ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。   作:投稿参謀

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大サーヴァント空中決戦

『もし本当に怪獣がいたなら、交戦許可って下りるんですかね?』

「もしこれが怪獣映画なら、俺たちはヒーローが登場する前のヤラレ役、噛ませ犬だな」

『笑えませんよ、それ』

 

 F-15のパイロットである仰木一等空尉は、同じくF-15を駆る部下である小林の言葉に冗談で応じた。

 二人は冬木警察からの災害要請を受けて緊急発進し、同市の状況を確認するために急行しているのだ。

 

 警察もかなり混乱しているらしく、巨大怪獣が出現しただの、ロボットがそれを迎え撃っているだの、荒唐無稽な情報が飛び交っている。

 先日のハイアットホテルの大火災の件もあり、万が一があってはならないと出動した彼らであったが、やがて冬木市上空に達した彼らの目に飛び込んできたのは想像を絶せる光景だった。

 

「な、なんだよ、ありゃあ……」

『お、仰木さん……』

 

 深い霧に覆われた未遠川の中ほどに、何か得体の知れない巨大な蛸か烏賊のような物が蠢いていた。

 それだけにとどまらず、川の両側と冬木の代表的な建築物である冬木大橋の上に、四足歩行の怪獣のようなロボットや二本足のロボットが陣取り、光線を撃って巨大イカに攻撃を仕掛けていた。

 その足元では人影が無数に動き回り、やはり光線を撃っていた。

 

 巨大烏賊の周りでは、いくつかの光が飛び回り、攻撃を仕掛けているようだった。

 

 あまりに現実離れした光景に、仰木と小林は言葉を失っていた。

 

『と、とにかくもっと降下して接近してみます!』

「ま、待て小林!」

 

 それでも任務に忠実な小林は、F-15を傾けて川に近づいていこうとする。

 その時、二機の無線機に通信が飛び込んできた。

 

『そこの戦闘機。ここは戦闘区域である。直ちに引き返せ』

 

 聞こえてきたのは重々しい重低音だった。

 仰木は自衛官としての本能から、問う。

 

「こちらは航空自衛隊所属、仰木一等空尉だ。そちらの所属は?」

『こちらは第一銀河帝国軍、501大隊のダース・ヴェイダー。警告する、直ちに当空域より離脱せよ』

 

 可能ならば、仰木と小林は顔を見合わせただろう。

 銀河帝国? ダース・ヴェイダー?

 意味が分からない。

 

 しかし二機のF-15の横を、ボールを板で挟みこんだような奇怪な物体がいくつか通り過ぎていった。

 先頭を飛ぶのは、板がコの字になった機体だ。

 この飛行物体の群れは、悲鳴にも似た音を立てて獲物に襲い掛かる猛禽もかくやという勢いで急降下し、巨大烏賊に猛烈な攻撃を仕掛けた。

 巨大烏賊は触手を伸ばして飛行物体を捕えようとするが、一機残らずその合間をすり抜ける。

 

『仰木さん、いったい何が……』

「分からん。分からんが……」

 

 呆然と、仰木は呟く。

 

「あの先頭の奴。あいつは、間違いなくエースだ……!」

 

 その言葉の通り、先頭の機体の動きは他と明らかに違っていた。

 

 

 

 

 触手の合間を潜り抜けながら、ヴェイダーとその配下のTIEファイター隊は巨大海魔に向けてレーザー・キャノンを撃ち続けていた。

 

「半数は上に回って直上から攻撃。残りは私に続け」

『了解!!』

 

 血気盛んなパイロットたちは、しかしヴェイダーの指示に忠実に従う。

 しかし、TIEファイターによる攻撃はほとんど効果が見られない。

 

「ああ、R2。お前の言う通り、光子魚雷を搭載しておくべきだった」

 

 電子音でピキャピキャと騒ぐ相棒に返したヴェイダーは、冷静かつ獰猛に攻撃を続ける。

 

 

 

