偽典の聖杯戦争   作:tuki21

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第31話:三日目③ セイバーの想い

 春日居市新地区、七公館大学キャンパス内。

 大学のキャンパス内は相変わらず多くの人々が行きかっている。

 大半は講義に向かうために校舎を移動する学生達で、中には単純に時間を潰したい学生もいたり、時折見える子供連れは近所の主婦だろう。

 そんな雑多な流れの中を黙々と進む人影が二つ。

 一つは青年。耳に少しかかる程度の長さの黒髪、僅かに灰色がかった黒い瞳、二十歳のはずなのだが童顔なせいで二、三歳若く見られる相貌。白いシャツに黒のスラックス姿、上に羽織っているのは灰色のコート。

 特に目立ったところのない青年だが、見るものが見れば瞠目するだろう。

 そう、魔術師と呼ばれる人種ならば、一様にこう思うだろう。

 こんな青年がサーヴァントを連れているとは、と。

 彼こそはこの春日居市で行われている偽りの聖杯戦争で、セイバーのマスターの役割を与えられている魔術師、祠堂司(しどうつかさ)であった。

 彼は泊まっていたホテルをチェックアウトし、着替えなどの荷物は駅にあるコインロッカーに突っ込んで、すぐさまここにやってきた。

 司は人々の波をよけながら目的の場所に向かっていた。

 校舎はすぐ近くだ。だが心が急いている。

 一晩明けて、シスター・キャロルからバーサーカーの被害の詳細を聞けた。

 友人が、特に仲のいい三人のうち、唯一春日居市の新地区内に住んでいる中園(なかぞの)さん。彼女は無事だろうか? 無事なはずだと言い聞かせる。

 確かにバーサーカーの被害区域に近かったが、被害区域内に入っていたわけではないし、実際キャロルや彼女の部下が暗示をかけた避難民の中に彼女はいなかった。

 だから大丈夫だとキャロルは言っていたし、セイバーもきっと大丈夫だといっていた。それに、司自身の理性もそう言っている。

 それでも足を止められない。ひと段落した時点ですでに深夜だったから連絡を取ることもしなかった。今もLineで連絡を取りたかったが、もしも既読にならなかったらと思うと怖い。

 

「マス……司様、ご友人の中園様はきっと無事です。ですからどうか、心を静めて、強く持ってください」

 

 傍らから涼やかで透き通った女性の声。後ろに束ねて一本にした金髪、白い肌、空のような青い瞳、女性的で見ようによっては扇情的なボディラインを簡素な白いシャツとジーンズに包み、慎ましやかに司のすぐ近くを、彼の歩みを邪魔しないように歩く。

 司が召喚したサーヴァント、セイバーであった。

 セイバーの存在は人目を引くが、傍らの司の切羽詰まった様子から道行く人々は関わり合いになるのを避ける様に目をそらし、歩を進める。

 

「分かってる、分かってるんだよセイバー。頭では」

 

 歩行の速度を緩めず、そしてセイバーの方も見ず、司はそう言った。

 まっすぐ前だけを見つめ、司は進む。足はどんどん速くなる。目的の校舎まであと少し。

 そんなマスターの背中を見つめて、セイバーは安堵の感情を得ていた。

 魔術師と言うのは合理的で論理的で、なのに破綻したロマンチストで、だからこそ市井の民とは大きく乖離した人間性、精神性を備えていると聞くが――セイバーの生前のころからそうだった。今はもっとひどいのかもしれない。でなければ聖杯戦争などというものは起こらないはずだ――、マスターは魔術の世界と何らかかわりのない人を友と呼び、関わり、今もこうして心の底から案じている。

 魔術師としては半端者かもしれないが、だからこそセイバーは司に対して自分と近しいものを感じていた。

 生前の己も、どうしょうもない半端者だったかもしれないのだから――――――

 

「と、待ってください、司様」

 

