絵里とのイチャラブ日記   作:シベ・リア

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さて今回は"参加者の"トリ(ことりではない)の白犬のトトさんです!"しら"ですよ!ハーメルンのフリガナでは"しろ"ですけど"しら"ですから!byシベリア


おそらくほとんどの方がそうだと思います。初めまして‼︎白犬のトトと言います。
シベリアさん、この度は一周年おめでとうございます‼︎
まさかの参加者の中でトリを務めることになるとは・・・
正直そんなに文才ないので期待はダメですよ?ww
ただ文字数だけは一丁前に1万6千ありますww長いだけでつまらないかもですがどうか宜しくお願いします。では、どうぞ!!




「ドキドキの温泉旅行⁉」

 

 

 

「ナオキ~、そっちの方はいいかしら?」

 

「ああ絵里、もうちょっとで終わりそうだ」

 

ふう、大掃除ってのはなかなか疲れるもんだな~。

タンスの上のホコリを落としながらため息をひとつつく。

でこを伝う汗を腕でぬぐいながら綺麗になったことに満足し、脚立から落ちないようにゆっくり降りていったおれこと香川ナオキは同じ家に住んでいる婚約者の絢瀬絵里に現状を説明しながらそっと微笑んだ。

 

おれが絵里にプロポーズして、同棲を始めてそこそこの時間が経った。

告白した時こそこうなればいいななんて夢見ていたけど、今はその夢がかなってこうして絵里と一緒に住んでいる。

 

(改めてそう考えるとなんだか感慨深いものがあるな~)

 

「どうしたの?そんな何かに耽ったような顔して」

 

「あ、いや。何でも・・・!?///」

 

どうやら長い間思い出に浸っていたらしく、絵里に心配されて顔を覗き込まれる。

その時の絵里の顔が思いのほか近くて・・・アイスブルーの綺麗な瞳に同年代の人に比べたら物凄く綺麗な顔立ち。

ロシアとのクォーターと言えども本来ハーフでも受け継がれるのが難しいって言われる金髪碧眼をしっかりと受け継いだ綺麗なそれは、分かっていたけど近くで見ると物凄く綺麗で・・・自然と視線が吸い込まれる。

 

「・・・綺麗だな」

 

「・・・え?////あ、ありがと・・・///」

 

「あ、いや!?////・・・・お、おう////」

 

口からこぼれてたらしい言葉が絵里に聞こえたみたいで変な空気が流れ始める。

他人が見れば甘ったるい空気だけどおれにとっては心地いい。

 

『おね~ちゃ~ん‼そっちは終わった~?』

 

「「!!?」」

 

遠くから聞こえる絵里の妹、絢瀬亜里沙ちゃんの声で桃色空間から引き戻される。

そうだよ、今は掃除の時間なんだ‼掃除しないと・・・

 

「いけない、早くしなくちゃ・・・///」

 

頬を赤く染めながらも掃除をしようとする絵里を見て、ああ同じこと考えてたんだな~なんてちょっと嬉しい気分になる。けど急いでいるせいか絵里が扉の敷居で躓いて・・・

 

「あぶない!?」

 

「きゃっ!?」

 

こけそうになったところを慌てて抱き寄せる。

なんとかこけることは防げたけどそのせいでお互い凄く密着して・・・

 

「だ、大丈夫?///」

 

「え、ええ・・・ありがと////」

 

ちょっともったいないけどゆっくりと絵里から手を離して行く。

絵里もそれに合わせてゆっくりと地面に足をつけていく。

 

 

 

 

カラン

 

 

 

 

「「?」」

 

そんな時、なにかが落ちた音が聞こえた。

二人してそっちへと視線を向けるとそこには写真が一枚飾られていた写真立てがあった。

慌てて拾い上げて壊れていないことを確認し、写真の内容を見てみる。そこには懐かしい写真が入っていて・・・

 

「なあ、これって・・・」

 

「わあ、懐かしい‼︎」

 

写真の中に写っていたのは浴衣を着てポージングしているおれと絵里の姿。

 

「一緒に温泉行った時だよな?」

 

「そうそう!確か二人で買い物行った時にナオキがくじで・・・」

 

「まさか当たるとは思わなかったよな」

 

「本当ね〜」

 

たった一枚の写真なのにたくさんの思い出が出てくる。

そうこうしている間におれの頭の中はあの時の思い出でいっぱいになって行き・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはおれと絵里が初めての旅行に行った時のお話・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「服よし、時間よし、荷物よし、髪型よし・・・え、えっと・・・これでええんよな?」

 

待ち合わせに到着したおれは自分の身だしなみをチェックした。

集合場所は神田明神前で時間は7:30。なんだけど集合時間は8:00。

実に30分も前からここにいる計算になるんだけど・・・

 

(ほ、本当にこの格好と荷物で大丈夫よな!?)

 

もう何度目か、数えるのさえ億劫なほどの回数したはずの確認をまた行う。

 

 

 

 

なんでこんなことをしているのか、それはつい先週の話・・・

 

おれが絵里と買い物・・・もといデートを楽しんでいた時だった。

レジで買い物をした後もらえたレシートを見るとくじ券の三文字が見えた。一体どこで使えるんだろうと二人で首を傾げていると遠くからカランカランといったよく聞くあの鐘の音が・・・

二人で顔を合わせてダッシュで向かった所、予想通りガラガラポンがあり、そこにはそこそこの列が並んであった。

これも何かの機会という事で二人で列に並ぶことに。ちょうど二回分引ける感じだったからね。

それで二人そろって並ぶこと数分、思ったより早く回すことができたことにデート時間が短くならずに済んだなんて思いながら咲におれが引く。

結果は白色の玉。

まあここまでは予想できた。問題はここからで・・・

絵里の番が来て引いたその時だった。

 

中から金色の玉が・・・それと同時に高らかになる鐘の音

 

どうやら一等賞が当たったらしく、二人でポカンとしながら顔を合わせた後言った商品が何かと思いそちらを見るとあったのが温泉旅行の文字・・・

 

 

 

 

てなわけでこうしてここで待ち合わせをしている所存である。

・・・いや、今でも全然実感わかないんやけど!!!

