北山雫は魔法科高校の劣等生   作:ひきがやもとまち

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来訪者編アニメ版を見て思いついたネタも付け足しながら久しぶりに書いてみました♪
ただし相変わらず色々とパロッたネタのテンコ盛り作品となっていますので、原作ファンの方々には大変申し訳ございません。先に謝らせていただきますね。


32話「北山雫の友人は元軍人で、いま何人?」

 魔法――それは二十一世紀初頭に現実の技術として体系化された新たなる新技術だ。

 優れた魔法の才能を有する者は【魔法技能師】通称【魔法師】として各国の管理下に置かれる様になっていく。

 その中でも一撃で大都市を滅ぼし、一軍を退ける力を持った魔法師は【戦略級魔法師】と呼ばれ、世界情勢を左右する軍事力の象徴として今もなお在り続けている。

 そして2095年、8月7日。世界情勢の変化によって既存の戦略級魔法を失う代償として野に下り、日本の魔法科高校の学生となっていた元戦略級魔法師の少女が『九校戦』と呼ばれている全国魔法科高校親善魔法競技大会新人戦に参加してしまっていたことから、このような事態が起こりえてしまうようになっていたのであった―――。

 

 

「ミユキ、今日こそワタシが貴女に勝つわ! いつもの試験では負けてるけど、実戦に近いケンカ試合でならワタシが勝つ! 決着をつけるわよ!」

「いつでもどうぞ、リーナ。カウントは審判が数えるから任せられないけど、私はいつも通り貴女との戦いに全力を尽くすだけ・・・っ」

 

 

 ――元スターズの総隊長にして『十三使徒』の一人でもあった過去を持つ少女と、恐るべき才能を持った日本の魔法科高校女子生徒とが、九校戦五日目であり新人戦二日目に当たる競技のアイス・ピラーズ・ブレイクで同じ学校の代表選手として参加して優勝を競い合うという事態が現実化してしまっていたのである。

 

 元戦略級魔法師の少女と、戦略級魔法師とも条件次第では互角に戦える未確認の魔法師少女との戦いを目撃することになった学生同士が行いあう魔法スポーツ大会を見に来たつもりの観客たちは、さぞ驚愕させられることだろう・・・。

 

「・・・あわわ、わ・・・、あわあわ、わわ、わ・・・・・・(ビクッ、ビクッ、あせ、あせ・・・、)」

「・・・・・・」

 

 そして俺の背中には、現在進行形で目の前で起きている最強少女同士の威嚇し合いの時点から驚愕させられているというか、怯えきってしまっている劣等生の魔法師少女が先程からへばりつき続けており。

 

 敢えて例えてしまうとするなら、目の前で威嚇し合っている二人の少女のうち静かに闘志を滾らせている方は雪豹のような優美さと鋭い爪を併せ持った強者であり、向かい合い闘志をむき出しにしている血気盛んな側は雌ライオンといったところか。夫よりも実質的に強い分、彼女のあり方には相応しかろう。

 

 そして、俺の後ろにへばりついて離れようとしない臆病すぎる幼馴染みは完全にウサギである・・・・・・。

 どちらの肉食動物の前でも食われるしかない弱者であるため、どっちも怖いと言って先程から離れようとしてくれない・・・。

 

「リーナ、貴女には悪いけれど私は負けない。お兄様が見ていてくださる勝負であるなら、私は負けられないのだから! ・・・安心なさい。殺しはしないから」

「フーン、貴女、ワタシに勝てると思ってるのね? 元シリウスの名を与えられていた、このワタシに!!」

「あわ、あわ、わ・・・わ・・・・・・(ガクガク・・・、ビクビク・・・、ぶくぶくぶく・・・・・・)」

「・・・・・・・・・」

 

 ・・・なんなのだろうか? この混沌としすぎた状況は・・・。

 一体なぜ、こんな事態になってしまったのだろうか? 今朝から今に至るまでの流れを思い出す作業に集中することで、俺は一時的にとはいえ現実逃避したくなる自分を抑えきれなくなってしまった末、やがてそれを実行してしまう。

 

 

