シュレディンガーのゴミ箱   作:テンガロン

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甲:マーマレード・パレード
00.無価値の祈りに用は無く


 

 ポケモントレーナーというのは何処にでも溢れている

 世界の何処にでも この街にも この家の隣にでも

 それはまるで、駆除しても湧き上がる害虫みたいな物だ――と僕は考えていた

 

 

「……全部、終わらせよう」

 

 

 握り締めた物はモンスターボールなんかじゃない 無機質な感触だ

 刃渡りの長い出刃包丁 台所から持ち出した、ぎらりと輝く鋭利な凶器

 僕の右腕の中でちらつくそれは 料理目的で作られたようには到底見えなかった

 

 

「いや、始めるんだ」

 

 

 石を投げ込まれ、割れた窓から見えた朝日は眩しかった

 僕の虚ろな目でもわかるその輝きを 潰してやりたいとすら思った

 これは――そう 世界に対する復讐 人間とポケモン 両方に対する復讐

 

 

「お前らが僕達にして来た事を、全部やり返してやる」

 

 

 数日前に他界した母の代わりに

 無実の罪で投獄された父の代わりに

 夢も希望も命もその全てを絶たれた兄の代わりに

 

 

「――行ってきます」

 

 

 

 僕はこの手を汚そう

 

 

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