転生者「転生したんでヒーロー目指します」   作:セイントス

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遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。

ヒロアカアニメ二期楽しみですね。それまでにはこちらも体育祭編まで…いきたいっ!

何ということでしょう…まさかの角取ポニーちゃんがチョイ役で登場。しかもキャラ設定がニアミスっ!チクショー…もっとニホンゴダメでよかったのか…。これ以上原作乖離が出るなら微修正も考えないと…。


34:突撃!隣の大入君! 1

雄英高校に入学して初めての休日。ヒーローを目指す私達に休みなど無し…と思っておりましたが、土曜日曜は学校も休日になるそうです。

詳しい理由を聞いたところ、以前に教育委員会からの物言いがあったようで…しっかりと週休二日制を設けるようになったそうです。

この休みを利用してヒーロー科の教員達は、教師の仕事により普段疎かになりがちなヒーロー活動に精を出すそうです。

 

折角のお休みなのですから有意義に使いたいですね。

 

 

神奈川を発って、電車を乗り継ぎ数時間。長い間電車に揺られ、すっかり体が凝り固まってしまいました。駅の改札口から表に出て、軽く身体を伸ばします。

 

私は大入さんのお誘いを受けて、遙々と千葉までやって参りました。実は私、小さい頃にテーマパークに遊びに来たことがあるくらいで、単身で千葉に遊びに来るのは初めての体験です。…すごくドキドキいたします。

 

 

改札を出るとよく知る私のクラスメイトが待っておりました。

整った顔立ちにぱっちりとした目、すっかり見慣れた明るい色のサイドテール。クラス委員長の『拳藤一佳』さんです。

 

こちらに気付くと快活な笑顔で手を振ります。私も胸の近くで小さく手を振り、直ぐ傍まで駆け寄ります。

 

 

「おはよう、茨」

「おはようございます一佳さん!」

 

挨拶を交わすと「さんは要らないって」と苦笑します。しかし、呼び捨てはなんとなくしっくりと来ないのです。やはり『一佳さん』ですね。

 

「お待たせ致しました。すみません、付き合って頂いて…」

「いいっていいって。私も好きでやってるんだし」

 

 

先日、約束を取り付けた際に一佳さんもご一緒に大入さんのお師匠様に久々に稽古を付けて貰うらしく、私に同行して頂くことになりました。今から楽しみで仕方有りません。

 

「それじゃあ、行こっか?」そう言った一佳さんは肩から提げていた大きめのボストンバッグを背負い直して歩き出します。私も小型のキャリーバッグを引いて後を追います。行き先は数メートル先のバス停。

 

 

「大入さんの家は遠いのですか?」

「んー?まぁ、福朗の家は街の郊外に有るからね。そこそこ遠いかな?私の家からも結構距離有るし…」

「へぇー」

「後、近くにコンビニも無い」

「えぇっ!」

「おまけに山の上に有るから行くのも大変でさー。私16になったら絶対原付の免許取るわ」

「大入さん…一体どんなところに住んでいるのですか…」

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

「とーちゃく!」

 

 

バスに揺られて数十分。徒歩で更に数十分。軽いハイキングをこなすと、街を一眸できる小高い山の麓に辿り着きました。

一佳さんはここが彼の家だと紹介してくれました。

 

 

 

児童養護施設『陽だまりの森』

 

 

 

昔廃校になった小学校があった土地を利用した建物。当時の面影は殆ど取り壊され、僅かに残した部分をそのまま家屋に改修した物なのだと一佳さんは説明してくれました。

 

そして、一佳さんは施設のインターホンを一度鳴らし、玄関から中に入っていきます。

 

 

「ごめん下さーいっ!拳藤です。福朗居ますか?」

 

 

そう言うと奥の方からパタパタと駆け寄って来る足音が聞こえました。顔を出したのは猫耳に猫顔、猫尻尾の幼い少女。少女はそのままの勢いで一佳さんに抱きつきます。

 

 

「いつか姉ちゃんおひさしぶりにゃっ!」

「ねねこ~っ!元気にしてた?」

「ふにゃっ!ふにゃぁぁぁっ!!」

 

抱きついてきた幼い少女に反撃するかのように、一佳さんが喉元を優しく撫でました。すると、少女は気持ち良さそうな声を上げます。とても可愛らしいです。

 

「にゃっ!にゃっにゃっ!いつか姉ちゃん、そのお姉ちゃんが福にぃの話してた?」

「そっ、私達の友達。…さぁ、ねねこ自己紹介して?」

「はいにゃっ!私のなまえは三宅寧々子(みやけねねこ)ですっ!小学三年生です!キウイが好きです!」

「まぁっ、丁寧にありがとうございます!初めまして、私塩崎茨と申します。

…ねねこちゃんと呼んでも良いですか?」

「はいにゃ!いばらお姉ちゃんっ!」

 

そう言うとねねこちゃんは私にも抱きついてくれました。やっぱり可愛らしいです。思わず頭を撫でると、ねねこちゃんはにゃあにゃあと甘えた声で鳴きます。撫でる手が止まりません。

 

「ねねこー?一佳姉来たか?」

 

家の奥からもう一人少年が出てきました。エプロンに箒とちり取りを装備したつり目の男の子。…年は小学校高学年くらいでしょうか?

