ジェダイの騎士が第四次聖杯戦争に現れたようですが……。   作:投稿参謀

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そろそろ、タイトル変えましょうかね?

いや、ほとんどタイトル詐欺になってますし。


傷は男の勲章って言うけど、痛いのはヤダよね

 愛馬ドゥン・スタリオンに跨り、ランサーが駆ける。

 

 その頭上から高く跳躍したバーサーカーが踊りかかり、抱えた街灯を棍棒のように振り回す。

 

 ランサーはそれを槍で弾き返すが、バーサーカーは咆哮を上げながら……やっぱり泣き声にも聞こえる……何度も何度もランサーに襲い掛かる。

 

(荒々しいが、正確で精密な攻撃……本当にバーサーカーなのか?)

 

 しかし、いくら攻撃しようと槍を破壊出来るはずもなく、逆に街灯の方が耐え切れずに中ほどで折れる。

 バーサーカーは半分になった街灯を馬上のランサーに向けて投擲。

 躱されるが、その瞬間には無造作に置かれていた鉄骨を拾うと、鉄骨に血管のような模様が浮かび上がった。

 

「なるほどな。貴公は手に持った物を宝具に変えるのだな」

 

 その奇異な力に、ランサーはふと良く知る騎士の逸話を思い起こすが、有り得ないと考えなおす。

 彼は高潔な騎士だったのだから。

 

 ……と言うか、攻撃してくる間にも何か泣き喚いている『アレ』を知人だと思いたくなかった。

 

 深く考える間もなく、ランサーは鉄骨で殴りかかってくるバーサーカーを槍で迎え撃つのだった。

 

  *  *  *

 

「せめて散り様で我を興じさせよ、雑種!」

「散るのは貴様だ、金ピカ」

 

 黄金のサーヴァントは小手調べとばかりに一本の剣を射出する。

 

 空気を切り裂きながら飛来した剣を、しかしヴェイダーはフォースの流れを読んで正確に弾き返そうとした。

 

「ぬ、う……!?」

 

 しかし、剣のあまりの勢いと重さにヴェイダーは弾き返すことが出来ない。

 地面に踏ん張るも押し返され、光刃と宝剣の間に火花が散る。

 

「お、おおお!!」

 

 機械腕に万力を込め、宝剣を弾くヴェイダー。

 だが何回も出来ることではないことは、すでに分かっていた。

 

(ならば……!)

「ふ、達者なのは口だけと見える。……これで散れ!」

 

 黄金のサーヴァントがさらに撃ち出した魔槍を、ヴェイダーはライトセイバーを構えて迎える。

 

 今度は正面から受け止めるのではなく槍の柄に横から当てるように光刃を振るい、同時に剣を振る方向と同じ方向にフォースを流す。

 

 二つの力によって魔槍は突き来る方向を逸らされ、ヴェイダーの脇を通り過ぎて背後のコンテナに突き刺さった。

 

 ヴェイダーの卓越したライトセイバーの腕と、フォースのコントロールがあって初めて出来る神業だ。

 

「小器用な雑種よ。だが、いつまで持つ?」

 

 黄金のサーヴァントは余裕を崩すことなく残る四つの宝具を発射する。

 

 大剣、曲刀、斧、鉾が次々とヴェイダーに迫る。

 

 並みの者なら後退を選ぶだろう光景だ。

 しかしヴェイダーは並ではなく、臆することなく前進する。

 

 先ほどと同じように大剣の腹にライトセイバーを当てて逸らし、

 

 返す刀で曲刀の峰に光刃を振るい叩き落とし、

 

 斧を光刃で受け止めながらも自らの技巧とフォースの力で横に受け流し、

 

 鉾を体を僅かに横にすることで躱す。

 

 しかし、黄金のサーヴァントはさらに何個もの宝具を呼び出した。

 剣が槍が斧が鎚が杖が、ヴェイダーに狙いを付ける。

 どうやら、残弾はいくらでも有るらしい。

 この調子では接近する前にヴェイダーの方が力尽きてしまう。

 

 瞬間、ヴェイダーは手に持った唯一の武器、ライトセイバーを……。

 

