詳しくは活動報告に追記しています。
皆さんも、これからの時期に火事には気を付けましょう。
射掛けるような殺意が、その森には満ちていた。
「逃げろ、逃げるんだ!!」
森の奥からは無数の赤く光る眼光が彼女たちを追いかけまわす。
三十を超える凶暴な害虫が、哀れな子羊たちを食い荒らさんと迫ってきた。
害虫の叫びが、耳元で聞こえるような錯覚すら覚えていた。
振り返れば今まさに害虫の凶刃が振り下ろされる寸前という光景を想像し、誰かが下落したとしてもそれを見ることもできない。
恐怖心が心臓を責めたて、早くなるばかりの鼓動は焦りを生ませる。
森の出口はもうそこだった。
「団長さん、危ない!!」
突如として飛び掛かってきたカマキリ型害虫が、彼の頭上に迫った!!
「ッ!?」
それは思考を断絶させるには十分な迫力があった。
先頭を走るはずの彼に後ろからの攻撃をいなせというのは酷な話だった。
「させませんわ!!」
だがその奇襲は、成功しなかった。
彼にとっても奇をてらう攻撃は、逆を言えば害虫にとっても危険を伴う決死の攻撃でもあったのだ。
すぐ後ろを走っていたハナモモの魔力が滾るロッドで殴打し、害虫は無様に撃ち落された。
「さあ、早く!!」
「う、うん!!」
尻餅をつく若き団長の手を取り、ハナモモは仲間たちと共に森の外へと逃げ出していった。
害虫にもテリトリーが存在し、余程の事がなければそこから出てこないことも多い。
今回は討伐任務と言うわけではなかったので、害虫たちも森の外まで深追いはしなかった。
彼らが見つけた傍から害虫を殺して回っていたらこうはならなかっただろう。
「はぁ、はぁ、みんな、無事?」
肩で息をしながらも、ハナモモ団長は部下たちの頭数を数えた。
一人、二人、三人、四人、五人、よかった、大丈夫だ。全員揃っている。
だが、安堵の溜息を吐いたハナモモ団長はすぐに息を飲む羽目になる。
「もう、馬鹿!! どうしてあそこで飛び出したの!!」
「しょうがないじゃない、あのタイミングじゃどのみち見つかってたから、一瞬で仕留めなかったら仲間を呼ばれてたわ!!」
「結局呼ばれてこうなったじゃないの!!」
「一斉に攻撃して、仕留められなかったんだから私の所為じゃないわよ!!」
「一斉!? あなたの独断に無理に付き合わされただけよ!!」
「お、落ち着こうよ……」
部下たちが喧嘩をし始めたのである。
みんな、血気盛んで若い花騎士ばかりなので、このような言い争いになるのもしばしばだった。
「皆さん!! とりあえず静粛に!!
女の子が怒鳴り声を上げるなんて、はしたないですわよ!!」
ハナモモが彼女らに一喝すると、とりあえず喧嘩をしていた面々はしぶしぶ黙り込んだ。
仲裁をしようとしていた子はホッと胸を撫で下ろしている。
この中で一番幼げで小柄なのはハナモモだが、彼女の戦歴は二年以上と、ここにいる誰よりも先輩なので言い返そうにもできないのだ。
基本的に花騎士と言う存在は平等であるが、貴族の出と平民出身が同列に扱われないのは仕方ないことである。
同じように、先輩後輩の間柄にも気を使う者は多い。
それは憧れだったり、世話になったから頭が上がらなかったり、と様々だが。
スッと、ハナモモは己の団長に目を向ける。
何か気の利いたことでも言って場を収めてほしい、とその目は言っていた。
「もう、ダメだよ、勝手に行動しちゃ。
皆も、よってたかって責めちゃダメだよ、みんなの為を思って行動しようとしてくれたんだから」
「ほら、団長もこう言ってるじゃんか!!」
「でも次からは一言僕たちに言ってよね」
「はーい」
彼と彼女の一連のやり取りを見て、ハナモモは思った。
これは良くないですわ、と。
ハナモモの視線は不満そうにしている二人の同僚に向けられていた。
「団長さんは、将来的にどのような目標を持っていらっしゃるのですか?」
「い、いきなりどうしたの、ハナモモちゃん」
「いいからちゃんと言ってください」
