雨降るある日だった。金髪のショート、緑色を好み着る切歌の気分は憂鬱だった。
彼女はいまは、現場確認のように、ある作戦のために辺りを見て回る。それだけだったのだ。
なのに、相棒である調とははぐれるし、雨は降るしと最悪である。
少しだけ買い物のために、リュックサックなど買い物袋も用意したのに台無しだ。
いまはとあるパン屋の前で、雨をしのいでいた。
「あ~早くやんで欲しいデス」
そう呟いたとき、買い物袋を抱えた少年がこちらを見た。
少し考えた後、少年は、
『ん?、雨宿りか?』
と英語で話しかけてきた。見た目からして外人だが、日本語もできるので、
「はいデス、ここのお店の人デスか?」
「あっ、ああ。今日は試作品作りでお休みにしてるけどね」
そう少年は言い、店の中に入る。
その様子に、雨宿りはしていいのだろうと思いながら、空を見ていた。
しばらくして、頭に何かかけられる。
「デス?」
「ほら、タオル。風邪引くといけないから、中で休め」
「いいんデス?」
「今日はお休みだから、問題ないよ。父さんにも許可もらった」
「ありがとデスっ」
タオルを使わせてもらい、中で休ませてもらう。
中はパン屋であるが、店の奥で買ったパンを食べられるスペースがある。そこに座らせてもらう。
窓の外の雨を見ながら、しばらく休んでいた。
(・・・ご、拷問デスっ)
キッチンならパンのいいにおいが先ほどからしている。
切歌は泣きそうなのをタオルで隠しながら耐えていた。
食べたい、けどお金はない。マリアに言われた、いまは大事なとき、けして無駄遣いしてはいけないと言われている。
切歌は誘惑に負けないようにしていたが、お腹は正直だった。
キュルル~
「!!?」
顔を真っ赤にして、タオルで顔を隠す。
いまの聞かれていないか、恐る恐るキッチンをのぞき込む。
作業が止まっている気がした。そして、
「あーすまないけど、せっかくだから味見してくれないか?」
なにか遠回しに、食べなさいと言われているのがわかる。
ここは調のように、そんな情けは受けないデス。
と言いたかった。目の前のおいしそうなお総菜パンを見るまでは、なにがなんでも断る気だった。
だが、出されたパンは、焼き魚をメインに、ボリュームがあるお野菜をはさんだサンドイッチ。
なんだこれは、焼き魚のにおいが食欲を刺激する。
切歌の受け取れないデスと言う言葉が、いただきますッにかわりかけていた。
「鯖で使ったサンドイッチがあるから、色々な魚で、ソースも工夫したりしてパンと合わせたんだ。君くらいの子にも人気出ればいいんだが」
「・・・」
タルタルソース?らしきソースも、合わせたらおいしそうだ。フライのものまである。このままでは心が折れる。こんな精神力では世界を月の落下から守るなんて夢のまた夢だ。
そう考えているが、何かが側に置かれた。
「ミルクとカフェオレがあるが、どっちがいい?」
ごめんなさいデスマム、調、マリア、ついでに博士。
少し晴れやかな顔で、切歌は久々に満足できる食事をした。
調達にも連絡入れた、ご飯は外で調達するデスと言ってある。
ここまでお腹一杯は久しぶり、しかも全部おいしかった。
「とてもおいしかったデスっ」
「そうか、君の言葉は参考にするよ」
少し年上の男性にそう言われ、デスと微笑む切歌。
「また来られたら来るデス、もっとおいしいの用意してて欲しいですっ」
「ならピザパンとか、シュークリームとか用意するよ。俺は飲み物、父さんはお総菜、母さんはスイーツ系のパンが得意なんだ」
「それは、心躍るデスっ」
そんな会話をしながら、切歌はスキップしながら帰路につく。
なんだかいまなら、月の一つや二つ、落下を防いでみせられる気がする。
