インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~   作:カイナ

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第十一話 二人目の女子!?

「ふんっふふんっふふ~んっ♪」

 

休みが明け、親友と遊んで買い物もでき、気分転換としては最上級と言える休日を過ごせた壱花は気分を新たに、鼻歌交じりに登校していた。そして教室のドアを開け、足を踏み入れる。

 

「おい、聞いたか?」

 

「ああ、聞いた聞いた!」

 

「ん? 何の話だ?」

 

すると教室の奥の隅っこで男子が輪になって雑談をしており、壱花は「またか」と思いながら席に向かう。

 

「あの織斑さんの話だよ。とっておきの噂が流れてるんだぜ?」

 

「は? 何それ、俺聞いてないんだけど……」

 

「おいおい。しょうがねぇ、特別に教えてやるよ……男子だけの秘密らしいんだが、今度の学年別トーナメントで優勝したら織斑さんとデートできるらしいぜ?」

 

「はぁ? それ、マジか?」

 

「マジマジ。まあ、名目は学年別トーナメントの打ち上げって話だけどな。二人っきりなんだし実質デートみたいなもんだろ」

 

壱花の足が止まる。ぼそぼそとした声での話のためよく聞き取れなかったが、「織斑さん」と自分の名前が出たことだけはなんとか聞き取れ、壱花は首を傾げながら、荷物を机に置くと話をしている男子達の方に歩く。

 

「あ~。おはよ~織斑さ~ん」

 

「あ、お、おはよう。のほほん君」

 

「お、織斑さんっ!?」

 

すると話をしていた男子達の近くで机に寝そべっていた男子――のほほん君と壱花は呼んでいる。数日前に話した時に本名をうっかり忘れてしまい、雰囲気から咄嗟に呼んだのだがそれがすっかり定着してしまい、「名前を忘れてしまった」とは言い出せない雰囲気になっている事を追記しよう――が壱花に声をかけ、壱花が挨拶を返したと思うと話をしていた男子達がぎょっとした顔で壱花を見る。

 

「皆もおはよう。ねえ、何か私の名前が出てた気がするけど、何の話?」

 

「あ~。あのね~、あの噂って~もがっ!?」

 

壱花の質問にのほほん君がそう尋ねようとするがすぐさま他の男子が口を押さえつけて言葉を発せないようにさせる。

 

「は? 噂?」

 

「いっ、いやいやなんでもないっすよ! う、噂? なんのことでしょうかね~?」

 

壱花は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら呟き、男子の一人がもがもが言っているのほほん君の前に立ちはだかりながらあははっと誤魔化し笑いを漏らす。

 

「本当に?」

 

「あ、あははは……」

 

壱花は疑わし気な視線を男子に向け、男子も引きつった笑みで誤魔化し笑いを漏らす。壱花からすれば「自分の名前が出たような?」という程度、聞き間違いか何かじゃないかと白を切られてしまえば追及する事は出来ない。

 

――キーン、コーン、カーン、コーン

 

さらに男子達に幸運な鐘の音が響く。始業を告げるチャイムだ。

 

「あ、や、やっべーSHR始まっちまうー!」

「お、おう! 席に戻んなきゃな!」

「お、織斑さんも早く席に戻らなきゃ!」

 

「……」

 

わざとらしくきびきびとした動作で席に戻る男子達。あからさまなほどに怪しいが、始業を示すチャイムが鳴ってしまった今、壱花に彼らを呼び戻す大義名分はなく、彼女はどこかすっきりしない様子で席に戻らざるを得なくなってしまったのであった。

 

「諸君、おはよう」

 

『お、おはようございます!』

 

チャイムが鳴り終わると同時に教室に入ってきた千雪の挨拶と同時に、ざわざわとなっていた教室が一瞬で静かになって千雪に挨拶を返す。

 

「今日からは本格的な実践訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

 

(いや、かまうでしょ……)

 

千雪の言葉に壱花がツッコミを入れる。男子校ならギャグで済ませられるだろうが今は女子である壱花がいる。下手すればセクハラだ。

 

(ま、とりあえず私は絶対に忘れないようにしようっと)

 

これでもお年頃の女の子だ。不特定多数の男子に柔肌を見られていい気持ちがしないのは当然。とにかくISスーツは忘れないようにと壱花は心に決める。

 

「では佐藤先生、ホームルームを」

 

