今回は「プロテア、視察する」を予定してましたが、前回の書きたいことを書いていたら長くなったので次々回にします。
予定通り次回はリンゴイン団長で行きましょう。
それと、皆さんの温かいお言葉は励みになります、ありがとうございました。
それと石貰えるとコラボ先で指揮者になる楽譜も読めない俺団長。
こんなことならコラボ先のガチャ回しとけばよかった!!
「ふぅ、やっとこさ引き継ぎ終わった」
プロテアがやってきて数日、チューリップ団長はげんなりした様子で手足を伸ばした。
「すみません、団長さん。
雑用を頼まれるのはいつものことなんですけど、ここまで遠慮なく団長さんに雑用を押し付けるなんて……」
「聞いたよ。他の連中に押し付けてもしがらみやら何やらでたらい回しにされるんだろ。
凄いじゃないか、君の存在は明らかに元老院での業務を円滑にしているよ」
と、殺人的な量の雑用を新たに部署を設けて殆ど部下に分散して任せ、今後も滞りなく勝手に処理できるようにすると、彼はそのように吐き捨てた。
「ええ、だからこそ私も断りづらくて。
こんなことでも元老院に貢献できるなら、って思ってたんですけど……」
プロテアは承認のはんこをポンポンするだけで、元老院から送られてくる大半の雑用を処理できるようにしてしまった男を見て、複雑そうな気分になった。
「倍の量の仕事が来てもどうにかできるように部下のリソースも確保し終えたし。
これで元老院議員を名乗れるなら俺も議員だって名乗っていいのかな?」
「正直な話、団長さんが元老院の人間ならよかったのですけど。
他の皆さんはもう慣れたって表情をしていますけど、もどかしさや窮屈そうにしているのを時々見かけますから」
「ハッキリ言ってそんなに伝統が大事なら、伝統と実務を分ければいいんだよ。
新しく家格の低い有能な人間だけで元老院の下部組織でも作って、そいつらに雑務を押し付ければいいのさ。
まあ、そんなことできるならとっくの昔に元老院とは別に軍部が出来てるだろうけどね」
まさにその下部組織と化しつつあるのを二人は自覚しつつ、彼は間断なく嫌味を放ち続ける。
毒を食わば皿まで、この調子で続くならなし崩し的にそうしてしまうつもりのようだった。
意地でも残業をしないという、鉄の意思を感じる数日だった。
「所詮伝統やら何やらと言っても、実益や利益には勝てない。
そもそも伝統とはそれらを守るための建前だからね。
例外はこのようにして作るんだ。尤も、これは政治家の手段じゃないけど」
その新しく作った部署の独立化さえも視野に入れつつ、彼はそのように述べた。
「団長さんは、政治についてもお詳しいですね」
「まさか。俺は政治なんてわからないよ。
俺は国家公務員に過ぎなくて、与えられた仕事をこなしているだけだ」
雑用で得られる報酬を計算し帳簿に書き込んでいくと、ふと、彼は意地悪を思いついた。
「そうだ、俺も騎士団長として花騎士を道を指し示す義務がある。
俺の部下である君の将来が悲嘆に暮れるモノでしかないと分かっているのだから、それを見過ごすのも忍びない」
「それは、どういう意味ですか?」
「君の間違いを正そうってことだよ。おい、ハナモモ団長を呼べ」
チューリップ団長は壁越しに部下にそう指示すると、気味が悪いほど優しく笑った。
プロテアも、元老院の魑魅魍魎に相対する気構えでそれを受けた。
「こんにちは、チューリップ団長。お呼びだと伺ったのですが」
「どうも、ハナモモ団長。
悪いね、警備の任務の大部分を任せることになっちゃって」
やってきたのは、この騎士団でも最年少の団長だった。
「あ、こちらがプロテア様ですね? どうも、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
二人の挨拶もそこそこに、チューリップ団長は口火を開く
「ところで、警備任務なんて華の無い仕事は嫌じゃないかい?」
「いえ、警備に関しては僕にも思うところは有りますので。
僕もいつまでも宙ぶらりではいられませんし、このまま全て警備任務を引き継いでもいいか、と提案しようかな、なんて」
この騎士団は要するに、それぞれのノルマをそれぞれの得意分野でどうにかする分業制であり、ハナモモ団長も所属しているだけで彼のノルマを他の団長に押し付けていることになる。
そのことを負い目に思っていた彼は、己の考えを示した。