 我知らず足が遅くなっていたセイバーは、先を行く司に気づいて足を速めた。

 やがて司とセイバーは目的の校舎についた。

 中に入り、薄暗い廊下の冷たい空気の中を突き進む。

 目的の講堂を前に、躊躇なく室内へ入った。

 学友の姿はすぐに見つかった。というか、大槻(おおつき)君の金髪はよく目立つ。

 傍らにほわほわした雰囲気の小館(こだて)さん。二人は春日居市外から通っているので昨夜の被害にある可能性はない。大丈夫だ。

 肝心の中園さんの姿を求め、視線をさまよわせ、見つけた。

 栗色のショートカット、来た時間が近かったためか、上着にしていた秋物のコートをたたんでいるところだった。

 

「中園さん……」

 

 発見の安堵に、思わず息を吐いた。こちらに気づいた大槻君が「おー、司ーって昨日の金髪巨乳美人!? いやさセイバーさんまでご一緒に!?」と騒いでいるのをしり目に、司は中園さんに向かって歩を進める。

 

「あ、おはよ祠堂く――――」

 

 言葉が言い終わる前に、司は中園さんの両肩に手を駆けた。

 

「うぇ!?」

 

 驚く彼女の顔も、目を丸くした小館さんと大槻君の顔も目に入らず、司は俯いて大きく息を吐いた。

 

「よかった……。無事だった……」

 

 思わず目頭が熱くなったが、耐えた。顔を上げて、笑う。中園さんは司の笑顔に不意を突かれたように目を丸くしたが、やがて彼女らしく、快活にほほ笑んだ。

 

「い、いや、昨日の火事でしょ? 大丈夫だって、あたしンち火災地区から離れてたし。まぁ、消防車のサイレンとかすごかったし、空も明るかったから怖かったけどさ」

 

 もだえるように司の手を肩から外し、中園さんは赤くなった顔を隠すようにそっぽを向いた。

 

「あー、なんか聞いたぜ、凄い火事だったんだって?」

「なんか放火の疑いもあるって……」

 

 大槻君と小館さんも会話に参加してくる。司もさっきの動揺はなかったように会話を続ける。

 いつもの四人の他愛のない会話。それを眺めながら、セイバーは胸をなでおろした。

 己のマスター、祠堂司は魔術師だが、一般社会との関わりも深い。だからだろうか、聖杯戦争のマスターとして彼は冷静で、戦いに赴く時も余計な興奮はなく、実際アサシンのマスターと拮抗した。

 なのに今はこうして彼は友人の身を案じ、そのために心を乱しながらそれでも行動できる。

 魔術師の冷静さと社会理念にのっとった倫理を持ち合わせている。

 魔術師はそれを半端者と呼ぶのかもしれない。実際、己の生前見たことのある魔術師はもっと冷徹で、友人関係裏で策謀を巡らせるタイプだった。そんな彼らとマスターは違う。そのことが好ましい。

 同時に思うのだ。この聖杯戦争、マスターの身だけは何としても守り通そうと。

 今日の大学の授業は午前中のみだとマスターは言っていた。そのあと、教会のシスターと――ランサーのマスターと――直接会って情報を交換するのだという。

 直接会うのは第三者に目撃されることもあり危険ではと進言したが、それでも直接会う必要があるとマスターは言っていた。

 それぞれに得た敵サーヴァントの情報を交換する。一歩間違えれば敗北、死亡の可能性もある以上、虚偽や勘違いをなくすためにも直接会い、相手の反応を伺いたいと、そう言っていた。きっとシスターも同じ思いなのでしょうとセイバーは思う。

 面と向かっての相手の反応は貴重だ。時に相対する相手に呑み込まれてしまうこともあるが、その危険性を承知で、相手の反応を見るのは意味がある。

 マスターがこちらに手を振っている。自分も、彼らの輪に加われと言われているようだ。

 ほほえましい気持ちになる。同時に嬉しい感情が胸に溢れてくる。

 自分はもう、とっくに舞台の上から退場した身だ。ここにいるのはただの影法師に過ぎない。

 なのにこんな自分も輪の中に入れてくれるマスターの態度が嬉しい。

 同時に、だからこそ自分の真名は明かせなかった。

 魔術師でありながらも暖かいこの方に、自分の成した残酷で、穢れた行いを知られたくなかった。たとえその行為によって自分は人理に刻まれたのだとしても。

 せめてあと少しだけは、この陽だまりのような場所にいさせてほしい。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 春日居市旧地区、某所。

