ポケットにファンタジーな00   作:417

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いつもと変わらないドタバタ大騒動

 

 

新学期が始まり、私立ソレスタビーイング高等学園は今日も穏やかな時間を一刻一刻と刻んで___

 

 

 

いるはずもなく。

 

廊下には全力疾走をする黒髪の男子生徒の姿があった。目的はただ一つである。

 

時は昼、ソレスタ学園では激しいバトルが開かれるのであった。

 

 

 

 

 

所変わって生徒会室。

 

会長デスクに座って、そのデスクの主は弁当の卵焼きを口にいれながら楽しげに笑った。

 

「さあ、今日は誰が“アレ”を勝ち取るのか。」

 

心底楽しそうな会長を横目に書記は溜息を吐いた。

 

「ただこれを見るためだけに僕のルカリオを使わないで貰いたいのですが……。」

「仕方ないだろ、俺の手持ちにエスパータイプいないんだからよ。」

 

そう笑って会長であるニール・ディランディはルカリオの【サイコキネシス】によって映し出された映像に再び目線を戻す。他の生徒会メンバーもその映像に目を向けている。

 

「……まあ、いつも通りアイツは手に入れるだろうねぇ。」

 

そう呟いて映像の中にいる黒髪の生徒を見つめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日の目玉商品はずばりタマゴロール!その値段なんと50円!数量限定!お得だよー!」

 

広大なソレスタ学園のグラウンドでは、一つの屋台があった。その屋台にはこれでもかと言うくらいに人だかりができており、その中に先ほどの黒髪の生徒がいた。彼の名は、刹那・F・セイエイ。彼もこのタマゴロール争奪戦に加わっていた。常に懐が寂しい刹那にとってこの戦いは一日の日課の一つとなっていた。

 

先ほど述べたタマゴロール争奪戦、その戦闘形式は言うまでもなく1対1のポケモンバトルだ。勝ち残った数名が、あのタマゴロールを手にすることができるのだ。

 

 

刹那もすかさず相棒であるエルレイドをスタンバイさせる。そして、次々と周りの生徒に勝利してゆく。

次第にグラウンドから敗北した生徒が肩を落として去って行く。あと少しで、手に入る!といった所で待ったをかけられた。

その聞き覚えあるその声に刹那は「げっ」と顔を引き攣らせる。

恐る恐る振り返ると金髪の男が笑みを浮かべて立っていた。

 

「まさか君がいるなんて思わなかったよ、少年!」

 

興奮気味な男の声に刹那は数歩後退る。

 

「ぐ、グラハム!…先生。」

 

慌てて“先生”を付け加え、グラハムと呼んだ男を睨む。

 

「お前も、タマゴロールを狙っているのか!」

 

仮にも先生に向かってお前呼ばわりとは、些か問題があるが、この際それはおいておこう。

刹那の問いにグラハムは勿論だと言いたげに大きく頷いてみせる。

 

「このグラハム・エーカー、ここ数日懐が寂しくてな!是非とも、このタマゴロール争奪戦に参加を所望する!」

 

高らかに宣言するその姿は端から見れば『大人げない』ことこの上ないだろうが、この学園の生徒はそんなグラハム先生が大好きなため、静まり返っていたグラウンドに再び生徒が集まり出した。

 

刹那もそんなグラハムを見て傍らにいるエルレイドと目を合わせては互いに頷き、バトルの態勢に入り負けじと声を張り上げる。

 

「いいだろう!このタマゴロールを手にするのは、俺だ!」

「ふ、よく言った!少年!」

 

 

こうして、タマゴロールを巡って熱き戦いの幕が切って落とされたのであった。

 

 




はい!まさかの初っ端からグラハムさん登場です!ハムさんは元からキャラが濃いから書いていて楽しいです。
さて、次回はタマゴロールを巡って刹那VSグラハムです!

ここまで読んで下さりありがとうございました!

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