 

 

「ハアアッ!!」

「AAAALaLaLaLaLaie!!」

 

 空を駆ける愛馬ドゥン・スタリオンに跨ったランサーは、ロンゴミニアドからの光線で海魔を攻撃し、自慢の戦車に乗った征服王は、雷を放ちながら巨大海魔の触手を剣で斬り落とす。

 しかしその傷はジュクジュクと嫌悪感を催す音を立てて塞がる。

 

「なんて再生力だ! これじゃあきりがない!」

「やはり、キャスターを直接叩かねばならないか……!」

 

 戦車に乗ったウェイバーが悲鳴染みた声を上げ、ランサーは槍の柄を強く握る。

 手はある。後は、ケイネスがそれを許すかだ。

 

 

 

 

 

 河川敷では、展開した帝国軍が何処からか涌いて出てきた通常サイズの海魔の上陸を阻止するべく、濃密な弾幕を張っていた。

 歩兵やAT-STが僅かな間も無く光弾を発射し続けるが、海魔は後から後から湧いてくる。

 

 四足歩行のAT-ATは、その大火力を巨大海魔に集中していた。

 中でも一台のAT-ATには、赤黒い血管のような模様が浮かび上がり、艦砲射撃ばりの大威力の砲撃を放っている。

 その背中に当たる部分には、バーサーカーが陣取り帝国軍の単発式ロケットランチャーを撃つとそれを捨てては、後ろのストーム・トルーパーから別のロケットランチャーを受け取ると間髪入れずに撃つ、ということを繰り返していた。

 

 この攻撃は少なくとも普通のAT-ATの砲撃よりは効果的であるらしく、確実に巨大海魔の歩を鈍らせていた。

 

 

 

 

 

「上陸を阻むので精一杯か。まったく、この辺境の星はつくづく楽しませてくれる……!」

 

 自機の操縦席で、ヴェイダーは皮肉を吐く。

 ピキャピキャとR2が電子音で喚くが無視しておく。

 

「再度攻撃を仕掛けるぞ。頭部に火力を集中する、続け」

 

 追従する部下たちに指示を飛ばし、操縦桿を倒した瞬間、後ろから攻撃を受けた。

 間一髪、機体を回転させて躱すと、黄金色の光が幾筋か通り過ぎていった。

 

「ッ! 金ピカか!!」

 

 それが事態を静観していたはずのアーチャーからの攻撃であると察し、ヴェイダーはすぐにフォースで索敵する。

 案の定、こちらに向けてあの悪趣味な金ピカの飛行物体が飛んでくるのを感じた。

 

「空気の読めない奴め!」

『ヴェイダー卿!』

「奴の相手は私がする! お前たちは、そのままあのダイアノーガの化け物に攻撃を

続けろ!」

『了解!!』

 

 血気に逸る部下たちを諫め、ヴェイダーは機首を上げて急上昇していく。

 ここで戦えば、周囲を巻き込むからだ。

 

 

 

 

「ふん、我の攻撃で部下が巻き添えを喰らわんように、空へ逃げるか……舐められた物よ」

 

 インド神話に語られる神の船、ヴィマーナに設えられた椅子に座った黄金の王は、ニヤリと口角を上げた。

 当然の如く、時臣は降ろした。

 面白い男ではあったが、すでに迷いを吹っ切りつつあるようだ。

 

「こういう戯れは久しいぞ。精々踊れ、害虫!」

 

 逃げるヴェイダーを追って上昇しながら、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を展開して追尾能力のある宝具を発射する。

 

 剣や槍が、恐るべきスピードでTIEアドヴァンストへと殺到していく……。

 

 

 

 

 

 襲い来る槍やら剣やらを、こちらも機体を回転させながらの回避行動で紙一重で躱しながら、ヴェイダーは毒づく。

 

「ええい、くそ! めちゃくちゃな攻撃をしてくれる!!」

 

