インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~ 作:カイナ
「皆、大丈夫?」
にこり。と見る者全てを安心させ、元気を与えるかのような微笑みを浮かべ、彼らの前に立つ少女――織斑壱花。
その姿に総司やセシル、男性メンバー全員が呆然とした顔を見せていた。
「壱花……なの?」
「あら、千雪お兄ちゃんにでも見えるの?」
一番に口を開いた蓮に対し、壱花は冗談交じりの笑みを浮かべてそう答える。
「壱花! 身体は大丈夫なの!?」
「うん、もう元気いっぱい!」
次のシャルルの言葉には元気な笑みを浮かべて、ぐっとガッツポーズを取ってみせる。
「だから後は任せといて!」
そしてそう言い残すと壱花は白式を駆り急上昇。今までの白式とは比べ物にならないスピードで福音へと突っ込んでいった。
「さあ、決着をつけよう!」
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
壱花が叫び、福音も咆哮すると同時に再び左手に握る光の弓に右手で光の矢が番えられる。
次の瞬間放たれるのは強弓から放たれていると思わせるような矢、それがマシンガンのように雨あられと壱花目掛けて降り注いでいた。
「弓矢型の癖にあの時以上の威力と連射力なんてふざけすぎでしょ! でもそう何度もくらわない!」
しかし壱花はその矢を避けようともせず、左手を構えて前へと飛ぶ。その手には先ほど光の奔流を防いだ盾が握られていたが、彼女が飛び立ったと同時に彼女の身体全体を覆うような広さを誇っていたそれは現在左手で握れる程度の
――ロード・キャメロット、展開。相殺防御開始
キンッ! と甲高い音を立てて
そう、これは零落白夜の光。エネルギーを完全無効化する力をシールドへと応用、光学兵器への絶対的な防御を可能としていた。
「福音に実弾兵器は存在しない! この勝負、貰った!!」
エネルギー兵器に対して相性抜群の零落白夜のシールド。あらかじめ確認していたスペックカタログを信じるならば銀の福音に実弾兵器は存在しない、つまり相手の攻撃は全てロード・キャメロットでの相殺防御が可能。零落白夜の性質上エネルギーの消費は激しいがそれでもなお余りある優位性を誇り、事実壱花はロード・キャメロットの防御に任せ、一気に銀の福音の懐へと潜り込もうとしていた。
「
右手に握る剣から黄金の光が放たれる。零落白夜の光を纏った刃が銀の福音へと振り下ろされようとしていた。
[ダメだ!! かわせ壱花!!!]
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
「!?」
突如プライベート・チャネルを介して伝わる蓮の叫びと銀の福音の咆哮が重なる。直後、壱花の頭の中で何かが走った。
――剣を引け、さもなくば
「っ!!!」
頭の中を走った直感に従い、壱花は剣を引いて後ろに飛ぶ。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
その僅か一瞬後、先ほどまで壱花の右腕があった空間を寸分たがわず銀の福音の左手が掴み取っていた。その位置にあったのは間違いなく壱花の右手首、もしも剣を引かなければ彼女の腕は間違いなく福音に取られ、下手すればへし折られていた。福音の鬼気迫る狂気に彼女はそうに違いないと直感していた。
「……上手すぎる」
レーザー攻撃を封じたとしても卓越した体術による接近戦を行える。遠近揃った相手を前に壱花の額に一筋の汗が走った。
「危ねえ……」
「壱花はアレを見ていなかったからな……いや、見ていた俺達でもなんとか予想できたくらいか」
海岸で壱花を見守る蓮がほぉっと息を吐くと総司もそう呟く。彼らは前回、蓮の攻撃に合わせたAICを回避した挙句蓮を蹴り飛ばした上に向かってきた総司へのカウンターの構えまで取るというとんでもない行動を見せた。その前では単純な突進なんて見切れて当然、だからこそカウンターでの攻撃が来るという読みが出来、咄嗟に壱花への助言が行えたのだ。
「だが、僕達は見ているしか出来ないのか……く、騎士として恥ずかしい……」
「歯がゆいよ……僕達も壱花の力になりたいのに……」
しかしセシルとシャルルは拳を握りしめながら悔しさに歯を噛みしめる。既に全員戦闘不能に近く、武器はほとんどが破壊状態、そもそもシールドエネルギーが恐らくあと一回福音に小突かれた程度でも消失するだろう状態では仮に武器があったとしても壱花の足手まといになるだけだ。
「……主の力になる……可能性ならある」
だがここで、ラウルがそんな事を呟いた。それに一番に食いついたのは蓮だ。
