Blood&Guilty Extra   作:メラニン

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・・・・・・やっちまった。


って、感じ丸出しの作品です。


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どうぞ!


継承
継承編I


 

東京の遥か南洋上330km地点には、広大な面積を誇る『夜の帝国』がある。地名は昔と変わらず、絃神島と呼称されている。当初は人工島1つのみであったのだが、『咎神の方舟(カインズ・アーク)』と呼ばれる異界の土地が現界し、複数の小国を合わせた様な面積を誇る土地となったのだ。そして、その土地は実質的には他の名称で呼ばれる事が多い。

 

 

盟主である第四真祖の本名に肖り、『暁の帝国(ライヒ・デア・モルゲンロート)』と呼ばれる。

 

 

本来は日本所有の人工島であったが故に、政治的に複雑な土地であり、第四真祖の縁者に政治に明るい人材が居るとはいっても、所有している領土の広さや国民の数に対処するには、どう考えても人材不足は否めない。それでも、上手く回っているのは、他の力が働いているからである。

 

 

領土も、国民も、主権も何もかもが実体を持たない――しかし、裏向きでは強大な力を有する存在が見え隠れしている。そんな幽鬼のような存在が、かの『夜の帝国(ドミニオン)』には存在していると噂されている事から、下手な刺激ができずにいる。故に、あらゆる国家などからの政治的な悪意ある干渉が難しくなっていた。

 

 

つまり、この洋上の『夜の帝国(ドミニオン)』には、実体を持った『暁の帝国』と、実体を持たないナニカが、統治をしている事になっているのだ。

 

 

人々は実体のない存在を、こう呼称していた。

 

 

――『幽鬼の王国(ツヴァイドイティヒ・ケーニヒライヒ)』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、こちらの方で進めて問題無いですね?」

 

 

広めの会議室には男性5人、女性が1人だけがおり、内男性2人は対面式で座って互いに何やら書類を手元に置いていた。互いの背後にはSPと見られる人物がそれぞれ控えており、若干剣呑とした雰囲気である。そして、座っている片方の若い男性の方が、白髪混じりの男性へと書面を渡し、確認をした。

 

 

「………いやはや、年若いというのに、中々の手腕をお持ちだ。まさか、双方の着地点をそちらから提示されるとは」

 

 

「こちらとしても、無用な争い事は避けたいですから。ご納得いただけて、幸いでした」

 

 

「えぇ、それはもう。今後とも国交は維持するという方向で話をまとめられて、私の面子も保たれます。今後とも貴国とは良好な関係を築いておきたいですから。……………ところで、これは私的な質問なのですが、奥様の方はご健勝ですかな?」

 

 

若い方の男性は一旦間を置いて、1つ息を吐いた後に、再び口を開く。

 

 

「……えぇ、すこぶる健康ですよ?なぜ、そんな事をお聞きに?」

 

 

「いえ、私も実はファンでしてね。最近、活動されていないようなので、()()あったのかと」

 

 

「彼女も、イロイロとありますから」

 

 

「ははは、そうですな。これは失礼しました。奥様の方にもよろしくお願い致します」

 

 

「えぇ、伝えておきましょう」

 

 

座っていた男性2人は立ち上がり、握手を交わした後、年嵩が上の男性と彼のお付きのSPが会議室を後にした。それを見送り、しばらくした後、若い男性は疲れたようにドカッと腰を下ろす。

 

 

「はぁ〜〜〜………政治家っていうのは何たってこう………普通の会話にまで探りを入れるのかなぁ?あー、って言うか、普通の会話を期待する方がダメか……」

 

 

そんな彼の隣に座り、女性SPがフレンドリーに話し掛ける。

 

 

「ふふ、仕方ないですよ、彼らはそれがお仕事で――って、レーム!ここは禁煙ですよ!」

 

 

「ちぇっ……この国は相変わらず喫煙者に厳しいぜぇ〜〜……」

 

 

そう言って、レームは靴裏でタバコの火を消した後、手持ちの携帯用の吸い殻入れに放り込む。

 

 

「まったく、毎回毎回」

 

 

「硬えなぁ、バルメ。もう今日は何も無いんだろう?仕事後の一服くらい――」

 

 

「ダメです!私はこの後、ココと食事なんです!臭いが付きます!」

 

 

「へいへーい」

 

 

「はは、2人とも今日はありがとう。中々頼れる人材がね……今日は助かったよ」

 

