インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~ 作:カイナ
IS学園生徒が泊まっている旅館の風花の間。ここは現在数多くの機材やディスプレイが用意されていた。
「織斑、篠ノ之、聞こえるか? 今回の作戦の要は
[了解]
千雪が装着しているヘッドホンタイプ通信機器のマイクに向けてそう言うと部屋に設置されたスピーカーから壱花の声が聞こえてきた。
[織斑先生、俺は状況に応じて壱花のサポートをすればよろしいですか?]
「そうだな。だが、無理はするな。お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。何かしらの問題が出ないとも限らない」
[わかりました。できる範囲で支援をします]
次の総司の確認に千雪はそう返答、総司も了解の言葉を返す。冷静に聞こえるその言葉はしかしやはりどこか弾んでいるようにも聞こえ、千雪は機器をいじってからまた口を開く。
「織斑。どうも篠ノ之は浮かれているな。あんな状態ではなにかを仕損じるやもしれん。いざというときはサポートしてやれ」
[分かりました。ちゃんと意識しておきます]
「頼むぞ」
どうやらオープン・チャネルからプライベート・チャネルに設定を切り替えて壱花とだけ話していたらしい。そして千雪はまた設定をいじり、プライベート・チャネルからオープン・チャネルに設定を切り替えると口を開いた。
「では、はじめ!」
千雪の号令と共に兎佐がモニタリングに使用しているディスプレイに映っている壱花と総司は高速で空中へと急上昇する。正確に言うと彼らの使用しているISである白式と紅椿、さらに言うと白式は作戦上移動の全てを紅椿に任せるために紅椿の背中に騎乗、二人分のISの重量を動かすエネルギーは全て紅椿が賄っているわけになるのだが。
「わ、ちょ、ソウちゃん!?
「何を言ってるんだ? 普通に加速させただけだが……」
「え!?」
浮かれていきなり失敗したのかと思った壱花が慌てた様子で声をかけるが総司はきょとんとした様子で返すのみであり、それに壱花が絶句する。一気に三百メートルまで上昇させる加速、しかも紅椿だけではなく白式を乗せた状態で瞬時加速を得意とする壱花が勘違いするような出力は二人をあっという間に目標高度である五百メートルへと運んでいた。
「暫時衛星リンク確立……情報照合完了。目標の現在位置を確認――壱花、一気に行くぞ! 掴まっていろ!」
「う、うん!」
総司が吼えると共に背部と脚部の展開装甲がばかりと開いて強力なエネルギーを噴出、先ほどの瞬時加速と錯覚せんばかりの加速を得て紅椿は白き星を乗せて紅色の流星となる。
「見えたぞ、壱花!」
総司の声が響き、壱花も気を引き締め直す。ハイパーセンサーに映し出された標的――
(資料にあった多方向同時射撃って、どんな攻撃なんだろ……)
壱花は一瞬そう考えるが、そんな攻撃をされる前に一撃で勝負をつけるのが今回の作戦。そう思い直し、彼女はカリバーンを握りしめた。
「加速するぞ! 目標に接触するのは十秒後!」
「了解!」
吼えると同時にスラスターの出力が上がり、加速。高速で飛翔する福音までの距離を一気に詰めていく。
「零落白夜、発動!」
さらに壱花が吼えるように宣言、カリバーンが純白の光へと包まれる。
「邪悪を断て――」
「――カリバーン!!!」
そして光の刃と化した剣が銀の福音へと振り下ろされた。
「やったか!?」
風花の間。作戦を見守っていた蓮が、ディスプレイ上で簡易的に三つの光点で示されている白式と紅椿、銀の福音が接触――ちなみに白式は青、紅椿は赤、銀の福音は黄色の光点だ――したのを見た瞬間、蓮が我慢できなかったように叫ぶ。
「どうだ、兎佐?」
「……だ、ダメです! 目標健在! 戦闘に移行します!」
「くそっ!!」
千雪の呼びかけに兎佐が血相を変えて叫び、千雪が悪態をつく。ディスプレイ上で黄色の光点はまだ点滅しており健在を示していた。そして青色と赤色の光点もこうなった以上固まっているのは悪手といわんばかりに離れている。
「あー! くっそ!!」
蓮も苛立ち交じりに頭をかき、歯をギリッと噛みしめて数秒沈黙する。
「な、なあ……勝てると思うか?」
そしてその口から不安を示す言葉が、同級生である三人に向けて投げられた。
