イェーガーズの下請け部隊   作:薩摩芋

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2話 上級貴族を忙殺する

 

「帝国陸軍体操 その場駆け足の運動から よ~い 始めっ!」

 

1 2 3 4 5 6 7 はち!

 

ふぅ~

 

「腕回転膝半屈」

 

1 2 3 4 5 6 7 8

 

1 2 3 4 5 6 7 はち!

 

ふぅ~

 

「腕水平……

 

「おい見ろよ、練兵場で誰か帝国陸軍体操してるぞ」

 

「マジッ!あんなギャグみたいな体操するのなんてユーリィーさんくらいだろ、てかあれユーリィーさんだ、休暇から帰ってたのか」

 

「よくあんなの白昼堂々とできるよな」

 

「よしてやれ、本人は大真面目なんだから」

 

「そうだな、ところで」

 

「言うな、分かってる、俺も必死に目反らしてるんだから」

 

「いや、言わせて貰うぞ」

 

 

 

 

 

「じゃあ何で大将軍も一緒なんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二話 上級貴族を忙殺する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はきっと良い日だ」

 

私は、自分以外誰もいない執務室で思わずそう言ってしまった、朝っぱらから機嫌が良い日など久しぶりである、何故なら普段の私なら

 

朝起きて「あぁ今日も仕事か……ハァ~」と溜め息をして

 

昼食を食べれば「やっと午前が終わった、でも午後からまた仕事だ……ハァ~」と溜め息をして

 

一日の仕事が終われば「やっと終わった、でも明日も仕事だ……ハァ~」と溜め息をする

 

最早私にとって溜め息とは呼吸の一種である、溜め息をするだけ幸せが逃げていくと言うが、私はその言葉を考え付いた者にこう言いたい「幸せが逃げていくから溜め息をするのだ」と、まぁ言ったところで虚しいだけであるが、とにかく普段の私に上機嫌な時など滅多にないのだ

 

しかしだ、しかしである、今日は違った

 

私は今日の朝、毎朝行っている帝国陸軍体操(発案者が私だから‘ユーリィー体操’とも呼ばれている)にて汗を流していた、この体操、あまりにも私のセンスが超次元的すぎるせいか私以外誰もやろうとしない、その為私は毎朝一人で行っている

 

そして、今日もまた一人で帝国陸軍体操をしていると、なんと、いつの間にか私の隣でブドー大将軍が一緒に帝国陸軍体操をしていたのだ!しかも、大将軍の行為に触発されたのか、近くを通っていた近衛兵士二名も加わり、総勢四名と言う過去最多の人数で帝国陸軍体操をすることができたのだ!

 

あの一体感、あの充足感は忘れられない、これぞ正しく青春である、齢26にしてそれを味わえるとは思わなかった

 

と、そんな事があったのだ

 

「あぁ今日はきっと良い日だ」

 

おっと思い出したら感極まって二度言ってしまった、いや良い、何度でも言ってやろう、決めたぞ、私は今日一日10分に一度は‘今日はきっと良い日だ’と言おう、そうすればきっと良い日になる気がする

 

そうだ、どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのか、どれだけ嫌な事があろうと、その先は本人の気持ちの持ちようではないか、常にポジティブに、常に明るくしていれば人生はもっと豊かになるに違いない

 

おっと気が付けばもう10分以上経っている、ふふふ、やはり楽しい気持ちでいれば時間が経つのも早く感じるな、さぁ言おう、私の人生を豊かにしてくれる言葉を、今日この日この時をもって、私のハッピーうれピーライフの始まりである

 

「あぁ今日はきっと良い日だ」

 

 

 

「そんなわけ無いでしょう、馬鹿ですか?貴女は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~10分後~

 

 

 

 

 

 

「ファッ○!!ガッテムサノバビッ○!あ~もうっ!なんて日だ!」

 

今なら、やたらハイテンションだったバイきんぐ小峠の気持ちも分かる

 