帰りの道中、いつも愛らしいハナモモが真剣な表情で言うので、団長も少々面を喰らっていた。
「うーん、そうだなぁ、とりあえずもっと国から信頼を得て、討伐任務を受けられるようになればいいかなぁ、なんて……」
「それを当面の目標として、部隊を大きくしていく感じでしょうか?」
「うん、そんな感じで行こうと思ってる」
曖昧な指針だが、方向性があるだけマシだった。
これまでハナモモ団長率いる部隊はフォス街道周辺の警備で食い繋いでいたが、今日はステップアップとしてガルデの裾野の偵察を請け負っていた。
この辺りの害虫は凶悪なのが多く、考えなしに戦えば一瞬で全滅するのは目に見えていた。
それを念頭に置いた任務だと言うのに、あの有様だった。
フォス街道の適当な雑魚相手なら多少いい加減でも十分だったのだが、こうしてレベルが少し上がっただけで問題が露呈するようでは、お粗末が過ぎるというものだ。
ハナモモが危機感を覚えるのも当然だった。
「こ、このままではモモお姉さまに失望されてしまいますわ……」
誰にも聞こえないようにそう呟いたハナモモの目には、決意が宿っていた。
数日後、ハナモモはブロッサムヒルにある多国籍遊撃騎士団の支部に訪れていた。
「ええと、リンゴ団長さんはいらっしゃいますでしょうか?」
ハナモモは背伸びして受付の事務員に精一杯視線を合わせようと頑張りながらそう言った。
「その呼び方ってことは、うちのどこかの部隊の子よね?
あの人なら丁度、宿舎を部隊全員分借りているわよ。
行ってみたらどうかしら?」
と、受付のお姉さんに言われたので、ハナモモは騎士団が所有する宿舎へと向かった。
「おっと、君はハナモモちゃんじゃあないか。
うちの部隊に何か用でもあるのかい?」
運が良いのか悪いのか、その道中で彼女は彼に遭遇した。
彼は出会い頭にこのような言葉を吐いたが、二人に直接の面識は無い。
「あら、あたしのことご存知でしたの?
こちらにいらす団長さんってことは、あなたがリンゴ団長さんですか?」
「うんうん、そうそう」
リンゴ団長は傍から見たらすごく気持ち悪い表情で頷いた。
実際真横を歩いて同行していたペポは、この人気持ち悪いな、と内心思っていた。
「お二人はデートの最中でしたの?」
「うん、まあそんな感じ。
でも君みたいなキュートなレディを見かけたら、思わず声を掛けちゃうなぁ」
「まあ、お上手ですわ!!」
レディ扱いに満更でもなさそうなハナモモだった。
「なるほど、こうやって女の子に粉を掛けるんですね。
私も何かお話でもしましょうか。例えばこの間プレミアレアのブリキ人形を手に入れた経緯なんてどうでしょう」
「い、いやぁ!! ペポみたいな美少女とデートできて最高だなぁ!!
ごめんなさい反省してます許して!!」
大の大人が小柄の女の子に赦しを乞う奇妙な光景だった。
「もう……私の目が黒いうちは知らない女の子に手を出させませんからね」
「ううッ、俺は彼女に逆らえない、弱みを握られている!!」
「完全に自業自得じゃないですか!!」
こんな漫才を繰り広げる二人を見て、ハナモモは思った。
本当にこの人で大丈夫なんだろうか、と。
「ああ、うん、そういうことね」
とりあえずその辺のベンチに座ってハナモモの話を聞いたリンゴ団長は、先ほどの情けない様子とは打って変わって真面目な表情で頷いた。
「リンゴ団長さんが元教導の御方だとお聞きしたので、折り入ってお願いしたいのですが……」
「彼の扱いはとりあえず皆放任することにしてたんだよな。
うちの騎士団も暇じゃないし、行けるところまで自分でやらせようってね。
だけどハナモモちゃんみたいな可愛い子に頼まれちゃ断れないな」
腕を組んで眉を顰める彼はゆっくりと頷いた。
「この調子じゃ多分一年、いや半年で死ぬだろうし、ここは俺が一肌脱ぐしかないか。
あ、もちろん」
「ハナモモちゃんと一緒に一肌脱いでも良いんだよ、とか言ったら通報しますからね」
「くッ、このボケ殺しめ!!
