イェーガーズの下請け部隊   作:薩摩芋

4 / 7
今回は短めです、それでは、どうぞ。


3話 警備隊長を忙殺する!

 

「警備隊長オーガが何者かに殺害されました」

 

「あぁそう、で?」

 

「早急に下手人を見つけ出し速やかに捕縛せよ、との事です」

 

「無理って言っといて」

 

「自分で言って下さいよ」

 

 

 

 

 

 

 

3話 警備隊長を忙殺する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく、どうして私がこんなことをしなければならないのだ、警備隊長殺害、確かに大事件だ、しかしそれを調べるのは帝都警備隊の仕事だと思う

 

 

私は大将軍直属の部隊である近衛兵士の隊員だ、当然部下であるイェン軍曹も近衛兵士である、主な仕事は隊員の給料や物品購入の為の資金管理と言ったところで、決して犯人逮捕に尽力するような仕事ではない

 

 

因みに、これは独り言だが、極秘で各地に送り込んだ調査員の報告書や、それに適する資料を纏めて大将軍にお届けし、顕著な異常が見つかればこれを詳しく調査し報告する、そんな隊員もいるらしい

 

 

誰とは言わないが

 

 

多分だが、今回私がこの事件を担当することになってしまったのはそのせいなのだろう、帝都警備隊では少々心許ない、そう思った誰かが私という存在に目を着けたのではないか

 

 

まぁその事を知っているのは、私や私の部下であるイェン軍曹、上司のブドー大将軍、そして数人の文官しかいない、どのみち私に断る権限などないがな、めんどくさいがやるしかないか

 

 

後で大将軍に文句言っとおかなければ、このままではペット探しまで私達にさせられてしまう、冗談ではない

 

 

 

「軍曹、悪いが今纏めている資料、点検が終わったらアレン副官に渡しておいてくれ、それが終われば今日はもうあがっていいぞ」 

 

 

「了解、では提出が終わり次第自分も現場に向かいます」

 

 

「悪いな」

 

 

私は良い部下を持った、しかしイェン軍曹を巻き込むとなれば尚更早く終わらせたい、てゆうかそもそも簡単に暗殺なんてされるなよ、死人に言ってもしょうがないか

 

私は少々乱暴な手つきで壁に掛けてあるトレンチコートをぶん取り、ズホンのポケットから白手袋を取り出す、シワシワだけど別に良いだろ、新調するのも手間だ

 

あぁ~めんどくさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そこの君」

 

 

「そ、そんなオーガさん、どうしてあなたがこんな姿に……昨日、私に稽古付けてくれると言ったではありませんか……どうして、こんな……酷すぎます」

 

 

「……」

 

 

うむ、確かに遺体の状態は酷いな、殆んどバラバラじゃないか、今の季節が冬じゃなかったら確実に腐っていただろう、だからそこの警備隊の君、遺体に抱きつかないでくれるかな?

 

 

「……おい」

 

 

「いったい誰が、誰がこんな酷いことを……赦せない!」

 

 

確かに赦せない、私の貴重な執務の時間だけでなくイェン軍曹にまで迷惑をかけられた、これで今週は二人揃って残業決定だ、犯人は見つけ次第ボコボコにしてやる

 

 

それはそれとして私の話を聞け

 

 

「……ちょっと」

 

 

「お父さんだけでなくオーガさんまでっ!必ず見つけ出して正義の鉄槌を下してやる!震えて眠れナイトレイド!」

 

 

「……」

 

 

私は何時まで無視し続けなければならないのだろうか、しかも自分より階級が下の兵士に、別に無視されたくらいで怒ったりはしないが、これは思ったよりもショックだ、事件が解決したら酒でも飲んでイェン軍曹に慰めてもらおう

 

 

 

 

 ~30分後~

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~っ!……グスン、オーガさん……スピー」

 

 

「警備隊は精強だな」

 

 

死体の上で寝るなんて、警備隊はいったいどんな訓練を受けているのだろうか、いやまぁ単純に泣き疲れただけだろうが、それにしても図太い娘だ、将来が楽しみだな、誉めてない皮肉だ

 

「しかし、実際これからどうするか?」

 

既に警備隊の娘は死体から退かしてある、その上でもう一度現場を見渡す

 