「ん……そうだな……スペック上では五分五分と言ったところだと思うが……」
「うん、壱花の零落白夜さえ当てられれば。それに、紅椿だって能力は未知数。勝機は充分にあるはずだよ」
「しかし、恐ろしいのはアクシデントだ。言ってはなんだがご主人も総司も実戦経験がない。素人二人では不慮の事故に対し、的確な判断が出来るかという点に心配がある。僅かな迷い、小さな判断ミス、実戦ではそれが命取りになる」
その言葉に対しセシルがスペックデータから判断を下し、シャルルはポジティブに考えて成功を祈るように返答、ラウルは軍人として冷静冷徹に述べる。
「……頼む。なんとか無事でいてくれよ、壱花……」
三人からの返答を聞き、蓮は心配そうに目を閉じるのであった。
[敵機確認。迎撃モードに移行、《
オープン・チャネルから聞こえてくる抑揚のない機械音声。しかし壱花は直感的にその中から明らかな『敵意』を感じ、ぞくりと背筋を震わせる。
「ソウちゃん! 挟み撃ちにするよ! 私が零落白夜を当てればいい事に変わりはない!!」
「分かった! 援護は任せろ!!」
敵意を感じたことによる恐怖を押さえこみ、壱花は即座に総司に指示。総司もすぐ了解を示して壱花は右から、総司は左から福音を挟み撃ちにする。
「くらえ!!」
総司が右手に持つ雨月を突き出し、放たれる赤色のエネルギー刃が福音へと襲い掛かる。それを福音は苦もなく回避するが、それはそれでよし。
「くらえええぇぇぇぇっ!!!」
雨月のエネルギー刃は牽制でありこちらに注意を向けるための囮、本命は上空から斬りかかる壱花のカリバーンを覆う純白の光――零落白夜なのだから。
「!」
しかし、その攻撃を福音は僅か数ミリの精度で回避する。
「ぜあっ!」
「たぁっ!」
総司が空裂を振るって攻性エネルギーを福音目掛けて放ち、続けて雨月を突き出してエネルギー刃を発射する。その無数の刃を援護に壱花はカリバーンを振るうが、福音は避けきれない総司の攻撃を僅かに掠らせつつも、壱花の零落白夜だけは紙一重で回避していた。
剣というのは、いや、武器というのは届かなければ意味をなさない。それはたかが数ミリだろうと同じこと。そう言わんばかりの回避技術はまるで踊っているかのよう、無駄のない美しい動きはこんな時でもなければ見惚れてしまいそうな流麗さを誇っていた。
「く……やあっ!」
幾度となく放つ攻撃が一発も当たらず、ただ零落白夜の制限時間だけが迫る。その焦燥感から壱花は総司の援護が止んだ時にも大振りで攻撃を仕掛けてしまう。そして、その隙を見逃さないといわんばかりに福音が動く。
スラスターを兼用している銀色の翼、その装甲の一部が開く。そこに見えたのは
「!」
咄嗟に剣を下げ、左手に盾を展開して構えた直後、咆哮が光を放ったかと思うと次々とエネルギー弾が撃ち出され、圧縮されまるで羽のような形をしたそれは盾に突き刺さると一斉に爆発する。しかしそれで終わりではなく次々とエネルギー弾が盾へと降り注いだ。
――
たかが数秒の防御でこれである。精度はそれほどでもないが、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるの諺を体現しているかの如くそれを補う弾丸の雨に爆発のおまけ付き。まるで天の川が氾濫し地上に降り注いでいるような記録的豪雨の中でわざわざ傘を差して歩いているかのような衝撃に耐えるのが精一杯、そうこうしている内に実体ダメージが中破の域にまで入り込んできた。このままでは盾が破壊され、弾雨を今度はその身に浴びるのは時間の問題である。
「秘剣――燕返し!!」
そこに総司がエネルギー弾の射撃範囲外から斬り込む。その両手で振るうは紫の柄に鍔のない雅な長刀――物干し竿、通常のブレード以上のリーチを持つその斬撃が福音に防御の体勢を取らせ、その瞬間だけ弾雨が止む。
「今だ! 壱花!!」
「ここで決める! 零落白夜!!」
総司の叫びを聞き、壱花は再び零落白夜を発動。純白の光を纏ったカリバーンを手に一気呵成に福音へと斬りかかる。が、そこで福音もさらに反撃のための
「――La♪」
甲高いマシンボイスと共にウイングスラスターの砲門、その数36個が開錠される。しかもその砲門は全方位に向けられ、次の瞬間全方位射撃を開始した。
(行ける!!!)