「マジかよ!? ラウル、そりゃどういうことだ!?」
「……お前達、福音が変なカードを持ってた事を覚えているか?」
ラウルの確認の言葉に全員が首肯する。そういえば福音の挙動がおかしくなった、いや暴走状態なのだからまずおかしいのだが、それでもカタログスペックとは明らかに違う戦闘法を見せ始めたのはあのカードを握り何かを唱えた瞬間からだった。
「俺はあのカードを知っている……壱花と戦った時、まるで幻覚のように俺の前に、いや、深層意識に現れたんだ」
「壱花と戦った時?……ああああぁぁぁぁぁ!!!」
彼の言葉を聞いたシャルルが何かを思い出し、悲鳴のような叫び声を上げてラウルを指差す。
「あの変な黒い騎士!?」
「ああ。あれはベルセル――もとい、ドイツ軍で新開発されたシステムの暴走によって引き起こされたと教官は仰っていた」
「ということは、これはまさかドイツ軍の陰謀!?」
「……いや、そうとは考えにくい。だが大事なのはそこではない」
シャルルの言葉を肯定、機密事項に引っかからない程度にぼやかした説明を聞いたセシルの言葉には一応否定をしておく。
なにせ現在ドイツの軍上層部はその謎の黒騎士暴走事件の対応に追われてパニック状態、そんな事をしている暇はないだろうしそんな事をするメリットがない。故にラウルは今回の件にドイツは無関係だろうと推測した上で、大事なのはそこではないと答えた。
「あのカードが深層意識に出現した時……変な呪文が聞こえてきたんだ。まるで、あの呪文によってカードが生成されたかのように」
「……って事は!」
「ああ。あの呪文を再現すれば、あるいは同じことが起きる可能性がある」
ラウルは力強く言い切る。全く科学的、論理的でない、むしろいっそのことオカルトチック。
「……やろう」
だがそれに賭けようと答えるのは総司だった。
「ここまで来て、また壱花に守られるなんてごめんだ。俺はそれに賭ける!」
強く拳を握りしめ、そう宣言する総司。かつて守りたいと願った存在と次こそは並び立つ。その強い意志に応えるかのように紅椿も赤い光を展開装甲の隙間から漂わせていた。
「当然だ。騎士として壱花さんを守るためならば」
「おう! バシッと決めてやろうぜ!」
「うん、やろう!」
そして残る男性陣もその提案に乗り、五人の男子は一度ISを解除すると砂浜に立ち直す。円陣を組んだ状態から数メートル後ろに下がったように互いに距離を取ったそれは円を結んだとしてさらに彼らを頂点とし直線で結べば星の図形が見えるかのようだ。
『……』
五人の男子は祈るように目を閉じ、右手を前に出す。ラウルからプライベート・チャネルを利用して詠唱の呪文は聞いている。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
最初に言葉を紡ぐのは総司。
「
続くのはセシル。
「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
その次は蓮。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この
続いてシャルル。
「我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者」
最後はラウル。
本当はこの後にもある一節の呪文が続いたが、彼は直感的にその一節は今回相応しくないと除外していた。故に続く呪文はこれだ。
『汝三大の言霊を纏う七天――抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!!』
五人の声が重なる。直後、彼らが作っていた円の中央から眩い光が放たれた。円状に形成された三本の虹色の線が円の外周上にいる彼らを貫き、そう思うと彼らの右手にはいつの間にか一枚のカードが握られていた。
彼らは同時にそれを掲げる。唱えるべき言霊はラウルから教えてもらった――いや、カードを握った瞬間に理解していた。
「クラスカード、セイバー。
――いざ、全てを白日の下に。
紅椿の紅色の装甲がより高熱を思わせる白色に染まり、さらにその背に群青色のマントが背負われる。
「クラスカード、アーチャー。
――始めましょう、悲しみの歌を。
ブルー・ティアーズの背に白色のマントが背負われ、さらに折れ曲がったライフルの形状が変化、まるでハープを思わせる複数の弦がついた弓のような形へと変形する。
「クラスカード、セイバー。
――我が力の全てを、貴方に。
甲龍の砕かれた右腕に光が集まり、銀色の腕となって修復される。
「クラスカード、セイバー。
――お前、父親に反逆しようとしてるんだってな? 気に入ったぜ。俺が力を貸してやる!