 

 投げた。

 

 ライトセイバーは光刃を展開した状態のまま、回転しながら黄金の王めがけて飛んでゆく。

 

「血迷いおったか」

 

 黄金のサーヴァントは慌てることなく自分の前に盾を呼び出してライトセイバーを防ぐ。

 ライトセイバーは盾に弾かれ黄金のサーヴァントの頭上を越えて明後日の方向へ飛んで行った。

 

「愚かな。……これで終いだ」

 

 ヴェイダーをせせら笑い、黄金のサーヴァントは宝具を撃ち出そうとする。

 だがその時、ヴェイダーは、自らの腕をまるで『何かを引き寄せるように』前にかざした。

 

「! 貴様!」

 

 眼を見開いた黄金のサーヴァントは体を傾けると、先ほどヴェイダーが投げたライトセイバーが後ろから飛来し、その顔のすぐ横を通り過ぎた。

 光刃の先が僅かに頬に触れ、肌が焼かれ肉が焦げる。

 

「ぐッ!?」

 

 ギロリとヴェイダーを睨む黄金のサーヴァントの右頬には、火傷のような傷が一筋入っていた。

 

「きっ……様ぁあああ!! 万物が仰ぐべき我の尊顔に傷を付けおったなぁああ!!」

「何だ、今の方が良い男だぞ。シスの暗黒卿を甘く見たツケとでも思え」

 

 フォースで手の中に呼び戻したライトセイバーを構え直すヴェイダーだが、さっきので止めを刺せなかったのは痛い。

 黄金のサーヴァントは、怒りを滾らせ、背後にこれまで以上の数の宝具を展開する。

 

「シスの暗黒卿……そうか、その技、その剣! 思い出したぞ! 懲りもせずに我が庭を荒らしに来おったか!!」

 

 その怒声に、ヴェイダーはマスクの下で訝しげに顔を歪める。

 まるで、過去にジェダイかシスにでも会ったことがあるかの様な物言いだ。

 

「ならば雑種……いや、汚らわしい害虫を駆除するは王の役目! 貴様を……ッ!? 何だ、時臣! 貴様如きの諫言で我に引けと!!」

 

 今にも宝具を撃とうとしていた黄金のサーヴァントだが、突然虚空に向かって怒声を上げる。

 どうやら、マスターから撤退するように言われたらしい。

 

「……チッ! 害虫! 貴様は我の獲物と定めた! 精々、他の有象無象に狩られないように留意するのだな!!」

 

 捨て台詞を吐いてから霊体化し、黄金のサーヴァントはその場から姿を消す。

 

 ヴェイダーは残心を欠かさず、敵の気配が完全に去るのを待った

 だが黄金のサーヴァントがいなくなっても戦いが終わったワケではない。

 

 次なる敵を求めて、ヴェイダーは動き出すのだった。

 

  *  *  *

 

 未だランサーに執拗な攻撃を加えるバーサーカーは、すでに何本目になるか分からない武器を拾う。

 

 街灯、鉄骨、鉄パイプ。

 

 一見無造作に武器にしているように見えて、その実ランサーの間合いの長さを潰すように武器を選んでいる辺り、バーサーカーらしからぬ戦術眼だ。

 

 だが、それ自体が宝具であるランサーの愛馬ドゥン・スタリオンの機動力には付いてこれていない。

 

 このまま、速度を生かして戦えば、問題はない。

 

 そうランサーが判断を下しかけた時、前方に黒い人影が立っていた。

 

 先ほどまで戦っていた相手、シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーだ。

 その手にはあの光剣が握られている。

 

(こんな時に!)