「落ち着いて下さい中尉」

 

「これが落ち着いていりるかぁっ!何者かに屋敷が襲撃され護衛もろとも貴族一家全滅!しかも屋敷の倉庫から身元不明の遺体が多数発見!それどう考えてもナイトレイドの仕業だから!私一人のの手に負えるわけないなら!でも仕事だし!やらなきゃいけないよなぁ~、クソ!もう一回言ってやる、なんて日だ!」

 

誰だ、今日は良い日だなんて言ったの、ぶっ殺してやる、帝都にそんな日あるわけないだろ!

 

「お気持ちは分かりますが落ち着いて下さい」

 

「分かった落ち着いた」

 

一先ずは落ち着こう、愚痴も不満も仕事には不要だ、兵士になってからこう言う切り返しは巧くなったと思う

 

 

「では軍曹報告を頼む」

 

「はい、分かりました」

 

イェン軍曹は手に持った分厚い紙束に視線を移す、私の勘だが、多分私の知りたい情報は2~3枚分くらいだろう、必要じゃないものは纏めた者には悪いがはしょらせて貰おう、時間の無駄だからな

 

「被害者の名前は

 

早速か

 

「あ~軍曹、その部分は別に要らない、飛ばせ、死んだ人間に興味など無い、死人の良いところを教えてやろう、もう思い出さなくて良いって所だ、被害者の人数と犯行日時だけ教えてくれれば良い、あ、あと第一発見者も教えてくれ」

 

「遺体の状況などは?」

 

「要らん、直接現場を見に行く」

 

「容疑者をリストにしてあるのですが」

 

「それも要らん、犯人はナイトレイドだ」

 

「ではナイトレイドを雇った可能性のある者は」

 

「そいつは戴こう、ただここで報告する必要はない、現場に移動がてら参考までに読ませて貰う」

 

こうして必要な物のみ抽出していくと、やはりイェン軍曹の手には二枚の資料が残った

 

「先ず被害者の人数ですが、屋敷の倉庫から出た遺体を覗けば、恐らくこの屋敷の住人であろう遺体が3つ、その護衛の遺体が4つの計7つ、死因は……結構でしたね、ですが何れも手練れの犯行です、生存者、目撃者共に無し、第一発見者は屋敷からの銃声に気が付いた帝都警備隊の兵士です。報告は以上で終わりますが、宜しいですか?」

 

「あぁ十分だ、後は現場を見て判断する、イェン軍曹お前も私に随伴しろ、馬車の手配も忘れるなよ」

 

「了解」

 

「あ、あと資料の方はリストを残して他は全てそのこ暖炉に焼べておけ」

 

「わかりました」

 

それだけ言うと、黙々と私の指示に従うイェン軍曹をよそに、私は出掛ける準備を始める

 

先ずは壁に掛けてある陸軍仕様の防刃コートを着て白い手袋を嵌める、少々重いが、これが冬の陸軍の制服であるから仕方ない、結構格好いいから秘かに気に入っているのは、私と君との秘密だ

 

あとは……

 

「軍曹、馬車の他にもう一つ手配してほしいのがある」

 

 

 

 

「何でしょう?」

 

 

 

 

「焼却部隊だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

護衛A 死因 呪毒による心配停止

 

護衛B 心臓を大型の刃物で一突き、大量出血に伴うショック死

 

護衛C 後頭部から額にかけて貫通する形の銃跡を発見、頭部を激しく損傷したことによるショック死

 

護衛D 胴体を両断されるが、同時に呪毒も検出、死因は大量出血に伴うショック死及び呪毒による心配停止

 

貴族A 屋敷の執務室にて発見、恐らくこの屋敷の家主、外部からのからの強い圧力による重度の脊髄損傷、それに伴うショック死

 