ラファール・リヴァイヴの装甲が銀色に変色し、その頭部は側頭部から一本ずつ計二本の角が生えた獣を思わせる兜に包まれる。しかしその次の瞬間その兜は変形、二本の角が肩から生えるような形に兜が収納される。
「クラスカード、セイバー。
――今こそ、我が王のために!
シュヴァルツェア・レーゲンが黒い鎧と兜へと変形する。その姿は以前の学年別タッグマッチで壱花達を苦しめた狂騎士の姿。しかしその鎧の形成が完了した瞬間、兜は弾け飛び、真っ黒な鎧は紫色へと変色していた。狂気はなく、それは正に騎士というべき姿である。
「行くぞ!!!」
そして総司の号令と共に、騎士達は一斉に王の元へと馳せ参じるのであった。
「くっ!」
雨あられと降り注ぐ矢を壱花は盾を突き出して防ぎ、盾から展開された光の膜がそれを消滅させる。
――エネルギー残量35%……予測稼働時間、5分
「まずい……」
零落白夜を当てればいいのは変わらない。だがしかし相手の矢はその全てが無駄のない正確無比且つ剛健、なおかつ嵐のように飛んでくる。それを防いで近づいたとしても卓越した体術と戦闘勘によってこっちの斬撃は回避され、逆に反撃をくらう有様。
相手は自分の攻撃が通じないという絶対的不利を感じさせない、むしろ壱花が彼の射撃を全て無効化できるようになっていて初めて同じ土俵に上がれているとさえ錯覚させる格の違いを見せつけていた。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
再び方向と共に光の矢が放たれる。これ以上防御に零落白夜を割いていては攻撃に転じるエネルギーがなくなる、だがしかし零落白夜で防御しなければ攻撃に転じる前に落とされる。壱花は止むを得ないといわんばかりの表情で盾を構え、再び零落白夜を発動させようとする。
その時、ポロロン、と音が鳴る。
「え?」
澄んだ音色が辺りに響いたと思うと光の矢が次々と何かに落とされる。その光景に壱花は呆けた声を漏らすしか出来なかった。
「壱花さん、大丈夫ですか?」
「セシル君!? その武器何!?」
直後、壱花の元に辿り着くのはセシル。彼の左手にはハープを思わせる複数の弦を持つ不可思議な弓がそんな珍妙な武器を持つ彼に壱花が悲鳴を上げる。
「驚かれるのも無理はありません。ですが、今こそ私達もあなたの力となる時、それが私達全員の願いです」
「私……達?」
セシルのキリッとした表情での言葉に壱花はぽかんとしながらそう呟く。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
「撃たせるな!」
「任せろ!」
「ぶっ込みいくよ!」
「容赦はせん!」
「皆!?」
その時、光の矢を撃とうとする福音に対しそれを阻止せんと剣を振るう総司達の姿に彼女は気づいた。
「我らが王よ、私達が露払いを行います。その隙にトドメを」
「え、ちょ!?」
そしてセシルはそう言い残すと、伝令のつもりだったのか彼も前線へと向かう。
「一気に決めるぞ!」
「「「「ああ!」」」」
セシルの言葉に全員が応え、一度距離を取る。その瞬間妨害のなくなった福音も動き、その弓にまたも光の矢が番えられる。上空目掛けて一度しか放たれなかったはずの矢、しかしそれは数え切れぬほど無数の矢となって周囲に降り注がんと落ちてくる。
「防衛は任せてくれ!」
無数の光の矢に対しセシルもまたハープのように複数の弦のついた独特の弓を構える。
「痛みを歌い、嘆きを奏でる」
