私はソーマのパートナー   作:サンリアフレ

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ゴッドイーター3本日発売ですよ! 楽しみですね!
まぁ私はお金無くてソフトどころかハードすら買えないんですがね!!(血涙)

しばらく購入できないので、3で発表される新しいアラガミとか設定とか諸々メディア頼りになってしまいますん。
無印終わってない現在で心配するような事はないと信じたいですが、3の内容と矛盾するような部分があったら容赦なくご指摘ください。
ソーマ君どうなっちゃうの……。

やけにお気に入り登録者数が増えてるなと思ったらそういう……(今更)


第19話 セナside

 支部長室を後にした私はそのまま榊博士のラボに赴いた。

 

「来たね」

 

 扉が開くや否や、博士がそう声をかけてきた。

 

「やっぱり予測してましたか」

 

「ヨハンが支部長室を電子ネットワークの遮断をした時には、ね。私の盗聴を警戒したというよりは、むしろ私に知らしめるためにしたみたいだけど……」

 

 やはり考えを変える気はないみたいだ、と博士はひとりごちる。

 博士と支部長はフェンリルの前身であるアラガミ研究所の同僚だったそうだが、度々支部長と意見が別れる事があったという。

 今回のアーク計画で完全に袂を分かってしまったようだ。

 

「私の所に来たということは、そういうことだと受け取っていいのかな?」

 

「はい」

 

 私はアーク計画に反対だ。その意志は最初から決まっていた。

 確かに支部長の計画は現状を鑑みるに最も合理的で勝算の高いものであるのは間違いない。

 だが、だからといって無辜の人々を見捨てるという選択肢を許容することは出来ない。

 

 だって私は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 人類の選別なんてコロニーが出来てから毎日のように為されていることだ。

 居住区が満員だから。食料が足りないから。色んな理由で()に放り出されている。

 私は物心ついた時には()に居たからその人たちの気持ちを理解することは出来ないけど、()がどれほど過酷な場所か身を以て理解している。

 今こうして生き長らえているのはひとえに運が良かったからだ。それを助かる側になった途端はい見捨てましょうって言うのは身勝手すぎるだろう。

 

「私がここに来たのはアーク計画の代わりになる案を一緒に考えて欲しいからです。ただ支部長を否定するだけでは無責任なだけですから」

 

 支部長に時間が欲しいと言ったのはこのためだ。

 さすがに支部長が何年もかけて練った計画なだけあって、人類の未来を守るという一点においてアーク計画に穴など一つもない。

 今を生きる全人類を救うためには水面下から迫り来る終末捕喰への対策を立てる必要がある。

 終末捕喰はいわば地球という星を創った神がそうなるべしと定めた摂理そのもの。そんなものを確実に打破できる案を数ヶ月で立案しろだなんて無茶振りもいいとこなのだが、やらなくちゃいけない。

 

 支部長を否定するということはそういうことなのだ。

 

「キミならそう言ってくれると信じていたよ」

 

 私の決意に、博士は狐のように細い目を眼鏡の奥から覗かせ、にっこりと微笑んだ。

 

世界がどん詰まりだと認めていながらも(ペシミストだけど)世界には夢があると信じている(ロマンチストでもある)

 君が()の人間のために村を作ると言い出した時私は確信したよ。私と良い友人になれるとね」

 

「友人って……何歳離れてると思ってるんですか」

 

「友情とは胸に秘めた志を互いに認め合う。それだけのことだ。歳は関係ないさ」

 

 そう嘯きながら手を差し出してきた。

 握手とは古来より互いの利き手を制することで武器を隠し持っていないことを示す挨拶として用いられてきた。

 その手を取るということは後ろめたいことはないと宣言することと同義であり、それが嘘であったなら容赦はしないという釘刺しでもある。

 口では友情がなんだと言っておきながら、全くこの人は抜かりないな。

 

 思わず苦笑いをこぼしながら握手に応じた。

 

「これで私たちは共犯ということですか」

 

「その表現は実に私好みだ。早速本題に入ろうじゃないか」

 

 手で指し示されたソファに腰を下ろすと、榊博士は狭い部屋を練り歩き始めた。

 体を動かすことで考えに柔軟性が増すと言っていた。見慣れた光景だ。

 

「さて、ヨハンから概要を聞いているであろう終末捕喰について講義をしたいところだけど、その前にセナ君の口から改めて終末捕喰に対する意見を聞かせて欲しい。私の思考が混ざっていないピュアな意見は貴重なんだ」

 

「まだ空想の域を出ていないですが……」

 

「思考実験、大いに結構じゃないか。重さは本当に落下速度に関係しているのか? 1kgの重りより2kgの重りの方が速く落ちるのか? ならば二つを糸で結べばさらに速く落ちるのか……?

