「痛たたたっ!ちょっと福朗!福朗ってばっ痛いっ!もっと優しくっ!」
「ちょっ!?大入っち!んな乱暴なっ!」
「んバカっ!何だって角取さんの攻撃を防御なんてしたんだよ!アレの威力がもっと上だったら
「じゃあ、どうすりゃよかったんだよっ!」
「いっそ、そのまま地面に倒れて回避すりゃよかったんだ!一佳なら、そっから跳ね起きして体勢立て直せたろっ!」
「んバカっ!目の前に巨大化した小大が居たんだぞ!そんな隙を見せたらその巨体で押さえ込まれるっ」
「その拳は飾りかっ!“大拳”のパワーなら避ける隙くらい作れんだろっ!」
「なにおう!」
「なにさっ!」
「落ち着けよー!二人ともっ!怪我に響くって!!」
戦闘訓練が終了して、アタシこと『
他の女子メンバーは総出で直撃を受けた小大っちの治療にあたっている。何せ全身を熱線で焼かれたんだから、早く手当てしないとやばいわ。
すると人手が足りず、拳藤っちの信頼を得ている大入っちがこうして手当てを手伝ってくれてる。話に聞くと拳藤っちと大入っちは幼馴染みらしい。端から見てても仲が良い二人の筈なんだが…何故か口喧嘩が始まった。
内容を聞いてみるとさっきから、先程の戦いでの文句ばかり。あれー?どうしてこうなった?
あそこが駄目だった、ここが悪かった、あーだ、こーだと、ワーワー、ギャーギャー…よくもまぁ、たくさんの意見が出るわ出るわ。
…けどさ?アタシだけじゃ無く、皆知ってんだぞ大入っち?あの戦闘の間、大入っちが凄いソワソワしながら画面を見てたこと、角取っちの熱線が当たったとき、思わず悲鳴上げそうになってたの…。最後の攻防の時なんか「一佳ぁぁっ!避けろぉぉっ!!」って叫んでたからな。大入っちが拳藤っちをどんだけ心配してたのかよく分かったよ…。
この二人っていつも一緒に居るから近寄りづらかったけど…今度もっと話してみよう。こいつら多分遠くから見てても、近くで話してもきっと面白いわ。
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「敵《ヴィラン》の基本方針の変更?」
怪我の手当てを終えると、一同は集合。講評の時間を取っていた…。
試合結果を見て「はい終了」ではなく、しっかりと良かった点・悪かった点を洗い出すのは授業らしいと言える。
議題はまず、「反則染みたバリケード」と「ペナルティーのルール変更」に付いてからだ。何故こんな暴挙をオールマイト先生が容認したのか?真っ先に一佳から上がった質問だった。
「角取・小大ペアはある提案をしてきたんだ。…それは「
「核兵器を利用した犯罪」が目的では無く、「その情報に踊らされたヒーローの始末」が目的では前提条件が代わる。
この目的の場合、「標的を奪いに来たヒーローを確実に始末する必要がある」。
標的を奪われれば餌となる「核兵器」を失う事になるため
ヒーローチームに捕らわれれば、肝心のヒーローを始末出来ないため目的を果たせない。
タイムアウトになれば攻め手に欠けたヒーローチームが撤退。ヒーローを始末出来ないため、これまた目的を果たせない。
ヴィランチームは幾ら核兵器を死守しようが「ヒーローチームを始末出来なければ」本来の目的を達成出来ない状況へと変化した。今回の反則バリケードはヴィランチームの設定要求に合わせてゲームバランスを調整した結果だった…らしい。後、「生徒達の自由な発想の妨げになるのは宜しくない」とオールマイト先生は考えたためだと言っていた。
最後に「反則バリケードは誰でもできちゃうから以降はNGで頼むよ?人真似はよくないしね!」と言われた。
「…でさ?何時まで落ち込んでるんだ鉄哲?」
「うぉぉぉっ!すまねぇ!すまねぇっ!俺が突破口開いてやるって言ったのに真っ先に落ちちまって!ホントにすまねぇっっ!」
「いや、あれは仕方ないよ鉄哲?だって小大さん達完全に狙い定めてたもん」
「…ん。そうだよ?鉄哲君は硬いし、力も強いから、私と角取さんじゃ正面からは戦えなかった…よ?」
「うぉぉぉっ!!」
部屋の隅を見やるとそこで男泣きする鉄哲さんとそれを慰める俺と小大さんというなんとも奇妙な光景が広がっている。そりゃそうだ、威勢良く啖呵切ったのに蓋を開けたら只の置物にされたんだもん。多分俺だって塞ぎ込む自信有るわ。それより…
「何時までそうしてるの?角取さん?」
「Oh!見ないでクダサーイ!見ないデ!!マタやってしまいマシタ!ハズカシイ!ハズカシイデース!!」
そう言って両手で顔を覆い隠し、部屋の隅で屈み込む角取さん。角取さんは普段
「さて!次はヴィランチームが仕掛けた策についてまとめようかっ!!」
(((((えっ?このまま続けるの!?)))))