弓に何も番えることなく幾度となく弦を弾く。そもそもこの弓に矢を番える必要などない。その弓に番えるべき矢の正体、それは音。弦を弾くと共に生まれる音が真空の刃と化して光の矢を撃ち落としていく。
そしてセシルは最後といわんばかりに力強く弦を引き、その先を福音へと向けた。
「
弦が強く弾かれ、放たれる真空の矢が福音を貫く。その瞬間福音の頭部エネルギー翼が一瞬消失した。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
しかしやはり一瞬。次の瞬間には再び頭部エネルギー翼が展開され、太陽を思わせる白銀の光を放つ。
「この剣は太陽の現身。あらゆる不浄を清める焔の陽炎」
だが、それはたかが光。太陽光には及ばない。そうとでもいわんばかりに総司は紅椿に装備されていなかったはずの両刃の西洋剣を上空へと投げ上げた。
それは宙をくるくると回りながら発光し、巨大な太陽を思わせる光を纏いながら落下。総司の右手に収まる。同時に福音も弓に光の矢を番えた。
「
総司が横一閃に剣を振るい、赤熱した衝撃波が炎を宿して福音へと襲い掛かる。放たれる光の矢も太陽の光に飲み込まれていき、ついに陽光が福音さえも呑み込む。その時、またも福音の頭部エネルギー翼が一度消失した。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
「これこそは、我が父を滅ぼし邪剣!」
エネルギー翼がまたも展開し、福音が咆哮する。しかし時既に遅し、シャルルが構えた両手剣の根元が開くように展開し、剣に赤雷が走る。既にエネルギーは万全だ。
「
両手剣が振り下ろされ、剣から放たれるのは雷を纏うエネルギー。極太のレーザー砲を思わせるそれに福音はなすすべなく飲み込まれ、またもや頭部エネルギー翼が消失した。
「我が魂喰らいて走れ、銀の流星!」
その赤雷に呑まれた福音が動き出す隙を作る前に、蓮が銀の右腕から金色の光を放ちながら突進する。福音の頭部エネルギー翼が展開された時には既に彼は福音の懐に潜り込んでいた。
「
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
黄金の光を宿す腕から放たれる神速の手刀。それは福音のみならず空間をも裂き、耐えきれず悲鳴を上げる福音の頭部エネルギー翼が、羽ばたきさえも許されずに消失する。
「最果てに至れ、限界を超えよ。彼方の王よ、この光をご覧あれ!」
空間を割かれ、動きすらままならぬ。この隙を逃さないとばかりに特攻するラウルが両手に握る両手剣が、自らの内に限界以上のエネルギーを溜め込んでいるというように白銀の光を溢れさせる。
「
「■■■■■■■■■■ーーーッ!」
放たれた斬撃、その内側からエネルギーが溢れ出して福音を襲う。その頭部から放たれる光が揺らぎ、ついに翼の形を作ることさえさせることなく消失した。
「ッーーー! ■■■■■■■■■■ーーーッ!!!」
しかしその時、彼らの攻撃を耐えきったのだろう福音が再び咆哮。頭部エネルギー翼が勢いよく展開されその衝撃波だけでセシル達を吹き飛ばした。特に接近戦を仕掛けていた蓮とラウルの受けたダメージは大きく、二人は海面近くまで吹き飛ばされていた。
「くっ!? まだ動くのか!?」
セシルが叫び、福音は弓を構えて光の矢を番える。
「っ!!――壱花! 逃げて!!」
その矢の先にいるのは壱花。それにいち早く勘付いたシャルルが叫ぶがもう間に合わない。光の矢は矢を形作るには不十分な光の奔流を見せており、総司達を撃墜させたあの光の奔流を放とうとしているのは明白だ。
