イェーガーズの下請け部隊   作:薩摩芋

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5話 やりきれなさを忙殺する!

 

スラムとは帝都の中に所々存在する貧民街のことである、大抵は必ず近くに栄えた区画があり、その小さな栄華を支える為に多くの人が虐げられる、つまりスラムとは一部の区画の繁栄の裏にある闇のようなものだ、発する光が強ければ強いほど影とは濃くなり闇もまた深くなる、ならば1000年間栄え続けた帝国の影は、いったいどれ程の大きさとなっているのだろう、それは誰にも分からない、確かめたくば自ら赴く他は無し、その好奇心に釣り合う勇気があるのなら、ただし心せよ、君が深淵を覗くとき、深淵もまた君を覗きこんでいるのだ

 

 

 

 

「嘘ばっかりだなチクショウ!」

 

 

 

 

 

5話 やりきれなさを忙殺する!

 

 

 

 

 

 

 

 

私は自分の手に持っていた本を地面に思いっきり叩きつけた、本の題名は『そうだ帝都に行こう』スラムに関する情報が欲しくて警備隊の資料室から勝手にパクッてきた、罪悪感はない、どうせ取ってもアイツら気付かないだろうし、資料室が誇りまみれとか意味がわからない、彼らは過去の資料を見ないでどうやって今まで捜査してきたのだろう?まぁどうでも良いことだがな

 

今度休日とかに嫌がらせで抜き打ち検査でもしてやろう、そして連中の給料を小学生のお年玉くらいにしてやる、私は近衛兵士の給料の管理が仕事だが、警備隊も上部連中まで行けば私の管轄だ、覚悟しておけ警備隊、私にデタラメな資料をパクらせたこと後悔させてやる

 

おっと、興奮のあまり話が横に逸れてしまった、とにかくこの『そうだ帝都に行こう』によると、まるでスラムは深淵に飲まれたウーラシールのような場所のようだが、実際に来てみれば決してそんなことはなかった

 

 

確かに治安は悪い、衛生環境も悪い、しかしそこには帝都にない活気があった、活きるために生きている、そんな感じだ、辛く厳しい中にあっても、強く逞しく生きようとする様は、私にはとても眩しく見える

 

「スラムとは、思ってたよりも賑やかだな」

 

私は少し浮いた気持ちで隣にいる軍曹に話しかける

 

「そうですね」

 

まぁ軍曹にとってはどうでも良いことだったか、私がスラムの活気に見惚れている間にも、彼は隙なく周りに気を配っている、今頃軍曹は視界に写る全ての人間に今回保護する筈の女性の顔を照らし合わせているのだろう、まるでターミネーターだ

 

私もそろそろ真面目にやるとしよう、思考を観光モードからお仕事モードに切り替える

 

「イェン」

 

階級ではなく名前で呼ぶ、私も軍曹も今は私服である、治安の悪い地域に軍人がいても悪目立ちするだけだ、今回に限り素性は隠しておくべきだ、と、軍曹とは認識を共通させてある

 

「何だユーリィー」

 

低くドスの効いた圧力のあるダンディーな声だ、そんなイケボイスで呼び捨てにされると、私はドキドキしてしまう

 

「手分けして捜そう」

 

「わかった」

 

手短に会話を済ませて、お互い少しずつ距離をとってゆく、もう今日一日余程の事か偶然がない限り私と軍曹が合流することはない、これから先は完全なスタンドアローン(単独行動)だ、精々明日の事後報告で良い報告が聞けるよう祈るばかりだ

 

さて!私も仕事をするとしよう、ターゲットの女性の顔はもう頭に入ってる、似顔絵も持ってる、これだけあれば今日一日で見つかりそうだ、まだ、彼女が生きていたらの話だがな

 

まぁ何れにしても先ずは聞き込みからだ、ちょうど今、私の目の前を通り過ぎた巨乳の金髪美女に聞いてみよう

 

 

「そこの露出の多い金髪の美人さん」

 

「ん?」

 

 