貴族B 屋敷の2階廊下にて発見、恐らく貴族Aの妻、両腕を巻き込む形で胴体ごと切断、大量出血によるショック死、被害者の顔を見る限り唯一自身に起きたことを理解出来ていないようだ

 

貴族C 屋敷の倉庫入口付近にて発見、恐らく貴族A貴族Bの娘、胴体を両断、大量出血に伴うショック死

 

 

 

 

 

「ふぅ~際立った手掛かり無し、まぁ当然か、相手はプロなんだし、こんなものだろ」

 

庭先の日陰に木を背もたれにし腰を掛けて、私は図番の上に載せた報告書から目を離す

 

涼しい風、差し込む木漏れ日、荘厳な館、ここが殺人現場でなければ絵の一枚でも描きたいくらい和やかな風景だ、私絵なんて描けないがな!

 

「中尉」

 

「ん?」

 

どうやら私が馬鹿な事を考えている間に、イェン軍曹は屋敷の森の調査を終えたらしい

 

ここに来る間に、私と軍曹は互いの調べる場所を決めていた、私は庭を含めた屋敷の調査、イェン軍曹には敵の逃走経路などを調べて貰うために屋敷を囲む森を調べるようなに言っている、まぁ手掛かりなんて無いだろうが、ダメもとで聞いてみよう

 

「どうだった?」

 

「森の周りを屋敷を中心に時計回りに見て回りましたが、自分や中尉、そして第一発見者の警備隊以外の足跡などは見つかりませんでした」

 

「そうか」

 

落胆はしない、分かりきっていた事だからな

 

「ただ、所々木の幹にワイヤーなどで擦り付けたような跡を見つけました、自分の憶測にすぎませんが、恐らく犯人は、張り巡らされたワイヤーや木の枝などを足場にして屋敷まで進入したのでしょう」

 

「そして脱出するときもまた然り、故に足跡は残らない……か」

 

「はい」

 

ハァ~調べれば調べるほど相手にしたくない連中だ、ナイトレイド、まぁ良い、今彼らの事を考えてもしょうがない、いずれ彼らの逮捕も指示されるだろうが、今ではない

 

私はこの屋敷に別にナイトレイドの手掛かりを求めて来たのではなく、ましてやこの大量殺人の事件を捜査しに来たわけでもない、そう、私は既に別の案件を抱えているのだ、今回はその大詰めと言ったところだな

 

「さて、行くか軍曹」

 

「はい」

 

私はゆっくりと腰をあげて歩みを進める、その後ろにイェン軍曹がつく、私達が今から向かうのは、貴族Cの遺体があった場所、即ち屋敷の庭先にある倉庫、そこにきっと連続田舎っぺ誘拐事件の真相があるはずだ、根拠はない、強いて言うなら勘である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……酷すぎる」

 

何なんだこの館は、いや、私もある程度の惨状は予測していたが、しかし、今私の目の前にある光景は、そのずっと上を行っている

 

 

四肢欠損、切られた足や腕は天井からぶら下がっており、宙釣りになっている死体も多い、壁に打ち付けてある死体には皮が無く、変わりにその下に折り畳まれるように置いてあるのが、もしかして彼らの着ていた皮なのだろうか、目にはいる遺体の表情はどれも苦悶に満ちており、恐らくは彼らは生きたまま四肢をもがれ、皮を剥ぎ取られたのだろう

 

何故こんなことをするのだろうか、私には到底理解出来ない、したいとも思わないが、彼らは何かここの貴族に恨みでも買ったのだろうか、いや無いだろう、帝都に来た出稼ぎの者がこんなピンポイントで恨まれるだなんてあり得ない、であれば、ここの貴族の連中は、何の恨みもない人間にこんな酷い事をしていたのだろうか、笑っていたのだろうか、愉しんでいたのだろうか、人の悲鳴を、流れ出す血に酔っていたのだろうか

 

生存者は、いないのだろうか?