「壱花!!」
咄嗟に動くのは総司。福音と壱花の間に立ちふさがり、両手を大きく広げて彼女を守る盾にならんとする。
「今度こそ……今度こそ、守ってみせる!!!」
幼い頃からの願い、幼き頃から今の自分にまで繋がっている誓い。一度はその誓いを忘れて道を外れたが、今度は間違えない。
その強い思いに応えるように、紅椿の展開装甲から赤い光に混じって黄金の粒子が溢れ出す。
――『絢爛舞踏』、発動。展開装甲とのエネルギーバイパス、構築……完了。
ハイパーセンサーに表示される『ワンオフ・アビリティー』の文字。さらにその能力が発動した瞬間、紅椿のエネルギーが急速に回復していく。
「これは、エネルギー回復能力!?」
エネルギー消滅の零落白夜とは真逆のエネルギー回復能力に気づいた総司の目に光が宿る。しかし彼の額に皺が走る。
(いや、ダメだ! いくらエネルギーを回復できても、あの攻撃を防げなければ、壱花を守れない!! まだだ、まだ何か――)
いくら無尽蔵のエネルギーを得たとしても、あの矢を防ぐ防壁を持たずして壱花を守ることは出来ない。
――なるほど、
「!?」
総司の願いに応えるように、己の内から誰かの声が聞こえてくる。
その時総司はどこかの荒野で銀髪に色黒の男が自分に背を向けているような光景を見た。総司はその男性が行っているように右手を前に差し出す。それと同時に頭の中に一節の呪文が浮かび、総司はその言葉を唇に乗せ、紡いだ。
「
紅椿に水色の線が走る。まるで電子基板に走る回路のような幾何学的な文様は彼の全身を包み、右手へと絢爛舞踏によって生じたエネルギーを集中させた。
「■■■■■■■■■■ーーーッ!!!――
放たれるはドラゴンさえも屠る矢の如き九つの光の奔流。それを目を逸らすことなく見据えた総司は頭の中に刻まれた言葉を叫ぶ。
「
紅椿の右手からエネルギーが放出され、そのエネルギーによって生成された光の花弁から展開される七枚の盾。それが九つの光の奔流を受け止める。しかし余りの威力に盾が次々と破壊されていき、総司も眉間に皺を寄せ歯を食いしばりながら盾にエネルギーを送り込んで耐えていた。
「壱花!! 今だ!!!」
「っ!!」
総司の叫びを聞き、壱花は盾を
その時、彼女の心の内から声が響いた。
――
「
――承認、
「
――承認、
「
――承認、
「
――承認、
「
――承認、
「是は、
――承認、
ゴウ、と風が吹く。まるで風という鞘から剣が抜き放たれたかのような威圧感と共に零落白夜の黄金の光が彼女の持つ聖剣――エクスカリバーから溢れ、剣の周囲を竜巻のように奔流する。
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるがいい!」
エクスカリバーを掲げたその時、壱花は唐突に理解した。零落白夜、それはこれから放つ力の一端に過ぎず、その真価は強敵を前に仲間を守るためにのみ振るうことが許される究極の斬撃。それこそが――
「
振り下ろされた剣から放たれた黄金の光が、天目掛けて駆け上がる。
それはすんでのところで回避を成功させた総司の目の前を通り。
既に粉砕直前にまでなっていた光の盾を容易く貫き。
ドラゴンをも屠る光の奔流を逆に屠り。
更に天空へと飛翔――
「■■■■■■■■■■ーーーッ!!!!!」
――銀の福音を光の中へと呑み込んだ。
「や、やった……」