 事の起こりは、今日の俺と雫の二人で担当することになっていた一年女子の『アイス・ピラーズ・ブレイク』の試合会場にまで到着した頃にまで遡られる。

 もともとリーナも深雪も一年生女子の中ではダントツの成績を誇っている者同士として花形競技であるミラージ・パットへの参加が予定されていたのだが、一方で本人の適性と相性的にもピラーズ・ブレイクへの参加が最も勝率が高いと予測されていた。

 

 このため本来ならば、女子ミラージ・パット、女子ピラーズ・ブレイク共に深雪とリーナを出場させてワンツーフィニッシュを二つ共に勝ち取りたいというのが生徒会側としても学校側としても素直な本音ではあったのだろうが。・・・・・・ここで待ったが入ることになる。

 

 

「いや、待て。それだと最悪、死人がでかねん」

 

 

 ・・・という一部教員たちからの意見に心からの確信を持って反対意見を唱えられる者は、当人たち自身しかおらず、残念ながら本人からの自主申告には証拠能力が認められることはないため、仕方なく試験の成績では深雪に劣るリーナが参加する競技の片方をスピード・シューティングに回すことで破滅をもたらしかねないリスク分散を計ったという次第だった。

 

 だが、予定通りに事が運ぶという幸運な状況は、多くの場合ほとんどなく。

 深雪を刺激してしまう可能性があるため、リーナと戦い合う可能性が極めて高いピラーズ・ブレイクのエンジニア担当を俺が拒否したのに対して深雪からの涙ながらの懇願が入り。

 さらには、何らかのライバル心でも刺激されたのかリーナまでもが『だったらワタシはシズクをエンジニアに指名するわ!』などと主張しだし、個人的感情を優先してはならないし尊重されるはずもないはずのメンバー配置を話し合う場において彼女たちの試合に限り特例事項のような不文律が認められてしまった末に、今に至っている。

 

 ・・・・・・明らかに誰も、この件に関して関わり合いを持ちたくないからと俺たち二人を生け贄として押しつけられた感が強すぎる人事だったのだが、選手ではない上に新参者の魔法工学科の初代代表として波風立てるわけにもいかず、何より言ったところで聞き入れられるとも思えなかったため仕方無しの今の状況に至るであろう確定された未来の不幸を甘んじて受け入れた当時の俺であったのだが・・・・・・今になってから後の祭りの後悔をしていないかと聞かれたら少々返答までに時間を空けさせてほしい心境になってしまっていたのだった・・・。

 

 こうなってしまうと、一時間ほど前に寝不足を指摘して少しでも睡眠を取らせるために無理やりにでも『カプセル』へと向かわせたエイミィこと明智栄美への処置さえ恨めしく感じてしまうようになるのだから、人間というのはつくづく勝手な生き物だと我が事ながら思わずにはいられない。

 

「エイミィ・・・実は昨日あまり眠れてないんだろう?」

「・・・・・・分かります?」

「計測した数値を見れば一目瞭然な程度にはね・・・もしかしてエイミィも、サウンドスリーパーを使わない人かい?」

「もっ、て、司波君も? ワァオ、お仲間。あれって何か妙なウェーブが出てて、気持ち悪いじゃないですか」

 

 イングランド系のクォーターであり、髪色と同じで明るいながらも大雑把で感覚派じみた気性を持つ彼女は当初、そんなことを言ってカプセルに入るのにも多少はごねるかと思われていたのだが、自分が出場した一試合目が終わって戻ってきた途端、目の前の二人が向かい合って威嚇している場を目撃してしまい、即座に脱兎のごとく逃げ出してカプセルの中へと緊急避難してしまった。

 今では完全防音、防振、遮光の閉鎖型ベッドに包まれた安全な密閉空間の中で安息の眠りについており、予定通り次の試合が始まるまで出てくる気配は一切ない。

 存外、出てきたときにはスッカリお気に入りになって、逃げ込み寺として常用するようになっているかもしれないが、それでも友人未満の健康改善を素直に喜ぶことができない俺は捻くれているのか、それともこの感情が普通のものなのか。・・・魔法で人の心を奪われた俺には判別する術はない・・・。

 

 ――まぁ、それはそれとしてだ。

 

「リーナ・・・どうでもいい話かもしれないが、自分がシリウスだったことは言ってしまっても構わないのかい? 今更かもしれないが一応、USNAの軍事機密に属する情報だったと記憶しているのだが・・・」