 

(うう・・・脳内デートシミュレートは上手くいった!とりあえずこれ通りに行けば多分80点位のデート結果にはなるはず・・・)

 

昨日の昼から考えたおれの108のルート選択(ハッピーエンド率100%・・・のはず)を頭の中で思い出す・・・だけど・・・

 

(いやいや、80点じゃダメなんだって100点にしないといけないんだって!!)

 

なんせ初めての旅行。

勿論絵里もそんな体験したことないからおれが引っ張って行かないといけない!!

・・・いい所も見せたいしな。

 

(よし、じゃあ80点を100点にするためにも早速第138回、脳内デートシミュレーションを・・・)

 

「ナ~オキ!」

 

「うわああ!?」

 

脳内思考の海に沈もうとしたところで誰かに一気に引き上げられる・・・いや、誰かなんて分かり切っている。

 

「おはよう!ナオキ♪」

 

もう毎日のように聞いている愛しの人の声。

聞き間違えるはずのないその声に振り返りながら返す。

 

「お、おはよう絵・・・」

 

里と続けようとして言葉が止まってしまう。

いつも見る私服よりも更に気合いの入った服装にほんのりとのっかった化粧が更に絵里の綺麗さを引き立てる。

一言、ただただ綺麗だった。

まるで一種の芸術のような美しさを誇るそれに思わずおれは見とれてしまった。

 

「・・・」

 

「な、ナオキ?・・・」

 

「え、あ、ああ‼お、おはよう絵里‼」

 

若干上擦った声で返すおれ。

そんなおれに疑問を持った絵里がずいっとおれの顔を覗き込んでくる。

 

「どうかしたの?・・・顔赤いけど・・・」

 

 

「あ、イヤなんでも・・・その・・・絵里に見とれてただけだから///」

 

「そ、そう・・・///」

 

一瞬の静寂。しかしすぐにそれは破られる。

 

「その・・・似合ってるかしら?///」

 

恥ずかしそうにしながらもその場でくるりと一回転させながらスカートをなびかせる絵里。

その姿にまたしても見とれてしまう。

 

「うん・・・凄く綺麗だよ」

 

「あ、ありがと‼///」

 

頬を赤くしながらも笑顔一杯に返す絵里に更に見惚れてしまう。

ホントに可愛い・・・

 

「さ、早くいきましょ?時間が勿体無いわよ?」

 

「お、おう!・・・って言ってもまだ時間は・・・」

 

「もうかなり時間経ってるわよ?」

 

「嘘!?」

 

慌ててスマホを取り出して時間を確認するともう待ち合わせ時間は過ぎていた。

どうやら絵里との会話が楽しすぎてあっという間に駆け抜けていった見たいだ。

これは急がなくては‼

 

「よし、なら早く駅の方に‼」

 

「そうね・・・ってナオキ!?そっちは駅の方じゃないわよ‼って・・・ナオキ‼待ってーーー‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はあ、はあ、はあ・・・」」

 

おれが駅の方角を間違えて走ったせいで更に時間をロスしてしまい、ギリギリ電車へ駆け込む形となってしまった。

駅員さんにまで声をかけて無理矢理のせてもらった形だ駅員さんにも絵里にも申し訳ない・・・。

 

幸い席は空いていたので二人で並んで座ることに。

 

「ふう、疲れた~」

 

「ご、こめん絵里!おれが方向間違えたから・・・」

 

別におれは方向音痴じゃないんだけど・・・それだけ緊張してるってことなんかな?

 

「別にいいわよ!逆に思いっきり走ったお陰でちょっと緊張解れたし♪」

 

「え?・・・絵里、緊張してたん?」

 

「ま、まあ・・・ちょっと///だって、はじめての旅行なんだもん・・・///」

 

そういいながら恥ずかしそうに頬をかく絵里。

そこで気づく絵里の気持ち。

 

(絵里も緊張・・・してるんだ)

 

そう思うとなんだか自分と一緒って感じがしてすごく嬉しかった。

体がスゥーっと軽くなっていく。

緊張がほぐれて口の中も気持ち潤っていっていた。

もう普通に喋られる・・・

 

「でも、ちょっと汗かいちゃったのは許せない、かな?」

 

「ご、ごめん・・・」

 

「そんなに落ち込まなくても・・・それにちょっと疲れたくらいの方が温泉って気持ちいいって思わない?」

 

「・・・確かにそうかも」

 

少しだるい体を若干熱めのお湯に体を包まれ独特の浮遊感の中で眠気に誘われて・・・やばい、想像するだけで物凄く気持ちよさそう・・・

 

「今から楽しみだな〜」

 

「ふふっ、本当にね♪にしてもナオキも案外子供っぽい所あるのね~」

 

「べ、別にいいじゃん・・・」

 

「ふふふ、可愛い所あるわね♪」

 

「う、うるさい///」

 

うん、いつも通りの会話だ。

絵里の顔もどこか柔らかくなった気がする。

お互い見つめ合いながらそっと微笑む。このなんでもない何気ない時間が本当に好きだ。

そのまま二人でしばらく談笑をする。

その時にはもうお互いかなり打ち解けあっており、目的地まで数十分かかったはずのこの道もわずか数分のように感じた。

 

電車に揺られ最近についてのお話で盛り上がっていたところで目的地に到着。

駅のアナウンスに従い、電車を降りて改札を抜け駅から出ると東京と違って自然の多い場所で空気も心なしかおいしかった。けどここはまだまだ目的地ではないので地図を広げて目的地に歩いていく。