不思議なお店だった。ああいう人がいるんだ、自分達はがんばらなければいけない。
「作戦がんばるデスっ」
気合いを入れて、基地へと帰る切歌。
そこにとことこと調が来た。
「切ちゃん、だめだよ心配させちゃ」
「ごめんなさいデスよ調」
「ご飯も外? 少しなら余って・・・」
そう言う調、こちらを心配してくれていたらしい。
だが途中で言葉を詰まらした。
「デス?」
「どうしたの? 切歌、しら・・・」
マリアも何かを察して黙り込む。
二人して切歌を見つめる。その様子にデデスと言いながら後ろに下がる。
「切歌、無駄遣いしてないわよね?」
「な、なに言ってるデスかマリアっ」
「マリア、今日切ちゃんは少ししかお金なかったはずだよ」
「ならばなぜ」
驚愕するマリア。調がジーと見てくる。
「ど、どうしたんデス? 私、なにかしたデスか?」
「「おいしそうなにおいがする」」
「デデスっ!!?」
気が付かなかったが、少しにおいをかいでみる。確かに、コーヒーのいいかおり、これはカフェオレの際と同じものだ。
あとはおいしい焼き魚のにおいが自分からした。
「どういうこと、切歌っ、あれほど無駄使いしてはいけないと言ったはずよね」
「待ってください、無駄遣いはしてませんっ」
「焼き魚・・・アジ? ううん、サバのにおい、あとは」
「調っ、においからなに食べてきたか考えないでくださいデス~」
「切ちゃんずるいっ、私達がインスタント食べてるときっ、自分だけおいしいもの食べてたのっ!? そんなの、私の大好きな切ちゃんじゃないっ」
「調・・・」
そんな会話に、切歌はすまなそうにぎゅと後ろからだきつく
「ごめんなさいデス、つい目の前の誘惑に負けて、雨宿りしていたお店の人達のご厚意に甘えて、おいしいお総菜パン食べてたデス」
「・・・ずるいよ切ちゃん」
「・・・ごめんデス」
マリアは切歌の様子にやれやれとため息をつく。
「ともかく、私達がこの日本に来た理由を忘れないでね。買いに行くのもいいけど、気を付けるように」
「はいデス・・・」
そしてマリアが去った後、調と共に、部屋に座り込む。
「デス?」
その時、初めて違和感に気づいた。
買い物袋、それに重みがある。買い物は雨で断念したためにないはずなのに。
と、調と共にそれを見た。
「き、切ちゃん・・・」
「お、お総菜パン、デスっ・・・」
山のようなお宝に、二人はわなわなと震え上がる。
手紙らしきものに、ご家族とどうぞと書かれていた。そう言えばあの店の人には、少し食費を減らして、家族旅行的なことを話していた。
だから久しぶりにおいしいものをいっぱい食べられて幸せデスと言った言葉に、彼らの優しさだろう。
「・・・切ちゃん」
「調」
「がんばろう、こんなに優しい人達のためにも、この世界を守ろう」
「デスっ」
そして二人はお総菜パンを見て、
「マリアに怒られるといけないから隠そうね」
「デスね、マムからのお説教も嫌デス」
「けして、このおいしそうなお総菜パンを分け分けしたいわけじゃないもんねっ」
「デスねっ、そんな意地悪じゃないデスっ、仕方ないのデスっ」
その様子がマムが監視カメラで見ていて、マリアも目を見開き、急いで隠そうとする二人のもとにシンフォギアを纏い、走り出す。
その後彼女たちは、明日の作戦へ、士気は高く、挑むのであった。
(またあの人のカフェオレ飲みたいですね♪)
切歌はそう思いながら、マリアが来るまでパンを眺めていた。
はい、ただの思いつきです。オリ主の名前もなにも無いです。
切歌達がおいしいもの食べて幸せになるだけの物語、感想などで続きをやる程度の作品です。
まあそんなにないだろう。
それでは、お読みいただきありがとうございます。