 

 いい加減、目の前の現実にも対処して事を収めなければ試合の時にどうなってしまうのか本気で予測がつかなくなってしまいそうだったため、やむを得ず雌虎の尾を踏みにいくためできる限り当たり障りのない話題を口にしてジャブを入れに行ってやることにする。

 

 ・・・ついでに言えば、幼馴染みの状態もこれ以上は保ちそうにないほど青ざめて泡を吹きかけているというのも理由の内と言えば内に入るのだろう。

 整備スタッフが一人減ることはそれなりに大きいわけでもあることだし、一応は幼馴染みとしての義理もあれば義務もある。二次的効果として状態改善できるのなら超したことはない。

 

「え? ああ、これね。いいんじゃないの? 別にどうだって。だってワタシもう、USNA軍人じゃないんだし。USNA軍が守らせてる軍事機密を守ってやらなきゃいけない義務も義理もないでしょ? 普通に考えて」

「・・・・・・まぁ、そうかもしれないが・・・・・・気持ち的な意味での蟠りなどといったような抵抗感はないのかい?」

「ないわね」

 

 ハッキリと断言して腕を組み、何かを思い出すかのように天井を見上げて考え出すリーナ。

 ・・・とりあえずコレで衝突の危機回避だけは達成できたので由とするとして、背後からも「・・・ふ、えぇぇ~・・・」と脱力しまくってへたり込んでいる声も聞こえてくるようになったことだし、このまま普通に会話を続けた方が問題おきなくていいだろう。

 

「それに軍に追われて逃げ出す身になってから、改めて考えてみたら、あんまし良い思い出ないのよね-、あの国の軍人時代って。

 味方殺しばっかりやらされてたし、何かあったら現場責任だなんで裁判ゴッコに呼び出されて精神的リンチにかけられてたし、勲章つけて偉そうな軍服着たスケベジジイ共にセクハラ軍事法廷にかけられかけたこともあるし。

 ・・・・・・今思い出してみたら、なんだってあんな事されてた国家と軍隊相手に奉仕だの義務だの言ってたのかしらね、過去のワタシって・・・? 率直に言ってバカじゃないの?」

「そうかもしれんが、俺に言われてもな・・・・・・」

 

 正直言って、知らん。その結論が正しいか否かについてではなく、その頃のリーナと俺は出会っていないので何を言われたところで何の評価もしてやれん・・・。

 

「まっ、軍やめた後も愛国心押しつけたいなら、退役後も生活に困らないだけの給料を払っておくべきだったって事でしょうね。

 それまでの貯め続けていた給料を口座ごと凍結された脱走兵が送らされてきた、亡命極貧生活の辛さを思えば軍事機密を売って生活の糧を得るぐらい大したことじゃないわ」

「USNA軍高官が聞いたら、裏切り者抹殺のための刺客をチーム単位で送り込みそうなセリフだな・・・」

 

 もう既に送り出されてきている後なのだろうし、今まで何度も返り討ちにしてきた負の実績がありすぎるが故の達観なのだろうとも予測できる上に、字面的ではなく本当の意味で『討った後に返してやったのか?』という疑問も深く突っ込むべき問題ではないと思われるので言及はしたいとも思わない俺なのだが。

 

 つくづく人間というものは、割り切れるようになると変わるもので、怖いものでもあると思い知らされる気持ちに嘘偽りはない・・・・・・。

 おそらくUSNA軍にいた頃の彼女であれば、まず口にすることはあり得なかったであろうセリフの数々は、俺に『人は変わるものだ』という警句について強く思わされる理由にもなっており、引いてはそれが『俺もまた変われる日が来るのではないか?』という疑問とも、細やかな期待とも着かない思いへと結びついていきそうになってしまい、俺は改めて首を振って雑念を追い出すと目の前の事態に意識を傾けさせることにした。

 

 深雪とリーナの感情的な対立が片付いた以上、問題視すべき事態は一つだけしか残っていない。

 それは彼女たちが実際に参加して競い合う『アイス・ピラーズ・ブレイク』の試合内容そのもの――――に着ていく衣装についての問題だけである。

 