タクシーを呼ぼうかと一瞬悩んだけどお財布と相談した結果辞めることに。高校生にはきつい出費やしね

それに二人でゆっくり歩いて行ったほうが楽しいから・・・。

 

電車の中と同じように中身のない話に盛り上がりながら歩いていくこと十数分。

若干の汗を流しながらもついに到着した場所でおれたちは思わず足を止めてしまった。

 

「「うわあ〜〜〜・・・」」

 

おれたちの目の前に広がるのはまるでドラマの中かと錯覚してしまうほどの驚きの風景が現れる。

古き良き日本の風景が色濃く出ているここ温泉街の雰囲気に思わず魅せられてしまう。

しばらくその景色に目を奪われたおれたちは数分後ようやくはっとなって当初の目的を思い出す。

 

「ハラショー‼︎ねえ、早くいきましょう‼︎私いろいろ見て回りたいわ‼︎」

 

「ちょ、絵里⁉︎」

 

そう言いながらおれの手を握って走り出す絵里。

急に引っ張られることによって若干バランスを崩しながらもしっかりと絵里についていく。

こけて絵里を巻き込まなかったのはよかったけど今はそれ以上に心臓がドキドキする出来事が・・・

 

(手・・・これ恋人つなぎ///)

 

いきなりで心の準備なんてできて無かったからすごく心を揺さぶられる。

 

(絵里はどうなんだろ・・・)

 

ちらっと視線を向けると若干頬を赤らめている絵里の横顔が。

絵里も同じように恥ずかしがっているらしい。

ただ手をつないで歩いているだけなのに物凄く心臓の音が激しくなる。手をつないだことも、一緒に歩いたことも初めてじゃにのに・・・この空気がそうさせてくるらしい。でもとても心地いい。

絵里もそう思っているのかほんの少し表情が柔らかい。

それを見ておれもそっと微笑み絵里に引っ張られている状態から横に並ぶようにする。

二人ならんでからはお互い歩幅を合わせて温泉街を見渡しながらのんびり散策を始めた。

 

「凄く落ち着いた雰囲気ね」

 

「せやね~・・・まるで漫画の世界に入ったみたいだ」

 

実際にドラマの撮影でも使われたのか店には「◯◯に使われた店‼」といった感じの張り紙が大量に張ってあった。

賑やかと言うほど人はいないけど、それでも人の暖かさは感じるくらいには人通りはあった。

 

「いろんな匂いがするわね~・・・」

 

「そうやな~」

 

おれたちが歩いているのは丁度和菓子屋が並ぶところでいたるところから甘い香りが漂ってくる。

 

「あ、あそこいってみましょ?」

 

「おう」

 

絵里に手を引っ張られて入ったのはお饅頭屋さん。

なんだか嗅いだことのある甘い匂いに誘われてゆっくりと暖簾を潜ると暖色系の灯りに照らされた店内が広がっており、さらに強い甘い匂いに包まれる。

その匂いはそこそこの時間を移動してきたおれたちの胃袋に確実に刺激を与えてきていた。

 

「いらっしゃいませ~。お、いまどき珍しい若いカップルさんだね~」

 

「「こ、こんにちは~」」

 

入ったと同時にかけられる元気な声。

カウンターに立つおばあさんから発せられたもので、その声はとても若々しく聞こえた。

 

「今日は何しに来たのかしら?」

 

「あ、えっと。くじで温泉旅行が当たったので二人で・・・」

 

「その場所に行く途中で甘い匂いがしたのでここによりました」

 

「あらあら、運が良いのね~・・・それに、ずいぶんお熱いのね♪」

 

「「え?」」

 

言われておばあさんの視線の先を辿っていくとそこには未だに恋人繋ぎで繋がっているおれと絵里の手が・・・

 

「「‼///」」

 

「あらあら、ふふふ」

 

おばあさんにからかわれてついつい顔を背けてしまう。それでもおれたちは手だけは絶対に離さなかった。

なんか・・・負けたくなかったから・・・

いや、何に?って聞かれた答えられんのやけどね。

 

「青春っていいわね~♪私にもこんな季節あったわ。戻りたいわね~・・・」

 

「あ、あの!ここのおすすめとかありますか?///」

 

あさっての方向を見ながら遠い目をするおばあさんから若干哀愁を感じたけどそれ以上に恥ずかしさに耐えきれずに質問をする絵里。

正直おれも恥ずかしかったし若干空腹も覚え始めたからナイス質問。

 

「っとと、そうだったわね。うちのお勧めはやっぱり饅頭ね。ここからここの棚がそうなんだけど・・・」

 

説明してくれるおばあさんの指につられてお饅頭が並んでいる棚をゆっくり見渡していく。

そこには豊富な種類の饅頭が並んでおり、メジャーな餡子饅頭からみかん饅頭やリンゴ饅頭、さつまいも饅頭まであった。

どれもこれもおいしそうで迷ってしまう・・・。

 

「試食してみる?」

 

そう言いながらトレイを持ってくるおばあさん。そこには一口大に切られた饅頭がに爪楊枝が刺さっている状態で並んでいた。

断面がこちらに見えるように綺麗に慣れべられたそれは見た目だけでさらに空腹を刺激していく。・・・やばい、涎が。

 

「さあ、召し上がれ!」

 

二人そろって端の爪楊枝を取り口に運ぶ。

まずはオーソドックスに餡子の入ったものを。

 

「「いただきます」」

 

手は合わせられないので一言言って口へ運ぶ。

 

「「・・・!?」」

 

思わず動きが止まってしまう。

ふんわりとした口触りと共に広がっていく甘い感覚。

匂いも一緒に広がって行き、体全体で美味しさを感じていく。

 