いつまでも未熟なままでは居られない、と。
それに、これまで警備関連の任務はチューリップ団長が一手に引き受けていた。
この騎士団だけでなく、他のリリィウッド騎士団の大部分をだ。
これはチューリップ団長の少なくない負担となっていた。
それだけ警備任務は巡回も含むため人気が無く、各騎士団の討伐に掛ける士気が高いと言える。
これはリリィウッド付近が対害虫における最前線であることを示しており、皆が国を守るために奮闘しているということである。
これは
「本当かい? 君が警備に専念してくれるなら、これ以上に助かることはないよ。
ならば俺も君に誠意を示さなければならないね」
チューリップ団長はそう言って、一枚の企画書を取り出した。
「これって、難民援助に関する今後方策? ってことは、つまり……」
「そう、君の村のような人間を援助しようって企画だ」
「でもこれ、ほとんど白紙ですよ?」
そう、彼の提示した企画書は殆ど具体的な内容は書かれていなかった。
「それはここにいるプロテアサマと一緒に考えるんだ。
こっちがうちの部隊の予算で、こっちが必要だろう物資の目録や必要な人員の名簿。
出来が良かったらそのまま採用してもいいけど、まずは概要だけを自分が元老院議員だと思ってやってみなよ。
プロテアサマも、議員としてしがらみを無視して好きなようにやってみると良い」
「……わかりました」
プロテアは彼の意図が読めなかったが、難民救済の為にとハナモモ団長と話し合いを始めた。
「ええと、もう少し物資を多くした方がいいかしら、護衛も付けて……」
「こんなに予算を割いて良いんですか?」
「確か、予算って使い切らないと来期から減らされるらしいから、使い切っちゃったほうがいいと思うの」
「なるほど、分かりました」
二人はオフィスの来賓用の椅子とテーブルであれやこれやと計画を練っていく。
概要だけなので、二人は一時間足らずで難民救済の企画書を完成させた。
びりびりびり……。
のだが、二人の一時間は無残にもチューリップ団長の手で引き裂かれた。
承認不可のはんこまで押してわざわざ。
「はい、ダメー」
ぽかんとしている二人に、チューリップ団長はさも楽しげに両手を交差させバツ印を示した。
それどころか、
「おい、憲兵。この議員二人を公金横領で連れて行け」
彼がそう言って手を叩くと、掛け軸の下から『番犬』が数名出てきて、二人の両脇を固めてオフィスから連れ出した。
「団長さん、どういうことですかッ!?」
そして、すぐに二人はオフィスに戻ってくると、開口一番にプロテアはその真意を問うた。
「どういうこと? 当たり前だろう?
なにせ国民でも何でもない相手に、勝手に部隊の予算を使って施しをしようとしたんだから」
「……え、それはどういう」
「君はまず、ハナモモ団長から一体どういう難民を相手にするのか聞かなかった。
それはそれで無能な政治家らしいけれど、政治家なら少なくともどういう立場くらいか知っておくべきだった。
君はハナモモ団長から彼らのことを聞かなかったよね?
住む場所を害虫によって追われ、村ごと死んだことになった彼らに国籍どころか戸籍もない、仕事も無ければ当然税金だって払えない。
つまり、国民ですらない相手だってことだ」
そこまで言われて、プロテアはようやく理解した。
部隊の予算を提示したのは、彼の明確なトラップだったのだと。
「彼らは、国も助ける余裕の無い、或いは優先度が最低の、しかし放置しておけば犯罪の温床となる哀れな人たちだ。
だからどうにかするには、まずは助ける為の法律を作らなければならないよね、元老院議員のプロテアサマ」
「…………」
「もしくは、公的立場とは全く関係ない、ボランティアとして資金を集めるとかするべきだった。
彼らを細々と支援している花騎士たちのようにね」
元老院のしがらみも無視していい、立場を利用して募金を募っても良い。
そのどちらも出来なかったので、赤点どころか落第点。国民の血税を私的に勝手に使ったから横領、それだけの話である。
「政治家は羊飼いと同じだ。
羊たちを導き、オオカミから守って草を食べさせる。
その代りに乳を搾り、毛を削ぎ、肉を喰らう。
羊毛の代金で設備を整え、羊を増やす。その金で野良犬に餌をやるなんて、君の雇い主にぶん殴られても文句は言えない。
……重要な案件の論議に参加させてさせてもらえない?
