転生者「転生したんでヒーロー目指します」   作:セイントス

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2:高校受験1

『僕のヒーローアカデミア』と言う作品をご存じだろうか?

 

 

俺のこんな与太話に付き合う様な奇特な人達なら説明も不要だが…、所謂『お約束』と言う奴なので一応説明しておこう。

 

 

『僕のヒーローアカデミア』とは週刊少年ジャンプに連載されていた異能バトル物にカテゴライズされているマンガだ。

 

事の始まりは 中国 軽慶市

″発光する赤児″が生まれたというニュースだった…。

以降、各地で「超常」は発見され、

原因も判然としないまま時は流れる、

いつしか「超常」は「日常」に…「架空」は「現実」へと変化した。

 

世界総人口の約八割が何らかの″特殊体質″である超人社会となった現在、

かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が

脚光を浴びることとなる。

 

『ヒーロー』

 

″超常″に伴い爆発的に増加した犯罪件数

法の抜本的改正に国がもたつく間

勇気ある人々がコミックさながらにヒーロー活動を始めた。

 

物語はそんな世界の一人の少年『緑谷出久(みどりやいずく)』の苦悩と努力を描いた英雄譚である。

 

…さて、何故こんな前置きを長々と話したと言うと…。

 

何を隠そう、俺はこの作品のファンである。

毎週読んでいた週刊少年誌からこの物語の虜となり、コミックスを購入し、アニメを欠かさず視聴するほどの大ファンであった。

 

 

 

…ん?何故、こんな話をするのかって?

それは、俺が転生したのがこの世界だからだよ!

 

大ファンである俺が「ここがヒロアカの世界である」と知ったら興奮して止まないのは想像に難くないだろう。

つまりアレだぞ!生でデク君の活躍とか!飯田君の独特な手の動きとか!黒影(ダークシャドウ)ちゃんとか!その…見られちゃうんだぞ!?

 

閑話休題

 

…失礼した。気持ちを切り替えてまずは、オーソドックスに自己紹介から始めようか。超高校級の幸運さんだって自己紹介から始めてたしな。

 

俺の名前は大入福朗(おおいりふくろう)。しがない転生者である。

 

線路に落ちた女性を助けようとして死んだ前世だったが…。自称神とか言うショタに導かれて「ヒロアカの世界」に転生するなんて…。いやホント人生って分からないもんだ。

 

転生直後は右も左もわかんないことだらけで、変なボロを出さないように気をつけて日常生活を送っていた。まぁ、余計なこと話せないから友達は殆ど居なかったけど…。

 

でも、無事に“個性”も使える用にはなったし、目指す場所は一つしか無い。

 

 

 

 

「…ついた」

 

 

俺は今とある高校の校門に立っている。

 

雄英高校

 

ベストジーニスト8年連続受賞「ベストジーニスト」

事件解決数史上最多、燃焼系ヒーロー「エンデヴァー」

“平和の象徴”「オールマイト」

 

その他にも超が付くほどの大物ヒーローを数多く排出した有名高校だ。雄英高校のヒーロー科は「ヒーロー業界でトップになりたかったらここに行け」と言われる程の場所である。

 

もちろん、有名高校なだけあって人気のほども凄まじい。例年その志願倍率は300を超える狭き門だ。

…倍率300ってかなりクレイジーな数字だろうこれ。東京大学で3倍、慶應義塾大学で10倍であることを考えてもやばい。ヒーロー科の一般合格者数は36名、倍率300だとしたら10,800人もの人が受験することになる。何でだよ!偏差値の段階でもうちょっと諦めてもよいのではないだろうか!?

……まぁそうはいかないよな、ヒーロー科は筆記試験より実技試験に重きを置いているはずだから、偏差値79とは言っても実技クリアすればワンチャン有るわけだし…。

 

俺がここに居るのは今から雄英高校ヒーロー科を受験するためだ。俺が転生したタイミングは運が良くこの物語の主人公達と同年代だった。「折角この世界に来たのなら原作の皆を近くで見たい」というミーハーな気持ちと「折角“個性”と言う力が使えるなら是非とも十全に使いたい」と言う不純極まりない動機でこの場へと来た。ステ様もマジ切れだろうなこれ…。

 

 

とにかく!この場に立つなら目指すは「合格」!それ以外の選択肢はない!!

 

 

「ついたな…」

 

 

隣に立つ少女も緊張した声色で俺の言葉に同調した。

 

 

「なんだ?緊張してんのか?普段は恐いもの無しなのに、流石にビビったか」

「まさか!これは単なる武者震いって奴だ。どちらと言うとアンタがうっかりミスしそうで心配だよ」

 

 

少女は俺の煽る言葉にして軽口で抗議する。

 

 

「うへぇ、ひどいや。…まぁ、なんにせよここまで来たら後は全力で当たるしかないだろ」

「分かってるよそんなの。…うん、少なくともこの日のためにやれることは全部やってきた!だからそれを全部出し切れば何も問題ない!」

「あぁ、その意気だな。その方がキミらしい」

「よし!なんか元気でてきた!…いいか!目指すは二人揃って合格!全身全霊を尽くすぞ」

「勿論、全力全開で行かせて貰うよ」

「よろしい!」

 

 

そう言うと目の前の少女はニンマリと笑顔を作った。

僅かな軽口の応酬で彼女から余計な緊張が消え、いつもの調子を取り戻してくれた。実際に彼女ならこの試験も問題ないだろう。それだけの実力を持っていることを俺は知っている。

 

 

「じゃあ、健闘を祈るわ。福朗」

 

 

彼女は俺の方を真っ直ぐ見据えてこう言った。

そこそこ長い付き合いとなった彼女だが、俺に対して「全力で挑んで、そして合格して欲しい」と思っていることがその瞳から伝わってくる。

彼女の正しくて、真っ直ぐで、それでいて思いやりに溢れて居るところはとてもヒーローに向いていると思う。彼女の「他人を思いやる精神」は必ずヒーローへの道を切り開く力になるはずだ。

そんな彼女に俺も全力で激励(エール)を贈りたい。願わくば彼女も無事合格出来るように。…怪我の無いように。

だから俺も彼女にこう伝えることにした。

 

 

「俺からも健闘を祈るよ。一佳」

 

 

 

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