流石は長年ランタナのズッ友をしてるだけあるな」
「知ってますか、そういうのセクハラって言うんですよ」
「仕方ない、ペポで我慢するか」
「わひゃぁ!!」
そう言ってペポの脇腹を突くリンゴ団長。
そんな光景を見てハナモモは思った。
本当にこの人に頼んで大丈夫だったのかな、と。
後日、リンゴ団長は数名の隊員を引き連れ、抜き打ち査察と称してハナモモ団長とその部隊をブロッサムヒル平原へと呼び出していた。
「いやぁ、いきなり呼び出して悪いな」
と、リンゴ団長はハナモモ団長の若い隊員たちを見やってにまにましながら言った。
「ええと、査察と言うことでしたけど……」
「ああ、それは気にするな、そっちがどれだけ頑張ってるか見るだけだから」
リンゴ団長がそう言うと、ハナモモ団長はホッと胸を撫で下ろした。
やはり大して心当たりも無いのに査察されるというのは恐ろしいものだったようだ。
彼だけでなく、彼の部下もリンゴ団長が連れてきたサクラを前にして緊張した様子だった。
「とりあえず、そこの森林に標的となる害虫を放ったので、討伐して来い。
なに、遠慮しなくていいぞ。奴は遠慮なんてしないからな」
そう言ってリンゴ団長が指差す先には、お祭りの屋台で売ってそうな安っぽいアリ型害虫のお面を付けたランタナがぴょんぴょんと自己主張していた。
「演習みたいなものですか?」
「そうだ、行って来い」
そうして彼らは森林の方へと向かっていった。
「こうして団長さんと後輩たちの教導をすることになるなんて、なんだか感慨深いですね~」
頬に手を当て、思い出に浸るサクラ。
「それじゃあ、打ち合わせ通りやるぞ」
リンゴ団長がリンゴに目配せすると、彼女はこくりと頷いた。
この世で最も恐ろしい怪物は、人間の残虐さを持った存在だと言われることがある。
人間並の知性ではなく、人間の思考を知り、その裏を掻ける狡猾さこそ恐れられるのだ、
その為、そういう怪物には怪物としての能力はあまり問われたりしない。
そこまでは行かなかなくても、ランタナ扮する害虫は敵対する花騎士たちにとって厄介なことこの上なかった。
「うっぽぽーい!!」
奇妙な鳴き声を発するランタナ害虫。
「そっちに行ったよ!!」
「早く、また逃げられちゃう!!」
それを討伐せんと追う花騎士たちは大苦戦していた。
小柄で逃げ足の速く、悪知恵の効くランタナは五人を相手にして見事に立ち回っていた。
木々や草花を盾に攻撃を掻い潜り、容易に攻撃できないように常に誰かの射線に入る位置から奇襲を掛ける。
どんなに連携が取れなくても、集団はある程度足並みを揃えなければいけない。
集団の利点は今完全に足かせとなっていた。
連携さえ取れていれば、ランタナ害虫を追い詰めることは可能だった。
または、団長の指示がしっかりしていれば、ある程度補うことも出来ただろう。
そのどちらも未熟な彼女らには、適わない話だったが。
「ああ、もうそっちに居ないよ!!
右右!! 右だって!!」
「お、苦戦しているな」
「ああ、先輩……」
後ろから声を掛けられたハナモモ団長は、振り返ってから硬直した。
なぜなら、リンゴ団長以下隊員たちが全員、アリ型害虫のお面を付けていたからだ。
「きしゃー!!」
付けているのはアリ型害虫のお面だというのに、カマキリの鎌を両手で模してリンゴ団長は害虫の鳴き声を真似て言った。
次の瞬間、彼の部下たちがハナモモ団長に襲いかかったのだ。
「え、えええぇ!!」
瞬く間に組み伏せられ、無力化されたハナモモ団長。
彼の困惑した声に、ようやく彼の部下たちも彼の異変に気付いた。
「おっと、団長さんが害虫の奇襲でやられちゃったぞ!!