当然だろ、君は政治と慈善活動の区別もついてないんだから。君の言葉は聞くに値しない戯言だってことさ」
「あの、チューリップ団長」
「あ、悪かったねハナモモ団長。
こんなどうでもいいことにつき合わせちゃって。野良犬ってのも比喩表現だからね。
ちゃんとした企画はちゃんと立ててるからね」
「それは良いんですが……」
ハナモモ団長は、居心地が悪そうに横の人物を指差した。
「彼女、泣いてますよ」
「へ?」
チューリップ団長は、その指摘を受けて視線だけプロテアに向けた。
彼女は若干顔を俯かせ、両目から涙を流し、その涙は頬を伝い床に落ちて弾けていた。
それは、彼の禁忌に触れることだった。
思考がクラッシュし、体は電源が落ちたかのように停止した。
「男の子が女の子を泣かせちゃダメでしょう……」
と、オープンスケベ絶対害虫殺すマン、ハイスペックむっつりスケベ、厨二病貴族、シスコン冷血漢が揃った団長たちの中で騎士団の良心だ、と巷では期待されているハナモモ団長がぼそりと言った。
ぐさり、と彼の胸にその言葉が刺さったのは言うまでもない。
そして彼の脳裏には明王の如くそそり立ったチューリップ四姉妹が死刑の判決文を持って彼をげしげしと責めたてている様子が展開されていた。
「ち、ち、違くて、これは、その、あ、あれ、あれで、その、そう、経験、経験だよ、こういうの経験が物を言うから、その辺をちゃんとしておけば、君、頭いいんだし、その……」
頭の中がしっちゃかめっちゃかになりながらもそんな風に言い訳っぽくチューリップ団長は思いつく限りの言葉を並べ始めた。
「いえ、いいんです、よく分かりました。
私には足りないものが多すぎるということが」
そして涙を拭うプロテアにも、思うところがあったのだろう。
顔を上げた彼女は、新たな決意を胸に抱いていた。
「ちゃんと謝らないとだめですよ」
「う、うう……」
と言った常識人の言葉に、どうしたらいいか分からずそわそわしているチューリップ団長は仰け反った。
「ご、ごめんなさい。調子乗りました」
縮こまりながらぼそぼそと彼はそう言った。
彼から陰気な雰囲気がこれでもかと言うほど漂っていた。
「いいえ、団長さんは私の為にしてくださってことですから。
それで、団長さんの企画書を見せて貰っていいですか?」
「あ、……うん、……どうぞ」
彼は物凄く居心地の悪そうに企画書を差し出した。
「じゃあ、俺はこれで……」
チューリップ団長はそう言って掛け軸の向こうへと入っていった。
残された二人が気になって掛け軸をめくって奥を見てみると、彼はソファーに寝転んで丸まっていた。
そんな彼の様子に待機中の『番犬』の面々は困惑し、どうしたら良いか分からず色々と世話を焼こうとしていた。
「ああ、こうなったら彼はもう今日は使い物になりませんね」
その声に二人が振り返ると、いつも彼の背後に控えている部下が佇んでいた。
「団長は私たちが慰めておきますので、どうか今日はお引き取りを」
と言って、彼女は二人をオフィスから追い出した。
プロテアとハナモモ団長は、彼の意外なメンタルの弱さに終始目をぱちくりさせていた。
§§§
「すごいです、もうこんなに集まったんですか?」
チューリップ団長の企画が始まってすぐに、およそ数百万ゴールドの義援金が集まった。
その額の計算をしていたプロテアは
彼の手法はこうだった。
まず、新聞記者を集めて、プロテアと共に騎士団の巡回も出来ない遠くに住む人たちの為に募金を求める記事を書かせたのである。
その際、彼はいかにプロテアの訴えに心動かされたかを雄弁に語った。
当然これは政治活動などではなく、恵まれない人々の為の慈善活動だということは強調した。
そうして彼女の人望や人気も相まって、あっという間にリリィウッド中から活動資金が集まったわけである。
「本当はサクラさんにでも頼もうと思ったんだけど、彼女は忙しそうだからね。
当面の資金はこれとしばらくはまだまだ集まってくる募金でどうにかして、後は貴族の後援者でも募れば活動も軌道に乗るでしょう」
これくらいなんでもなさそうに、チューリップ団長はそう言った。
「すごいです!!