あ、振り向いてくれた、ついでに胸まで揺らしてくれた、素晴らしい、スラムの女性は胸まで逞しいのか、このまま堪能したいという煩悩を振りほどき、私は自分の任務に勤めることにする

 

 

「すまない、尋ねたい事があるのだが」

 

「人と話すときは相手の顔を見るのが礼儀だろ」

 

「許せ人見知りなんだ」

 

「それなら私の胸から視線を外すべきだね」

 

「……」

 

「……」

 

「……まぁ顔も私好みだから良いか」

 

「アンタ人と話す気あるのか?」

 

 

  

 

 

 

私の捜査の出だしは順調だった、最初に会った金髪美女からは特に情報は得られなかったが、その後粘り強く聞き込みをして遂に私は女性の住居を突き止めた、その時は留守にしていたが、いずれ帰ってくるだろうと思い、同じタイミングでやって来た軍曹に捜索の続きを頼んで、私はここで張り込みをした

 

このときはまだ私は事件の解決を信じて疑わなかった、半日も待てば彼女はやって来る、それでなくとも軍曹がスラムで見つけてくれるだろう、と

 

だが、3日張り込みをしたがこれと言って成果は何もなく、新たにわかった事と言えば、その女性は性病に感染していたこと、そして彼女はつい最近無惨な形で恋人を喪ってしまったことくらい、どの情報も重要だが彼女の所在を示すモノはなく、ただ私のモチベーションを低下させるにだけだった

 

そして結局私と軍曹は、3日の張り込みと捜索、一日を女性の身辺調査に費やしたが、消息を絶ったその女性の足取りを掴むことは、ついぞなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは軍曹」

 

「今は早朝です中尉……寝ていないのですね」

 

私の執務室にうず高く積み上げられた書類の山、いや、山というかビルの方が近いかもしれない、さしずめ目の前に広がる光景は紙で作った摩天楼といった所か、まぁどちらにしても‘紙の量がすごく多い’ということさえ伝われば良い

 

これらは全て私の決済待ちの書類だ、武器や食糧等軍需品の調達要求書、また軍人の退職金の計算を依頼する書類などetc ……本来なら毎日来るこの書類は、その日の内に全て終わらせているのだが、ここのところ捜査続きで全く手をつけていなかった、今はそのツケを払っているところである

 

「ここに来たと言うことは何かわかったのか軍曹?」

 

カキカキと羽ペンを全力疾走させながら軍曹に問う、私が徹夜で書類の処理をしている間にも、軍曹には件の女性について調べてもらっている

 

私は知りたかった、どうしても、今彼女がどうしているのかを、生きているのなら良し、もし……死んでしまっているのなら、花の一つでも贈らなければ、だってあまりに哀れだろう?理不尽に婚約者を奪われ、身を売って復讐を果たしたが、性病に感染してもう余命幾分もない、そんな中で、その死に際すらも誰に象られるわけもなく独り息をひきとるだなんて、そんなのあんまりだ

 

他者への哀れみを忘れてしまうほど、私は堕ちたつもりはない

 

「はい、女性が以前、そう調度婚約者と同居していた際の住居を突き止めました、いまだにいるとは思えませんが、何か手がかりはあるのではないのでしょうか?」

 

彼女にはたしか住む家など持っていなかった筈だが……成る程、おそらく婚約者名義で購入した家なのだろう、たしかにそこなら何かあるかもしれない、行くか

 

「どっこいせ」

 

私は重い腰をあげて立ち上がる、ついでに背伸び、バキバキバキと関節が唸り体中に血が巡る、そのためか心なしか少し体がホカホカするきがする、そしてそのまま部屋の壁に掛けてあるトレンチコートに手をつけたたところで、軍曹が待ったをかけた

 

「行くのですか」

 

「あぁ」

 

いや、正確には明確に停止を言われたわけではないな、ただ、私の返事を聞いた軍曹の顔には明らかに不満の色が出ている、彼がここまで露骨に感情を表に出すのは珍しい、まぁ気持ちは分かるがな