 春日居市内の各所にある空き家の一つ。カーテンを閉め、電気も消えているその家は正確に言えば空き家()()()、だ。

 今はある男がセーフハウスの一つとして買い取って所有していた。

 カーテンの隙間から、午後の日差しが差し込んでくる。

 一筋の光にさらされるは男の姿。

 元はリビングと思われる部屋の机の上に、春日居市の地図を広げ、男じっと地図を見つめていた。

 短めに切り揃えられた、煤汚れた金髪、茶色い瞳、分厚く筋肉質なその肉体を包むのは黒のタンクトップと、ダークグリーンのスラックス。雑踏に溶け込むには戦闘に慣れ過ぎた容姿は人目を引きかねないはずだが、彼が往来を歩いていても人々は彼に注目しない。足運びや体捌きが違うのか、それとも認識阻害の魔術を使用しているのか。

 ウィンクルード・アーマス。アメリカ合衆国からの依頼を受け、アーチャーのマスターとしてこの偽りの聖杯戦争に参加しているマスターの一人であった。

 ウィンクルードは薄暗い室内のなか、地図に指を這わせる。

 ウィンクルードの脳裏には、彼が実際に足で調べた春日居市の地理が浮かび上がっていた。

 狭い路地、広い通り、市が運営する施設、民家、昨夜セイバーとバーサーカーが戦った自然公園のような、広くてサーヴァント同士の戦いに適した場所、そしてその場所を一望できる高所。これは狙撃の際に必要な条件だ。ともかく高所に陣取り、戦闘を俯瞰できなければ狙撃もままならない。

 ちなみに、アーチャーは現在霊体化して屋根上にいる。見張りということだ。

 そして今日、ウィンクルードが目覚めた時にアーチャーが言っていたことはやはり気になる。

 

 ……セイバーとランサーは組んでいる……かもしれない、か。

 

 昨日、バーサーカーが暴れていた場所。そこには最初バーサーカーとランサーが戦っており、途中からセイバーが参戦した。

 その結果三つ巴か、あるいは暴虐を働くバーサーカーを放っておけずと、二対一の構図になるとアーチャーは思っていたらしい。

 だが結果はそうではなかったという。セイバーはランサーにアーチャーの相手を任せて、自分はバーサーカーに向かった。その際に、明らかにセイバーとランサーは言葉を交わし、ランサーは一切の抵抗なく――それこそ、マスターへ念話を使った相談をすることなく――アーチャーの相手を即答したという。

 確証があるわけではないが、セイバーのマスターとランサーのマスターは同盟を組んでいる可能性がある。

 その意見にウィンクルードも賛成だった。今後はセイバーとランサーの連携にも注意を払わなければならない。

 ウィンクルードの指が地図上を走り、止まった先にあるのは一件の屋敷。

 如月(きさらぎ)邸。この春日居の土地の管理者(セカンドオーナー)が住む屋敷。今住んでいるのは当主の如月雷葉(らいは)のみ。

 順当に考えるなら、この如月雷葉がこの聖杯戦争の黒幕、少なくともその一人であることは間違いないだろう。

 アーチャーに如月邸を監視させたところ、屋敷の敷地内は要塞並みの魔術的防御が張り巡らされていたという。ならば如月雷葉が召喚したサーヴァントはキャスターである可能性が高い。

 キャスターのクラスでありながら、敵は単独での戦闘能力を持ち、怪物を召喚する。非常に厄介で、危険な相手だ。

 

「――――――」

 