 

 ランサーはヴェイダーが自分を援護しに来た、などと言う能天気な想定はしない。

 

 事実、ヴェイダーはすれ違いざまにランサーに一太刀浴びせ、あわよくば仕留めるつもりだった。

 

「悪いな。これも戦争の常だ。よもや卑怯とは言うまい?」

 

 後ろにバーサーカー、前にヴェイダーと言う四面楚歌に追い込まれるランサー。

 これに対し、ランサーに減速するという選択肢はない。

 

「ハア!!」

 

 ドゥン・スタリオンに手綱を振るい、さらに加速させる。

 そして、ドゥン・スタリオンは後足に力を入れ、大きく跳ねた。

 

「ッ!?」

 

 そのままヴェイダーを飛び越え、綺麗に着地し、そのまま方向転換してこちらに向かってくる。

 ヴェイダーは息を吐くと、ライトセイバーを構えようとする。

 だが、どこからかケイネスの声が聞こえてきた。

 

『撤退しろランサー!』

「……妥当な判断です、マスター」

 

 さすがに二対一は不利と見たのだろう。

 静観しているライダーがどう動くかも分からない。

 ランサーはヴェイダーを一瞥すると、無言で霊体化して姿を消した。

 

 狙う敵が消えたためか、バーサーカーも消えていく。

 

「フハハハ! いや、初戦から良い物が見れた! 余も血が沸き肉躍ったわ!!」

 

 最後に残ったライダーは、満足げに笑っていた。

 ヴェイダーは多少距離を取りながらも、油断はしない。

 

「……それで、貴様はどうする?」

「さてな、細かいことは考えん性質でな! 思惑がどうとか、戦略がどうとかは、後世の連中が勝手に言いだすことよ!」

 

 豪放に笑うライダー。

 ヴェイダーは、本格的に呆れてきた。

 こういう考えなしなのは苦手だ。

 

 ……師匠とか弟子とか戦友が聞いたら「お前が言う!?」と総ツッコミ不可避である。

 

「ま、今宵はお開きとしておこう! ヴェイダーよ、また会おうぞ!!」

 

 最後まで豪快に笑いながら、ライダーは戦車を飛ばして泣きべそをかくマスター諸共去っていった。

 

 完全に全ての敵がいなくなったのを察知し、ヴェイダーはようやく深く息を吐く。

 

「ヴェイダー!」

 

 その傍に、コンテナの裏に隠れていたアイリスフィールが駆け寄る。

 

「ヴェイダー、大丈夫なの?」

「正直、あまり良くない。R2に整備してもらわねば……」

 

 かなり無理な動きを続けたせいで、義肢に負荷が掛かっている。

 どのサーヴァントも尋常ならざる強敵だった。

 

 ランサーは本人の実力と馬による機動力もさることながら、あの槍からは得体の知れない何かを感じた。

 

 あのライダーとは戦ってはいないが、雷を纏っている時点で相性が悪い。

 

 手の持った物を宝具にするバーサーカーも油断できない。

 

 黄金のサーヴァントのデタラメな宝具の雨については言うまでもない。

 

 一方、アイリスフィールは眼前で繰り広げられていた人知を逸脱した戦いと、それに付いていけているヴェイダーに改めて戦慄していた。

 

「これが聖杯戦争……」

「まだまだ序盤だがな。……にしても、キリツグは敵のマスターを仕留められなかったのか」

 

 思わず文句の一つも出る。

 それを何処かで聞いていたのだろう。

 当の切嗣から念話が飛んでくる。

 

『狙ってはいたんだけどな。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは、思っていたよりも引き際がいい』

「それには同意しよう。で、次はどう手を打つ?」

『考えはある。とにかく、一度君の整備を済ませよう。舞弥とセイヴァーにも移動してもらったから、君たちも城へ』

「ああ」

 

 こうして、聖杯戦争の、その一夜目が終わりを告げたのだった。

 

 余談だが、城まで移動する際のアイリスフィールの車の運転は、非常に激しい物だったが、ヴェイダーは涼しい顔……マスクのせいで見えないけど……だった。

 

 ポッドレースに比べれば刺激が足らないとは、後の本人の弁である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切嗣「……舞弥がセイヴァーの世話をしてるから、ホテルへの仕掛けが不完全だな。……まあ、いいや。明日でも遅くはないはずだ」

 

 冬木ハイアットホテルは、死亡フラグを(とりあえず)回避したようです。




初戦から幸先が良くないヴェイダー。
キンピカの物量に押されてたら負けてました。

時臣まじウッカリ。

そろそろ他の陣営の様子も書きたいところです。
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