さあ、お前たちはどうする!?」
お面を外して白々しくそんなことをのたまうリンゴ団長。
ハナモモ団長の隊員たちは急な状況の変化に対応できずに立ち往生していた。
「わ、私が指揮を引き継ぎますわ!!
皆さん、一か所に集まって撤退をッ!!」
ハナモモは比較的素早い判断を見せたが、もう遅かった。
「うっぽぽーい!!」
「あッ、ちょ、やめ、あひゃぁぁ!!」
敵に背を向けた者の末路を、彼女の仲間の一人が見せた。
彼女の背中に取りついたランタナのくすぐり攻撃によって倒れ、頭に棒人間の顔に死と書かれた死亡判定の札を取り付けられてしまった。
その後の残りの面々の末路も、言うまでもないことだろう。
「いやぁ、これが実戦じゃなくてよかったな。
お前たち全員死亡、全滅だ」
リンゴ団長は想定通りだと表情で笑ってそう言った。
無論、全員の頭に例の死亡判定の札を付けられ、並ばされた花騎士たちは不満そうだった。
「いきなり団長さんを攻撃するなんてズルいです!!」
「そうだな。
今度その理屈が害虫に通用するかどうか試して教えてくれよ。
勿論、お前が生きて帰れたらの話だが」
そう言われてしまったら、その若い花騎士も押し黙る他無かった。
「お前たちは害虫を追うことばかりに夢中で、団長の警護を怠った。
人数が少ないなんて言い訳が通用すると思ったら大間違いだ。
人数が少ないのなら少ないなりに考えてどうにかするしかないんだよ。
それが実戦ってもんだ。
いいか、ズルいだとか卑怯だとかは、死ぬ寸前の負け犬が吐く弱者の言葉なのさ」
リンゴ団長の容赦のない言葉に、若い花騎士一同は涙目になった。
「あの、先輩、そのくらいで……。
僕が不甲斐無いだけで、彼女たちも任務の為に頑張ってくれたんですし、そんな風に言ったら可哀そうで」
一方的に叱られる彼女たちが気の毒に思ったのだろう、ハナモモ団長が恐る恐るそう言った。
「そう思うのか?」
「え?」
「そう思ったのなら、今すぐ荷物をまとめて故郷に帰れ。
お前に団長なんて向いていない。居ない方がマシだ、失せろ」
その厳しい言葉に、ハナモモ団長は愕然とした表情となった。
リンゴ団長は顔を顰めたまま、若い花騎士たちに向き直った。
「お前たちは学校の先生と仲良くなっても、決して友達には成れないだろう?
なぜなら教師には教師の立場があるからだ。
彼らはかわいそうだとか言って、テストの採点に手心を加えてくれるか? くれないだろう?
団長と花騎士の関係もそれと同じだ。
……例えばそこのお前」
指を差された花騎士は、びくりと震えた。
「単独行動が目立っていたな。周りはそれをフォローするのに必死だったように見える。
ハナモモちゃんを除いて、この中で一番実力があるから自分が引っ張らないといけない気にでもなったか?
自惚れるな、小娘が。お前の実力なぞ逃げ回る害虫一匹仕留めることもできない、その程度なんだよ。
お前の空回りが周囲の足並みを乱す。
お前が俺の隊なら即除隊だ、一生フォス街道の警備でもしていろ」
余りにもバッサリと歯に衣着せぬ物言いで切り捨てるリンゴ団長に、彼女も恐怖と悲しみで体を打ち震わした。
「そんな、そんな言い方無いじゃないですか!!」
「可哀そうだからか?
俺が思うに、こいつに付き合わされる方もよっぽど可哀そうだと思うが?
仮にこいつの独断が原因で他の仲間が戦死したら、それは可哀そうじゃないっていうのか?」
「それはッ、そこまで言っているわけじゃ……」
二人の間には圧倒的な隔たりがあった。
若さゆえに感情的になれるハナモモ団長と、そんなものが全く役に立たないと経験から分かっているリンゴ団長の間には。
「騎士団を簡単に成長させる方法を教えてやろうか?
