仕事が忙しかったり、体調を崩したり。
筆が進まず、書いては消してを繰り返してました。
待たせすぎるのもあれですので、生存報告を兼ねて投稿します。
マスコミの不法侵入から数日、ボロボロになった隔離壁もすっかり元通りになった。
マスコミの方も警察からの厳重注意のお陰有ってか、あっと言う間に静かになった。流石は国家権力!その名は伊達じゃ無い!
『雨降って地固まる』と言う奴か、無事に平穏な日常を手に入れた雄英高校。そんなヒーロー科の授業は相も変わらず平常運転している。
「今日のヒーロー基礎学は俺とパワーローダー、加えてもう一人の三人体制で行う」
あっ、これUSJフラグや。
とか思いながら担任のブラドキング先生の話を聞く。
「先生、今日はどのような授業をするのでしょうか?」
クラスを代表して一佳が先生に質問を投げかける。
「今回はヒーロー活動の中でも重要な技術。『人命救助訓練』を行う」
「レスキューとはまた難しい訓練だべ…」
「何言ってるんだ宍田!命の危機にさらされる市民を助けてこそのヒーローだろ!むしろ臨むところだっ!」
「鱗君ってば燃えてるね~」
「あったりめぇだろ物間ぁ!俺達はヒーロー目指してるんだぞ!これが熱くならずに居られるかってのっ!」
「鉄哲の考えに同意だ。人命救助こそヒーローの本懐だ」
人命救助訓練と聞き、やる気を出す生徒達。ここ数日のヒーロー基礎学は座学が多かったから余計に気合いが入っている。
「…ゴホン!続けるぞ?
今回は
訓練場は離れた場所にあるので、バスでの移動になる。それでは準備を急ぐように」
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「…うーん、どうしようか」
「またかい、大入君?まだ決まらないの?」
「んー。もうちょっとー…」
「はぁ、やれやれ」
男子更衣室、本日のヒーロー基礎学『人命救助訓練』のため男子生徒達が着替えをしている。「こんなシーン見せられても誰得だよ」と思わなくも無いが、少しだけ困った事態が起きている。
俺が今回持っていく装備が決まっていないのだ。俺の戦闘服…と言うより夥しい量の装備の数々。勿論『今回ような』訓練に対応した装備も用意してあるが……量が尋常ではない!
戦闘服を使い始めて早数日、俺はまだ全ての装備を把握できてないのだ。
「えとえと…〈ストリングガントレット〉は必須だろう?〈軍用多機能ショベル〉は貸し出し分も入れて良いな…。後は〈ザイルロープ〉・〈ハーケン〉に〈投網〉・〈土嚢用麻袋〉に〈防火コート〉と〈ゴムボート〉…は居るのかな?あっ、これは有った方が良いな!」
「いや、お前の戦闘服はホントに何なんだよっ!?」
泡瀬君からも激しいツッコミが入る。自分の“個性”を活かした結果です(キリッ!
呆れるクラスメンバーを余所に俺は取扱説明書を片手に戦闘服ケースを漁っていく。おっ、これも使えそうだ。
「しかし、便利だよなぁ…お前の“個性”」
「まぁ、一言で言えば『歩く倉庫』だからな」
感心したように鉄哲さんが此方を眺めてくる。俺はそれに軽く返事をしておく。
まぁ、荷物持ちに一人は欲しいよね。引っ越しも楽々だし。
「だったら全部持っていけば、良いのではないか?」
「それがさ、駄目なんだよ鎌切君。今回は『救助訓練』、だったら瓦礫の撤去に俺の“個性”は重宝する。ただでさえ物を出し入れするだけで体に負荷が掛かるんだ。少しでも武装を減らして負担を軽減しとかないと、いざという時に「キャパシティオーバーして使えない」なんて状況になったら目も当てられない…」
「おぅ、案外欠点も有るんだな…」
「でも、鉄哲だって良い“個性”じゃないか。正面からの対人戦闘は勿論の事、地震・火災・土砂崩れ・台風被害…あらゆる悪環境をものともせずに行動できるほどの強度じゃないか。どんな状況でもそのパフォーマンスを発揮出来るのは純粋に羨ましいよ」
「おいおい、あんまり持ち上げてくれるな。俺の“スティール”は水で錆びるし、熱で脆くなる、更には通電性まで上がっちまう。…案外弱点だって多いんだよ」
「…耐水は兎も角、耐熱は一般人の方が弱いから気にすんな。それと通電性か…全身じゃなく皮膚のみを鋼にして、アースにすることって出来ないのか?ほら、洗濯機がショートしないように電流を逃がす仕組み」
「っ!おぉ、そいつは面白そうだ!今度練習してみるわ!」
「ほら、君らボサッとしないで。時間無くなるよ」
「あっ!スマン物間君!俺、もうちょいかかる!皆も先に行っててくれっ!」
いかんいかん…。
雑談に花が咲いて、のんびりし過ぎた。このままでは授業に遅れるっ!