 

「おいおい、水臭えぞ、今更。俺たちの仲じゃぁないか。なぁ、バルメ?」

 

 

「えぇ、そうですね。と、それはそれとして、時間は良いんですか?」

 

 

バルメは腕時計を見やって、時間を示す。時刻を見た瞬間に、男性はガタリと急いで立ち上がる。

 

 

「しまった!もうこんな時間だったのか!?あぁーー、えっと、報告書とかは……あーーー、仕方ない、家で仕上げて送れば………2人とも、今日は本当にありがとう!また、何かあったら頼むから!」

 

 

彼はササっと荷物をまとめて、会議室を飛び出す。その一連の動作はかなり機敏であり、出るまでに数秒と掛かっていないだろう。彼には大事な用事があるのだ。

 

 

「あ、そう言えば、ココが――………行ってしまいましたか…」

 

 

「相変わらず速いねぇ〜〜。あれで何で政治(こっち)をやってんだか」

 

 

「適材適所だからじゃないですか?人の機微に敏感ですからね、彼」

 

 

そう言って、彼らは彼が出て行った方をジッと見つめる。ひょんな事から、こんな事をしなくてはならなくなった『王』たる彼を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月10日。春先だというのに、この島では季節の移り変わりを感じさせない。気温は安定して高いし、湿度も高水準である。

 

 

夕暮れ時である現在、外では母親や父親に手を引かれ、帰宅、もしくは外食に出かけるといった平和な光景があった。何度も大騒動に巻き込まれてきたこの島ではあるものの、騒動さえなければ普通の平和な光景が広がる。『魔族特区』などという場所なのだ。そこに住む住人は中々に逞しい。

 

 

そんな平和な光景をベランダに出て、ボンヤリと眺める女性がいた。ゆったりとした白のワンピースタイプの下にジーンズを着込み、その眼差しはどこか優しげで儚げである。だが、同時に芯の強さを感じさせるように、その瞳はハッキリと意志を孕んでいた。

 

 

そんな彼女に背後から声を掛ける人物がいた。

 

 

「もう!また、そんな風にベランダから乗り出して!危ないよ、いのり()()()!」

 

 

「……ん、ごめんなさい、凪沙」

 

 

そう、ベランダに居た女性とは、楪いのり――否。()()いのりである。その左手の薬指には、夕陽に照らされて指輪が光っていた。

 

 

 

 

 

「けど、外の風に当たりたかったから」

 

 

彼女は風で乱れた髪を手でそっと押さえて、ふっと笑う。少女から女性へと成長した彼女は、以前よりも表情も感情も豊かになり、またその面持ちもよっぽど優しげのあるものへと変わっていた。それでも、以前のような美しい容姿は変わらない。むしろ、より磨きが掛かったくらいだろう。

 

 

「はぁ………集()と私の気苦労も知らないで。いのりちゃんは、今すっっっっっっごく、体を大事にしないといけないんだからね!?分かってる!?」

 

 

「………はい」

 

 

凪沙の剣幕に、いのりは押され気味である。あのいのりが素直に『はい』と言うほどに。

 

 

彼女は未だにプリプリ怒りながらも、リビングの中央に置かれているテーブルの上を拭き始める。成長したと言えば、彼女もだろう。以前の快活さはそのままに、少女らしい可愛らしさを残している。端から見ても、可愛らしい美人な女性へと成長していた。余談ではあるが、体の一部が特に仲の良い同級生よりも成長してしまい、若干の不興を買ってしまったのも、昔の話である。

 

 

「ただいまー」

 

 

そこで帰ってきたのは、この部屋の家主である桜満集であった。いのりと凪沙の2人は耳聡くそれを聞き付けて、笑みがこぼれる。

 

 

「集君、おかえりなさい!あれ?今日はだいぶ早いね?早めにお仕事終わったの?それとも、何かあった?あ、そうだ!聞いてよ、集君!また、いのりちゃんがベランダから身を乗り出してたんだよ!集君からも注意してね!」

 

 

 

「あー、はっはっはっ………」

 

 

集は空笑いを漏らす。いのりを(ぎょ)す事など、どこぞの真祖を御す事よりも、彼にとっては難しいのだ。

 

 

「集、お帰りなさい」

 

 

「うん、ただいま、いのり。凪沙もただいま」

 

 

「はぁ……やっぱ、私がしっかりしなきゃ」

 