ほぉ、と息を吐く壱花。目の前に浮かぶ銀の福音はついに動作を停止、アーマーを失って海へと落下しそうになった操縦者は近くを飛んでいたシャルルがキャッチする。
これで全てが終わった。と壱花が安堵した、その時だった。
――零落白夜、限界稼働。白式、残エネルギー0%
「……へ?」
今、超嫌な予感がする言葉がハイパーセンサーから聞こえた気がする。
――
空耳ではなかったようだ。
――アーマー、強制解除
「ちょ、ちょっと待ってー!!??」
ハイパーセンサーの通達が終わると同時に白式が光の粒子となって消滅。当然空を飛ぶ翼を持たぬ壱花はそのまま重力に従って落っこちる。
「壱花!」
直前、白式の強制解除に気づいて咄嗟に手を伸ばした総司が壱花を受け止める。両手で横向きに落っこちそうになった彼女を抱き上げるその姿は間違いなくお姫様抱っこと呼ばれるものだった。
「大丈夫か、壱花?」
「あ、うん……」
「そうか、よかった」
壱花の無事を確認した総司は頬をほころばせ、安堵の表情を彼女に向ける。
「っ……」
その顔を見た壱花は何故か顔に熱が集まってしまう事を自覚し、ぷいと彼から顔を逸らす。
「どうしたんだ?」
「な、なんでもない! そ、それより早く帰ろう!」
「そうだな。帰ろう」
突然そっぽを向いた壱花を不思議に思う総司だが、壱花から早く帰ろうと言われるとそれを了解し、彼らは一路凱旋する。
辺りは既に朱色の夕闇に覆われようとしていた。
今回はついに決着、銀の福音。もうここで終わらせるからとはいえ色々と詰め込み過ぎたかなぁと思う……。
さて今回の個人的な見所はFateのサーヴァントが夢幻召喚という形とはいえ登場、宝具も解放されました。ゴリアス先生のとこで先行登場していたクラスカードもようやく日の目が出ましたよ……え? 特別編で使ってたのと違う? うん、そうだよ。(実はその時から騙す気満々だった奴)
言うまでもないというか作中で真名ばらしてますけど。総司はガウェイン、セシルはトリスタン、蓮はベディヴィエール、シャルルはモードレッド、ラウルはランスロットです。
理由としてセシルは唯一のアーチャー、ラウルは前にバーサーカーのランスロットを夢幻召喚していた事からの縁、シャルルは「父親への反逆」というモードレッドとの共通点、総司はガウェインがアルトリアに近そうっていうイメージ、んで蓮は消去法&宝具が手刀だから似合いそう、です。
ちなみに壱花のやっていたエクスカリバー解放のための「承認、○○」ってやつですが。原作ではガウェインとトリスタンはそれぞれどのような条件を持っているのかがまだ不明のようです。なのでエクスカリバー解放の条件自体は全て出ているのでその中からなんかそれっぽいのを二人に押し付けました。
そして総司はもう一人……ふふ、彼は一体何者なんでしょうね?(微笑)
さて予想よりも長引いてしまったので今回は決着でひと段落とさせていただきます。
次回、次回こそ!エピローグを経て本作[インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~]本編の終幕にございます。
というわけで本編終了して特別編ということで、前回の後書きで「ヒーロー一人一人に焦点を当てた壱花とのカップリング短編を書きたい」と言いましたが。そのネタを活動報告の方で募集したいと思います。
詳細については活動報告の方をご確認ください。
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。