一言。ただただおいしい。

 

「これ、すごく美味しいです!!」

 

絵里も同じ感想らしく軽く興奮した様子で感想を言う。

この言葉におれも頷いて便乗。もしかしたら穂乃果の家の和菓子を超える美味しさなのかもしれない・・・いやでもあっちも捨てがたい・・・甲乙つけがたい味やね。

 

「それはよかった!他の味もあるから楽しんで行ってね?」

 

それから更に順番に試食していく。

みかんは柑橘系特有の酸味が程よく聞いてさっぱりしてるし、リンゴはしつこくない甘さが後を引いて病み付きになり、いも饅頭はいもの甘さがしっかりと感じ、しかし生地の良さもしっかり引き立てており意外とマッチしていた。

ここまでレパートリーが多いと何個か口に合わないものがあるんじゃないかなんて懸念していたけどそんなことはなかった。寧ろ全部美味しすぎて迷ってしまうレベルだ。

 

「どうしようナオキ、全部美味しすぎて迷っちゃう・・・」

 

「おれも・・・」

 

温泉上がりにお茶請けとしてお茶を啜りながら饅頭を食べる。温泉街と言う雰囲気も相まって風情も良いし絶対に美味しい。

是非ともここで一つ買って行きたいんどけど・・・さっき食べたものも勿論美味しいけど他にも白餡や粒餡とかもあるし・・・試食してはいないけどうまいに決まっているから余計に・・・

 

(くっそ迷うな~・・・ん?)

 

あれこれ見回しているとおれと同じ様に迷っている絵里が目に入った。

顎に手を宛ながらぶつぶつと呟き品物を順に眺めていく絵里。その顔はとても真剣そうだった。

 

(よし、ここは絵里の好きなものにしよう)

 

そう決意して見守ることに。

すると絵里の視線が一つのところに固定された。

その視線につられて棚をみるとそこにはこんなものが・・・

 

『チョコ饅頭』

 

チョコを大好物とする絵里にとっては見逃すことのできない一品だった。

 

「ねえ、ナオキ・・・」

 

若干目を潤わせながら上目遣いで言ってくる絵里。

何も言ってないはずなのに物凄いプレッシャーを感じる。

 

(ってもしかしてこれことり以上に破壊力ないか!?///)

 

急に来た攻撃にたじたじになりながらも財布を取り出すおれ。

全く、こんなことしなくても全然買ってあげるのにな?

 

「すいません、このチョコ饅頭下さい」

 

「はいはい、毎度あり♪」

 

おれたちのやり取りをみてにやにやしながら答えるおばあさんの視線から逃れるように手元に視線を移して中からお金を取り出す。

恐らくおれの顔は終始真っ赤だっただろう。

 

「はい、ありがとね‼帰るときまたよってくれたらお土産分も用意してあげるからね~‼」

 

おばあさんからのありがたいお言葉にも軽く礼を返すだけですぐに商品を受け取って店を出る。

あかん、恥ずかしすぎて顔が赤すぎる。

終始にやにやだったあのおばあさん間違いなく確信犯だろうな~。というのもさっき袋の中を見てみたらサービスと書かれた紙と共に何個か饅頭が追加されていた。

 

(あの人~~~~!!///)

 

決していやなわけじゃないんだけど流石に恥ずかしすぎる。

有難迷惑・・・とはいかないけどちょっとはこっちの気持ちも考えてくれても・・・ねえ?

店を出ても後ろから手を振ってくれる気配を感じる。

本当にもう・・・

 

「ね、ねえ。急にどうしたの?」

 

「あ、ううん。何でもない。それよりもそろそろお風呂に行こう!風呂上がりの饅頭も食べたいだろ?」

 

「ええ!・・・その、本当によかったの?チョコ饅頭で・・・」

 

「ええよええよ。おれも食べたかったし」

 

嘘じゃない。

実際にチョコ饅頭って凄い旨そうじゃん?それにチョコは絵里の好物だ。だからさっきあんなにも目を輝かせてたしあんま甘い声でおねだりしてきたし・・・もっとも本人は無自覚なんだろうけどね。

 

「それよりも、そろそろ温泉行こう!」

 

「あ、忘れてた・・・」

 

「忘れてたのかい!?」

 

思わずノリ突込み。

まさか絵里が目的を忘れっるなんて思わなかった。

 

「だって物凄く楽しかったんだもの・・・雰囲気もいいし、まだゆっくり回ってみたいわ」

 

少ししゅんとしながら言う絵里に少しの罪悪感。

確かにこんなに雰囲気のいい温泉街なんて来ることなんて早々ない。

一時の恥ずかしさを理由に逃げるってのは確かにもったいなかったな~・・・

少しの後悔の念と共にどうすればいいか考え、未だにテンションが低い絵里にたった今考えた自分の案を出す。

 

「なあ絵里、温泉行った後もう一回いってみない?」

 

「え?」

 

「あんまりしっかり温泉街回れなかったしね~。絵里だってまだまだ見たいところあるでしょ?」

 

「そうだけど・・・」

 

「それに夜の温泉街って・・・良さそうじゃない?」

 

「・・・わかるかも」

 

「じゃあそれでいい?」

 

「ええ♪」

 

「決まりだね」

 

「よし、いこっか」

 

一度立ち止まり息を整えてからまた恋人繋ぎ。

いよいよ目的地の温泉旅館へ。

温泉街の中でもひときわ目立つ大きな建物の前に到着。

 

「「うわぁ~・・・」」

 

思わず感嘆の声を漏らしてしまうおれたち。

視線の先にはまるで千となんかの神隠しを連想させるお城のような大きな建物。勿論、あれほどでかくはないけど連想させるには充分だ。

遠目からみてもわかってたけど近くでみるとより迫力があった。

入り口のスライドドアからはいるだけでもものすごく緊張する。

お互いほんの少し握る力を強め、一緒の歩幅で歩き出す。

自動ドアを抜け、店内に入るとまたもやがらりと雰囲気が変わる。

 