 ウィンクルードの指が動き、次に止まったのは祠堂邸。

 祠堂家も、古くからこの土地に根を下ろした魔術師の家系だ。ただしこちらは当主と次期当主が聖杯戦争開始前に街を出ていることが確認されている。

 如月家にはよその魔術師に嫁いだ長女と、もう一人、次男がいた。その次男は今も春日居市の大学に通っていると、エクソダスの配下からの報告があった。そして昨日の戦闘で、この次男、祠堂司こそがセイバーのマスターであると確認が取れた。

 昨日セイバーとバーサーカーが戦った現場にドローンを飛ばした時、ちらりと祠堂司の姿が移りこんだのは行幸だった。

 同時に合衆国(ステイツ)の機関の諜報能力も大したものだ。魔術師の家系の次男という、大して注目されない相手の顔写真も入手していたのだから。

 

「……」

 

 機関から抜けたアーノルド、如月家の当主、祠堂家の次男、そして自分。四人のマスターの素性は知れた。

 そして弟子たちと共に時計塔からやってきた魔術師、アルフレット・ウォーラー。奴は目立った動きはしていないが、機関の人員が監視していることによると、街を去ってはいないらしい。

 春日居市にいる外様の魔術師の中で、この男こそが最高の使い手だろう。だとすれば、マスターである可能性が高い。

 ライダーは脱落したので、こいつがアサシンかランサーのマスターか。アサシンを召喚するタイプには思えないが。

 推定五人のマスター。このうちアーノルドは死亡したが、彼が召喚したバーサーカーはいまだ暴れまわっている。

 エクソダスいわく、アーノルドは外付けの魔力燃料というべきものを持ち込んでいるらしいので、膨大な魔力量と魂食いを行い、バーサーカーは無理矢理自分を現界させているのではないかと、彼は言っていた。

 それは一理ある意見だが、アーノルドはバーサーカーが新しいマスターを見つけたと考えている。

 常に最悪の事態を想定するのが傭兵というものだ。希望的観測は時に自分だけでなく、部隊の死を招く。

 エクソダスの部下が、祠堂邸を監視している。その部下によると、昨日、祠堂司は祠堂邸に戻っていない。どこにいるのかは不明だが、おそらくどこかのホテルで一夜を明かしたのだろう。正しい判断だ。工房に居を構えられないデメリットはあるが、所在が明確にされるというリスクを消し去すことができる。昼間の学校については他のマスターに対する挑発か。

 聖杯戦争は三日目にして早くも混迷している。この中で誰から狙うべきか。最優先で潰せる容易いターゲットは誰か。

 あるいは、複数で当たらなければならない強大な敵は誰か。

 さらにウィンクルードの指が地図上を移動し、止まったのは春日居市にある山。

 千堂山(せんどうざん)

 古くから春日居の土地を見下ろす御山で、非常にマナが濃く、これは魔術の発動や後進に育成にまで差しさわりができるレベルの霊脈。そのせいか、管理者の如月家もこの山を攻防にはせず、春日居市で千堂山の次の霊地である今の如月邸に居を構えた。ちなみに第三位は祠堂邸だ。

 この場所は山門と石段が構えてあるが、石段を上った先にあるはずの寺院は朽ち果て、草木も生い茂った廃寺だった。だというのに山門と石段だけは常に誰かの手が入っているかのように使うに不自由はない。

 アーチャー召喚後、下見もかねて昼間、千堂山を訪れてみたが、この山門以外からの侵入はサーヴァントでも容易ではないとアーチャーは言っていた。

 『単独行動』スキルを持たないサーヴァントは山門からしか侵入できず、持っていても山門以外からの侵入はかなり力技になり、消耗させられるだろうとのことだった。

 あるいはほかにも出入口はあるかもしれないが、現状は見つかっていないと、アーチャーは言っていた。

 攻めるに難く、かといって籠城を決め込むのも難儀しそうな土地なのだった。

 どうにも胡散臭い。この土地自体が、まるでこの聖杯戦争を超すために(あつら)えられたかのような、そんな見えざる手の存在を感じる。

 

「…………」

 