使えないやつをどんどん切り捨てて、実績を重ねることだ。
少なくとも俺はそうしてきたぞ。使えないやつは全員置いてきた。
そして俺の命令や規則を破った輩には、こいつは使えないので難しい任務を与えるなって、方々に手紙を送ることにしている」
「そ、そこまでするんですか……」
「当たり前だろう。
俺たちは彼女たちの命を預かっているんだ。
彼女たちの失敗の責任は全て、お前の所為となるんだ。
それが団長の責任だ。彼女らを率いる者の責任だ。
俺は彼女たちを死なせない為なら尊厳すら奪おう。たとえそれで首を括るほど追いつめられようともな!!」
リンゴ団長の鬼気迫る表情に、ハナモモ団長は恐ろしくなって震えることしかできなかった。
この人はやるだろう、自分の命令に従わない相手のことを思って、死地を取り上げるのだ。
「団長さん、それで一度裁判沙汰になりかけましたよね。
私としては次は勘弁してほしいのですが」
どこかそれを脅しだろうと考えていた若い花騎士たちも、そのリンゴの言葉に彼の本気を悟った。
もう彼は実際にそれを行っているのだと。
「お前は分かっているのか?
彼女たちが死んだら、お前はその家族に娘さんを死なせてしまいましたって遺品を添えて手紙を書くんだぞ?
そして俺は部隊の面々にいつもこう言っている。
俺の命令を破り死んだら、あの花騎士は無能で役立たずで、身勝手な行動を取って無様に死んだ挙句周りに迷惑を掛けましたと、家族や親戚、友人たちに手紙を送るとな。
無論、家族に支払われる見舞金も無しだ。
ここまで言って俺の命令に従わない花騎士は非常に稀だ」
ハナモモ団長は思った。
この人は暴君だと、悲しみを減らす為に暴君になったのだと。
「お前と、お前の部下たちを死なせたくなければ、その甘っちょろい考え方を捨てろ。
可哀そうだと思ったらそいつを切り捨て、危険な戦場から遠ざけろ。
それができないのなら、お前は団長になるべきじゃなかった」
彼のその言葉が、痛いほど胸に突き刺さった。
「実戦に勝る訓練は無いと言われるが、お前たちには戦いの最中に成長したり、眠っていた力が目覚めたり、思いつきの必殺技が成功したりなんて出来ない。
不確定要素ばかりの実戦が訓練なのだとしたら、そいつは不死身か何かだ。
日々の地道な訓練のみが、実戦においての自信を裏付ける。
今日の教練は以上、お疲れ様でした!!!」
お疲れ様でした、とすっかり顔付きが変わった若い花騎士たちは、リンゴ団長たちに深く一礼した。
あの後夕方になるまで訓練を施し、解散となった。
「……ハナモモちゃん」
「どうかなさいましたか、団長さん」
まだまだ若い騎士団長は、決意を新たに顔を上げた。
「僕、もっとしっかりするよ。
先輩みたいにはできないけれど、まずはみんなと一緒に出来ることをしようと思うんだ」
「それがよろしいと思いますわ」
ハナモモは彼のその姿を見て、肩の力を抜くことができた。
彼に頼んでよかった、と彼女は感謝した。
「あの時は大変でしたね、気難しいから気を使ってやってくれって手紙が曲解されて、名誉毀損だって訴えられて」
「おかげでどうやって捻くれた花騎士を躾けるか理解できたけどな。
名誉と無縁の花騎士は居ない。そうでなくても活動を制限されるのを嫌がる。単純なもんだ」
教練が終わると、リンゴ団長はリンゴと居酒屋で一杯飲んでいた。
「おやおやぁ、なんだか難しい話してるねぇ~」
「団長さんは女というものを理解してませんよ。
それくらいでどうこうなるもんじゃありませんって」
最近酒を飲む描写が増えた所為か、ついに湧いて出てきた花騎士界の飲兵衛コンビこと、ホップとヘザーである。
「……こいつらの場合は禁酒命令させればいいな」
「ちょ、それは反則だってばぁ!!」
「そうです、横暴ですよ!!」
「お前たちは単純で良いよなぁ……」
この後、滅茶苦茶飲み友達なった。
色々なサイトで調べたところ、自分の誕生花は持っている中ではアネモネとマンリョウでした。
皆さんも自分の誕生花の花騎士は持っていますか?