの暗黒卿にして、かつてはジェダイで最も尊敬される騎士の一人でもあったドゥークー伯爵と対峙した。

 

 相性もあってオビ=ワンを気絶させた伯爵だったが、もはやアナキンの敵ではなかった。

 

 『片腕』を斬り落とされ跪くドゥークーの首をすぐに斬れる位置に、アナキンのライトセイバーの光刃が置かれる。

 今や、シス卿の生命はアナキンの手の内にあった。

 その時、アナキンの内にあったのは葛藤だった。

 

(こいつのせいで、多くの人々が死んでいった。ここで止めを刺し、戦争を終わらせなければ……いや、ドゥークーにもう抵抗することは不可能だ。戦えない者を殺すことは、ジェダイの掟に反する。しかし……)

 

 アナキンとドゥークー。

 どちらも何も言わず、動くことが出来ず、時間だけが過ぎていく……。

 

「殺すでない」

 

 痛いほどの沈黙を破ったのは、パルパティーンだった。

 

「殺すでない、アナキン。その男には、まだやってもらわねばならんことがある。……分離主義者の敗北を宣言させ、この戦争の責任を取ってもらわねば」

 

 この状況でも落ち着き払った、静かな声にアナキンの精神も落ち着いてくる。

 しかし、反対にドゥークー伯爵はこの発言に驚き、そして怒りに満ちた表情を浮かべた。

 

「責任? 責任だと! これは貴方が始めたことではないか!!」

「…………」

「しかし、貴方は臆病風に吹かれて途中で逃げ出した! だから私が貴方の仕事を引き継いだのだ!!」

 

 その叫びに、アナキンは再び混乱する。この口ぶりではまるで議長が全ての黒幕だと言わんばかりではないか。

 パルパティーンは渋い顔で沈黙を貫いていた。

 

「共和国の打倒は、我々の悲願だったのに、貴方は投げ出したのだ! 裏切りはシスの道! だから、私もそれに従おう!!」

 

 一瞬の、出来事だった。

 

 ドゥークー伯爵は、フォースでライトセイバーを残った手に引き寄せると同時に、議長に斬りかかろうとした。

 

 だが、その瞬間には咄嗟にアナキンが突き出したライトセイバーの光刃が、ドゥークーの胸板を貫いていた。

 

 心臓を串刺しにされたドゥークーは一瞬だけ苦悶の表情を浮かべ、こと切れた。

 

 これが、分離主義勢力の指導者、シスの暗黒卿、かつては偉大なジェダイだったドゥークー伯爵の最後だった。

 

 茫然と死体となった伯爵を見おろすアナキンの胸の内には、人としての良心とジェダイとしての責任感、そして自己嫌悪が渦巻いていた。

 

「……アナキン、気に病まない方がいい。ああしなければ、私は死んでいた。君は私を助けてくれたのだ」

 

 議長はそう言ってくれたが、さっきの伯爵の言葉が気にかかっていた。

 

(シスは嘘吐きだ。今度も嘘に違いない……だいたい、共和国の最高議長が、分離主義者の黒幕だなんて、そんなことがあるはがないじゃないか)

 

 そう自分を納得させようとするアナキンだが上手くいかない。しかし悩んでいる暇はなかった。

 

 この後、アナキンたちはグリーヴァス将軍と交戦し、その末に真っ二つになった宇宙戦艦を不時着させるという荒業で生き残ったのだった。

 

 

 

 これだけの活躍をしてなお、ジェダイ評議会は……特にメイス・ウィンドウは……アナキンをジェダイ・マスターにすることを渋っていた。

 アソーカの件もあり、アナキンのジェダイに対する不信感は膨らむ一方だったが、そんなことを忘れさせるくらいに幸せなことがあった。

 

「アナキン、私、赤ちゃんが出来たの」

 

 久方ぶりに再開した妻、パドメの言葉が、どれほど嬉しかったか。

 とても言葉では表現できないほどだ。

 

(僕が父親に……!)

 

 アナキンに、よくある父になることへの不安などなかった。

 

(僕とパドメと子供と……ああ、何て幸せなんだろう!)