 

「言いたいことはわかるぞ軍曹、従来の仕事を放っておいて、既に終わった事件に執着するだなんて自分でも馬鹿だと思う」

 

そう、もうこの事件は既に終わっているのだ 実行犯はナイトレイド、依頼したと思われる容疑者は現在逃亡中、事後の捜査は警備隊に依託するものとし、我は己が職務に帰する そう書かれた報告書が既に出来上がってる、後はコイツをアレン副官に提出すれば私の仕事は終わりだ、落とし所としても悪くない、いや潮時と言っても良いかもしれない

 

「私の我が儘に付き合わせてしまっていることには、本当に申し訳なく思ってる」

 

きっと軍曹は、無駄に働かされることを不満に思っているのではない、私が引き際を間違えていることに不満を感じているのだろう

 

だが、だからといって今更辞めるわけにもいかない

 

「軍曹、お前はもう十分働いてくれた、ここから先は私一人で大丈夫だ、3日休養をあげるからしっかり体を休めておけ、それが終わればまた仕事だがな」

 

私の我が儘にこれ以上軍曹が付き合う必要はない、私は軍曹の手にある資料を貰おうと近付き、紙を受け取ろうとすると軍曹が手にもった資料をひょいと腕ごと上に持ち上げた、資料が欲しい私としては自然とつられて自分の腕も上にあげる、ただ身長がやや足りないので軽くジャンプする、すると軍曹も一緒にジャンプする、よって私はいつまで経っても資料を入手出来ない

 

「どうした軍曹、遂にドSに目覚めたか?受けてたつぞ?私の守備範囲を甘く見るな」

 

相手が美人、美少年、イケメン、又はそれにカテゴライズされた魅力溢れる人間なら、私は基本何をされてもダイジョーブなタイプの人間だ、もし軍曹にサディストな一面があるのならば、私は上官として、同僚として、戦友として、そして一人の淑女として、全身全霊をもって彼の期待に応える所存である

 

私が万全の姿勢でもって軍曹の次の行動に備えていると

 

「はぁ~貴女という人はまったく……」

 

ポスッ

 

「お?」

 

そう言って上にあげた紙で私の額を軽く叩いた、私は思わず「お?」なんて間抜けな声をあげてしまった

 

たしかに私は褒められるのも責められるのも大好物だが

 

「後ろの資料は自分が全て点検しておきましょう、中尉がここに戻るまでに決済以外は全てやっておきますので、どうかこの仕事が終わったら一度お休み下さい、最近ろくに寝ていないのでしょう?」

 

 

 

甘やかされるのだけは苦手だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍曹に渡された資料に挟まっていた地図を見ながら、私は女性の住居……いや、正確には彼女の婚約者の住居だったな、を訪ねているが到着はしていない、まだ早朝ということもあって、誰もいない道をテクテクと歩く

 

帝都は異なる四つの文化が混ざり合ったような町並みをしているが、私が今いる区画は全て西の国、わかりやすくいうと洋風で統一されている、レンガ造りのアパートメントがズラリと並び、なかなか良い眺めだが、やはり寒いな

 

吐く息が白い、石やレンガは丈夫そうだが暖かみがないのが欠点だな、これらに囲まれると、まるで巨大な冷蔵庫の中にいるようで寒気がする

 

とまぁ、そんなこんな下らないことを考えている間に目的のアパートに着いた、こちらもやはりレンガ造り、変わったところは特に見当たらない

 

私は扉を開けて中に入ると、待受であろう女性がぎょっとした目で私を見た、私は目付きがキツいからな、無理もない、それに軍服とは着ているだけだ着用者に圧力を纏わせる不思議な力がある、私だって鏡に写った軍服姿の自分にぎょっとすることがある……冗談だ。

 

「こんばんは、私はユーリィー=マクタヴィッシュというものです、貴女はここのオーナーで相違ないですか?」

 

一応丁寧に笑顔で接してはいるが、多分逆効果だろうな

 

