ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。 作:投稿参謀
初手はランサーからだった。
恐るべき速さで繰り出された長槍の切っ先がヴェイダーに迫るが、ヴェイダーはライトセイバーでこれを弾くが、次の瞬間には二手めの槍が、それもヴェイダーの頭と首と胸と腹をほぼ同時に狙う。
ヴェイダーは後退しながら、こちらも同時に見えるほどの速度でライトセイバーを四度振るい、槍を防いだ。
……いや、五度だ。全ての刺突を防御すると同時に、さらに一度光刃を振るいランサーを斬りつける。
ランサーは槍で持ってそれを受けるも、斬撃の重みに後退する。
力比べでは不利と見たランサーは地を蹴って距離を開け、次いで怒涛の如き攻撃をヴェイダーに浴びせる。
しかしヴェイダーは全ての攻撃を的確に防御し、合間にフォースプッシュによる小技を挟み込む。
自らを押しのける不可視の力にランサーは驚きはしたものの、それも一瞬。地面に槍を突き立て吹き飛ばされるのを防ぎ、ヴェイダーに向け槍を振るう。すると槍の切っ先から光線が飛び出した。
この意外性のある攻撃を、しかしヴェイダーは慣れた様子で光刃をもって斬り払う。
「見えない圧力とは……奇怪な技を使う」
「槍から光線を出す貴様に言われたくはない」
一見すると、激しく動くランサーに対しヴェイダーは防戦一方に見える。
だが、ランサーもまた金城鉄壁とでも言うべきヴェイダーの防御と隙あらば……この『隙』は常人にしてみれば、刹那よりなお短い……容赦なく放たれる苛烈な反撃を前に攻めあぐねていた。
いかな英霊と言えど所詮は辺境の星の戦士、銀河を又にかけるヴェイダーの敵ではない。
……などと言う慢心はヴェイダーの中にはまったくなかった。
他の星から隔絶された惑星タラーレックに恐るべきダーク・アコライトが育ち、
独自の宗教を持つ惑星カリーでジェダイキラーと呼ばれる将軍が生まれ、
未知なる惑星シラから不世出の天才戦略家である大提督が現れたことを考えれば、この用心は全く持って妥当と言えた。
また、女性と侮る心も存在しない。
女性のジェダイマスターたち、愛弟子、そして妻のような女傑たちを知る身としては当然だ。
それでも、鋭い刺突を凌ぎながらヴェイダーの心中にあったのは、驚きに他ならなかった。
あらゆる物体を溶断するはずのライトセイバーを持ってしても傷一つ付かない槍と、筆舌にしがたい速度と重さでもってあらゆる角度から繰り出される攻撃。
何よりも、それを振るうランサーの技巧と、彼女から感じる絶大で純粋なフォース。
どれもが百戦錬磨のヴェイダーをして驚愕させる。
これほどの使い手は、長い戦歴の中でも数えるほどしか出会ったことがない。
「凄まじい腕だな。素直に賞賛しよう」
「貴公こそ、この恐ろしいなまでの剣技と戦馴れした態度。本当にセイバーではないのか?」
「言ったはずだ。私は騎士とは最も縁遠い男だ」
* * *
一方、物陰に隠れた切嗣は、自らの役割であるマスターの索敵に専念していた。
ヴェイダーとアイリスフィールがサーヴァントを引きつけ、切嗣がマスターを狩る。
この役割分担に、ヴェイダーは文句を言わないばかりか、むしろ妥当だと納得していた。
どうもヴェイダーは切嗣のやり方を許容しているようで、そう言う意味では切嗣に取ってもやり易いサーヴァントと言えた。
あの見るからに清廉潔白なランサーあたりとだったら、さぞ上手くいかなかっただろう。
それはともかく、さっそくランサーのマスター……ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを発見した。
……ほぼ同時に、アサシンのサーヴァントを発見したのは幸か不幸か。
「しかし、アレは本当にサーヴァントなのか?」
どう見ても中東の暗殺教団の出身者には見えない。
覗き込んだスコープの向こう側には、『白い装甲服』に『T字型のバイザー』のあるヘルメットを被った兵士が、切嗣が見たこともない銃を手にしていた。
