「野 郎 て め ぇ ぶ っ 殺 し て や る っ !!!」
「待てって!!勝手すなああ爆豪---!!!」
爆豪は物間の挑発に耐えきれなくなり、飛び出した。クラスメイトの切島の制止すら振り切ってカチコミをかける。
爆豪の頭はB組連中を爆殺することしか考えていなかった。
物間は“
「ファイヤ!ファイヤ!!ファイヤ-!!」
「そんなもん誰が当たるかクソボケがぁぁっ!!」
閃光の雨を抜けて爆豪が物間チームへと肉薄する。
「円場!!
「しゃぁっ!」
円場が息を吐き、空気の壁を割り込ませる。
爆豪は突如出来上がった壁に阻まれて失速する。
しかし、そんな物で爆豪が止まるはず無い。力技で空気の壁を叩き壊してハチマキに手を伸ばす。
物間は“
「うざってぇ!!」
爆豪は伸ばした手をそのまま爆発させ、目潰しをしながら頭上を超え、背後に移動。背中からハチマキを狙う。
物間は瞬時に“
「回原!左270!」
「おうさっ!」
回原の“
物間は“
対して爆豪は墜落する前に光る掌を爆破して再び攻勢に出る。
「爆破…確かに良い“個性”だね!」
物間は“
直ぐさま舌を引き戻した物間は“
「同じ手が通じる物かと」言わんばかりに爆豪は空気の壁を回避して進む。
「でも、僕の方がもっと良いっ!!」
「がぁっ!?」
物間は“
耳から伸びる
先程の一瞬、“
プラグの先端が狙うのは爆豪ではない。今しがた爆豪が回避した空気の壁。壁に刺さったプラグから大音量のハートビートが流れ込み、空気の壁は破裂して炸裂弾に変貌する。
──〈
爆豪は予想外の攻撃に吹き飛ぶ。両手の爆破を使い、直ぐさまリカバリーに入る。
しかし、その一瞬の隙で物間は“
『戦えっ!天翔る黒き使者達よ!あの轟爆の狂人を討ち取るのですっ!』
ガァガァガァ─…
“
「こんなもんで止められると思ってんのかぁ?あ゛ぁっ!!?」
「思っちゃあいないさ…」
カラスを撃退した爆豪が物間を振り向く。しかし、既に“
口を開き、大量の接着液を吐き出す。咄嗟に爆豪は避けようとするが反応が遅れる。
左肩から肘に掛けて受けた接着剤は瞬く間に固まり、爆豪が落下する。
「爆豪っ!!」
白線が伸び、爆豪の体を捉える。瀬呂の“
「ったくなぁ…跳ぶ時は言えってば!」
「…」
爆豪は瀬呂の忠告を無視して、再び物間に飛び掛かろうとして…
「い い 加 減 に し ろ っ !!!」
「っ!!?」
切島の怒号に引き留められた。
「なぁ、爆豪っ!さっきからお前、殺す殺すって目的見失ってないか!?
お前のやりたいことはB組の奴らをぶっ飛ばす事か?違うだろ!?お前のやりたかった事はそんなみみっちい事じゃ無かったはずだ!!思い出せよ!お前は何でここにいる!何のためにここに居る!!
優勝するんじゃなかったのか!証明するんじゃなかったのか!!
お前は…もぐっ!??」
「いい加減五月蠅いよ…」
切島の言葉が遮られ…いや塞がれる。原因は切島の顔面に張り付いた白線。物間がコピーした“
顔面に張り付いたテープは口だけでなく目まで塞ぐ。視界は閉ざされ、呼吸までも止められる。騎馬役で両手の塞がった切島にはテープを剥がせない。切島は酸素を求めて苦しみ藻掻く。
「なっ!俺の“個性”!?いつの間に!!?」
「…ハチマキ獲るときにだよ」
そういいながら物間はテープを自らの頭にも貼り付ける。“
“
「…もういい。時間もないし、終わりにしよう」
「っ!避けっ!」
「駄目っ!間に合わないっ!!」
物間からトドメの予兆を感じ、回避を促す瀬呂。しかし、それは出来ない。視界を封じられた切島との足並みが合わず、思うように動かない。
そして、最高速に達した毛玉が爆豪チームを封じるために放たれる。
──〈
触れた物を拘束する弾丸が爆豪チームに斉射される。
それは偶然だった。
爆豪の身勝手な行動に対する怒り、それをぶつけた切島。「黒」という感情に浸る爆豪の
───俺が一位になる。
その瞬間、勝利への渇望が殺意を凌駕した。
爆豪は右手を前に突き出し、強力な爆破を持って毛玉を焼き払った。
その光景に物間は不快感を露わにする。
「言われなくったって分かってんだよクソがッ!」
「いてっ!」
爆豪は切島に張り付いたテープを強引に引っ剥がす。そして、接着剤で固化した左腕に右手を添えて爆破する。
「俺が獲るのは一位だ。但の一位じゃねぇ!完膚無きまでの一位だ!!だから…
俺らのポイントも取り返して1000万へ行く!!」
(全く…勘弁して欲しいよ)
物間は辟易としていた。
この局面で爆豪が息を吹き返した。あそこまで追い込んだのに、未だに士気は高いままだ。
(こっちはガタが来てるってのにさ…)
物間は悪態をつく。
あれほどの量の“
“
“
“
“
“
“
“
“
波状的な複合使用。その小さな連結ミスが積み重なり、物間にダメージが蓄積していく。
(しっかりしろよ!物間寧人っ!ようやくここまで漕ぎ着けたんじゃないか!?)