 

 

 

「……ァーーーゥィー……ーー」

 

「ゥーー……ぁ、ーー」

 

「ァーーー……コフッーーゥ」

 

 

 

「ッ!!何処だ!?」

 

今、微かに人のうめき声が聞こえた気がする、しかも複数人だ、いや考えてみれば当然か、ここの貴族どもは生きながら拷問することを楽しんでいたようだ、なら玩具が壊れた時の為に何処かにストックを溜めているはずだ、そして昨晩そのストックを消費するよりも早く、自身の元に罰が下った、ざまぁみろ

 

つまり、まだ何処かに生存者はいるはずだ!

 

「カーーコフッ」

 

「そこかぁ!」

 

一番右奥の牢屋の中、男性1人、女性1人、少女1人の計3人、どれも栄養失調なのか相当痩せこけているがまだ大丈夫だ!出血の跡もない!間に合う!

 

「ぇ?ーーた。すけ」

 

「あぁ助けてやるとも!檻から離れろ!」

 

ズガァーン!!

 

私は鉄格子を無理やり引きちぎる、少々力を入れすぎた為か、ぶち壊れた檻から煙が立ち込めてしまった、生存者は何処だ!?

 

「おい!返事をしろ!いるのは分かっている、姿を出せ!」

 

そして漸く煙が晴れ始めて、3人の姿が現れた、男性を真ん中にして彼の後ろに女性が一人と少女が一人、彼は後ろの二人を庇うように前に立ち、逆に後ろの二人は前の男性を支えるように背中に張り付いている

 

私の憶測だが、この3人は家族なのではないのだろうか、でなければ咄嗟にこんな陣形を取れるわけがない、きっと今までもそうやって困難に立ち向かって来たのだろう

 

こうやって、何時までも彼らの絆を見ていたい気持ちはあるが、先ずは警戒を解いて貰わねば、他と比べればまだマシとは言え、彼らもまた重度の栄養失調だ、早急に措置しなければ

 

先程はつい興奮して口調が乱暴になってしまったからな、次はもっと優しく語りかけよう

 

「すまない、脅かせるつもりはなかったんだ、信用してくれ、とは言わない、しかし私の話は聞いてくれ」

 

私の声が聞こえたのか、中心の男性がゆっくりと口を開く

 

「ァー」

 

「あ~ッ!喋らないでも良い!口を動かすのも辛いだろう、ただ私のする質問に頷くか首を振るかくらいはしてくれ、良いか?大丈夫、時間は決して取らせない」

 

男性が、ゆっくりと首を縦に振った

 

「ありがとう、協力感謝する」

 

「先ず初めに、君達は辺境から来たのかな?」

 

縦に振った

 

恐らく犠牲になった他の者達も辺境から来たのだろう、夢とか希望とかを抱えて

 

「君達やここの者たちをこんなにした者は身形の良い格好をしていたか?」

 

これもまた、縦に振った

 

分かっていたが、この事件の犯人は屋敷の住人だな、しかし、それは困ったことなった、ナイトレイドは宮殿にて勤務している私をも凌ぐ情報力を持っていると言うことか、彼らが優秀なのは知っているが、どうやら想像していたよりも、私達は無能らしい、何せ私達が違和感を感じ始めている頃には、既に連中は真犯人を見つけ、こうして見事に殺して見せた

 

もしも彼らが来ていなければ、被害はもっと広がっていただろう、そんなことになってしまえば……いや、やめよう、考えるだけ無駄な事だ

 

今時間を割くべきはそんなことではない筈だろうが、しっかりしろ私

 

「これが最後の質問だ」

 

 

 

 

「君達の他に生存者はいるか?」

 

 

私の問いに大人の二人は答えない、下を向いて目を伏せるのみ、代わりに少女が、その細い首をフルフルと横に振った

 

 

「そうか」

 

一瞬私の胸に、強烈な酸を流し込まれたような感覚に見舞われるが、グッと抑え込む、後悔も反省も今すべき事ではない

 