俺は急いで装備をまとめることにした。
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「急げや急げっ!でないと授業に遅れるぞっ!」
小声で謎の詩を歌いながら廊下を小走りで移動する。やっと装備が決まり、急いで集合場所へ向かう。なんとか間に合いそうだ。しかし、問題が一つ…。
(…視線を感じる)
バッと後ろを振り返る。しかし、そこには変わった様子は無い。
…廊下の柱に隠れる『塩崎茨』以外に。
実は最近悩みが有った。ここ数日間、どうにも居心地の悪い気分になることが多かった…ハッキリ言うと落ち着かない。
その原因が、回原君と話していて分かった。
休み時間の度に感じる視線…。あれ塩崎さんだったんかい!?
なにっ!なんかしたっけ俺!?全く覚えが無いぞっ!
内心、冷や汗を搔きまくっている俺を余所にコソコソ追跡をしてくる塩崎さん。…何やってんスか、時間無いのに。
「…塩崎さん、そこで何してるの?授業に遅れるよ?」
予想外だったのだろう。塩崎さんは急に呼びかけられ激しく動揺している。そして、その場から動き出そうとして…スカートの裾を踏んで転んだ。
「みゃうっ!」
廊下に顔面から倒れて行く塩崎さん。そんなロングスカートでしゃがむから…。
それにしても、まさかそんなネコみたいな声を上げるなんて…不覚にも萌えました。けど、クールな俺は顔に出さないように必死に脳から命令を送っております。
「大丈夫、塩崎さん?」
「いえ、すみません…ありがとうございます」
痛そうに鼻を押さえている塩崎さんに手を差し伸べてみると、素直に応じるらしく俺の手を取った。うむ、付け回してはいるけど悪感情は持っていないというわけか。
…つまり、どういうことだってばよ?
「塩崎さん一人?他の皆は?」
「ええと…皆さんは先に集合場所へ向かって頂きました。私は少しばかり準備に手間取ってしまい、待たせるのも申し訳ありませんでしたので」
「そうか、男子は俺で最後だから急いだ方が良いぞ?多分一佳が点呼とか取ってるだろうから」
「はい…」
改めて廊下をふたりで移動する。
「…そういえば塩崎さん?」
「っ!?は、はいっ!何でしょうか?」
「もしかして…俺のさっきの奴聞いてた?」
「…?さっきのとは?」
「あぁ、うん、なんでもないや」
「もしかして詩のことでしょうか?」
「うわ~。聞かれてた…恥ずかしっ」
「いえ、その、良かったですよ?」
「気遣いならいいよ」
「…はい、すみません」
そこで、謝っちゃうんだ。うへぇ…。
「ねぇ、塩崎さん?」
「何でしょうか?」
「気のせいじゃ無かったらなんだけど…俺の事付け回してる?」
「えっ!」
何故か再び慌て出す塩崎さん。
あっ、これ確定ですわ。完全にストーキングされてました。
「いやさ、「俺が塩崎さんになんか失礼なことしたかな?」と心配でさ?無自覚で無礼働いていたなら謝っておきたい所なんだけど…」
「いえっ!そんなことはありませんっ!ただ…」
「…ただ?」
俺の懸念を否定した上で何かを言い淀む、塩崎さん。何かを決心したように、こう言い放った。
「…実は、大入さんにお願いがあります」