 後ろに付かれたので振り切ろうとしているが、あの金色の機体の性能は素晴らしく、このカスタム機を持ってしても振り切れない。

 

 そのうえ、密度の濃い弾幕が襲い掛かってくるのだからたまったものではない。一発でも貰えば大破しかねないのだ。

 唯一の救いは、あの黄金の王の操縦センス自体はそこまでではないことだろう。

 明らかに、機体性能頼りである。

 

「ああ、そうだな。今度はXウィングに買い替えよう。あれは良い機体だ!」

 

 機体性能の限界以上を引き出して飛び回るヴェイダーは、R2の愚痴にそう答えるのだった。

 当のR2も、無茶な操縦で壊れそうになる機体を必死に維持していた。

 

 飛び散る火花を片っ端から消火し、矢継ぎ早に焼き切れる配線を繋ぎ直し、エラーとフリーズを繰り返すプログラムを修復する。

 

 そのスピードたるや、まさに神業。

 このアストロメイク・ドロイドがいてこそ、ヴェイダーは機体の限界以上の挙動が出来るのだった。

 

 いやそもそも追尾性能のある宝具の弾幕を悉く躱してみせている時点で、ヴェイダーの操縦技術は人間業ではないのだが。

 

「だが、限界はある……仕方がない、ここはイチかバチかだ」

 

 何か手を考えたらしいヴェイダーに、R2‐D2はいつものことだと電子音でツッコミを入れるのだった。

 

 

 

 月が照らす雲海の上で、TIEアドヴァンストとヴィマーナが終わることのない演武を繰り広げる。

 

 だがやがて、TIEアドヴァンストは雲海の下へ向けて急降下を始めた。

 

「逃げるか! ……と見せかけて策があるのだろう。だがその策、敢えて乗ってやる!」

 

 ヴィマーナはそれを追う。

 流星の如く、二機は地上に向けて落ちていく。

 宝具を撃ち出すアーチャーだが、それらはやはり紙一重で躱されてしまう。

 

 雲海を突き抜け、なおも戦いの続く未遠川へ向けて、二機は降下を続ける。

 

「ふん! 大方、地上ギリギリで上昇して、我を地面に叩き付けようという魂胆であろうが、そうは行かぬぞ!」

 

 TIEアドヴァンストが機体を起こそうとするのを視認したアーチャーは、そのまま機体を起こそうとするが、その瞬間TIEアドヴァンストは180°回転した。

 

「な!?」

 

 レーザー・キャノンが火を噴き、光弾がヴィマーナに襲い掛かる。

 所詮は宝具でもないそれなど、目晦ましにしかならないが、その目晦ましが致命的な結果を招いた。

 

「ッ! おのれぇええええ!! 害虫がぁああああああッッ!!」

 

 TIEアドヴァンストはそのまま上昇してゆくが、ヴィマーナは一瞬の差で上昇しそこね、それに乗った黄金の王諸共、未遠川の水面に突っ込んだのだった。

 

 

 

 

 

「ああ……危なかった」

 

 何とか墜落ギリギリで機体を立て直したヴェイダーはマスクの下でホッと息を吐いた。

 そもそも、機体性能も火力も、向こうのほうが上だった。

 

 だが……。

 

「実戦経験と……そしてR2がいるかが、勝敗を分けた」

 

 この無茶苦茶な作戦もR2が機体を維持しれているからこそ出来たのだ。

 あれでアーチャーが消滅したとは思えない。なんだかんだと脱出しているだろう。

 決着はいずれつけなくてはならない。

 

 だが、まずは巨大海魔からだ。

 

「さあR2、もうひと踏ん張りだ。……そう言うなよ」

 

 ヴェイダーは文句をブー垂れるR2をなだめると、戦線に復帰するのだった。

 




空中戦が難しい……。
ほんと、迫力のある戦闘シーンを書ける人って尊敬します。

英雄王、一応、トッキーを降ろしてあげる優しみ。


次回か次々回で大海魔戦は終わりかな?
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