 

凪沙は2人の呑気さに呆れるようにして、左手を頭へと持ってくる。そこには、いのりと同様の指輪がハマっていた。実は、現在この家の表札は7年前とは違っている。苗字は桜満で統一され、上から集、いのり、凪沙の順で書かれているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、集は獅子王の剣の巫女が、言った様に花嫁を2人も娶る事になったのだ。当然、そこに至るまでは数々の障害があったのは、事実である。

 

 

父親である牙城、兄である古城の猛反対や、それに起因する決闘もどきなど、多くの弊害があった。が、今それをここで語るのはやめておく事にしよう。

 

 

多くの弊害はありつつも、彼らは現在幸せの絶頂なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね、凪沙。ただ、どうしても浮かれちゃって……」

 

 

「はぁ……ううん、いいよ別に。私も楽しみだし♪うーーん、きっと可愛いんだろうなぁ!」

 

 

凪沙は小踊りでも開始しそうな足取りで、いのりの元へやって来ては、そっと彼女の大きく膨らんだお腹を撫でる。

 

 

「早く会おうね。私も今から楽しみなんだから!」

 

 

その凪沙の手を覆う様にして、いのりの手が重なる。二人の表情は優しげであり、同時に満足げであった。当然、いのりの腹部が膨らんでいるのは、太ったからなどではない。一般的な体裁を取っていないにしろ、彼らは夫婦なのである。

 

 

 

 

彼女の中には新しい生命(いのち)が宿っているのだ。

 

 

「ふふ、凪沙もでしょ?」

 

 

「私はまだまだ、2()()()だもん。全然先だよ」

 

 

凪沙は屈託のない笑顔で、いのりに返す。そして、彼女らの後ろでは集が顔を手で覆っていた。今更ではあるのだが、2人ともを妊娠させてしまった事に、若干の後ろめたさがあるのだろう。元々一夫一妻の文化であったはずなのに、妻を2人も娶って、さらにほぼ同時期に妊娠させたとあっては、多少なりとも、そういった感傷は持つのだろう。まぁ、それでも、自らの義兄となったあの男よりはマシだなと思い直す。

 

 

「それより、いのり大丈夫?何も異変はない?」

 

 

「ん、平気。ひゅーねるも居るから」

 

 

その言葉に、足元を白い筐体が走り回る。医療用サポートケアオートマトン、『ひゅーねるMk.30』である。何度もアップデートなどや、オーバーホールを重ねて、ナンバリングも増えたのだ。現在は専ら、いのりと凪沙のケアに集中しており、何かあればスグに対応してくれる。

 

 

過去、散々な目に合わされた集ではあるが、現在は24時間体制で、自分の妻達を見守ってくれる頼もしい存在となっていた。お陰で、重要な仕事にも集中できるというものである。

 

 

「凪沙も、全然先だなんて言ってないで、気を付けてよ?お腹が目立っていないだけで、身重である事には変わらないんだから」

 

 

「そ、それは、分かってるんだけど………やっぱ、いのりちゃんの方が出産日が近いし、コッチを意識しちゃうよ」

 

 

「それでも、だよ。重い荷物の買い物は控えること。メールの1つでも入れてくれれば、買って帰ってくるんだし」

 

 

「………対外的に、それはちょっと……」

 

 

凪沙が言っているのは、集の立ち位置が関係している。彼はこの『夜の帝国』のもう1つの顔なのだ。それが、近所のスーパーで買い物などと………という風に、夫の体裁を貶める事を危惧しているのだ。それを集も察してか溜息を吐く。

 

 

「はぁ………ホントに意外と頑固だなぁ。僕は、そんな政治的な判断よりも、凪沙といのりの方が大事なんだよ。だから、お願いする。もっと、僕を頼って欲しい」

 

 

「……はぁ〜い」

 

 

どうにも渋々といった様子ではあるものの、頷いてはくれた。集もそれを確認して、荷物を自室に置くとキッチンに入って夕食の準備を始める。いのりも手伝おうとしたが、止められてしまい、大人しく席に着く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こーんばーんわー」

 

 

夕食後、リビングでまったりとしていた、集、いのり、凪沙の元に急な来客があった。軽快な調子の声で挨拶してきたのは、隣である704号室に住んでいる暁深森である。

 

 

「あれ、深森ちゃん?どうしたの?」

 

 

