転生者「転生したんでヒーロー目指します」   作:セイントス

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20:第5戦 Cチーム with joker vs Gチーム 3

「あははははっ!素敵な“個性”だね!!正直羨ましいよっ!!」

「それを…お前が言うかっ!?」

「あぁ言うねっ!君の“個性”は全身の何処でも、自在に、細部でも「刃物化」出来るっ!しかも、正面からの強度は非常に強く、簡易的な「盾」としては申し分ないっ!!少々、側面が脆いのが悩みのタネだけど…ねぇっ!!」

 

 

アジト二階。

物間と鎌切の二人は戦場を広い部屋に移し、激しい斬り合いを繰り広げている。鎌切は戦闘の最中、観察と考察を重ね、相手の“個性”の秘密を少しづつ解き明かしていた。

 

『物間寧人』

“個性:コピー”

触れた相手の“個性”を五分間使い放題。同時発動は出来ないが、複数の“個性”をストック可能。但し“個性”の扱い方は手探り。

 

 

二人は自身の手を、足を、腕を「刃」へと変化させて戦い続けている。

 

 

「すまない!こちら鎌切っ!只今、物間と交戦中だっ!このまま捕らえるっ!」

「仲間と通信とは随分余裕だねっ!」

「ああ!お前の底は見えたからな!」

 

 

物間の猛攻を防ぎ続けた鎌切は隙を狙った強打で物間を大きく後退させる。

 

 

「…どういう意味かな?」

「…お前、“個性”は真似出来ても「“個性”の使い方」は真似できないんだろ?」

「…」

「身体「刃」にしたかと思えば、腕全体だったり、脚全体だったり…変化が大味過ぎるんだよ。俺の“個性”を使えていない証拠だ」

「…はぁ、仕方ない。…じゃあ手段を代えよう」

 

 

物間は“刃鋭”を一時解除。別の“個性”に切り替える。

物間は両手に〈揺らぎ〉を纏う。手のひらをかざすとそこから「突風」が吹き出し、鎌切を吹き飛ばす。

 

 

「うぐっ!これは大入の「風」!?複数の“個性”を使えるのかっ!」

「確かに推察通りさ!“個性”をコピーしてもそれを直ぐさま十全には使えないっ!それでもさっ!複数の“個性(ちから)”を使えるのが僕の強みさぁっ!!」

 

 

物間は手から次々空気弾を放つ。時には壁を、机を吹き飛ばす。鎌切は器用にも次々と攻撃を回避していく。

 

 

「ははははっ!どうだっ!?複数の“個性”を前に君はどうやって勝つ気だいっ!?」

「…やっぱり、お前の底は見えてるよ」

「…何?」

「お前の攻撃には「重みが足りない」。所詮、借り物でしかないお前の力では、積み上げることの出来ない「決定的な差」だっ!」

「…っ!!!」

「俺はこの“個性”と10年以上寄り添ってきたんだ。魅せてやるよ…お前との「決定的な差」って奴をよっ!」

 

 

鎌切は突如クラウチングスタートの構えを取る。次の瞬間、全身を刃鋭化した。

先程までの「腕を刃にする」「足を槍にする」とは次元が違う、…「刃が生えている」のだ。

手足は凶悪な鉤爪に、頭は刀の兜に、体は全身を針鼠のように、関節の要所は翼の様な白刃に…。

体の至る所が凶器へと変貌する。

 

 

「〈完全武装〉…俺の切り札だ。では…、推して参るっ!」

「くっ!」

 

 

鎌切は地を蹴り駆け出す。

物間は大入の空気弾で応戦する。しかし、鎌切はビクともしない。

鎌切の足は刃鋭化により鉤爪となっている。これがスパイクの役割を果たし、強力な踏み込みを可能にする。加えて、全身が針鼠となった体は、鮫肌リブレット(競泳水着にある水の抵抗を減らす構造)に似た役割を果たし、風の抵抗を殺す。

物間は何とか回避するが、獲物に狙いを定めた鎌切は逃がしたりしない。地面を素早く走り回り、手足の鉤爪で壁を激しく跳ね回り、物間の逃げ場を殺していく。

 

凶刃の塊と化した鎌切は物間に向かい突撃していく。

 

 

_______________

 

 

「…お前、モノマネ(それ)ばっかりだな」

 

 

あぁ…これって走馬灯って奴だな。ほら、死ぬ直前に見たりするやつ…。だって僕、今にも死にそうだし…?訓練で死にそうとか何ソレ?笑えないよ…。

それにしても寄りにも寄ってこの情景かぁ…最後の最後までサイアクだ。

 

あれは…そう…僕が初めて“個性”を使った日だったかな?その日、幼稚園の友達が“個性”を発現したんだ。どんな個性…だったかな?確か“水を操る力”だったかな?