 

「たばねも久しぶりっ!元気にしてた?」

「…あぁ、お陰さんでこの通りだよ。…でそちらさんが福兄の言ってた友達?」

「はい、塩崎茨と申します」

「…福兄がまた女連れてきた」

「…?」

「あぁ、ごめんなさい。初めまして、葛西束(かさいたばね)です」

 

一瞬だけ暗い表情浮かべ、ブツブツと何かを呟いた様でしたが、すぐに元の表情に戻った彼は丁寧に自己紹介をしてくれました。冷たそうな見た目に反して意外と礼儀正しい子です。

 

「…あぁ、済みませんでした。福兄なら今稽古中ですので案内しますね」

 

 

 

_______________

 

 

大入福朗は拳を構えて相手を見据える。彼我の距離は10mも無く、数歩踏み込めば互いの拳が届く。

 

向かい合う相手は女性。体の線は細く、それでいてしっかりと鍛えられた肢体は、ふわりとしたセーターとロングスカートに包まれている。長い黒髪は邪魔にならないように髪留めで後頭部に一纏めにまとめられ、顔にはいつもの穏やかな表情を浮かべている。

臨戦態勢の大入とは対称的に、女性は拳を握りもせず、手を後ろで軽く組んでいる。まるで道端の野草でも眺めながら散歩でもしているかのように余裕の表情を醸し出している。

 

大入は神経を更に研ぎ澄ます。

 

どんなに揺さぶりを掛けても心を乱さずに自分を貫く。その胆力が女性の強さであることをよく知るからだ。

 

そんな師匠(彼女)から、これまで大入は一本取ったことは未だに無い。

 

 

「…はっ!」

 

 

大入は一気に距離を詰める。服の擦れるキレの良い音を鳴らし、鋭い正拳突きを放つ。

女は眉一つ動かさずに半歩だけ横に躱し、大入の死角に入る。

女はそのまま反撃の蹴りを繰り出そうと構える。しかし、突如大入から大きく距離を取る。すると、女の立っていた場所を数発の石の礫が穿つ。

飛び退いた女が体勢を立て直す前に、大入は追撃を仕掛ける。地面を削りながら蹴り上げ、跳ね上げた土で女の目を潰す。

女が片手で土を払うと、脚に違和感を感じる。何が?…と目を見やると、今正に脚にロープが絡み付いていく。ロープの両端に錘を結びつけた投擲用の狩猟道具に見えるそれは、先日『泡瀬洋雪』が使っていた物を模倣した武器だ。それに足を取られた女に大入は距離を詰める。

 

 

「疾風っ!三連撃っ!」

 

 

両脚に纏った〈揺らぎ〉から強烈な暴風が渦巻く。下段足払い、中段拳打、上段回し蹴りと立て続けに繰り出す連撃が女を狙う。

すると女は下段、中段を易々と捌き、上段として繰り出された足を掴むと、上空に向け大入を投げ飛ばす。

 

 

「爆砕っ!重落下っ!」

 

 

空中で体勢を整え、両脚の暴風が女目掛けて墜落する。女がバク宙跳びでその場を離れると、落下地点の地面が抉れ、盛大に土埃が舞い上がる。

女が脚に絡まったロープを引きちぎる間に、土煙の中から大入が飛び出す。

 

 

「旋風っ!回転脚っ!」

 

 

瞬く間に詰め寄った大入のローリングソバットに女が再び距離を取ると、女の頭上に石礫の雨が降り注ぐ。

 

 

突風銃(トップガン)っ!」

 

 

女の注意が上方へと僅かに逸れたところを狙い澄まし、大入は凶弾を二発放つ。しかし、彼の師である彼女がそんな物で仕留められるはずは無い。平然と拳で石の弾丸を弾く。

しかし、大入狙いはその拳。突き出された女の腕にロープが巻き付く。ロープの先を辿ると、そこにはロープを握りしめた大入がいる。

それすらも確認するより早く大入は手元のロープを思いっ切り手繰り寄せる。

 

女は体勢を崩される前に、大入との距離を詰めるべく接敵する。対して、大入は正面に〈揺らぎ〉を作り、迎撃に入る。

 

女の突きが貫いたのは大入が取り出した「ベットシーツ」。女がシーツを払い除けると、大入の姿は忽然と消えていた。

 

 

「衝撃のぉっ!」

 

 

声を聞き、女は空を見る。すると全身に〈揺らぎ〉を纏い、自慢の拳を構えた大入が居た。

 

 

「ファーストブリットぉぉっ!」

 

 

大入は女に突撃する。

 

 

 

 

 

 

次に轟音。

 

 

 

 

 

 

 

…そこには地に伏せる大入が居た。

 

「うおおおぉぉ………っ!」

 

大入は蹲り、腹部を押さえ、呻き声を上げる。そんな悶える大入を眺めながら女は口を開く。

 

「う~ん…。今のは中々良かったんじゃないかしら?」

 

女は人差し指を唇に当てて思案するように話し出す。

 

「…うん、技の繋ぎも大部分スムーズになったし、上下に視線を振るフェイントも中々に効き目があるし…。あっ!あとロープなんかの絡み付く道具を混ぜたのは初めてね。知らないうちに新しい技を覚えてくるなんて凄いわね~。…けど、必殺技を叫ぶならもっと相手が躱せないくらいに詰めないと駄目よ~。「必ず、殺す、技」なんだから、しっかりと当てれるようにお膳立てしないと~」

 

「…うす」

 

「はいっ!じゃあ、負けたから約束通り『家事手伝い三倍コース』ね♪」

 

「……うす」

 

 

「さ・て・と♪…初めまして。福朗がお世話になってます」

 

 

女が穏やかな笑顔で視線を送ると、そこには呆れた表情の葛西束と拳藤一佳、そして引き攣った笑顔の塩崎茨が居た。

 

 

 

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