転生者「転生したんでヒーロー目指します」   作:セイントス

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おおいりはなかまをよんだ

なんかいっぱいあらわれた




46:騎馬戦 4

『何だこれはぁぁ!?戦場が瞬く間にカオス空間と化したぁ!!B組大入っ!相当にキテ(・・)やがるぜイレイザーぁっ!!!』

 

 

 

 

 

『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』

 

 

大入が取り出したのは、生きたまま鹵獲したロボ・インフェルノ産の入試ロボット達だった。彼は激しい障害物競争の最中に火事場泥棒を働いていた。あくどい奴である。

 

フィールド全体に跋扈するロボットの軍勢。1p・2pばかりと言えど、その数は20に迫る。急激すぎる状況変化に選手達の混乱する声が聞こえる。

 

 

(これが…大入福朗っ!)

 

 

1-A担任『イレイザーヘッド』こと『相澤消太』は戦慄していた。根津校長にも話を聞いていたが、これ程とは思いもしなかった。

 

犯罪者(ヴィラン)の子供、大入福朗」

 

研究材料として貰った「屋内対人戦闘訓練」の資料でもその片鱗は見られた。

 

 

核兵器を持ち歩く。

仲間を捕縛する。

核兵器を盾に恐喝する。

 

 

そう、大入は戦いの前提条件を根底から引っ繰り返す。

 

心境としては「着実に王手に向けて詰み込んだ将棋を将棋盤もろとも巻き散らかす」ような気分だ。後に残るのは「無秩序」だけだ。

 

 

あまりに危険な破滅思考──…

 

 

相澤の価値観から言ったら、大入福朗は「見込みが無い」。しかし、その能力や技能に関しては二流三流のプロヒーローより卓越している。

もし、「大入をこのまま野放しにしたら」どんな結末が待っているか?想像しただけでも悪寒が走る。地面に埋まる不発弾の様な存在だった。

 

 

_______________

 

 

「…よっと!ただいまっ!」

「ただいまっ!じゃないでしょ!!?なんなんこれ!?」

「凄いよ、これ程の物質を取り出せるなんて。“道具を自在に取り出せる個性”だから八百万さんの戦闘スタイルに似ているかと思ったけどそんなことは無い!

大入くんの場合、気体や液体まで持ち運べる。それを「技」として利用する彼は、謂わば“特定の物質を放出する個性”を使えると言っても支障は無い。例えば“水を放水する個性”の『バックドラフト』と比較するとだろうか…?

とにかく、その二つの性質を使った二刀流…いや待てよ?これに“物をしまう個性”の性質まで合わせれば……」

「緑谷よ帰ってこい」

 

 

混乱に乗じて大入は自分の騎馬に帰る。チームの皆から手厚い歓迎を受ける。今の僅かな時間だけは大入チームに目が行かない。

 

 

「ひとまずこの隙に態勢を立て直して…」

 

『目標発見ブッ殺ス』

 

「っ!黒影(ダークシャドウ)ぉっ!」

「アイヨ」

「うわっ!!」「きゃぁぁっ!」

 

 

次の瞬間、こちらを標的に決めた2pロボットの銃口が向けられる。吐き出された銃弾を黒影(ダークシャドウ)が防ぐ。安全箇所などは無い。

 

 

「えっ!ちょ!なんで!!なんでロボットこっち狙っとるん!?」

「当たり前だよ。別にロボットをコントロールしてるわけじゃないんだ。ランダムで狙って来るに決まってんでしょ?」

「なんなん!?大入くん、ほんとになんなん!!?」

「と、とにかく混乱に乗じて雲隠れしよう!…っ!」

「うおっ!」

 

 

大入チームが逃げようとした瞬間。全身に悪寒が走る。いや、「冷気」が走る。

 

パキパキと言う音を立てて、フィールドの一角を切り出すかの様に、巨大な氷の壁が聳え立った。

 

 

『ああっと!突然現れた氷の城塞!!フィールドが二分されたぁぁっ!!』

『あれは轟チームだな…とうとう動き出したぞ』

 

 

「…っ!?閉じ込められたか!」

「やっぱり一筋縄ではいかないよね…轟くん!」

 