「は、はいっ」

 

そんな間に千雪は兎佐にバトンタッチ。ちょうど眼鏡を拭いていた兎佐はわたわたと眼鏡をかけ直して教壇に立った。

 

「え、ええとですね。今日はなんと転校生を紹介します。しかも二名です!」

 

「!?」

『えええぇぇぇぇっ!?』

 

兎佐の言葉に壱花が目を丸くし、ほぼ同時に男子勢からも驚きの声が上がる。この学園への転校生。それは蓮の時に説明した通り、厳しい条件のクリアと国からの推薦が必要になる。それが同時に二人だ。驚かない方が難しいだろう。

 

「失礼します」

「……」

 

それから二人、教室に入るがその姿を見た瞬間教室内のざわめきがぴたりと治まる。まあそれもそうだろう。

 

(……女の子?)

 

その内の一人が()だったのだから。

 

「シャルロット・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れな事も多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

にこやかな笑顔で挨拶する少年シャルロット――ややウェーブのかかった濃い金色の髪を長く伸ばしており、顔立ちは中性的。スマートな体つきをしている――は挨拶を終えると一礼した。

 

「女の子?」

 

「はい。こちらに私と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――」

「お……」

「――はい?」

 

ふとそんな声が漏れ、シャルロットが説明をしていると男子達からまた声が漏れ、嫌な予感がした壱花は両手で耳を塞ぐ。総司とセシルも続いた。

 

『おおおおぉぉぉぉぉっ!!!』

 

直後教室内から歓声が走った。

 

「女子だ! 二人目の女子!」

「しかもうちのクラス!」

「お嬢様系! 守ってあげたくなる系だ!」

「地球に生まれてよかったー!」

 

わーわーと歓声を上げまくる男子勢に壱花は呆れたようにため息をつく。

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから~!」

 

千雪が面倒くさそうに、兎佐が一生懸命というように注意を行う。そしてもう一人の転校生――刺々しい癖のついた銀髪を短く切り、左目には目立つ黒の眼帯をつけている。背丈はかなりの長身で、他の生徒は座っていて自分は立っている。という事もあるだろうが、右目の赤い瞳から冷たく無機質な光を放ち、見下ろすような視線を教室内に向けている――は無言で腕組みをし、立っている。

 

「……」

 

「……挨拶をしろ、ラウル」

 

「はい、教官」

 

黙りこくっていた彼に千雪が言うと、少年は彼の方を向いて軍隊式の敬礼を取る。と千雪はまた面倒くさそうな顔を見せた。

 

「ここではそう呼ぶな。俺はもう教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。俺の事は織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

千雪の言葉に少年は再び軍隊式の敬礼で返し、教室の生徒達の方を向く。

 

「ラウル・ボーデヴィッヒだ」

 

機械的で抑揚のない淡々とした声。それで行われたのは実に短い己の名前だけを名乗る自己紹介。コミュニケーションをとる気ゼロだった。

 

「えっと……それだけですか?」

 

「それだけだ」

 

いたたまれなくなった兎佐が恐る恐る尋ねるがラウルは無慈悲にそう答える。そしてここまであっさりと拒否されてしまえば、元々気の弱い兎佐はどうする事も出来ず涙目になってしまう。そして彼の目が壱花と合った。

 

「貴様が……」

 

ラウルはそう呟くと壱花に歩き寄り、壱花は不思議そうな顔でラウルを見上げる。

 

「……チッ」

 

だが、ラウルは舌打ちを叩くと彼女から顔を逸らす。

 

「俺は認めない。貴様があの人の妹であるなど、認めるものか!」

 

いや、顔だけ振り向いて右目だけで壱花を睨みつけそう呟く。その赤い瞳は先ほどまでの冷たく無機質な印象はなく、今はむしろ怒りによって強く燃えるように輝いていた。

 

「あー……ゴホンゴホン! ではホームルームを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

千雪は咳払いをしてそう言った後パンパンと手を叩き行動を促す。それから彼は壱花を見た。

 

「織斑。デュノアの面倒を見てやれ。同じ女子だろう」

 

「あ、はい。じゃあシャルロットさん、行こう」

 

「えっと、あなたが織斑さん? 初めまして、私は――」

「あぁ、いいから。とにかく移動が先!」

 