「それはまぁ、いいのだが・・・・・・リーナ。本当にその格好で試合に出るつもりなのか?」

「え? 当然でしょ? せっかくルールで認められてるからって持って来ちゃった服なんだから、着ないで持って帰ったら勿体ないだけじゃないの」

「意見そのものには、俺も同感なのだがな・・・・・・」

 

 激しく頭痛を感じさせられながら、俺は相手が―――元USNA軍の精鋭魔法師部隊『スターズ』の総隊長にして十三使徒の一人でもあった少女が着ている服装を見直しながら、改めて人という生き物は変わる物だという事実を認識し直さざるを得なくなってしまうしかない・・・。

 

「一応クドウ閣下・・・おっと、お爺様の立場に配慮して不必要に目立たないよう、日本の魔法師見習いの少年少女たちがスポーツ魔法競技大会やる場に相応しいファッションを調べてみたんだけど・・・けっこう苦労したのよ? この服装って。似合ってない?」

 

 そう言って、俺の目の前で軽く“振り袖”を振って見せて邪気もなく笑いかけてくる姿に頭痛を悪化させられながら、改めて相手の姿を見直し―――そして目を背けざるをえなくさせれてしまう・・・。

 

 今更あらためて説明するまでもないことではあるが、ピラーズ・ブレイクは高さ四メートルの櫓の上にから十二メートル四方の自陣に配置された氷柱十二本を守りながら、自陣と同じ条件をもつ敵陣の氷柱十二本を倒すか破壊した側が勝ちとなる競技であり、選手たちは純粋に遠隔魔法のみで競い合うため肉体を使う必要は全くない。

 

 これは他の競技と異なり、この競技に限って選手の服装が試合結果に与える影響は一切ないと言うことをも意味しており、選手自身が最も気合いが入れられる衣装を着て出場すると考えるなら正装という見方もできるため、試合に直接関係しない服装に関するルール規制が九校戦中もっとも甘く見積もられている競技と言えるだろう。

 

 一応ながら『公序良俗に反しないこと』というルール上での規制が一つだけ存在してはいるものの、これとて日本人らしい個人の趣味趣向や倫理観・ジェンターの問題が関わってくれば有耶無耶のうちに終わらせられてしまうだろうことは明らかだ。

 何も決めずに好きにやらせてしまうのは問題視されるからと、形ばかり「作って見せただけ」の代物だろう。

 

 その結果、必然的にこうなったとは思いたくはないが、現実問題として女子ピラージ・ブレイクは何時の頃からかファッション・ショーの様相を呈してきてしまっており、本戦二日目と三日目に参加した千代田先輩やエイミィ等もかなり派手な格好で出場して勝利を手中にしている。

 去年までは競技ごとの自然な棲み分け現象が起き、正式なルールとして男女別に選手たちが別たれたのは今年からのため正確な数字まではわからないが、おそらくは観客の男女比率も女子競技の中ではミラージ・バッドに次いで男性客の方が多い競技だったのではないかと邪推したくなるほどに。

 

 ・・・・・・だが、いくら何でもコレは酷い。

 今回のリーナが着て出場することを決めた衣装はヒドすぎる・・・・・・。

 

 

「似合っているかいないかという基準での判断なら問題なく似合っていると思うが・・・・・・リーナ。

 ハッキリ言って、その衣装は非常識だぞ? 悪目立ちしかしていない」

 

 俺は敢えて、直接的な表現を使ってハッキリと相手の間違った認識についてを指摘し、相手に現代日本で生きていくために必須となるであろう服装についての認識改善の必要性について自覚するよう促す。

 

 今リーナが着ている服装は、明るいベージュのハーフコートに裾がフリルになったスカート。柄物タイツとロングブーツ。

 それだけ聞けば何もおかしな所などない服装なのだが、問題なのは服装のカテゴリー分けではなく、それぞれの長さと配色など細かい違いに関しての部分である。

 

 まず丈が股下十センチ程度しかないハーフコート。

 スカートの長さも同程度の短さしかない上に、裾を飾るカラフルなフリルだけが見えているコーディネート。

 靴底がやたらと分厚い膝上までのストレットブーツと、レース模様で素肌が透けて見えるタイツを組み合わせ、フェイク・ファーの縁取りをついた手袋を腕にはめている。

 とどめとして、アニマル柄のソフト帽。

 