 そういった現実というフィルターを無視した空想世界で連綿と物事を考えてきたからこそ人類は繁栄してきたんだ」

 

「ではお言葉に甘えて……。まず用語の導入からしますね。終末捕喰には『莫大なコアを喰らった強大なアラガミ』と『極めて特殊なコアを持ったアラガミ』の二つが必要ですが、前者を『Ω』後者を『特異点』と呼びます」

 

「ほほう。『Ω(終焉)』か……。フフフ」

 

「な、なんですか急に」

 

「いやすまない。端的ながらも的を得ていると思ってね。キミらしい表現だ。ヨハンに対抗する意志を表して私も『Ω』と呼ぶことにしよう」

 

「……もしかして正式名称があったりします? というか『特異点』って名称があるんですから普通はもう片方にもありますよね?? 恥ずかしいことしちゃいましたか私!?」

 

「学会で使われている通称程度のものだが、『ノヴァ』と呼ばれているよ」

 

「『ノヴァ(新星)』、ですか……。気に入りませんね。そんな明るいイメージの物じゃないでしょうに」

 

「学会でも終末捕喰は都市伝説として扱われているから、みんなあんまり深く考えずに呼んでいるんだ。まぁ、名付け親はヨハンなんだが」

 

 なるほど。支部長にとっては新世界の幕開けそのものだからねぇ……。

 定められた運命を制御し、選ばれた人類を未来へ向けて残さんとする意気込みの表れかもしれない。

 

 さらっと言ったけど、榊博士は学会で終末捕喰の論理的立証のことを発表していないのか。

 いや、考えてみれば当たり前のことかもしれない。

 終末捕喰は約束された人類の滅亡のことだ。それが近い未来確実に引き起こされると立証してしまったら大混乱に陥るだろう。

 混乱に陥るだけならまだいいが、そこからどうせ終わるならとトチ狂って変なことをしでかし始める奴が現れても不思議じゃない。

 というか実際そうやってカルト集団が胸糞悪い事件を引き起こしている。伏せるのは当然だった。

 

「話の腰を折ってすまない。続けてもらえるかな」

 

「終末捕喰の原因は『Ω』と『特異点』が融合することですから、この二つを隔離してしまえば起こらない道理です。

 終末捕喰そのものを打破する手段が思いつかない以上、発生しないよう予防するしか手立てがありません。なので私は『Ω』と『特異点』どちらかの抹消、ないしは封印に専念するのが最善だと思います」

 

「そうだね」

 

「しかし、その二つのアラガミはどれほどの強さを持っているか不明であることと、それぞれの個体数が一体ずつだとは限らないことが問題になってきます。

 莫大なコアを喰らっている『Ω』の強大さは想像もつかないので除外しますが、『特異点』はその限りではありません。『特異点』もアラガミですので相応に捕喰を繰り返していると思いますが、高く見積もっても指定接触禁忌種くらいかなと予想してます」

 

「それって支部が崩壊する覚悟をしないといけないくらい強力なアラガミのはずなんだけどなぁ……」

 

「迎撃できる程度のものだと思いましょう。『Ω』と比べたら遥かに現実的ですし」

 

 さすがにハンニバルクラスのデタラメさは勘弁してほしいところだが。

 

「仮に『特異点』を討伐、抹消出来たとしましょう。ここで終末捕喰のシステムを思い返すと、終末捕喰は地球そのものが望んで引き起こしている現象ですから、『特異点』が消えてしまうのは地球にとって嬉しくないことのはずです。