 

本当に漫画の世界にいるみたい。

 

 

ここまでこの言葉がぴったりなのはそうないだろう。それほどまでに幻想的で美しかった。

隣の絵里も思わず見惚れて立ち止まってしまっており、おれもそんな絵里に習って回りを見渡していた。

明るい色で空間を照らされており、キラキラ光る照明は見てるだけでも心を高揚させてくれる。

 

「凄い綺麗・・・」

 

「ああ・・・」

 

圧巻過ぎてこんな簡単な言葉しか出てこないほどには凄かった、エントランスと呼ぶには広すぎすその広場をゆっくりと絵里と歩いていくおれ。

回りを見渡しながらゆっくりとカウンターへ。

緊張しながら手に握られたペアチケットを店員さんに渡すと待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべながら部屋に案内された。

 

「こちらの部屋になります。では、ごゆっくり・・・」

 

おれたちの案内を終え、そっと扉を閉じていく店員さん。

晴れてこの部屋で二人きりの時間を過ごすことができるんだけど・・・

 

「「す、凄い・・・」」

 

店が店なら案内された部屋も部屋だった。

畳が敷かれた和室なんだけどこれまたなかなか広く、窓からの景色もかなりいい。

雰囲気もいいし部屋の臭いも和室のい草独特のにおいが心地い。

他にも生花や掛け軸少し高そうな骨董品まで飾っており、高級すぎて若干の畏怖を感じるレベルだ。

まあ、高そうなものは全部ガラスケースに包まれているからよっぽどのことがない限り壊すことはないと思う・・・はず。

 

(・・・一応近づかないようにしよう)

 

ここで壊して弁償になるとか絶対いやだしね。

 

こなに素晴らしい部屋に一日泊まれるって考えると正直言うと休まるよりも緊張の方が勝りそうだけど・・・

 

「ナオキ‼︎この景色綺麗だわ‼︎10ハラショーよ‼︎」

 

「そうやね〜」

 

この笑顔見れたらもう緊張なんて吹っ飛ぶ。

もうこの笑顔見れただけでおれは大満足だ。

 

「さて、これからどうしましょうか」

 

絵里に言われて時計を確認するともう3時を回ろうとしていた。

いつの間にか経過した時間とその割には全く減っていないお腹に軽く困惑しながらもそれだけ時間を気にせず遊べたということだと考えておく。

しかし、本当に何しようか・・・チョコ饅頭があるがこれもなんだかいま食べる気にはならない。

ここは・・・

 

「もう温泉入っちゃうか!」

 

「そうね!」

 

そうと決まれば早速お風呂に入ろう。

ここの温泉は他と違って大浴場があるにはあるけど個室にそれぞれ何個か温泉がついており露天風呂だったりジャグジーだったりサウナだったりとレパートリーがやばい。

今回はくじで当たったから無料だけど実際に来たらいくらになるんだろうか・・・考えただけでも鳥肌が・・・

 

(い、いや今日はこの素晴らしい物をただで楽しめるんだ!!今のうちに楽しまないでどうする!!)

 

そうと決まれば早速お風呂に・・・

 

「ね、ねえ・・・」

 

入ろうとした時に後ろから声を掛けられて足を止める。

振り向くとそこには少し顔を赤くした絵里が・・・

 

(あ!?)

 

そんな絵里の姿を見てようやく察したおれ。

 

(そうだよお風呂なんだよ!!しかも個室・・・これって・・・混y・・・///)

 

いや、よくよく考えれば別々で入ればいいだけ。

そうだよ、先に絵里に入ってもらってあとからおれが入れば!!

 

「え、えっと・・・先に入る?」

 

「え?その・・・出来れば一緒に入りたい・・・なんて・・・///」

 

「・・・」

 

果たしておれは意識を保ち続けることができるのだろうか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうしよう・・・このままじゃあすぐにのぼせる)

 

あれから絵里に手を引かれて(流石に脱衣所は別々)それが恥ずかしくて先にお風呂に入っていおくって言って露天風呂に入ってるんだけど・・・

 

(すでに顔が赤い!!)

 

頭から湯気が出てるんじゃないかと錯覚するレベルで顔が赤い。

こんな状態で絵里に出会ったら・・・

 

「お、お待たせ///」

 

「!?」

 

後ろから掛けられる声に思わず背筋をピクリとさせる。

振り向きたい衝動にかられるけど理性がそれを阻止してくる。

心拍数がどんどん上がっていくのが分かるけど・・・恥ずかしくてやばい///

 

「さ、先に体洗うわね?///」

 

後ろから聞こえるシャワー音。

毎日聞いているなんでもない音のはずなのに今日だけはどうしても意識してしまう。

シャーという音がものすごく自分の気持ちをかき混ぜていく。

 

(お、落ち着けおれ‼︎心を落ち着けるんや‼︎)

 

自分の心の中で葛藤を繰り広げている。しかしここでさらなる攻撃が。

 

・・・キュッ

 

(⁉︎)

 

シャワー音が消えた。そして同時に聞こえ始めるこちらへ近づく水を含んだ足音。

ぴちゃ、ぴちゃっという音が近づいてくるたびにドキドキする。

どんどん顔が赤くなることを自覚するおれだけどどうすることもできない。そしてついに・・・

 

ちゃぽん・・・

 

おれの右から水の音が聞こえる。

ふと横を見ると真っ白なスッとした足がゆっくりと入水していくところだった。

水を弾くんじゃないかと思うほど透き通ったその足が温泉に入っていくのはさながら一つの有名絵画のようで思わず見とれてしまう。

そのまま足先からふくらはぎ、太もも、腰とゆっくりと効能が原因で少し濁ったお湯へと吸い込まれていく。

薄いタオル一枚しか隔てるものがないこの状態でそんなことされると色々危なくて。

 