皆で「すごいねー。かっこいいねー」ってその子を褒めてたんだ。その頃、僕はまだ“個性”が発現してなくてさ「いいなー。うらやましいなー」って見てたんだ。それでさ?僕にも「“ああいうこと”出来ないかな-?」って、コップの水を眺めてたんだ。そしたらさ、自然と「コップの水」が動き出したんだ。

その夜、ママとパパに見せようとして、失敗して、それはもう泣いたね。今思いだしても恥ずかしいよ。

 

その数日後…だったかな、うん。また新しく“個性”の発現した子が居たんだよ。“手のひらの間に電流を流せる力”だったね。その日も僕は「“ああいうこと”出来ないかな-?」って、考えていたんだ。するとさ?手のひらがビリッとなって、電気が流れたんだ。

 

そこで僕は気付いたんだ…僕は“他の皆をマネっこする力”だってさ。

 

…それを知った僕かい?勿論喜んださ!当時は「この“個性”ならどんなことだって出来るっ!」って思っていたからさ。

実際に、空を飛んだり、速く走ったり、壁を通り抜けたり、幻で悪戯したり、水の中を泳いだり…あぁ、本当に楽しかったな。あの時が来るまでは…。

 

 

「…お前そればっかりだな」

 

 

あれは雨の降る日だった。

 

 

「なんのことだい?」

 

 

幼稚園からの友達。内容は覚えていないけど…本当に下らない話だったと思う。

 

 

「いつも…いつも。……いつもいつもいつもいつもっ!!人のマネばっかしやがってっ!そんなにモノマネが楽しいかっ!!」

 

 

些細なきっかけで喧嘩になったんだ。今思うと自分が余りにも図々しい人間だったせいだろうね。

よく考えてみなよ?“個性”って基本的に一人一個なんだぜ?勿論“複合型”とか“派生形”“発展系”何てモノもあるけど、一つの“個性”で無限の“個性”が使えるのは多分僕の“コピー”くらいじゃないかな?…嫉妬の対象になるよ、そりゃ。

 

僕は弁解したよ「そんなつもりはない」って。でもさ?相手はそれじゃ納得できなくて、結局そこから大喧嘩さ。相手の“個性”対して、僕も“相手の個性”で応戦したんだ。

するとどうだろうか?撃ち合えば負けるし、殴り合えば負ける。その時気付いたんだ「“個性”を使える」としても「“個性”を使いこなす」事は出来ないって。

こりゃ駄目だ、降参。逃げようとしてもすぐに追いつかれる。…本当に一方的な戦いでさ、僕はボコボコのコテンパンにされたさ。

 

 

「…いいか!一生俺に近づくなっ!絶対にだ!!」

 

 

去っていく彼。雨に濡れ、地面に転がり、グチャグチャの僕。あの瞬間は本当に惨めだったな…。涙も雨と共に流れ落ちてしまったよ。

 

…?あぁ、喧嘩の相手は皮肉にも“水を操る力”を持つ子だったね。

 

 

 

_______________

 

 

あれから、情けない自分を変えたくて『ヒーロー』目指して頑張って来たけれど、結局あの時と変わらないままか…。弱気な自分に思わず溜息が出る。

 

 

「喰らいなぁっ!尖刃走破っ!」

 

 

鎌切が全身の刃で特攻してくる。もう避けられない。…あれは、痛いだろうな。もうね、処刑シーンにしか見えないもん。

 

仕方ないから、“刃鋭”を使って全身を防御する。さあ、せめて死にませんように…。僕は攻撃に身構える。

 

 

「参式!雷光斬りっ!チェストぉぉぉっ!!」

「ぐげぇっ!!」

 

 

横から飛び込んできた人に、鎌切はカエルみたいな声を上げ切り飛ばされる。

 

 

…おいおい。何で君はここに居るんだい?

 

 

「…ったく!なんだってそんな情けない顔してんだっ!」

 

 

道化師の様な、奇術師の様な姿。

 

 

「もっと笑いなよ!精神的余裕は闘いに必要な要素だよ!」

 

 

その姿はボロボロで、服のあちこちが破けている。

 

 

「でも、頑張って戦ったんだな…!後は任せろ!」

 

 

割れた仮面から笑顔を覗かせる少年、僕の相方『大入福朗』はそこに居た。

 

 

「安心しろ!俺がいる!!」

 

 

 

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