 私が地球なら確実に終末捕喰を発生させるために次善策、『特異点』のスペアを用意するか、いっそのこと量産します。それが後者の問題に繋がる訳ですね。

 ……マジであって欲しくないのですが、実際のところどうなんです? そこらじゅうに『特異点』をばら撒かれたら手の打ちようがないんですが」

 

「私もそうなって欲しくはないね」

 

 つまりわからない、と。

 まぁ、『特異点』は見つかってすらいないんだし仕方ないことだよね。

 

「だけど一つ朗報がある。『特異点』は一体しかいない」

 

「えっ。そうなんですか?」

 

「『特異点』とは超高密度の情報集積体のことなんだ。『Ω』がハードだとしたら『特異点』はソフト。終末捕喰という現象のプログラム全てが詰まった存在だ。

 地球としてもしっちゃかめっちゃかに作れる代物じゃないんだろうね」

 

「えぇ……随分アバウトな説明ですね……」

 

「私自身、終末捕喰が担う役割は解明できたけれど、なぜ地球が終末捕喰を起こしたいと考えているのかまではわかっていないんだ。神のみぞ知るってやつだね」

 

「ならワンチャン『Ω』も一体しかいなかったり……?」

 

「残念ながらそこはセナ君の予想と同じだよ。『Ω』は単なる容れ物に過ぎないからどんなアラガミであれ育ちきれば『Ω』になり得る。言ってしまえば全てのアラガミが『Ω』だ」

 

「ですよねー……。となると唯一の『特異点』を抹消してしまった場合地球がどういう反応するかが心配だなぁ……」

 

 再び『特異点』を一体だけ生み出すのか。ヤケクソになって大量にばら撒くのか。それとも諦めてくれるのか。

 いずれにせよ楽観視することは出来ない。『特異点』が一体だけである現状を維持、すなわち『特異点』を封印する方が堅実だ。

 

「アラガミの封印、かぁ……。そう言えば支部長はどうやって『Ω』を管理してるんだろ」

 

「さぁね。私にも教えてくれなかったよ。極めて異例なことは間違いないんだが」

 

 支部長に聞いてみるか? でも支部長だって『特異点』が一体しかいないことは知っているはずだから、無限に存在し得る『Ω』よりも『特異点』を封印する方が遥かに簡単であることもわかっているはずだ。

『Ω』ほどの強大なアラガミを管理できる技術があるなら『特異点』も管理できる……というより、そんなことが出来たらゴッドイーターなんて要らなくなるだろうし、アーク計画だってやる意味がなくなる。

 

 ならば支部長は『Ω』を管理出来ていない? なぜ『Ω』 は大人しくしている? ……『Ω』自ら望んで支部長の言うことを聞いている?

 そんな事があり得るのか? ……あり得ないと断言することは出来ない。

 アラガミの多様性は無限大だ。人間とコミュニケーションを取れるようになる可能性だってある。例えば人間そのものに近い進化を遂げるとか。

 それはかなり異端な例だが、支部長が『特異点』より『Ω』を優先した事実がその可能性を後押しする。

 

「博士はアラガミとコミュニケーションを取れる可能性を信じますか?」

 

 私が思い付いて博士が思い付かないはずがないだろう。

 そういうニュアンスで尋ねると、榊博士はわざとらしく微笑んで見せた。

 

「あり得ると思うよ。クアドリガがミサイルを発射するように、アラガミは人間が作り出した道具すら取り込むようになった。

 それほど複雑な情報を取り込めるなら、まるで人間というアラガミが現れるのも、そう遠い日じゃないかもしれないね」

 

 ……ん? ちょっと待てよ。その言い方だと()()()()()()()()()()()()()()()()()様な印象を受けるんだが。

 でも確かにアラガミの高等的存在とも言える接触禁忌種の大半は人を象った部分が多い。アイテールとかアマテラスとかもろに人間をモチーフにしてるし。

 

 あ、まさか……。

 

「博士、最初から知ってたでしょ。『特異点』が人間に近しいアラガミかもしれないってこと」

 

『特異点』は超高密度の情報集積体だ。終末捕喰のプログラムを司るアラガミなのであれば、その情報を適切に処理出来るだけの知能を備えている可能性がある。あたかもパソコンにプログラミングを施す人間の様な知能が。