「さて…そろそろ貰うぞ1000万点」

「大入くん。正直に言って俺の予想を軽々越えていったな…。だが!1000万点(それ)を手にするのは轟チーム(俺達)だっ!」

 

 

周囲を確認すると拳藤チームに鱗チーム…そして大入チームと轟チームが綺麗に隔離されている。

 

 

(うわー分断うまー…やりにくい)

 

 

大入はげんなりしていた。

ロボットが暴れ回り、騎馬が混乱する中で轟はポイントを持つ騎馬だけを正確に「囲い込んで」いる。総取りを狙い、邪魔者は排除…と実に冷静沈着だ。これは厳しい状況変化だ。

大入チームはすぐさま対策を考える。

 

 

「大入くん?君だけでも飛んで逃げれる?」

「却下だな。

無理に飛ぶとまたカラスに襲われる。何回も繰り返されたら、その内墜ちる。

それに氷の壁の向こうの方が騎馬の数多いから、単独じゃ残り時間逃げ切るのは厳しい…」

「それじゃあ…」

「そうだね。轟チームを凌ぎきろう!」

「了解した。正念場だぞ黒影(ダークシャドウ)っ!」

「アイヨ」

 

 

決着まで残り時間6分。

 

 

________________

 

 

「クソっ!こっちに来やがったか…小大!」

 

小大チームは吹出の“個性(コミック)”の能力の一つ「コマ割り」を使って雲隠れし、戦況を観察していた。

「コマ割り」とは漫画に置いてページに場面を割り振る作業のことだ。写真を切り抜くかの様に場面々々を切り抜くこれはコマの外の空間認識を曖昧にする。

要は「凄く影が薄くなる技」だ。最も派手に動くと解除され、相手に強く意識されても解除される不安定な技だが…。

兎に角、大入が生み出した状況を好機と察し、攻めに転じたのだ。狙いはこの場で最も単体で高得点を持つ鉄哲チーム。

 

 

「牽制しますっ!」

 

「ん!やっちゃって凡戸くん!」

「応っ!」

 

 

鉄哲チームの塩崎が“個性(ツル)”を使い先制を仕掛ける。それを防ぐ様に凡戸の“個性(セメダイン)”がツルに絡み付き地面に貼り付けられる。

 

 

「ん。庄田くん加速…吹出くんベタフラ」

「任せてっ」『了解!』

 

 

小大チームの後ろに控えた『庄田二連擊』が大地を蹴る。増幅された衝撃が推進力となり一気に肉薄、鉄哲チームの左舷に着ける。

 

 

「グオっ!?」

 

 

急に吹出の顔から強烈な光が放たれる。

「ベタフラッシュ」…一瞬の閃きを表現する漫画技法はそのまま強力な光となって無理矢理隙を作る。

 

 

「ん!?」「うお!」『わっ!』「っ!」

 

 

トドメを決めようとしたその瞬間、突如小大チームの足が地面に埋まる。フルパワーを発揮した骨抜の“個性”は小大チームの騎馬を膝まで沈めた。

更に泡瀬が追い打ちをかける。柔らかくなった地面に“個性”の「接合エネルギー」を流し込み、瞬く間に地面を分子レベルで再接合してしまった。

 

こうして小大チームは大した見せ場も無く退場することとなった。

 

 

_______________

 

 

「あ゛あ゛ぁぁぁっ!ウザってぇなぁっ!」

「うわっ!こんにゃろう!」

「ちょ!?来ないでっ!」

 

『『『目標発見ブッ殺ス』』』

 

 

爆豪チームは迫り来るロボットの軍勢を次々鎮圧していた。1p2pロボットは動く標的に近づく習性がプログラミングされている。派手な“個性”の爆豪が自然とヘイトを稼ぐ。

 

それでも爆豪チームは猛追する。

ポイントを奪った物間チームを…。

 

 

「やれやれ、君らもしつこいね…」

 

「ったりめぇだクソ野郎がっ!」

 

「おぉ、こわいこわい。でも、一先ずはこいつらを相手にしてくれ」

 

『目標発見ブッ殺ス』『目標発見ブッ殺ス』

 