千雪の言葉を壱花は了解してシャルロットを呼び、シャルロットは暢気に自己紹介を始めようとする。が壱花を軽く流すと彼女の手を取って教室を飛び出た。

 

「とりあえず女子は空いているアリーナ更衣室で着替え。これから実習のたびにこの移動だから、早めに慣れてね」

 

「あ、はい……」

 

壱花が説明し、シャルロットはこくんと頷く。壱花が近道を説明しながら彼女達が目的地へ向かう途中、各学年各クラスの男子達からの視線がいつものように向けられる。二ヶ月経ってやっと壱花の存在に慣れてきたのか、最近は視線も少なくなってきたはずなのだが今日からはまた視線が倍増している。視線の理由は明白だ。今壱花が手を引いているシャルロット。二人目の女性操縦者、そのネームバリューが新たな視線を生み出していた。

 

「な、なんで、みんな見てるのかな?」

 

彼らの視線に困惑するシャルロット。それに壱花はやや同情の視線を向ける。きっと彼女は今までそういう視線に晒された事がないのだろう。自分だって入学当初は男子達からの無遠慮な視線に辟易していた。もっとも慣れとは恐ろしいもので、今では完璧にスルー出来るようになってしまっているのだが。

 

「そりゃ私達が珍しいからでしょ」

 

「え? なんで?」

 

壱花の言葉にシャルロットがきょとん、とした顔と声で返す。

 

「いや、普通に珍しいでしょ? ISを操縦できる女性って今のところ私達しかいないんだから」

 

「あっ、そ、そっか! ああ、うん、そうですね!」

 

壱花の訝しげな表情での言葉にシャルロットは慌てたようにこくこくと頷く。

 

「ついでに言えばここの男子は女子との接触経験が極端に少ないからね。パンダ扱いって言えば分かる?」

 

「あ、えーっと……とっても珍しい、っていう意味でしたっけ?」

 

「まあそんな感じでいいわ」

 

壱花の説明にシャルロットが確認を取ると、壱花はその解釈でいいと答える。その会話の間にアリーナの更衣室が見えた。

 

「さあ、到着。早く着替えましょう」

 

圧縮された空気が抜けるぷしゅ、という音が聞こえて扉が開く。無数のロッカーが並ぶ更衣室で壱花は適当なロッカーを開けると躊躇うことなく制服を脱いでブラジャーを外そうとする。

 

「うわぁっ!!」

 

「ど、どうしたの? 荷物でも忘れた?」

 

「みっ、見てない! 私、何も見てないよ!」

 

その時シャルロットの驚いたような悲鳴が更衣室に響いた。もしかして忘れ物をしたのかと思って振り返ってみると、訳の分からない事を叫びながら壱花に背を向けたシャルロットの姿があった。

 

「ど、どうしたのかわからないけど、早く着替えないと時間がないよ」

 

「う、うん。分かってる、分かってる……」

 

そう言いながらシャルロットは着替え始め、壱花も何がどうしたのか分からないという様子でシャルロットを見る。

 

「み、見ないでよ……」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

視線を感じたのか責めるような視線を向けてくるシャルロットに壱花は慌てて背を向ける。異性の着替えを見ないのは当然だが同性同士でも着替えを見られるのを嫌がる人間はいる。恐らくシャルロットはそういうタイプなのだろう。ちなみに壱花は同性同士なら別に気にしないタイプ、というか蘭が下着姿の自分に抱き付いて胸を揉んでくるのを繰り返していたら嫌でも慣れてしまう。やはり慣れとは恐ろしいなぁ、と壱花は着替えながら考えた。

 

「さ、行きましょうか」

 

「あ、ちょ、ちょっと待って……うん、いいよ」

 

着替え終わり、振り向かずに行こうかと促すと、まだ着替え終わっていない様子のシャルロットがそう返し、一拍置いて「いいよ」と言うと二人は振り返る。

 

「…………」

 

すると、シャルロットの顔が真っ赤になり彼女はある一点を凝視してしまう。

 

「シャ、シャルロット?」

 

「ご、ごめんなさい! 僕見ないからっ!」

 

信じられないものを見るような視線で見るシャルロットに壱花が苦笑気味に声をかけると、シャルロットは何故かやや前かがみになりながら視線を逸らす。しかしその視線はやはりちらちらとさっきから凝視している一点――壱花の胸に向いてしまう。普段の男子勢が相手なら睨みつけるくらいはするが流石に同性相手にそこまでするのは大人げない――というか蘭が血涙を流さんばかりに怨嗟の声を出していた過去からどうもそんな事をする気になれない――ため壱花はISスーツを入れていた荷物の中から丈の長いジャンパーを取り出した。