「た、確か・・・日本ではタオルをお湯につけるのはマナー違反。なのよね?///」

 

そういいながら律儀にタオルを取りながら、しかし大事なところを隠しながらゆっくりと使っていく。

 

「ふう~・・・気持ちいいわね~///」

 

肩までお湯に浸かり、体がお湯で見えなくなったところでようやく絵里が一息つく。

 

ひとつ背伸びするだけでもその白い柔肌をお湯が伝っていくその姿が本当に綺麗で、さらに今目の前にいるおれの彼女は一糸まとわない姿でいて。

綺麗な絵里をみたい。けど裸の絵里をみちゃいけない気がして。

そんな葛藤を心のなかで繰り広げている結果、絵里をチラチラ横目でみると言う一番変態的な行動をおれはとってしまう。

 

そんなおれを勿論絵里は気づいていて・・・

 

「・・・ナオキのエッチ///」

 

「んなあ⁉///」

 

自分の体を抱くようにし、少しおれから離れつつ言う絵里の顔はほんのりと赤くなっていて・・・

 

「か、かわいい・・・」

 

「⁉///も、もう‼///」

 

「わっぷ⁉ちょ、いきなりお湯かけるなって‼は、鼻にお湯が⁉この‼ならやり返し‼」

 

「きゃあ⁉ちょ、ちょっと‼私そんなに強くかけてないわよ⁉」

 

「いいや、そんなことないね‼ほらほら‼もっともっと‼」

 

「ちょ、やめ・・・もう‼こうなったら私も容赦しないんだから‼」

 

急遽始まったお湯の掛け合い。

本来なら怒られるし、おれもあんまりしたくない遊び方だけど今はこれが無性に楽しい‼

まるで子供のようにはしゃぐおれたちはしばらく遊んだあと満足し、勝負は引き分けと言うことにし、気分転換と言うことで他のジャグジーにいったり、サウナを堪能したり(移動の度に少し恥ずかしがりながらタオルで隠してた)。

一通り全部回ったところでまた露天風呂に戻り二人揃って最初とおなじようにお風呂の端に寄りかかりなが座った。

 

「もう、疲れを取る温泉なのによけい疲れたじゃない‼」

 

「ごめんごめんって。でも楽しかった‼」

 

「そうだけど~・・・もう」

 

そしてお互い見つめあいそっと微笑む。

まだ心臓はドキドキしてるけど最初と違いとても心地いい。

 

「「・・・」」

 

束の間の静寂。

この露天風呂から見える絶景を二人で眺めながら・・・ほんと、この景色ハラショー。皆にも見せてあげたい。

 

そんな時、肩になにかが乗っかる。

ふと横をそこには濡れさらに輝きを放つ綺麗な金髪が・・・

 

「楽しいわね・・・」

 

「うん・・・」

 

「そして何よりも・・・幸せ」

 

「おれも・・・」

 

「ええ、知ってるわ」

 

そういいながらおれの腕に自分の腕を絡めてくる絵里。そのとき当たった女性特有の柔らかいあれがあたって一瞬ドキリとしたがそれ以上に絵里を近くに感じれるといったほうが大きく、おれはとても落ち着いた。

お返しと言わんばかりにおれも少し力を込めて抱き寄せる。

一瞬驚いた顔をした絵里だがすぐに笑顔になり・・・

 

「凄く安心する」

 

さらにおれにもたれ掛かる。

そんなおれたちの目の前にはまさに沈まんとする夕日が・・・

 

「「うわああ・・・」」

 

二人揃って感嘆の声をあげる。

遥か彼方に見える半円のそれは、いままでみてきたどの夕日よりも綺麗だった。まるでおれたちを祝福してるように・・・なんて言ったら変かな?

 

「「ハラショー‼」」

 

二人揃って大はしゃぎ。

 

「カメラ持ってくればよかったわね」

 

「また来ればいいんだよ‼」

 

「・・・ふふ、そうね」

 

そう、また来ればいい。というよりまたここに来たい‼

そこそこ遠いし、お金もかかるけどせっせとためてまたここに・・・

 

「その時は亜里沙ちゃんや未来の・・・(ぎゅるるるるる~~~)・・・」

 

「ふふふ・・・」

 

「うぐぐ・・・///」

 

せっかく格好をつけようとしたところでまさかの腹減り音。

 

(温泉のなかなのに響くとかどんだけでかいねん‼)

 

そりゃ絵里も爆笑するわ‼だけどよくよく考えたら腹が減るのも無理ないんだよな。

朝御飯食べてから今まで温泉街での摘まみ食いのみ。正直お昼でお腹すかなかったのが不思議なんだ。そう思うことにしよう。じゃないと恥ずかしすぎる。

 

「そろそろ上がりましょっか」

 

「だね~・・・軽く逆上せてるし・・・」

 

「それじゃあナオキから上がってくれるかしら?」

 

「あ、いや。おれは後でええよ?」

 

「いえ、ここの旅館、基本は浴衣着用でしょ?私着なれてないから着付けに時間がかかると思うの。だから・・・」

 

「そういうことか」

 

確かに浴衣の着方って結構難しい。

慣れてない人ならなおさらだ。

おれは何回か着たことあるからいいけど絵里はたぶん少ない。だから着付けに時間かかっておれが逆上せるかもしれないと心配しての提案。やっぱり絵里は優しい。

 

「だったらおれが行ってから3分位したら来て?それくらいあれば着替えれるから」

 

「わかったわ」

 

「よし、じゃあ先上がる」

 

「ええ。待っててね?」

 

「おう!」

 