「は、はイ、!そうでありまする!」

 

駄目だこりゃ

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ 

 

扉の鍵を解錠する、ドアノブを回して扉をくぐれば、外よりはマシ程度の気温となんとも言えない良い匂いがした、上手く伝えられないが、そうだ、友達の家の匂いだ、人の家に遊びにいくと入った瞬間何か違う匂いがするだろ?あんな感じだ、この家は何処か柔らかい匂いがする

 

ちなみに私の家はカレーの臭いがするらしい

 

 

 

閑話休題

 

 

 

玄関を抜けてトイレを横切りリビングに出る、フローリングの床、テーブルの上にはセンスの良い花柄のテーブルクロス、その奥にあるカウンターの向こうにあるのがキッチン、少々埃が被っているが全体的に整頓されていて綺麗だ

 

普通なら素直に関心するだけなのだが、何故だろう?何処か違和感、いや既視感を覚える、今私の目の前にある光景、ちょっと前に見た気がするのだ、どこだったかな~答はもう喉元まで来ているぞ、そう思い、私はおもむろに冷蔵庫の扉を開けた、何故かはわからない、強いて言うなら気紛れである

 

私はどちらかと言えば理屈っぽいが、たまに勘に身を任せる事がある、そして大概大当たりなのだ

 

「そうゆう事か」

 

右手で握った拳を左手の手のひらにポンと置く、納得がいった

 

片付けられた部屋、何も乗っていないテーブル、そして、空っぽの冷蔵庫、これは私が長期休暇を取って旅に出る直前の私の家にそっくりだ(私の場合は冷蔵庫に食材を入れっぱなしだったが)

 

ただ、これは困った、彼女が長期間家をあけるつもり、いや最悪もう戻ってこないのだとしたら、ここにはもう手掛かりはないかもしれないな、まぁ一応調べるが

 

 

 

 

 

 

そうしてその後も部屋を捜索してゆく、怪しい物だけ最低限動かし、他にはなるべく手を付けなかった、気が引けるのだ、彼女が自身の身を売ってまで守った家を荒らすのは

 

ここを売れば、わざわざ風俗なんかに勤めなくてもナイトレイドを雇う金くらいなら仕立てることはできた筈だ、それでも彼女はそうしなかった、きっとそれだけ大切なのだろう、彼女にとってこの場所は亡き恋人との想い出が詰まっているのだから

 

「几帳面な男だな」

 

棚の引き出しを開ければ、そこには沢山の日記があった、一日一日事細かにその日の出来事が書き記してある、日によっては一日で二ページ使っている所もあった、そしてその日には必ず彼女が出ている、見れば日にちは今から十年以上も前、この二人はきっと幼馴染みだ、写真も何枚か挟んである

 

虫を両手に持った少女が逃げる男の子を追いかけている、随分と活発な女の子だ、他にも何枚か写真があったが撮影者は全て少女の方の親だな、写真の真ん中にいるのはいつも少女だった

 

ページを捲り年代が今に近づくにつれて写真の女の子からは活発さが抜けてゆく、段々笑顔の柔らかさが増していき、顔つきが大人びていく

 

男の子の方も体が大きくなるにつれて顔つきも締まり、髪の短いなかなか良い男になっている、少なくとも、もう虫に怯むような男には見えない

 

人生の幸せをそこまま本にしたような、とても素敵な日記だった、正直言うと、私はここの婚約者を疑っていた、悲惨な最期を向かえたからといってその者が必ずしも善人とは限らない、だから、そもそもこの婚約者は本当に無実だったのか?そこら辺をハッキリさせるのもここに来た理由の一つだった、そして今ハッキリした、彼は間違えなく善人だ、偽善じゃ私の心は動かない

 

これだけ良いものを見せてくれたのだ、それに似合うだけのお礼を私はしたいと思う

 

 

 

新たな決意を胸に、私は日記をもとの位置に戻した、その時一枚の手紙が日記から滑り落ちた

 

 