 

「え? 織斑さん―――」

「壱花でいいよ。せっかく会えたISを動かせる女子同士だもん。仲良くしよう?」

「――あ……そうですね」

 

シャルロットの言葉に壱花は訂正を要求するが、その時シャルロットの顔が曇る。しかしそれはたった一瞬、壱花が不思議に思った瞬間には元に戻っており、壱花も見間違いかもと思うほどだった。

 

「だったら、私もシャルロットでいいよ。ところで壱花、そのジャンバーは?」

 

「ああ、私のって目立つでしょう? だから、せめてもの対策」

 

シャルロットの疑問の言葉に壱花は苦笑気味に自分の大きな、先ほどシャルロットが凝視していた胸を指す。またシャルロットの顔がぷしゅー、と湯気を出しそうなほどに赤く染まった。同性なのに大袈裟だなぁ、と壱花は再び苦笑する。

 

「あ、シャルロットも欲しいならお兄ちゃ……織斑先生にお願いしとくけど?」

 

「あ、私は別にいいかな……こんなんだし」

 

壱花の気を遣った言葉に対し、今度はシャルロットが苦笑しながらそう返して自分の胸を指す。シャルロットの胸は、もしかしたら自分の胸をかなり羨ましがっている蘭の方が幾分か豊かではないかと思えるほどに平坦だった。

 

「ん~。でも自分の肌を露出するって嫌じゃないの?」

 

「べ、別に気にしないかな……」

 

心配というか納得いかない様子の壱花だが、シャルロットが大丈夫と言うとこっちは無理に言えないためそこでこの話題を打ち切り、ジャンパーの前のジッパーを閉めると二人一緒に更衣室を出ていくのであった。

 

それから場所は第二グラウンドに移る。

 

「壱花っ! 転校生のでかい方に脅されたってセシルから聞いたけど大丈夫っ!?」

 

「だ、大丈夫大丈夫。心配しないで」

 

なお今日は二組との合同授業。蓮は壱花がやってきて早々心配そうにそう尋ね、壱花が苦笑気味に蓮を押さえる。

 

「よかった……あ、君が転校生の女子? 俺、凰蓮音。蓮でいいから。壱花をよろしく」

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

一安心した様子の蓮は続けてシャルロットに対してフレンドリーに挨拶。まるで彼女の保護者のように壱花をよろしくと言い、シャルロットもよろしくと挨拶を返した。

 

 

 

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

 

『はい!』

 

授業が始まったところでの千冬の号令に対し一組二組の生徒が気合の入った返事を返す。

 

「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力が溢れんばかりの十代男子もいることだしな。凰! オルコット!」

 

「「はい!」」

 

千冬が二人の生徒を呼び、それに二人が前に出る。

 

「んで、実戦訓練ってことはセシルとタイマン張れって言うんですか?」

 

「僕はそれでも構いません。実力の違いを見せるいい機会だ」

 

蓮とセシルは互いにやる気満々でピリついた雰囲気を見せる。

 

「慌てるな、馬鹿共。対戦相手は――」

 

千雪がそう言いかけた時、突如上空からキイイィィィンという音が聞こえてくる。例えるならこう、飛行機とかが空気を裂く音と言おうか。

 

「上?」

 

壱花が見上げる。そこには緑色の何かがまるで流星のようにこっちに向かって急降下している光景が映った。

 

「わ、わわわわわわっ!!??」

 

いや、なんだか突然そんな悲鳴が聞こえてくる。

 

「わっ、とっととっ!!」

 

そしてその流星――いや、ISは危なげに着陸。そのISの纏い手はずれたメガネをちゃっと直し、まるでウサギのような赤い瞳を宿す目を千雪に向ける。

 

「遅くなりました!」

 

「全く。緊張でもしたか?」

 

「あ、あはは……」

 

その相手に対し千雪が呆れたように問うと、ISの纏い手――佐藤兎佐は苦笑を見せた。

 

「……え? ちょ、ちょっと待って……」

「僕達の相手は……まさか……」

 

すると、蓮とセシルが呆けた声を出した。

 