物間の“
この先、例年の体育祭の競技は一対一の仕様になる可能性が非常に高い。
この瞬間だけなのだ…。
数多くの“個性”が入り乱れるこの状況。
物間が全力で爆豪を倒せるのはこの瞬間だけなのだ!
だからこそ、爆豪勝己は退かない。
だからこそ、物間寧人は退かない。
両チームの最後の攻防が始まる。
「しょうゆ顔!テープ!!」
「瀬呂なっと!!」
爆豪の命令で瀬呂がテープを伸ばす。狙いは物間チームのすぐ近く。
「黒目!進行方向に弱め溶解液!」
「あ・し・ど・み・な!」
爆豪チームから物間チームへ伸びる一本道。そこに芦戸の“個性”が放たれる。
『芦戸三奈』
“個性:酸”
多様な溶解液を分泌する。強力かつ応用幅の広い能力。
地面に散布された溶解液が地面を溶かして滑りやすくする。
そして、トドメに掛かる。
瀬呂のテープの巻き取りに合わせて爆豪が掌を爆破する。爆風の加速を受けて騎馬が急加速する。
「円場っ、
「おーうっ!」
物間の指示を受けて円場が空気を固める。狙う先は騎馬チームの足元。
「っ!?」
「んなっ!?」「ちょ!?」
「ぐあっ!!?」
馴れない急加速、溶けて不安定な足場。突如現れた空気の縁石。前騎馬切島の足が捕まり、転倒する。
それに引きづられる様に瀬呂と芦戸も転倒。爆豪チームの騎馬は崩壊し、爆豪独りが投げ出される。
「回原っ!
「決めてくれよっ!」
物間チームの騎馬がここで大回転。遠心力を蓄積させて威力を増幅する。
そして、トドメに掛かる。
物間は“
「うらぁぁぁぁぁぁあああっ!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉおおおっ!!!」
爆豪と物間の雄叫びが攻撃が交叉する瞬間。
物間の“
脳に過度の負荷が掛かり、
「爆 豪 !!」
いち早く復帰した切島が駆け込んでくる。捨て身で身体を爆豪の下に滑り込ませ、爆豪の下敷きになる。
爆豪は切島の上に落ち、地面に足を着けていない。アウトにはなっていない。切島のファインプレーだった。
「いてて…大丈夫か?爆豪?」
「問題ねぇ!次!!デクと
「あっ!ちょい待てって爆豪!!」
爆豪は両手を爆破し、単独飛翔する。切島・瀬呂・芦戸は慌てて起き上がり、騎馬を組み直しながら爆豪を追う。
爆豪チームはもう既に、物間チームのことなんて見てはいなかった。
『爆豪!!容赦なしーーー!!!
ギリギリの勝負を制した爆豪!!さあさあ急げ!時間ももう僅かしかないぞ!』
物間の意識が覚醒する。一度落ちた意識が爆撃と騎馬からの落馬の衝撃で無理矢理叩き起こされる。耳から観客の歓声と熱狂が流れ込んでくる。眼前には雲一つ無い青空。
「物間大丈夫かっ!?」
「しっかりしろっ!物間っ!!」
「大丈夫だよな?死んでないよなーっ!?」
視界に回原・黒色・円場が入り込む。誰も彼もが必死な…心配そうな顔で物間を見ていた。
(……あと一歩及ばなかった)
最後の攻防。もしも物間が踏ん張る事が出来れば勝利が掴めたかもしれない。
しかし、一度出てしまった結果が覆ることは無い。物間は敗北したのだ。
「…そ゛うか゛、ぼく゛はま゛けた゛んだな」
咽に接着剤が絡み付き、首に当てられた爆破の痛みから思うように声が出ない。言葉を紡ぐのも辛い。
それでも口にせずにはいられなかった。
「く゛やし゛い゛なぁ…」
掌で顔を覆い、嗚咽を漏らす。物間の慟哭は会場の喧騒に飲まれて消えていった。
4/8修正
障子君の“個性”にミス
感覚体→複製腕
なんでこんなミスしたんだorz