北山雫は魔法科高校の劣等生   作:ひきがやもとまち

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お待たせしました、更新です。今朝方まで書いてたのを今出させてもらいます。
元から烈老人のスピーチ前に将輝のシーンを射れる予定はあったのですが、どうせなら幕間会と言うことにして一話丸々彼の恋愛話と言う形に改編しちゃっております! なんか吹っ切れましたのでね!\(^o^)/


幕間「一条将輝の恋愛事情」

「失礼、少しだけよろしいでしょうか?」

 

 ――わたくしが幾人かの殿方からの誘いを礼儀正しくお断りしている最中に、話しかけてくる男性がおりました。

 他の方と同じくあしらうとしても、礼儀は大事です。同じようにお断りさせていただくからには、皆平等にお相手するのが淑女の勤め。

 それがお兄様によって守られている『四葉家の令嬢・司波深雪』としての立場を守るために必要とあらば遵守するのがわたくしの義務であり、使命であり、生き甲斐であり、慶びでもあるのですから当然のことです。

 

 ・・・本音を言えば今すぐにでもお兄様の元へと駆け寄っていきたいのですが、それはお兄様自身のしてくださった配慮を無にしてしまう行為。許されざる暴挙である以上は慎まなくてはなりません。

 それが、少しでもお兄様にとって良い妹たらんと願うわたくしなりの通すべき筋だからです。

 

「はい、もちろんです」

 

 わたくしは笑顔で相手を迎え入れながら、実際には少しだけ視界に写った光景に意識を集中しておりました。

 わたくしにとってもお兄様にとっても大切な友人にして幼馴染み。その片割れ――北山雫。

 彼女が料理の満載したお皿を持ってお兄様のいる方へと小走りに駆けていくのをザワつく気持ちと共に見送る私の内心は複雑な状態にありました。

 

 お兄様が雫をそう言う対象として見ているわけではないのは承知しています。そして私はお兄様が誰を選ぼうとも妹としてお兄様に尽くし続けると己に誓った身。それ故にこの感情は女としての嫉妬ではない。それもまた判っていることでした。

 

 ただ・・・雫は『妹の地位を競い合う』ライバルです。決して先を越されていい相手ではありません。油断したり侮ったりしたら取られます。妹としての地位を。

 

 お兄様が雫を見る目が『手間の掛かる妹』を見る目と同じであると理解した日から、私の中で雫は『お兄様の妹』の地位を競って争い合うライバルであり強敵として認識されてきました。

 ライバルの動向が気になるのは当然のことでしょう? だからわたくしは今も目の前の男性より後ろに見えた雫のことが気になって仕方がない心理状態に陥っているのです。

 

 

「私は三校の一条将輝と申します。過分にも十師族が一つ、一条の名を継がせて頂いている者です」

「・・・あなたが・・・」

 

 相手の名乗りを聞いて私は軽く目を細め、僅かな間だけとは言え雫よりも目の前の男性――『クリムゾン・プリンス』一条将輝へと意識を固定させられました。

 

 若くして実戦経験のある十師族の勇にして、時期後継者候補筆頭。その名は同じ十師族の一員として当然ながらわたくしも存じております。

 また、口上の最初に家柄を口にするのは一般社会ではいざ知らず、上流階級だけが集まっておこなわれるパーティーなどの場では当たり前のことであり、それをしない方が謙虚なのではなくて礼儀を心得ぬ慮外者との誹りを受けるもの。

 

 彼はそれを知っているからこそ、私に対して『一般人用“ではない”』礼儀を用いて挨拶してきたと言うこと。つまりは私の素性について察せられた可能性があることを示唆するものだったのです。

 

 ――危険だ! この人を放置すればお兄様に危害が及ぶ危険性がある・・・っ。

 

 その事実を認識したわたくしは断腸の思いで雫の存在を意識から追放して、目の前の殿方との応対に全神経を集中することを決意しました。

 それに衝撃が大きすぎて忘れていましたが、彼は今お兄様の敵。魔法科第三高校の選手としてこの場に来ているのですから純粋になれ合う必要性などどこにもないのです。

 

 ここは上流階級の一員らしく、礼儀正しく応対しながら相手の真意を探り出し、お兄様のお役に立ち、以て『優秀な妹・司波深雪』としての地位を『出来が悪いからこそカワイイ妹分・北山雫』より優先順位として上位に立つのです!

 

 お兄様、見ていて下さいませ! 深雪はこの戦い、絶対に負けません!

 

 

 

 

「丁寧な挨拶、いたみいります。私は第一高校、司波深雪と申します。以後よしなに」

 

 ・・・礼儀正しく上品な仕草で挨拶を返してくれた美しすぎる女性、司波深雪さん。

 彼女の美しさに目も心も奪われていた俺は、少しでも自分をよく見せようとそればかりしか考えてなくて、自分でも何を言っていたのか全く覚えていないのだが、途中で師捕十八家のひとつ一色家の令嬢、一色愛梨が司波深雪さんに話しかけてきていたのだけは朧気ながらも覚えている。

 

 正直助かったと、あの時のことを振り返る度、俺の心は一色への感謝でいっぱいになる。

 一目惚れした勢いで話しかけてはみたものの、何を言えばいいのか全くわからない初心な十代中盤の童貞少年でしかなかった俺には難易度が高すぎる挑戦だった。反省している。

 

 やはり魔法も恋愛も男女関係も段階を踏みながら少しずつ着実にが基本だな、うん。焦りは禁物。慌てない慌てない・・・・・・。

 

 

「・・・・・・そうですか。では九島烈さまのスピーチが始まるようですし、残念ながら話は次の機会ということで。

 ――遅ればせながら一条さん、明日から始まる大会での試合、頑張ってくださいね」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・慌てない。慌てたら、負けなんだ・・・・・・(やる気の闘志メラメラメラ)

 

つづく

 

オマケ『現在、それぞれがそれぞれに向けている感情』

 

将輝「深雪さんの期待に応えるためにも俺は勝つ! 見ているがいい、第一高校!!」

 

深雪「雫! あなたに妹の座を譲りはしないわ!」

 

リーナ「なんかオジイサン、めっちゃこっち見てる!? ワタシのこと見て笑ってるわよ!? ヤバいわ! 九校戦で結果出してイメージ改善しないとマジでヤバいわ! チョベリバよ!」

 

雫「・・・ごは、ん・・・(しゅん)」*スピーチで暗くなったから食べれなくなって俯いている。

 

九島烈(ほう・・・っ! 今年は私の悪ふざけにカワイイ孫娘も含めて“七人”も気づいたか。予想以上に面白そうな若者が多く見つかったようで結構結構)

 

 

九頭竜「明日からの仕込みは万全だ。もはや・・・勝ったも同然!」

 

 

 

 

 

達也「・・・・・・またしても面倒くさい事態に巻き込まれてしまった気がするのだが、気のせいだよな・・・?」




*指摘を受けてから修正するのが遅れてしまい申し訳ございません。
今話でリーナを九島烈が『孫娘』と表現したのは『偶然にも血の繋がりがあったから身元引受人になっただけ』の親子関係であり、互いの間に利害関係しか存在しないため家系図とかどうでもよかったから呼び方にも興味なかったと言うオリ設定が採用されてます。

要するに今作版『四葉家』を想定してたんです。次の回で呼び方が変わっているのはそのせいですが、四葉と違って敵意とかはないのであしからず。
あくまで『利害に基づく親愛の情』と言うだけですのでね。
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