 ウィンクルードが考えに浸っていると、来客を告げるチャイムの音が鳴った。

 わざわざチャイムを鳴らしてくるならば襲撃者ではあるまい。そもそもアーチャーが何の警告もしていない以上、訪問者はエクソダスだろう。

 それでもウィンクルードは後ろ腰に宝具化された銃弾をたっぷりと詰め込んだ拳銃をベルトの間に挟み込んで、玄関へと向かう。

 

「誰だ?」

「わたしだ。エクソダスだ」

 

 予想通りの回答に、ウィンクルードは扉の鍵を外した。

 扉がゆっくりと内側に開かれ、現れたのは巌のような巨大な体躯をした男。

 外見から推し量れる年齢は四十代前半、岩盤が人の形を成したようながっしりとした体を聖職衣(カソック)で包み込んでいるが聖職衣はギチギチで今にもはちきれそうだ。

 

「よう、エクソダス殿。何か朗報かな?」

 

 言いながら、ウィンクルードは目の前の巨漢の様子を観察する。

 何かがおかしい。いつも無表情で本当に彫像のように不愛想で表情を変えない男だったが、今は顔色は心なしか青ざめており、どことなく憔悴しているようだ。

 

「どうしたい? 顔色が悪いな? ハーブティでも飲むかい? 鎮静作用があって心を落ち着けられるぞ」

「……いただこう」

 

 これまた意外な返答だった。いつもこの男は聖職者面して白湯か水しか飲まなかったのに。

 

「こいつは意外だな。いったい何があったい?」

「魔女と会話した。電話越しとはいえ、この魂まで穢された気分だ」

「……いつぞや言っていた、フランチェスカって女か?」

「口にするのも悍ましい」

 

 とことんまで嫌っているようだ。しかし、そんな相手と電話越しとはいえ話したということは――――

 

「収穫ありとみていいのかな? 例えば、以前言っていた、バーサーカーのマスターが持ち逃げしたっていう聖遺物について、とか」

「その通りだ」

 

 出されたハーブティを飲んで一息ついた後、エクソダスはそう言った。

 

「それは朗報だな」

 

 広げていた地図をしまい、ウィンクルードは先を促した。

 

「アーノルドが機関から持ち出した聖遺物だが、ジャンヌ・ダルクが使っていた旗の切れ端だ。―――――フランチェスカから、バーサーカーとして召喚するならば譲ろうと、アーノルドはそう持ち掛けられたらしい」

「ッ! へぇ、そいつは超一級品だな」

 

 ウィンフィールドも、アーチャーを召喚するにあたって、合衆国の機関から触媒の提供を受けた。

 その際に案内された聖遺物の管理場所は、きっと全体の一部だろうが、魔術師が見れば垂涎(すいぜん)物の代物が多数あった。

 ましてジャンヌ・ダルクは世界規模の知名度を持つ英霊。召喚されれば最高位のステータスを持つことは間違いあるまい。

 

「しかし、実際に召喚されたサーヴァントは、どうもジャンヌ・ダルクじゃなさそうなんだよな」

「これは正規の聖杯戦争ではなく、偽りの聖杯戦争。召喚の際に何か不具合が起きても不思議ではない」

「だが触媒の力ってのは強いだろ? マスターとサーヴァントの相性を無視して、目当ての英霊を召喚できる。まぁ、その触媒に縁を持つ英霊が複数いるなら、その中からマスターと相性のいいサーヴァントが召喚されるんだろうけどな」

 

 例えばアーサー王と円卓の騎士でおなじみの、円卓の破片なんかな、と付け加える。ハーブティを味わっているエクソダスも肯定するように頷いた。

 

「いずれにせよ、ジャンヌ・ダルク所縁の英霊であることは間違いあるまい」

「ハン、だったら絞れてきたぜ。てゆーか、ほぼ正解だな」

「バーサーカーの真名が分かった、と?」

「ああ。オレの考え通りなら、バーサーカーにはでっかい弱点がある。それを突くさ」

 

 にやりと不敵に、ウィンクルードは笑った。その脳裏では得た情報をもとに、今夜以降、どのように動くか綿密にシミュレートされていた。

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