「さぁおいで、早くここから出よう」

 

おいで、と言いつつ私は少女を持ち上げる、早く処置したいと言うのもあるが、急ぐ理由はまた別にある

 

私はここへ来る前に馬車と一緒に焼却部隊の出動を要請している、彼らは帝国軍のなかでも屈指の真面目さを誇る部隊だ、出動を要請すれば必ず応えてくれる、しかし同時に冷徹であることも知られている、何でも、命令とあらば町一つ燃やし尽くすらしい、恐ろしい部隊だ

 

今私が助けようとしている三人の家族は皆軽度だがルボラ病に感染している、ルボラ病とは、感染すると体の皮膚の一部が腐り始めその箇所が酷くかゆみ、皮膚同士の接触により腐れは体全体に広がってゆく、やがてウイルスは皮膚だけでなく肺も腐らせ始める(恐らくはかきむしった皮膚の一部が何らかの理由で口内から浸入したと見られている)こうなればもう末期だ、幸いあの家族にその症状は診られない

 

問題なのはクリーナーズ、じゃなかった、焼却部隊の方だ、彼らが出動させられる主な要因はこういったウイルスの滅菌である、今回は死体処理として呼び寄せているが、軽度とは言えルボラに感染したあの家族を見てどんな行動をするか分からない、大量虐殺をする連中にまともな者など一人もいないのだ、場合によっては戦闘に移ることも考慮しなければならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~やっと全部終った」

 

「お疲れさまです中尉」

 

あの三人の家族を病院に預け、その後の書類祭りを何とか終わらせた私は、夜の帝都にてめいいっぱい大きな背伸びをする

 

「いやぁ~軍曹」

 

「何ですか?」

 

「人は見かけによらないな」

 

三人の家族は、あの後特に何事もなく病院につれてゆくことは出来た、一つ問題があったと言えば私達が庭に出ると、そこには既に焼却部隊の面々が集合を完了していた事だろう、本当は、彼らが来る前に現場を出ようと思っていたので、あの時は本当に肝を冷した、まぁ私が思っていたより彼らはずっと好い人達で、私達が生存者を発見したと知るやいなや「ならば他にもいるかも知れない」と皆ぞろぞろと倉庫の中に入ってしまった

 

善人の皮を被って人殺しを楽しむ豚屑もいれば、小銃の先に火炎放射器着けた善人もいる、本当に人の見かけは信用できない

 

「そうですね」

 

まぁ軍曹にとってはどうでも良い話だったか、彼は他人にまるで関心を寄せないからな

 

「ところで軍曹、お前お腹は空いていないか?」

 

肘を曲げて時計を見れば、短い針が8よりやや手前に刺さっている、少し遅いが夕飯刻だと私は思う、因みに昼食は食べていない、昼間にあんな光景を見てしまえば当たり前だろう

 

つまり私はお腹が空いている

 

「いえ、これと言って空腹は感じません」

 

「そうなのか、しかし私はペコペコだ」

 

「それはお気の毒に」

 

「加えて言えば私はあの家族の治療費を払ったせいで金もない」

 

「尊い犠牲です」

 

「しかし目の前に金を持った部下がいるんだ」

 

「…………自宅で食べれば良いじゃないですか」

 

「それがな、休暇前に冷蔵庫の処理を忘れていたのだ、おかげで今、私の冷蔵庫はナウシカの腐海のようになっている」

 

「例えがよく分かりませんが、それは自分の知る限りではありません」

 

「率直に言おう、ご飯を奢れ、これは上官命令だ」

 

「ですから自分は」

 

「中華が食べたい」

 

「いや、ですから」

 

「チャーハンが食べたい」

 

「中尉、話を「軍曹」」

 

「諦めろ」

 

「はぁ……この距離なら自分の自宅の方が近いです、チャーハンくらいなら創りましょう、それで我慢してください」

 

「そうこなくてはな」

 

 

 

 

 


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