鉄哲、角取両名を横に置いて話を進めるオールマイト先生。まぁ、落ち着くまで放っておくのも一種の優しさ…かな?
「…一番の策は小大さんの「一撃奇襲」でしょうか?“個性”に関する情報が不十分だったために成立した奇策。お見事でしたわ」
「実際に戦った私としては「バリケード」が厄介だったね。アレさえ無ければ苦労はしなかったかもな」
「他にも「五階の水たまり」が有ったな。特殊な移動法を持っていないと実質回避のしよーが無い。相手にこちらの位置がバレるのはそんだけ危ねーだろ」
「けど、ソレってさ?「カーテン」での内部隠蔽して、相手に時間を掛けないと成立しないっしょ?」
「…コレってさ?「奇襲の為の布石」じゃないの?」
物間君の発言に皆が首を傾げる。
「「カーテン」で探索時間を稼いで「五階の水たまり」を用意したのはいいよ?これで相手が何時踏み込んでくるか察知できたしね。問題はその後の「バリケード」…部屋に突入したらあんなに目立つ物が有るんだもの「上からの奇襲」なんて目がいかないよ」
「あぁ、それならもうちょっと言うこと有るわ…」
俺は物間君の言葉に付け加えて、説明した。
「まず第一に「ビル内の照明」。「カーテン」を引いて中の様子を分からなくするのも目的だけど、一番の狙いは「明るい部屋」と「暗い廊下」を交互に探索させることで「目を慣らさせない」狙いが有ったね。これだけで罠や奇襲を見落としやすくなる。
加えて「トラップを最小限にした」事だな、単に時間が足りなかったせいかもしれないけど「結果的にトラップに対して警戒が緩んだ」よな?実際に五階ではスピード勝負に出るハメになったわけだし…。
最後に物間君が言った「水たまり」と「バリケード」。足音からの「情報」とバリケードを使った「
「「「「「…」」」」」
突如訪れた沈黙。皆が微妙な顔をしながらこちらを見ている。えっ?ちょ?俺なんかした!?
「…あれ?俺、変なこと言った?」
「…ん。凄い…」
「Wow…Perfect answerデス」
「…まぁ、計画に穴も多いが、僅かな時間で組み上げた事を加味するとかなりのクオリティだったぞ…!」(思っていたより言われた!!!)
オールマイトはサムズアップで応える。良かった、合っていたらしい。ここで違っていたら恥ずかしい思いをするとこだった。
「…ゴホン!とにかくだ一戦目から様々なアイデアを尽くしてくれた小大少女に角取少女!そんな苦境にナイスガッツで乗り切った拳藤少女!皆良い物を見せて貰ったよ!!…鉄哲少年はこの悔しさをバネに頑張ってくれ!!」
「…ウッス!」
「さぁ少年少女っ!次の戦い、行ってみようかっ!!」