お湯から上がり、若干のふらつきを覚えながらゆっくりと脱衣所へ戻っていく。

タオルで体をふいて旅館の用意してあった浴衣を着衣。

帯もしっかりと締めて部屋に戻る。すると・・・

 

「うわお!?」

 

思わず変な声が出てしまうほどびっくりしたことが。

部屋に戻っておれが見たのは机いっぱいに敷き詰められた豪華な料理だった。

海鮮類を中心に作られたもので刺身やフライ、天ぷらと言ったシンプルながらも職人の腕がしっかり出てくる料理たちだ。しかしどれも見た目からすごくおいしそうで素人目に見ても高級なものだというがよくわかる。

そこでふと時計を見るともう6:30を指していた。

実に三時間半も温泉で遊んでいたことになる。

指先を見てみたらそこそこふやけていたのを確認。おそらく生涯これより長くお風呂に入ることはないだろう。

そんなことを考えながら一通り料理を見回した後座布団の上に胡坐をかく。それと同時くらいに外への扉が開いた。

 

「わあ!?なにこれ!!」

 

扉から出てきたのは浴衣を着た絵里。

青を基調とした浴衣は絵里によく似合っており、いつものポニーテールと違いたらさずにすべて頭の上でまとめている髪型で、いつもと違うそれにちょっと心に来るものが・・・

 

「これ、置いてあったの?」

 

「おれたちがお風呂に行っている間に準備したらしいね」

 

「うわあ~・・・ハラショーよすごくおいしそう!!さ、さっそく食べましょ!!」

 

「そうやね」

 

いい加減おなかもペコペコだし食べるとしよう。

 

「ハラショー!!すごくおいしいわ!!」

 

・・・どうでもいいけど絵里。意外と大食いだったんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵里~。準備いいか?」

 

「もうちょっと待って!!今行くわ!!」

 

晩御飯も食べ終わって再び外出する準備。え?晩御飯の感想?

・・・ごめん。今のおれにはこの素晴らしき料理を説明する言葉を美味しい以外で表現することができない。

それほどやばかったとだけ言っておく。途中からおれも絵里もハラショーしか言葉を発しない機械へとなり変わっていたレベルだし・・・今度来るまでにはちゃんとした舌をもって来よう。

あ、今のはちゃんとしたと人間の舌をかけて・・・あ、説明いらないね。ごめん・・・。

と、とにかく今は外出まち。というのも夜の温泉街を歩こうといった昼の約束を今から行うためだ。

温泉のおかげでかなり上がった体温を団扇で軽く扇ぎながら玄関に腰かけて待つ。

いやはや、さすがに三時間半はつかりすぎた。緊張もあってすごく熱い。

そんな状態で顔を仰ぎながら待つこと五分。ついに絵里が出てきた。

 

「ふぅ・・・お待たせ♪」

 

「いいよいいよ。そんなに待ってないから」

 

出て着た絵里は先ほどの浴衣に加え、きんちゃく袋を装備している状態だった。

なんだかどんどん過去にタイムスリップしている感じで歴史好きな自分としてはかなりうれしい。

さて、準備もできたことでいよいよ出発。

部屋を出てエントランスを抜けて旅館の外へ。そこで本日もう何回か忘れた感嘆タイム。

もう漏らしすぎて何も言えないほど。それほどまでにとるの温泉街というのは素晴らしいものだった。

スカイツリーのてっぺんなどから見える夜景も素晴らしいけど店に下げられた提灯の灯というのも風情があってとてもいい。

この風情こそが人気なのか昼に比べてかなりの人が出てきており、屋台までも並んでいてとても活気あふれる街並みへと変貌していた。

 

『・・姉!俺あれ食べたい!!』

 

『ちょ、ちょっと・・!!落ちつてい!!ねえ、・・兄も何か言ってよ!!』

 

『まあいいんじゃないか?せっかくの祭りなんだし・・・ほれ・・・・もすごいよだれたらしてるぞ』

 

『焼き、焼きそば、トウモロコシ・・・おいしそう・・・。・・姉、買って♡』

 

『任せて!!私が買ってきてあげる!!』

 

『ちょっと!?』

 

どこからか聞こえてくる兄弟のものと思われる会話を聞き、お互い顔を合わせて微笑む。

 

「仲のいい家族ね」

 

「ほんと、ちょっと笑っちゃった」

 

「いいわね・・・あんな家族」

 

「大丈夫。いつかなれるよ・・・」

 

「え?」

 

「なんでもないよ?」

 

「そう?」

 

「うん。さああ行こ!」

 

「あ、ちょっと!!」

 

絵里の手を引いて温泉街へ。

屋台も出てきて賑やかになった町は昼とまた違った楽しみ方ができてとても充実した時間だった。

昼立ち寄ったお饅頭にもしっかりお邪魔して、夕飯後あまりのおいしさに絵里が全部食べてしまった分もしっかり補給しておく。また茶化されたのは別の話で。

そんなこんなでぶらぶらすること一時間。一通り回ったところでちょっと小高い丘に座って休憩をとる。

 

「ふぅ~・・・ちょっと疲れちゃった」

 

「はしゃぎすぎたね」

 

「ほんと、まさか昼と夜とでここまで街の顔が変わるなんて思わなかったわ♪」

 

「一粒で二度おいしいってこのことなんだろうね」

 

「そうなのかしら?」

 

「たぶんそうだよ」

 

温泉街を一望できる場所から二人だけで座って休む。

虫のさざめきと風なり音、木の葉が擦れる音がとても心地よく一種の自然の大合唱を奏でていた。

そんな少し静かで過ごしやすい空間で二人そろって先ほど補給したチョコ饅頭を頬張っていた。

 

(・・・これはまた買いなおさないとダメかな?)

