そんな平和な日々に、混沌をどうぞ。
暁切歌は上機嫌だった。
学園は楽しい、調と共にいられて幸せであり、そして、
「うまいか切歌」
「はい♪ おいしいデス」
二人っきりのピクニック。切歌は少し頬を赤く染めて、彼と共に過ごす。
休日や暇を見つければ、彼と共に過ごす。そう決めている切歌は楽しかった。
なにより、彼の作るパンやカフェが美味しすぎて、幸せすぎる。
「ほら、ソースがほっぺについてるぞ」
「あっ・・・」
口元を指で触れられて、赤くなる。それに気づき、彼も赤くなる。
そんな、初々しい様子を、
「ジー」
見ている調がいる。
彼女は、切歌のパートナーであり、暇な時は彼女も暇なのだ。
別に切歌に恋人ができるのは構わない。彼女が幸せならばそれでもいい。
だが、ここ観察した結果、キスも何もない。
彼は本当に切歌のことが好きなのか疑問に思う。
こんな事はマリアや他のメンバーにも相談なんかできない、彼女達に知られても無意味と判断したからだ。
「切ちゃんを幸せにできるかどうか、テストしてあげる・・・」
これは自分にしかできない。先輩達にこの手の話で協力はできないのだから、自分しかできない。
だからこそ、やらならなければいけない。
「そう言えばデスね、聞きたいことがあるんデス」
「聞きたいこと?」
「えっと、大事な友達、家族みたいな子がいるんデスが・・・最近、恋人雑誌とか買ったりしてるんデス、内緒で」
「内緒って・・・それは俺と切歌みたいな状態なんじゃ」
切歌はなぜか、身内に自分達の関係を隠している。理由を聞いても答えてくれない。仕方ないので、話してくれるまで隠れてのデートをしている。
「そうデスね」
切歌は考える。やはり調も好きな人がいるのではないかと考える。
(やっぱり、マリアや翼先輩達に、知られるわけにはいかないデスよね)
そうだ、まさか年下の自分達が先に恋人が出来たと知れば、きっと落ち込む。
そう思い、彼女は彼との関係を隠している。
パンを頬張りながら、切歌はでもと思っていた。
(私は応援するんデスよ調♪ 大好きな調のために、一肌脱ぐデス♪)
そんな幸せをかみしめつつ、切歌はそう思っていた。
バリスタの勉強をしつつ、彼は店の手伝いをした。最近は客も増えてきて、少し忙しい。
平和な時間が続き、彼もまた腕が上がる。
「パンの腕が追い抜かれそうだな」
父親にそう言われ、いまも尚、努力していた。
と、今日もまた常連さんが来て、パンを買う。
レシートとおつりを渡す際、その時だ。
「あの」
「はい?」
そう言って、ぱっと何か手渡され、常連さんが去っていく。
突然のことで訳が分からず、それを見た。
「・・・えっ」
それは恋文のようなものだった。
海が見えるその場所、指定された時間5分前に来る。
まさかラブレターを渡されるとは思わなかった。そう思いながら、気が滅入る。
その子は可愛い、はっきり言えば好きと言われれば頷くだろう。
過去の自分ならばだ。
いまは切歌がいる、大事で、大切な子。
話すたびに、本当に俺のことが好きって言ってくれたのか!?と疑問に思うほどの美少女だ。もったいなさ過ぎる、人生の運使ったなと思う瞬間、2度目だ(1度目は風鳴翼が普通の客として来た時)
「・・・あっ」
そして時間が来たとき、その子が来た。
朝日を浴びた、黒いツインテールが可愛い少女。少しだけ頬を赤くしながら、こちらを見つめる。
「あの、突然のことでごめんなさい・・・」
「いや、いいよ・・・」
どうすればいいか考え込む。だがここはしばらく考えてからだが、彼女の方が先に、
「好きです、どうかお付き合いしてください」
内心やっちまったと思う。だってそうだ、俺の答えは一つだ。
「・・・ごめん」
そう、切歌がいるんだ。
「俺にはもう好きな子がいます、だから、君とはつき合えません」
しばらくの間、沈黙が流れる。
そして少女は静かに、
「そう、ですか・・・わかりました。ごめんなさい」
「いや・・・」
気まずいと思いながらも、少女は顔を伏せている。
正直どうすればいいかわからないが、
「ありがとう、俺みたいな奴、好きになって・・・ごめんなさい」
そう言って去るしかない。なさけない。
正直切歌にもしばらく顔を合わせずなと思う、何もなかったけど、女の子に告白されて、こんな別れ方だ。情けなさ過ぎる。
そう思いながら、その場から去っていった。
「・・・」
分かっていた。これでいい、私の告白に頷くのなら、この場で八つ裂きにしていたのだから、これでいい。まあ満点ではない。
「だけど・・・」
私は思う、切ちゃんのために告白した。彼と切ちゃんには悪いことしたなと思いながらも、思う。
「・・・あれ?」
少しだけ、少しだけ本当に悲しいと思う自分に、戸惑うのであった。
「・・・」
たまたまだった。
たまたま調が抜け出したのを見つけたから追いかけた。
そしてたまたま知った。
「調の好きな人は、彼デス・・・」
その時切歌は、すぐにその場から走り去った。
響「今日もいっぱいお総菜パンがいっぱいだよ未来♪」
未来「響落ち着いて」
響「ここのパンは~美味しいからね~」
そんな感じで彼女達は過ごした。
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