 

 ただ、喜びだけがあった。

 

 ……だがアナキンは再び悪夢を見るようになった。

 最愛の妻であるパドメが苦しみの中で死ぬ夢。

 あの、母が死んだ時と同じように夢とは思えないほどに生々しい。

 

 このままでは母だけでなく妻……そして子供たちまでも失ってしまうという恐怖に駆られたアナキンは、何とかして彼女を助けようと考えた。

 ジェダイ聖堂のマスターだけが閲覧できるライブラリになら、妻を助ける方法があるかもしれない……。

 

 しかし。

 

 メイス・ウィンドウを始め、ジェダイ評議会の面々はアナキンのマスター就任を渋った。

 人格的に未熟であると言う理由であり、また議長と親し過ぎるので公平性に欠けるというのが理由だった。

 意外にも、ヨーダはアナキンを擁護した。

 

「儂はそうは思わん。スカイウォーカーはマスター足るに十分な能力を持っておる」

「能力の問題ではありません。彼にはジェダイに必要な献身と自己犠牲が欠けている」

「……果たしてそれは、そんなに重要かのう? それを説いたのは儂じゃが、最近はそれだけが唯一の答えではない気がしてきてのう」

「いいえ、これが唯一無二、絶対不変の答えです」

 

 だがメイスが断固として譲らず、アナキンはジェダイ・マスターになることはできなかった。

 それだけではなく、ジェダイ評議会はパルパティーンをスパイするよう、命令した。

 

 もはや抑えようもなく、アナキンのジェダイ不信は膨らんでいた……。

 

 一方で、切嗣はパルパティーンをスパイすることには肯定的だった。

 

 あまりにも、パルパティーンに都合の良いことが起こり過ぎる

 裏があると考えるべきだろう。

 

 そして裏はあったのだ。

 

「アナキン……私はシスだ」

 

 オペラハウスで夢のことをパルパティーンに相談し、ダース・プレイガスの秘術について告げられた後にこう告白された時、アナキンの頭は真っ白になった。

 

「貴方が……シスの暗黒卿? この戦争の黒幕だっていうのか?」

「正確には、前準備を進めていたのだ。クローンを製造するようにサイフォ=ディアスを諭し、その一方で共和国に反感を持つ者たちを集めた……しかし途中で方針を変えることにした。……我が弟子だったドゥークーは、それが気に喰わなかったようでな。袂を分かったのだ」

 

 アナキンはライトセイバーを起動し、光刃を議長……いやシスの暗黒卿の喉元に突き付ける。

 しかし、パルパティーンは余裕を崩さない。

 

「前に話したことを憶えているかな? 幼い子供の幻影と、フォースの光と闇、そしてバランスについて。……かつて師であるダース・プレイガスを葬ってすぐのこと。私は未来を垣間見たのだ。フォースにバランスを齎す者をな……」

「出鱈目を……!」

「出鱈目ではない。あの者は、凄まじい闇の力を持ちながら、同時にかつてない程の光の力も持っていた。……私は確信した。あれこそ、真なるフォースの高み! 本当の意味でフォースを極めると言うことなのだと! そして儂の中に願望が芽生えた。あの高みを見てみたいとな! ……それでも、シス積年の大願であるジェダイ抹殺を諦めていいのかと迷ってはいたが、数年前に決意した。あの時見た未来こそがフォースの真実なら、もはやシスの大願に拘ることもない。それにダース・ベインのように改革者として歴史に名を残すのも一興とな……!」

 

 いつかのように、パルパティーンの声と視線には徐々に熱を帯びてくる。

 もはや、この妄想染みた老人に付き合うつもりは、アナキンの中になかった。

 

「議長、あなたを逮捕します……!」

「いやいや、逮捕は出来んよ。シスであることは共和国の法律上なんの問題もないし、このところはクリーンな手段に努めておったでな。それ以前の悪事については、もう証拠も残っていない」