 情報を処理するために知能を獲得する……すなわち人間に近づく。であれば、『特異点』は既に人間に近しい進化を遂げた可能性が高い。

 

「いきなりそう言ったって信じてくれないだろう? キミ自身でその可能性に行き着いて欲しかったんだ」

 

 悪びれる様子もなくケロっとそんなことを言う。

 ピュアな意見が聞きたいと言っておきながらこの物言いだ。はなから答え合わせをしたかっただけじゃないか。

 

「性格わっる……」

 

「そう言わないでくれ。第三者の保証が欲しかったんだ。キミが一人で考えても同じ結論になったということが大事だった」

 

「ムカつくような悔しいような……。まぁ、それならそうでいいんですけどね。で、いつから気づいていたんです? まさかついさっきというわけじゃないですよね 」

 

「ふむ。意外と答えにくい質問だね」

 

 どこらへんが難しいというんだ。気持ちに引き摺られ半目で睨みつける。

 

「論理的に確信したのは()()()なんだが、そうであってほしいと願い始めたのはずっと前なんだ」

 

「願う……? アラガミとコミュニケーションすることをですか?」

 

「うん。だって興味深いだろう? 人間とは根本的に異なる知的生命体と会話を交えるだなんて、映画や小説の中でしかあり得ない話だったんだ」

 

「……まさか博士がアラガミの研究をし始めたのって……」

 

「アラガミの進化にその可能性を感じたから。人類のためにもなるしね」

 

 いけしゃあしゃあと宣う榊博士に頭痛を覚える。

 なんてこった……。今の世の中があるのはこのオッサンの気まぐれのおかげだったなんて……。この世界脆すぎるよ……。

 

「まぁ、言葉を選ばなければそういうことになっちゃうけど、こう見えても人類を守るためっていう気持ちはあるんだ。そこは信じてもらいたい」

 

「そういうとこですよ榊博士。支部長が博士と仲が悪いの絶対そういうとこですよ」

 

 はぁっ、と思い切りため息をついてやると、さもありなんと肩を竦めるだけだった。反省してないなコイツ。

 

「これで対策思いついてなかったら腹パンものですよ。あるんでしょうね?」

 

「もちろんあるが、その前に聞いておきたいことがあるんだ」

 

「またですか」

 

「いや、今度はちゃんとした質問だ。素直に答えてほしい」

 

 さっきまでの芝居染みた雰囲気は鳴りを潜め、博士は声音を硬くした。

 冗談ではないらしいので佇まいを直して聞く態勢を取る。

 

「キミは、アラガミと共生出来ると思うかい?」

 

「難しいと思います」

 

「あ、あれ、即答だね?」

 

「コミュニケーションを取るって話の流れで大体察してましたから」

 

「そうかい……」

 

「それで理由ですが、まずアラガミが遺した傷跡が深過ぎます。

 世界の誰もがアラガミに恐怖し憎悪しています。私も例外ではありません。アラガミは人類の敵という概念を覆すにはあまりにも遅いです。

 そしてコミュニケーションを取れるアラガミが圧倒的に少なすぎます。

 現時点では仮定に過ぎませんが、『Ω』と『特異点』しかそれが出来ない状況で共生だなんて無理があります。

 どちらか一方を説得出来たとしても私たちを襲ってくるアラガミが減るわけではありませんからね」

 

 パッと思いつくだけでもこれだけの理由が出てくるのだから、博士の提案は夢物語と言わざるを得ない。

 

「ですが、終末捕食を止めるという観点で見れば悪い話ではないと思います。結局は“初期化”を先延ばしにするだけですが、対策を考える時間が得られるのならしない手はありません」

 

 というか、今のところそれしか方法がないからそうしないといけないのだが。

 

「兎にも角にも、まず『特異点』を探し出さなくては話が進みません。ぶっちゃけ『特異点』が普通にヤバいアラガミである可能性の方が高いですし」

 

「むぅ……。だが私は諦めないぞ。少しでも可能性があるならとことん追求する覚悟だ。こればかりは譲れない」

 

「わかりましたよ……」

 

 味方に選ぶ人間違えた気がしてきた。ひっそりと頭を抱える私だったが、

 

「人間が受け入れられるかはわからないけれど、少なくとも、アラガミは人間を受け入れることが()()()

 

 意味深に言った博士に顔を上げる。

 

「それはどういう……?」

 

「そのままの意味さ。私はこの目で、アラガミが意志を持って人間と共に生きている所を見た」

 

 妄言とすら言えることを大真面目に語る博士をまじまじと見つめる。

 一体何を言ってるんだこの人は……?