人通りの少ない裏路地、恐らくオーガは誘い込まれた、いや、戦闘の形跡があるから敢えて誘いに乗ったのかな?しかし相手の実力がオーガを越えていた為あえなく殺害された。

 

こんなところか?う~んオーガの遺体の状態が悪すぎるな、両腕を切断されただけでなく、上半身をX字に斬られている、しかも飛び散った血痕を見る限り上二つの動作はほぼ同時に行われている、複数による犯行か、犯人が2刀使いの達人か、う~ん……ダメだ、やめよう、証拠が圧倒的に不足している今では何を考えても徒労にしかならない、いや寧ろ無用な先入観を持ってしまう

 

 

今しなければならないのは、兎に角情報を集めることだ、先ずはここ最近のオーガの行動、そしてオーガの人となりだな、後者は警備隊と一般市民の両方から聞き出さねば

 

あ~やることがいっぱい過ぎて気が遠くなりそうだ、私の他にせめてもう一人人手が欲しい、そう

 

 

「まだ現場にいたのですか中尉」

 

 

そう、調度今聞こえた軍曹のような……ん?

 

 

「おぉ軍曹いたのか、いつからここに?」

 

 

「つい今しがた着いたところですが、捜査に進展はありましたか?」

 

 

気付かなかった、どうやら相当考えこんでいたらしい、周りに気を配れなくなっているとは、勘でも鈍ったかな?まぁ良いか

 

 

 

「ない、共同で捜査に当たる筈の警備隊が職務放棄してそこで居眠りを始めてしまってな、もともと戦力として数えていなかったが、まさか足を引っ張られるとは思わなかった、おかげさまでついさっき現場検証が終わったところだ」

 

 

「目撃者は?」

 

 

「まぁいないだろうな、なんせ現場は‘人通りの少ない裏路地’ではなく‘人通りの少ない道の裏路地’なのだから」

 

 

「そうですか」

 

 

やはりこの事件請けるべきではなかったな、大将軍辺りに相談すれば代わりの人事を動かしてくれただろうが、あまりあの方に迷惑はかけたくないし、過ぎた話だ、現場に足を踏み入れた以上半端では終わらせないのが私の主義だ、この事件も例外にするつもりはない、完璧とは言わずとも、納得のできる所まで行ったらさっさと警備隊に引き継ぐとしよう、さて!

 

 

「では軍曹、事後の行動を指示する」

 

 

「はい」

 

 

「私はこれから警備隊の本部に行ってここ最近のオーガの行動を調べる、警備隊長なんて仕事しているのだ、抱えている怨みはてんこ盛りだろう、その傍ら別の警備隊員からオーガの人となりも聞いてみる」

 

 

「自分は?」

 

 

「軍曹には市民視点でのオーガの評判を聞いて欲しい、お前の裁量で良いから、十分な情報が集まったら私と合流だ、歩きどうしの一日になると思う、苦労をかけるようで申し訳ないが、やってくれるか?」

 

 

「もちろん」

 

 

「ありがとう、それと私と合流する最は途中でコーヒーを幾つか買って来て欲しい、今夜はオール決定だ、コーヒーの種類は軍曹のセンスに任せる」

 

 

「了解」

 

 

「さて!早急に行動を開始するぞ、迅速に行動し可及的速やかに私達の睡眠時間を確保する、かかれ!」

 

 

私がパァン!と手を叩くと同時に軍曹も動き出す、当然私も裏路地から出ようと足を進める、気の乗らない事件だが仕方ない、てゆうか、私の本来の仕事は事務職なんだが、どうしてこんなことをしているのだろう?今更すぎるが疑問である、まぁいくら考えても仕方ない、これがデキル女の宿命なのだと諦めるか

 

 

「はりきって行くか」

 

 

何事も元気が大事だ、元気があればなんでもできる、そう心に言い聞かせて、私は現場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむむ……スピー、仇を取りましたよオーガさん……スピー」

 

 

「……」

 

「誉めて下さい……スピー……」

 

「……」

 

「スピー……」

 

「……はぁ~仕方のない子だ」

 

 

背中に警備隊員を乗せて

 

 

 




毎度思うのですが、タツミ君あの体制からどうやって斬ったらあんな切り傷になるのでしょうね?いやまぁ漫画の世界なので深く考えたら負けなんでしょうけど。

感想待ってます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。