正直、私が呼びかけただけでこんなに人々から支援を得られるとは思いませんでした。これも団長さんのおかげですね!!」
「いや、どう見ても君のお蔭だよ。
俺が呼びかけてもこんなに集まらなかっただろうし」
嬉しそうに笑っているプロテアに、彼は少し卑屈そうにそう言った。
まだ先日のトラウマ直撃の後遺症が続いているようだった。
「ね、簡単だろう? 貴族を味方に出来ないのなら、こういう風に民衆を味方にすればいい。
国家と言う組織において、最も強いのは女王や王族じゃない。国民さ。
彼ら無くして国は成り立たないからね。
元老院が王家の暴走を諌める役目を持っているように、国民の言葉を王家は無視できない。
彼らの声を高め、それに君は味方をすればいい。
それを続けるだけで君は既存とは全く別の立ち位置を元老院で得られるはずだよ」
「……すごく参考になりました」
彼は政治家ではないが、その手法は政治に通じていた。
国家とは国民あってのものである、と言う考えをプロテアは国は自分たちの物だと思っている貴族たちに言ってやりたいくらいだった。
「だけど……」
しかし、一つの道を示したチューリップ団長は、視線を横に逸らしてやるせなさそうにしていた。
「正直これは、オススメできないかな」
「どうしてですか? 国民の声を直に聞いて、それを反映していくのは素晴らしいことですよね?」
「そうかもしれない、だけど俺は止めた方が良いと思うな」
プロテアの疑念に、彼は両手を組んでジッとそれを見つめ続ける。
「君は、人々を信じすぎているよ。彼らは自分の都合に利用するくらいで丁度いいんだ」
「団長さん、それは聞き捨てならないです。
私は人々の笑顔の為に戦い、元老院議員の道を受け入れました。
あなたも騎士団長として、人々の為に戦っているのではないんですか?」
「――――ハッ」
真剣な態度でそう言ったプロテアは、彼が嘲笑ったのを見た。
彼女を、ではない。自分を、だ。
「連中は裏切るよ。人間は個人では幾らでも高潔になれる。
だけどそう言う人間たちだけであっても、集団になれば途端に醜悪で見るに堪えないおぞましいモノに成り下がる。
民衆なんて特にそうだ。連中は君が失敗すればあっさりと見限るし、手のひらを返す。どれだけ君を称えていても、それを忘れて恥知らずにも罵りだす。見たことも無いのに外聞だけで知ったつもりになり、それを忘れる。誰かを傷つけても知らない振りをする。
……身勝手で、無知で、見て見ぬふりをして、すぐに妬んで学習しない、他人の痛みを知ろうともしないくせに、強欲だ。
――――ハハッ、人類悪そのものだよ、全く」
強張った表情でそう語るチューリップ団長を見て、プロテアはすとんと腑に落ちた。
己は人類愛を語り、彼は人類悪を語る。
自分たちはまさに正反対だったのだ。
自分はあの時、目の見えぬ人間に青空の素晴らしさを語り、耳の聞こえぬ人間に音楽やそよ風の音の素晴らしさを伝えようとしていたのである。
それが、残酷なことであるというのに。
そして彼の仕事をすぐ近くで見ていたプロテアは、彼から全くと言っていいほど仕事に対して“熱意”を感じなかった。
それも当然だった。彼は仕事にやりがいなど感じてなど無いのだから。
国を良くしたいのも、国民の為でなく、自分が生きる為の仕事をくれた王家に対する忠誠。
彼は彼の語る人類悪の通りの己と言う人間を嫌悪しながら、それがそのまま当てはまる民衆を仕方なく“仕事”だから守っている。
……そんな人間が、人々を守るという騎士団長をしている。
それを、先ほど彼は嘲笑ったのだ。
「団長さん、あなたの言うことは全く分からないわけじゃないです。
でもその欠点を人間から取り除いたら、それはきっと動く“人形”です」
「そうかもね、そうだったとしても俺は気にしないけど」