「そのまさかだ」

 

それに対し、千雪は不敵に笑いながら答え、同時に兎佐がくるりと振り返ってにこっと人畜無害な草食動物の微笑みを向ける。

 

「いや、待って。も、もしかして二対一?」

「そ、それは流石に……」

 

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

 

生徒からからかわれる事も多いか弱いウサギという印象しか持たない兎佐に二対一でかかるという事に罪悪感を覚えたらしい二人だが千雪はあっさりとそう返し、その言葉に二人はカチンときたような表情を見せる。

 

「代表候補生の名も随分と舐められたものだな」

「同感だね」

 

セシルが中指に嵌めた青色の宝石がついた指輪を見せつけるように右手を前に突き出し、蓮は首にチェーンでかけていた真紅のナックルダスターを右手で握って振り上げる。同時に二人を光が包み、ISの展開が完了した。

 

「では、始め!」

 

そして三人の準備が整ったところで千雪が号令を飛ばし、号令と同時にセシルと蓮が上空に飛翔。少し遅れて兎佐も飛翔する。

 

「あ、スタートダッシュでうーさんが出遅れた」

「ま、さっちんならしょうがないんじゃね?」

 

男子達が好き好きに言う。ちなみにうーさんやさっちんは兎佐のあだ名で、本人は嫌がっていたが最終的には諦めと共に黙認した経緯がある。

 

「……なんだ、佐藤先生の挙動……まるで二人の動きを見極めようとしているように見える……」

 

だが男子の中でただ一人、総司だけは兎佐の動きに何かの意図を感じていた。なお壱花は「セシルくーん! 蓮くーん! 頑張れー!」と友達に声援を送っている。

 

「さってと。軽くこなして壱花にいいとこでも見せるか」

 

「足を引っ張るなよ」

 

声援を聞いた蓮はにししと笑いながら言い、セシルは右手にライフルを構えながらそう釘を刺すと蓮も「へいへい」と言いながらナックルダスターを装着した拳を構える。彼らより僅か下に兎佐は学園所有のIS――ラファール・リヴァイヴを纏い浮遊している。

 

「うっし! とっとと叩き落とすとするか!」

 

蓮はそう叫んで兎佐目掛けて突進、セシルも静かにライフルで狙いを定め始める。まずは牽制を兼ねて頭部を狙い、ここの反応を見てどこをどう狙うかの作戦を立てるというプランだ。

 

(……ん?)

 

だが、そこでセシルはライフルのスコープによって見える兎佐の口が動いていることに気づき、何かの役に立つかもしれないと覚えた読唇術で唇の動きを読む。

 

「ミッション、スタート」

 

兎佐はそう言っている。そう判断した後、セシルはさらに気づく。彼の口角がやけに吊り上がっている事に。

 

「フ、フフフフフ」

 

「?」

 

そして接近している蓮も兎佐の口から変な笑い声が出ていることに気づく。

 

「アッハハハハハハハハハ!!! さあ始めましょうかぁ!!!」

 

直後、兎佐は狂喜の笑顔を浮かべながら両手に機関銃を一丁ずつ構えその銃口を蓮へと向ける。

 

「う、うぎゃああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

逃げなきゃやばい。本能的な恐怖からそう直感した蓮は悲鳴を上げながら反転、ドガガガガガガッと凄まじい轟音を奏でながら放たれる弾幕から逃げ始めるのであった。




今回ついに満を持して登場シャルロット&ラウル。シャルロットとラウラの性転換キャラです。なおラウル君は長身です……長身です。(大事な事なので二回言いました)
まあとりあえず今話で第一期主人公&ヒロインメンバー勢揃いしましたので。せっかくだからおおよその身長順を出してみますと
「ラウル>セシル>総司>シャルロット≧蓮≧壱花」
という設定になっています。細かい身長は決めてないのでおおよその目安レベルですけど、想像の際にご参考にしてくださいませ。
でもって今まで問題点として出していた「ラウルが登場早々壱花に喧嘩売る部分をどうするか」に関しては叩くがNG(世界最強シスコンの逆鱗に触れる)のため、言葉で喧嘩売る程度に留めました。
そして個人的にある意味今回の見所と推したい兎佐先生変貌。次回は彼のバトルをばっちり書きたいと思っています……いえ、内容はこれから書くんですが。(汗)
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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