全方位に砲口を向けている分、一つの方向への弾雨は少なくなっている。既に大破一歩手前の円形盾を壁に突っ込んでもカリバーンの一撃を決めるくらいの余裕はあるはず。そう見込んで壱花は右手にカリバーンを、左手に円形盾を構える。
「!?」
しかし次の瞬間彼女は福音とは真逆の方向、海面へと瞬時加速を使って直行。海面へと向かうエネルギー弾を追いかけ零落白夜でかき消した。
「な、何やってるんだ!?」
「ふ、船! 船がいるの! 海面上は先生が封鎖したはずなのに……」
総司の叫びに壱花が血相を変えて叫ぶ。確かに海面に一隻の大きな船が浮かんでいる。しかしハイパーセンサーが確認をしたその船のデータは
「密漁船!? こんな時に……」
よりにもよって危険なところにこのタイミングで現れた間の悪さに壱花は唸る。それと同時にエネルギーが危険域に入り、カリバーンの光――零落白夜が消失した。
「馬鹿! 犯罪者なんて庇って! そんな奴は放って――」
「総司君!!」
「――!?」
壱花のフォローのためかエネルギー弾を斬り払い壱花の元に駆け付けた総司は怒声を浴びせるが、それはより強い一言で遮られる。
「総司君、そんな……そんな寂しい事言わないでよ……力を手に入れたら弱い人のことが見えなくなるなんて……どうしたの、総司君。そんなの、全然らしくないよ……」
「っ!?」
目に涙を浮かべ、親友に哀しげに訴える壱花。その言葉を受けた総司がまるで頭を殴られたようなショックを受け、ぶるぶると震え出す。脱力した手から物干し竿が落ち、そのまま光の粒子になって消え去る。しかし総司はそれに気づいていないかのように両手で顔を覆っていた。
「ち、違う、おれ……くは……そんな、そんなつもりは……」
(今の、
紅椿がエネルギー切れを起こしているサイン。しかし総司はそれに気づいていない様子に壱花がぎくりとし、さらに頭上の福音がこちらに砲口を向けているのに気づく。先ほど壱花の盾を一瞬で大破寸前にした一斉射撃モードだ。
「危ない!!」
咄嗟に叫んで総司を押しのけて彼の前に立ち、盾を構える。直後エネルギー弾が豪雨の如く降り注ぎ、着弾と共に爆発するエネルギー弾が盾を削り取っていく。
――
――
――
防ぎきれない。壱花はそう直感し、後ろで顔を覆い嗚咽を漏らす総司をチラリと見る。
――
ハイパーセンサーからそんなアナウンスが聞こえる。同時に盾が破壊され、辛うじて土台と持ち手のみとなった盾が光の粒子となって消滅。これで相手のエネルギー弾雨を防ぐ防具はない、零落白夜を発動できないカリバーン一本で弾雨を斬り裂くなんて不可能。
「っ!」
だから、壱花は己の身を総司の盾にした。
「ああああぁぁぁぁぁっ!!!」
「え?……」
シールドエネルギーを貫く衝撃が何十発と続く。辛うじて顔は両腕で覆い守っているが、腕や足、全身を守るアーマーは破壊され、文字通り肌が焼かれるような激痛が壱花の全身を駆け巡る。
「いち、か……」
どがががががっと続く爆発音の中、そんな震えた声がやけに耳に聞こえる。もう両腕も限界、と悟った壱花は弾雨の合間を縫って振り返ると、呆然とした顔をしている総司を思いっきり抱きしめ、今度は背中でエネルギー弾を受け始める。
「僕の……壱花……僕の、せいで……」
「大丈夫だよ、ソウちゃん……私が……守るからね……」
安心させるように笑顔を浮かべたつもりだけど、身体中の痛みのせいでちゃんと出来ているのか分からないな。そう思った壱花の身体がぐらりと揺れ、総司を抱きしめたまま海へと墜落。その衝撃が限界になり、壱花の意識は遠のいていった。
皆様お久しぶりです。いつの間にか一ヶ月過ぎてました。(汗)
さて今回は福音戦、負けイベントなので徹底的に打ちのめしました。この後総司君が精神崩壊しても知りませんのレベルで。(酷)
この後どうするかはある程度は決まってます。具体的には福音戦前までは。逆に言えば、専用機持ちメンバーVS福音戦はほとんど決まってません。さて……どうしようかな。(汗)
まあそこはまた後で考えるとしましょう。
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
追記:FGO、2017年水着イベント。うちのカルデアはエレナさんと愉快な仲間達による満足ENDでした。(デュエリスト並感)
そしてガチャ結果は期間限定のみに纏めて端的に言えばフラン宝具2、頼光とノッブ宝具3、エレナ宝具1でした。アサクリスさんと星5コンビは残念ながらご縁がありませんでした。なお
玉藻「あれは誰だ? 良妻か?」
キャスギル「ウルクか?」
玉藻・キャスギル「「もちろん、余(わたし・おれ)だよ♪」」(キュピーン)
という金演出からの金術からのすり抜けが二回行われました。脳内では嫁ネロが「空気読め貴様らー!」と怒り狂ってます。(泣)
あと比較的高レアが出やすい(気がする)早朝ガチャで一度寝ぼけて引くガチャ間違えてイリヤガチャ引いちゃったんですが、そこでも金演出からの金術からのすり抜けでニトクリスさんが来ちゃいました。(笑)
ちなみにイリヤは一枚だけ持ってますからスルーのつもりでした。星5なんて早々当たるわけがない、一枚来てくださるだけでもありがたい。が心情なので。
そして今回のネロ祭りはガチャはやめておきます。水着イベントで石を使いすぎたのもあるし、ネロと嫁ネロはこの前のネロ祭りで両方当ててるし、ブリュンヒルデのために課金する経済的な余裕もない。もうすぐ剣豪が始まると踏んで石を貯める事にしました。今度こそ武蔵を当てる……。(この前の体験及びピックアップでは爆死した)
ちなみにカイナさんは剣豪の中に新選組組長の近藤さんが来てくれると予想しています。今回の沖田さん&土方さんピックアップはその布石だと信じていますとも。
改めまして、次回も頑張ります。それでは。