 

なんて思いながら座っていたら絵里がポツリとつぶやく。

 

「ねえナオキ・・・今日、楽しかった?」

 

「?もちろん楽しかったよ?絵里は?」

 

「私も・・・すごく楽しかった。だって・・・ナオキと一緒なんだもの!!」

 

こっちを笑顔で見ながら答える絵里の行動におれの心が大きく揺さぶられる。

 

「今日は本当にうれしかったわ!!ありがと♪」

 

「おれの方こそ・・・絵里とじゃなきゃこんな楽しい旅行になってないよ・・・だからありがと」

 

「ええ♪」

 

そっと肩をくっつけながら恋人つなぎをする。

絵里の心臓が早鐘を打っているのが聞こえた気がした。

 

「ただでさえ今までにたくさんの暖かい気持ちをくれたのに今日だけで同じくらい沢山のものを貰っちゃった・・・」

 

「絵里?」

 

「凄く嬉しいの・・・でもたまに不安になるの。果たして私はナオキにふさわしいのかな?って・・・恋人らしいことで来てるのかな?って・・・」

 

寂しそうで今にも泣きだしてしまうんじゃないかと思う顔をする絵里。

そんな絵里の肩をしっかりつかんで抱きよせる。

 

「絵里、絵里がたくさんのものを貰ったのと同じようにおれだって絵里から沢山の暖かいものを貰ったんだよ?・・・だから、絵里はおれの大切な、世界で一番大切なおれの彼女だ!」

 

「・・・そっか」

 

「ちょっとは自信持てた?」

 

「ええ・・・ありがと!!おかげでとても心が軽くなったわ・・・ちょっと恥ずかしかったけど///」

 

「お、おれも恥ずかしかったんだし・・・///こ、これでお相子!!」

 

「ふふふ、そうね!」

 

「ほ、ほらそろそろ来るよ!!」

 

「え?」

 

事情を教えられてない絵里が素っ頓狂な声をあげながら後ろを振り向く。

するとその視線の先で・・・

 

 

 

 

ヒュゥゥゥゥ~~~~~・・・ドォーーン!!!

 

 

 

 

一輪の花が空中に一瞬咲き、その一輪を合図にさらに二輪、三輪と大きな花を咲かせていく。

 

「今日ちょうど花火大会があるらしくてね・・・あのお饅頭屋のおばあさんに時間とおすすめスポット教えてもらったんだ」

 

「凄い・・・綺麗・・・」

 

ドン。ドン。とおなかに響く音を立てながら咲き誇る花時に二人そろって見とれる。

大きなものから小さなもの、線を引くものに形が作られているものといろんな種類の花火が咲いた。

 

「どう・・・かな?ちょっと勝手に予定くんじゃったけど・・・」

 

「凄く嬉しい。もううれしすぎてなんて言葉で伝えたらいいかわかんないくらい・・・!!」

 

その言葉とともにおれに抱き着く絵里。その絵里をそっと抱きかかえしっかり包み込む。

花火が咲き誇る中、誰もいないところで二人でただただ抱きしめあっていた・・・。

花火大会もいよいよ佳境に入りどんどん花火が打ち上げられる。

 

「・・・また、ここに来よう」

 

「・・・ええ」

 

「また一緒に温泉入ろ」

 

「ええ」

 

「またチョコ饅頭買おう」

 

「ええ!!」

 

「今度は・・・亜里沙ちゃんや・・・いつかできるかもしれない・・・その、(子供)たちと・・・来よう?///」

 

「ええ///」

 

「・・・この。まだまだ先の話で、想像もできない夢みたいなものだけどさ・・・これを現実に、おれはしたい」

 

「私も・・・したい!!」

 

「だから・・・これからも、よろしく!絵里!!」

 

「勿論!!ナオキ!!」

 

花火が最後の一発。

金色に輝くしだれ花火を放つ。

あたりを金色に照れされた中で、おれと絵里はそっと口づけを交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その口づけは、ただ触れるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その口づけは、時間にしてほんの一瞬だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その口づけは、何回目の口づけか覚えてないくらいのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その口づけは、今までで、一番甘くて、幸せなキスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・懐かしいわね」

 

「だね」

 

そっと写真立てを置きながらつぶやくおれたち。

あれから二日目もしっかり堪能したおれたちは、くたくたになりながら。だけどすごく幸せな気分で帰ってきた。

 

「あの時のことば。まだ覚えているかしら?」

 

「勿論。おれから言ったんだあたりまえ」

 

「ふふふ、ならよかった♪」

 

顔を合わせながらそっと微笑むおれたち。

 

「もう婚約はした。同居もしてる。あとは・・・ね?」

 

「そう・・・だね」

 

『お姉ちゃん!お義兄ちゃん!掃除!!』

 

遠くから聞こえる義妹の声にハッとする。

 

「さ、掃除しましょ!」

 

「そうだね。早くやらなきゃ」

 

掃除道具を取り出して部屋を出るおれたち。

部屋を出る直前で振り向き写真立ての方へ向く。

 

「・・・もうちょっとだからね。待っててね」

 

そう言葉を残し、おれは部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、花火の下で誓った約束を然しっかりと胸に刻みながら・・・

 

 

 

 

 

 

 







長文、お付き合いいただきありがとうございました!
どうでしたでしょうか?甘々になってればいいんですが・・・あとナオキ君がナオキ君してるか心配ですww
間違いなく参加者の中で最長だと思います。だれてないといいな〜・・・

と、とにかく改めて、シベリアさん、一周年おめでとうございます‼︎
今回企画に初参加ということで入稿もギリギリと迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした‼︎
これからも頑張ってくださいね‼︎


以上、白犬のトトでした。
お読みいただきありがとうございました‼︎ではでは‼︎

明日はいよいよ最終日、ご本人の二回目の登場です‼
お楽しみに‼
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