* * *
青と赤、白銀と漆黒、静と動。
どこまでも対照的な戦士二騎は、熾烈な戦いを繰り広げていた。
だが……。
『何をしているランサー? そのような名も知らねぬような雑魚を相手に何を手こずっている?』
どこからか声が聞こえた。
恐らく、ランサーのマスターだろう。
ヴェイダーと距離を取っていたランサーは顔をしかめた。
「マスター? しかし、この男はただならぬ使い手。一筋縄ではいきません」
『言い訳は無用。宝具の開帳を許す。速やかに始末せよ』
「……了解しました。我がマスター。……来たれ! ドゥン・スタリオン!」
少しだけ不満げながら、ランサーが声を上げると、彼女の脇に馬が現れた。
見事な白馬で、ランサーの物に似た意趣の白銀の鎧を着込んでいる。
その迫力から、この馬もまた英霊の一種であると見て取れた。
人外の域にあるサーヴァントの戦いを黙って見ていることしか出来なかったアイリスフィールも、これには声を上げる。
「馬!? ランサーではなかったの?」
一飛びで白馬に跨ったランサーは、白馬の鬣を撫でながら槍を前へ……ヴェイダーへと真っ直ぐ向ける。
「元より槍とは馬上にて振るう物。これなるは我が愛馬、ドゥン・スタリオン。我が戦友にして、我が宝具。よもや卑怯とは言うまいな」
「他者を卑怯となじれるほど、正々堂々とはしていない」
「フッ……」
ここに来て初めて、ランサーは笑んだ。
ヴェイダーもまた、この敵が敬意に値する相手であると感じていた。
……だが、これは戦争であり、ヴェイダーが優先するべきは息子の安全である。
そこらへんはキッチリと割り切っていた。
『じゃれ合いはそこまでにしろ。……殺れ、ランサー』
「言われずとも。……シスの暗黒卿、ダース・ヴェイダーよ。改めて……いざ、まいる!!」
ドゥン・スタリオンが地を蹴るや、一瞬にしてヴェイダーの眼前に現れていた。
「ッ!」
咄嗟に真正面からは受け切れぬと判断し、フォースの力で自らを弾き飛ばし横に跳んで躱そうとするヴェイダー。
だが、それを見越したかのように長槍の切っ先が行く手に現れる。
それをフォースでもってギリギリ反らし、斬り返そうとすれば、これは魔法のように現れた槍によって防がれた。
これだけのことが、ドゥン・スタリオンに乗ったランサーとヴェイダーが交差する一瞬の間に行われた。
「その不可視の力……どうやら魔術とは異なるようだ。貴公はその力を完全に技の一部として取り込んでいるのだな。さらに今の一瞬でこちらを斬ろうとするとは、やはり凄まじい戦士だな、貴公は」
「やり難いものだ。その速さと重さから来る突撃力。加えてその動物の動きが槍の軌道を不規則にしている。馬と言ったか? 中々に侮り難い。……いや、何より賞賛すべきはやはり、それを駆る貴様の技量か」
人馬一体とでも言うべき技の冴えを見せるランサーも、それに一瞬で対応して見せたヴェイダーも、どちらも人知を超えた技と力の持ち主だった。
「名残惜しくはあるが、次の一手で決めさせてもらう」
ランサーの槍に魔力が籠っていき、同時にドゥン・スタリオンが力を溜めているのをフォースの流れから察知したヴェイダーは、こちらも反撃に必殺の一手を繰り出すべく身に力を込める。
どうせ、こちらはビームだ何だは出せない身。剣技とフォースを持って応えるのみ。
二人の間の緊張と力が高まっていき、それが最高潮に達して弾けようとした瞬間……。
「双方、剣を収めよ! 王の御前であるぞ!!」
突如、雷鳴が轟いた。
あー……やっぱりバトルは難しい……。
UMAもといドゥン・スタリオンは宝具扱い。
初戦から対城宝具ブッパしたりはしません。
ヴェイダーはアナキン時代はビュンビュン跳び回っていたけど、サイボーグになってからは防御と一撃の重さに重点を置いた動きになってるらしいです。
反逆者たちでは、それでも速いけど。
そして百貌さん、ごめんなさい。