「やっほ、凪沙ちゃん、いのりちゃん。調子はどうかしら?」

 

 

深森はずかずかとリビングに入ってくると、ソファに座っている、いのりと凪沙に並ぶ様にして腰を下ろす。因みに最近、歳は既に40を過ぎた筈であるのに、未だに若々しさを保っているのは、何故なのかとよく聞かれるらしい。

 

 

「ん、平気。今日もお腹を蹴ってきてた」

 

 

「ふんふー♪どれどれ」

 

 

深森は、いのりの大きくなった腹部に手を当てると自らの過適応能力者(ハイパー・アダプター)としての力で、胎児の様子を慎重に調べる。

 

 

「うん、順調ね。ただ、そろそろ入院した方がいいわね。明日にでもウチのラボにいらっしゃい。凪沙ちゃん、明日いのりちゃんを送ってくれる?」

 

 

「うん、いいよー。じゃあ、ついでに私も暫くゲストハウスで寝泊まりするね。いのりちゃんの事、心配だし」

 

 

「私からしたら、貴女の方も心配なのよ?」

 

 

「それはさっき集君にも言われたよ」

 

 

「あら、そうなの?集クンがいい旦那さんみたいで、良かったわぁ」

 

 

「どうも。………ところで、牙城さんは相変わらずですか?」

 

 

「えぇ、相変わらずねぇ。まったく、いつまで拗ねてんだか」

 

 

深森の言葉に、集は苦笑いをこぼす。いのりは興味無さそうにしており、娘である筈の凪沙は表情を歪める。と言うのも、凪沙の父である暁牙城は、凪沙の妊娠発覚後、狂喜して踊るように喜んで…………というか喜びに喜び過ぎて喜んでしまい、娘からは暫く近付くなと言われてしまったのだ。

 

 

凪沙は頭を冷やせと言いたかったのだが、考えがあれよあれよと脳内で飛躍したらしく……

 

 

娘にウザがられた→孫に会わせて貰えない

 

 

という考えに至ったらしく、現在はイジケテどこぞの遺跡の発掘に夢中だという。

 

 

「も〜〜………牙城君もホントに子供なんだから。娘の私は恥ずかしいよ……」

 

 

「ま、いのりちゃんの出産予定日には帰ってくるでしょ。何たって()の出産なんだから」

 

 

深森はケラケラ笑って、集といのりを見る。実は集と、いのりの後見人は居ることには居るのだが、それでも親がいないというのは、問題があるかもしれない。という事で暁夫妻は、集といのりを養子縁組して、親子関係となっていた。

 

 

集といのりは当初遠慮したのだが、どうせ凪沙と結婚したら同じなのだからと言って、半ば無理矢理に、息子と娘にされてしまったのだ。牙城はこれ以上男が増えてもなぁ……と微妙な顔をしていたのだが。当然、深森の無言の圧力で閉口していた。だが、娘が出来たという方には大喜びであった。

 

 

と言っても、集もいのりも未だに慣れない様子ではあるのだが……

 

 

「じゃあ集クンも、いのりちゃんが入院する間はゲストハウスにいらっしゃい。離れると心配でしょう?」

 

 

「え、良いんですか?」

 

 

「いいのいいの。普段から使ってるの私しか居ないし。それと、掃除してくれる人員が確保できるしね♪」

 

 

「………そっちが本音ですか」

 

 

「やーね、そっちの理由は半分くらいよ」

 

 

「多いじゃないですか……」

 

 

深森の言葉には呆れつつも、いのりの入院中であっても近くに居る事が出来るというのは、渡りに船だと思い、結局集はその提案を受け入れた。

 

 

そして、その日の夜に荷物をまとめ、翌日にはゲストハウスでの生活が始まった。

 

 

 

 

 

 













・・・・・・大元の方が完結してないのに、何やってんだって突っ込みはナシでお願いいたします。反省してますので、はい・・・


ええとですね、某作品を読んでいて、「あ、俺もアフターみたいな話書いてみたい」
と思いまして、はい・・・


あ、途中のルビは、間違えではないです。ワザとああしました。幽鬼=ゲシュペンストでもいいかなー、とも思ったんですが、ダリル坊やの愛機の名前が入るのもなぁ・・・と思って、ああいう名前にしました。


完璧見切り発進なので、見通しも完璧ではないんですが、応援していただければ幸いです。


ではでは、アリーヴェデルチ!

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