「あんたのせいで戦争が起こり、多くの人が死んでいった」

「私のせい? ああ、確かに準備をしていたことは罪だろう。しかしアナキン。戦争は必然だった。もはや、ジェダイ・オーダーと共和国は限界だったのだよ。……そのことは君も感じているはずだ」

 

 穏やかなパルパティーンの言葉に、アナキンの中に迷いが生じる。

 確かに元老院はもはや自浄作用を失って久しい。

 清廉な議員たちもいるが、それでも腐敗した議員たちの権勢を止めるほどの力はない。

 そしてアソーカの一件からも分かるように、ジェダイもまた硬直化している。

 

「アナキン、私は何もジェダイを裏切れと言っているのではないのだよ。ただ、闇の力についても学んでほしいのだ。闇には光にはない秘術があるのは紛れもない事実。……その中に、奥方を救う術があるかもしれない」

 

 動揺するアナキンに、パルパティーンは優しく言葉を続ける。

 実際、アナキンはジェダイに反感を覚えていたし、パドメを救う方法を探していた。この言葉はとても魅力的に聞こえたのだ。

 

「……実の所、マスター・ヨーダとはすでに打ち合わせてあるのだ。……オーダーと、共和国の終焉について」

「!?」

 

 突然出て来た名に、アナキンの混乱が大きくなる。

 

「ヨーダもまた、未来を見たのだ。……だから取引をした。ジェダイ抹殺を諦める代わりに、オーダーを解散してもらうとな」

「そんな……」

「オーダーは消滅するだろう。共和国は滅び、別の国家が生まれるだろう。……だがジェダイが全滅するわけでも、民主主義が消えるワケでもない。ジェダイたちにはフォース感知者を教育してもらわねば困る。元老院は残すし、ベイル・オーガナやモン・モスマと言った議員たちは密かに後継者を育て、彼らが私の死後に速やかに民主制を復活させるはずだ」

「…………」

「君は、私の下でシスの技について学んでくれるだけでいいんだ。……何故、私が君に拘るかはもう分かるだろう? ……私が見たフォースにバランスを齎す者は、君なのだ。君は光と闇の両方の力を得るんだ」

 

 パルパティーンの声が、今までと僅かに変わる。

 今までよりも、優しく柔らかな……そして欺瞞のない物に。

 

「何より子供の幻影は、おそらく君の子供なのだよ。君の奥方と……そのお腹にいる子供を助けることは、私の願いでもあるんだよ」

 

 そこまで言って、パルパティーンは席を立った。

 

「もちろん、今すぐ答えを出せとは言わない。迷うのも無理はないからな。……もうすぐ戦争は終わる。グリーヴァスはオビ=ワンに討たれるだろう。可哀そうだが。……その時に、改めて返事を聞かせてくれ」

「…………」

 

 議長が去った後には、迷い続ける青年だけが残されたのだった。

 




ちょと整理、パルパティーンの行動

パルパティーン「師匠を殺したし、これで儂がシス・マスターだもんね! このノリでジェダイも抹殺しちゃるぜ!」
       ↓
パルパティーン「なんか未来が見えたんだけど、なにこれ? 光と闇は合わさって最強に見える……すげえ」
       ↓
パルパティーン「でもシスの長年の悲願を捨てんのもなあ……とりあえず、計画は進めておこう」
       ↓
サイフォ・ディアスを諭してクローン・トルーパーを製作させつつオーダー66を仕込む。
       ↓
パルパティーン「迷ってたけど決めた! やっぱり、これからは融和路線でいくぜ!」
ドゥークー「ふざけんじゃねえ! こっちは共和国をぶっ潰したいんだ。あんたとはもうやってけん!」
       ↓
ドゥークーが分離主義者を纏めてクローン戦争開始。
       ↓
アソーカ離脱後あたり。
パルパティーン「んなワケでヨーダ。ジェダイ抹殺は諦めるけど、代わりにオーダー解散してくんない?」
ヨーダ「クローンは押さえられてるし、ジェダイは硬直化しとるし、なんやもう勝ち目とかないわ……OKするしかないじゃん」

こんな感じ。
さらっとドゥークーに責任押し付けてるあたりがやっぱりシス。
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