「私は、悲しいです」
そう言って目を伏せるプロテアに、彼は掛ける言葉を持たなかった。
「それでも、あなたは弱者を助けています。
本当に人々に失望しているのなら、そんなことする必要は無いはずですよね?」
「それは、それは……彼らが俺より弱いからだよ」
彼女の問いかけに、彼は言葉を選んでそう言った。
「俺はね、姉さん達に拾われ、恩返しをしようと思うまで、“人間”じゃなかった。
だから俺が助ける人たちは、人間としての生活のままならない人たちだけだ。
それは社会に淘汰されたり、制度の犠牲になった人たちだ。
自分たちは生きているだけで善良だと思い込んでいるニンゲンサマなんて、俺以外が手を差し伸べればいい。
そしてそのまま勝手に幸福になって、勝手に朽ちればいい。
俺はそいつらなんて見たくも触れたくも聞きたくも近づきたくもない」
それは毒がある生き物を、毒があるというだけの理由で遠ざける心理に似ていた。
「……気持ち悪いんだ」
毛虫の群れが巣食う木を見て生理的嫌悪を覚えるように、彼は個人ではなく集団としての人間を毛嫌いしていた。
本心からそのように吐露した団長を気遣うように、天井から、掛け軸の裏から、机の下から、『番犬』たちが寄り添っていく。
その全員が、彼が手を差し伸べた弱者だった者ばかりだった。
彼女たちが自分たちの人間性を排してまで人間嫌いの彼を気遣う姿は、あまりにも痛々しかった。
「わかりました、今日の所は失礼します」
プロテアも、そう言った彼に何と言えばいいか分からなかった。
彼女が彼のオフィスを出ると、いつもの彼の部下が廊下に立っていた。
「あなたは……」
「今まで名乗らずにいたことをお許しください。
我々に名乗る名前など無いのです……ただ一人、シルビアの名前を引き継ぐ私以外は。
これは対外的な名でして、私自身気に入っておりません」
その名前の意味にプロテアは驚くも、彼女は言葉を続ける。
「プロテア様。我々はあなたに期待しています。
ご主人様があのように本音を我々以外に言うことなど、今までに無かったので」
「どうして、あなたはそのことを私に?」
「さて……ところで、あなたは自分に主人が居たとして、その主人が奴隷であるのは許せないでしょう?
我々は同じ境遇だった人間を見れば一目で分かります。
あなたには見えるでしょうか。彼の首に未だ繋がっている鉄の首輪の鎖が」
「……ええ」
人間は色々な物に縛られている。
元老院の人間は伝統と言う名の鎖に雁字搦めになっているように。
彼女自身、予言という力に縛られている。
「或いは、あなたも我々と同じ犬としての素質があるのやも……」
「それは違うと思います!!」
「まあ、いずれにせよ、ご主人様をよろしくお願いします。
我々は過去も日の光も捨てた身ですので、任されて頂けるのならば、浅ましい身の上ではございますが、我々は御主人同様の無上の忠誠を貴女様に捧げましょう」
そう言って『番犬』たちの長は、答えも聞かずに踵を返して去って行った。
「私に、出来るかな……」
そう言いつつも、プロテアは感じていた。
彼との出会いは、彼にとっても運命なのだと。
それは予言で会うことを予知したからではない。
お互いに欠けたモノを持ち合わせている者同士であることを、二人はお互いに察しているのだ。
※チューリップ団長の好感度ロックが解除されました。
リンゴ団長たちのバレンタインは多分こんな感じ。
「だんちょ、ペポチョコレート1/16を受け取れー!!」
「おお、どれどれ、これってカボチャ味か!! ランタナ、お前って意外に器用だよな」
「団長さん、私の形したチョコレートの胴体と下半身をれろれろしないでぇ!!」
「いやだね!! レロレロレロレロ……」
「やめてー!!」
私もペポチョコレートをレロレロしたい(カカオちゃんをロックオンしながら