 彼女の服装は今の流行からすると随分とちぐはぐな印象を受けさせられるものばかりで、戦前のギャル系ファッションを適当に混ぜ合わせたような姿をして出場するつもりだと言うのである。

 もはやファッション・ショーどころか、単なるコスチューム・プレイ大会かなにかと勘違いする者が現れたとしても不思議ではないレベルの異質さであり、好きな服で出場して良いとされているピラーズ・ブレイク以外の場で同じ服装をしていたとしたら単なる不審者にしか見えようがない。

 

 ・・・こんな格好をした選手が第一高校の代表選手として試合に参加するというのだから、支援スタッフと言えども一高メンバーとして細やかながら抗議する権利ぐらい俺にもあって然るべきはずだ。

 というか、この格好での参加は『公序良俗的に見て』有りなのか? 無しなのか? どっちなのだ? 明確な基準を作らずに曖昧な概念だけを念頭に置いたルール作りなどするから、こういう奴が出てきてしまうのだと何故気づかなかったのだ運営委員会・・・!?

 

「そもそも場に相応しい格好と言っていたが、魔法競技大会の会場で今のお前と同じようなファッションをしている同世代の女子生徒など一人も見かけなかっただろうに・・・・・・」

「え~? そんな事ないわよ。結構いたもの、ワタシと同じファッショナブルな服装をしている日本の魔法師の女の子たちが魔法競技大会の場には大勢ね」

「・・・・・・それは一体どこで行われていた、何という大会の光景を参考にした基準に基づく断言なんだ・・・」

 

 あまりにも頭痛が酷くなってくるやり取り。俺は一体なぜ、九校戦の会場内でこんな会話をしなければいけなくなっているのだろうか・・・?

 明らかに、極めてマニアックな趣味趣向を持つ特殊な性癖の者達が集まって行っているであろう、ミラージ・バットやピラージ・ブレイクだけを基準にして魔法師を猿真似している一般人たちのイベントか何かを勘違いしただけだろうと思われるが・・・。それにしても、こいつは時々本当にどうしようもないほどに・・・・・・

 

 

「『聖剣使いのナンタラ』とか『現代魔法のナンチャラ』とか『禁呪使いのナンタラカンタラ』とか、そんなタイトルの現代日本の高校を舞台にした魔法師アニメの中で。

 なんか魔法スポーツ競技やってる時に、生徒たち全員こんな感じの格好で跳んだり跳ねたりしまくってたわよ、今の日本の若い魔法師の卵たちが」

 

 

「おい、起きろ雫。試合開始まで十五分残っているから説教の時間だ」

「ふ、ふぇ・・・っ!? なに、が・・・!? なにが起きた、の・・・っ!? 私今さっきまで寝ちゃってたか、らワケガワカラナイんだけ、ど・・・ッ!?」

「分からなくていい。お前はただ、説教をされて怒られていれば、それでいいんだ・・・」

「理不じ、ん・・・っ!?」

 

 

 こうして俺は、今日もまた無駄になると分かりきっていたとしても、バカすぎる幼馴染みを説教しなければいられない心へと変わっていってしまっている自分を自覚させられる。

 果たして人の心が変わっていくという状況は、本当に良い事なのか? 喜ばしい事なのか? ・・・今となっては本当にもう・・・俺には判別する事ができそうにない・・・・・・。

 

 

つづく

 

 

オマケ

 

深雪「ところでお兄様? 先程リーナの服装を見ておられたとき、どの辺りをご覧になっておられたのですか?」

 

達也「深雪・・・俺は、そういうつもりで彼女を見ていた訳ではないよ」

 

深雪「本当ですか・・・? たとえば私の選んだ衣装の紺袴では見る事のできない露出している部位とか、そういう所には着目してなどおられませんよね? ・・・いえ、お兄様を信じていないわけではないのですが、雫から魔法競技大会に女子選手衣装を見たときに殿方が視線を向けている部位はそういう所なのだと教えて貰ったものですからつい気になってしまいまして・・・(ポッ)」

 

達也「深雪・・・・・・お前までもか・・・・・・」


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