「うわっ!ちょ!またかよ!」

 

 

不自然(・・・)に物間チームを避けて爆豪チームに攻撃を仕掛けるロボット達。

制御不能なロボット達を操る絡繰りが物間チームにはあった。

 

答えは円場の“個性(空気凝固)”。実はこの空気凝固は息の吐き方で形を自由に変化できる。

これをコピーした物間は、幅は短く、横に長い空気の壁を作った。

ズバリ「ガードレール」だ。物間は空中にガードレールを敷き、それに沿うようにロボット達を爆豪チームになすりつけていた。

 

足止めに成功して逃走を謀る物間チーム。…ふと、足を止め、思い出した様に爆豪チームに話しかけた。

 

 

「そういえば何だけどさ…君有名人だよね?」

 

「あ゛?」

 

「「ヘドロ事件」の被害者さん!今度、参考に話を聞かせてよ。

年に一度敵に襲われる気持ちってのをさ…」

 

 

物間チームはまんまと爆豪チームから逃げおおせる。

 

 

 

 

 

「…黒色。首尾はどうだ?」

「無論だ物間。あの様な単細胞を染め上げるなど造作もない」

「そいつは重畳」

 

 

物間は黒色にこっそりと“個性(ブラック)”を使うように指示していた。ありとあらゆる事象を飽和状態にし、「黒」と言う一点に集約させ、呑み込ませる彼の“個性”は、限定的ではあるが曖昧な概念である「心さえ黒く染め上げる」。

 

それを爆豪に使ったのだ。今の彼の心中は「黒」と言う名の負の感情に溢れかえっている。いつ心のダムが決壊して、暴走してもおかしくは無い。

 

 

「なー物間ー?本気で爆豪(アレ)を相手取るのか?俺ヤダぞー…」

「そうだよな、無理に相手しないで逃げ切る方が楽だろう」

 

「…そうだね。僕もそう思うよ」

 

 

物間は困ったように笑う。

 

 

「でもさ、気が変わっちゃったんだ。彼らを全力で倒したい」

 

 

原因はあの大入福朗だった。

 

常日頃から何かとコンビを組む事が増えた大入と物間。周りからは相方々々と持て囃されいるが、その差は歴然だった。

圧倒的な実力で戦闘でも非戦闘でも迅速に物事を処理していく大入。その後に続いて取りこぼしを多岐に渡る“個性”で埋める物間。

 

大入の辣腕っぷりは、今、この場所でA組を蹂躙するほどに誇っていた。

 

 

──彼の隣に立てるように成りたい。

 

 

屋内対人戦闘訓練で初めて感じた、感情が、欲が、顔を出した瞬間だった。

彼の相棒を名乗るなら爆豪チームくらい下せなくて名乗れるものか!

 

 

「…あ~あっ!しっかたねぇなぁ!んじゃ、回原先生のカッコイイ所見せてやらねえとな!」

「ふふっ、頼むよ先生?」

「うわーマジかー」

「諦めろ円場。吐いた唾は戻せない物だ…」

 

 

こうして物間チームの無謀な戦いが始まる。

 

 

 

 

 

「………」

 

「ば、爆豪?」

 

 

迫り来るロボットを倒した爆豪チーム。その騎手爆豪は沈黙を保っていた。不自然な沈黙に切島が恐る恐る声をかける。

爆豪は黒色の仕掛けた負の感情に苛まれている。荒れ狂う嵐の様に渦巻く心に思考までもグラつく。

 

 

「お…ォォ…おおおっ!が…が…がああああぁぁぁあああぁぁああぁぁああああぁっ!!」

 

 

空気を振るわすほどの絶叫。全身の怒りを全て吐き出すかのような絶叫。どこまでも何処までも木魂する。

 

 

「切島ァ……。予定変更だ…」

 

 

──デクの前にこいつら全員殺そう…!!

 

静な声でそう告げた。

 

 

「おい!爆豪落ち着けっ!冷静になんねえとポイントとりかえせねえぞ!!」

「進めェ切島ァ…。俺は今…すこぶる冷静だ…!!!」

「頼むぞマジで…」

 

 

怪物が今、動き出す…。

 

 

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