 

「言ったろう? 論理的な確証を得たのは少し前だって。君もよく知っていることなんだが」

 

 意地悪くぼやけた言い方をする。

 少し前っていつの話だよ。学会があったとかそういう話は全然知らんぞ私。でも知ってるって言うんだろ? 少し考えるか。

  アラガミが人間を受け入れて、それを博士が見た……? アラガミの活動を観察した……確証を得た……オラクルの働きを解明した……最近のこと────

 

「……私がアラガミ化を治したこと……?」

 

「その通りだ」

 

「えっ、でもそれは博士が治したんじゃ……」

 

 脳に入りきらなかったオラクル細胞が神機に戻ろうとしたところトラブって腕に駐在してアラガミ化。だから腕に溜まったオラクル細胞を神機に戻すってことで三ヶ月ずっと神機に繋げっぱなしにして処置してもらったはずなんだけど。

 

「治療法を提案したのは私だが、()()()()()()()()()()()()。いや、何も出来なかったと言うのが正確かな」

 

 《インパルスエッジ》の技術、すなわちオラクル細胞の活動は途中経過を観察したことで得られたものだからね、と付け足す。

 

「じゃあ何でオラクル細胞が神機に戻ったんですか……?」

 

「言わなくともわかるだろう?」

 

 オラクル細胞が自らの意思で戻ったからとでも言うのか。

 一体全体どういうことだ? なぜ急に意思なんてものを持ったんだ? 意思を持ったなら、むしろ私を喰い殺そうとするだろう。アラガミは人間を殺すために生まれた存在なのだから。

 全く話が見えず混乱する私を捨て置いて博士は語る。

 

「なぜ君だけ沢山の神機と適合出来るのか。なぜ《スキル》を行使出来るのか。なぜ適合率が非常に高いのに第一世代の神機としか適合出来ないのか……。君がアラガミ化を治したことで諸々の謎が一気に解けた。尤も、それは必然的(インプリシット)な導出だったんだが」

 

「ちょっと待ってください! 全然ついていけないんですが……!?」

 

「少し話し込んじゃったみたいだね。まぁ、今の話はまた後日に改めるとしよう。君としても『特異点』のことに集中したいだろう?」

 

 半ば強引に話を打ち切られてモヤモヤしたものが胸に蟠ったままその日は解散となった。

 




Ω(オメガ)は24種あるギリシア文字の24番目、すなわち最後の文字。
最初から最後までと空間的に捉え、数学では『集合』を示す記号として用いられている。
転じて物事の終わり、『終焉』を暗示する記号として用いられることがある。

支部長は新世界を齎す『新星』と見做してノヴァと呼ぶのに対して、セナはアラガミの『集合』体であり地球に『終焉』を齎すアラガミと見做してΩと呼ぶ。

最初から賛同する気なんてなかったのです。

・追記
前々から謎にしていたセナの異常を少し明かしておこうと思って追記しました。
詳しいネタバレをいつ出来るかわからないんでね……。忘れないうちに仄めかしておきます。
implicit(インプリシット)というのは和訳するのが難しい単語なんですが、イメージは推理小説とかで「12月24日にとある家宅が強盗に遭ったのだが、犯人は赤い服を着た白い髭を蓄えた中年男性で、その人相をしていた登場人物はAさんだけだったので、犯人はAさんである」みたいな、文脈的にそう判定するしかない状況のことを指します。

謎を解く手掛りは博士目線では全部出揃っていますが、本文では半分くらいしか出てません。
ので、ほとんど意味不明な流れになってしまっていると思いますがご了承ください。
ヒントはアラガミとの共生です。

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