「ん、なんだこれは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

「戻りましたか中尉、書類の点検は済みましたよ、後は貴女の決議待ちです」

 

「……あぁ、ありがとう軍曹、だが悪いな、ちょっとまってくれ、少し休む、今日は……疲れた」

 

ドサッと私は執務室のソファーに背中を埋めた、制服にシワがつくかもしれないが、今はとにかく休みたかった

 

「捜査は進展しましたか?」

 

軍曹が尋ねてきた、彼は私が進まない事件に落ち込んでいると思ったのだろうか?まぁどうでも良い、嘘をついても仕方ないので真実を述べよう

 

「あぁ大進展したさ、何せもう解決したんだから、いやまったく……最悪の気分だ」

 

私はそう言って懐に入っている手紙を軍曹に渡した

 

「何ですかこれは?……あぁなるほど」

 

手紙の全文を読む事もなく、軍曹は理解した、オーガを殺した黒幕は、婚約者を殺された女性でも、ナイトレイドでもない、他の誰かだ

 

軍曹に渡した手紙は私が女性の婚約者の家で見つけた物だ、婚約者が恋人に宛てたモノで、内容は要約するとこんな感じだ

 

警備隊に無実の罪を着せられた、俺はガマルのスケープゴートにされるらしい、納得できるわけないが、もうどうしようもない、程なくして俺は処刑されるだろう、だが、どうか君には俺の無念を晴らしてほしい

 

勿論本文はもっと長く、文の合間合間に愛を囁く文字が散りばめられているが、吐き気がするので割愛した、何故かって?

 

だって、どう考えてもこの手紙を書いたのは婚約者ではないからだ

 

普通に考えればわかる、そもそも手紙が送られてくるというのがおかしいのだ

 

彼はどうやって手紙を書いた?紙は?ペンは?獄中でどうやって仕立てたのだ、そして仮にもし手紙を書けたとして、どうやってそれを女性の元に届けた?もしかして留置所のスタッフに頼んだのだろうか、もしそうなら随分と警備隊はサービスが行き届いている、まさか郵便局まで兼任しているとは、そんなわけあるか

 

 

……それに、彼が恋人に復讐を望むとは思えなかった、実際に会ったことはないが、大体彼の人となりはわかる、真面目で、優しくて、誰よりも恋人のことを大切に想っている、自分から恋人を危険に巻き込むようなことするわけない、きっと彼なら……止めよう、死人を想ってもしょうがない

 

兎に角私が言いたいのは、この手紙を書いたのは婚約者ではなく、彼ら二人の事情を知り、オーガを消したいと思っていた誰かと言うことだ、そして彼女もう今頃は、

その真の手紙の送り主に消されてしまっているのだろう、こうゆうことをするヤツは念の為に人を殺すからな

 

「やってられないな」

 

今まで私がしてきたことは全て無意味に終った、捜査が徒労に終った事は別にいい、気にしない、ただ悔しい、彼女が最後の最後で頼ったのが私達(軍属)ではなく、ナイトレイドであったことが

 

気持ちはわかる、最愛の者をよりにもよって治安維持の要である警備隊に奪われたのだ、軍属全体に不信感を持つことは当然なのかもしれない、でも、だからといって納得はできない、腐っているのは上層部数人だけなのだ、他の者は皆しっかりと働いているのに、こんなことばかりでは、まるで真面目に働いている私達が馬鹿みたいではないか

 

我々軍人は、報いは受けても、報われることはない、もう気にしてない、諦めていると言ってもいい

 

どれだけ働こうと人々からの信用は得られず、革命軍ばかり英雄視される、それが今の帝国だ、帝国が腐っているのではない、腐っているのはこの国の国民性だ、何処までも利己的なこの国は、その証拠に1000年間他国との争いは一秒たりとも途絶えたことはない

 

断言しよう

 

たとえ革命が成功しても救われるのは帝国だけだ、帝国を囲む四国との争いは絶える事はない、絶対にな

 

 




主人公は色々と諦めています

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