インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~   作:カイナ

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最終話 臨海学校終了

「作戦完了! と言いたい所だが、お前達は独自行動により重大な違反を犯した。帰ったらすぐに反省文の提出と懲罰用のトレーニングを用意してやるから、そのつもりでいろ」

 

激戦を勝ち抜いてきた戦士達に向けられたのは賛辞ではなく説教だった。

現在は大広間で正座を強要されて千雪からの説教状態。既に30分は過ぎており、セシル、蓮、シャルルは疲労のあまり顔が真っ青。壱花と総司も背筋を伸ばしきった体勢を維持することが出来ずにふらついており、さらにラウルですらも疲労を隠せない状態になっていた。

 

「あ、あの、織斑先生……もうそろそろその辺で……」

 

兎佐がおろおろしながら「けが人もいるんですから」と千雪に声をかけ、千雪も不満そうにふんと鼻を鳴らしながらもけが人の治療も大切なため説教はひと段落する事に決めたのか口を閉じて無言になる。

 

「じゃ、じゃあ一休みしてから診断しようか。ちゃんと全身脱いで見せてもらって……あぁっ!? だ、男女別だからね! 安心してね織斑さん!?」

 

「は、はい……」

 

兎佐はおろおろしながら後半はさらにわたわたをプラスしながらそう言い、壱花も苦笑を漏らす。

それから彼らは兎佐からぬるめのスポーツドリンクを受け取って水分補給を始める。ちなみにスポーツドリンクを飲んだ総司が痛みに顔をしかめていた。どうやら戦闘中に口の中を切ったらしい。

 

「……………」

「え、えっと、織斑先生、なにか?」

 

と、千雪はそっぽを向いたまま何か言いたげな視線を向けており、つい壱花がそう尋ねると、千雪は言いづらそうに「ああ、まぁ……」とぼやく。

 

「……しかし、その、なんだ。初陣にしては上出来だ。全員、よく無事に帰ってきたな」

 

千雪はそういうや否や彼女らに背を向けてしまい、全員が目をぱちくりさせる。

 

「……佐藤先生」

 

「はい。じゃあ皆さん、診察のために移動しましょう」

 

千雪の言葉を聞いた兎佐がくすくすと笑いながら移動を促し、壱花達は大広間を出ていくのであった。

 

 

 

 

 

それから夕食時まで時間が過ぎ、壱花達は大宴会場で夕食を取っていた。

 

「なあ、なあ、結局なんだったんだ? 教えてくれよ~」

 

「……ダメ、機密だから」

 

男子の数名がシャルルに群がって何が起きたのかを聞こうとするがシャルルはとりつくしまもなし。社交的だがこういうところでは責任感が強く真面目な彼から聞き出すのは不可能と感じた男子は不服そうにしながら彼から離れる。

 

「なあ蓮、詳しい事教えてくれよ!」

 

「やだね」

 

「セシル、一体なんで専用機持ちが集まったんだ?」

 

「情報の漏洩は最低二年間の監視と査問委員会の裁判の制約があるんだが、それを受ける覚悟があるなら教えてやる」

 

「ラウル、何があったんだよ?」

 

「諦めろ。代償抜きに何かを手に入れようなどいつも通じるほど世の中は甘くはない」

 

諦めて他の専用機持ちメンバーから聞き出そうとするが、各々責任感が強く一刀両断、ペナルティを持ち出す、ド正論をかまして相手を追っ払う。なお壱花に聞くのはハードルが高いと思ったかいかなかった。

 

(……あれ?)

 

しかしそこで壱花は気づく。今この場にいる専用機持ちは自分以外の全員が生徒に囲まれて尋問を受けている。だが、しかし……

 

(ソウちゃんがいない……)

 

総司が夕食の場にいない。壱花はそれに気づくと首を傾げたのであった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

また時間が過ぎて夜。壱花は水着に着替えて夜の海へと繰り出していた。結局昨日今日とあまり泳ぐことが出来ず、明日の朝には点呼の後帰る、つまりこの臨海学校の海で泳ぐチャンスは今しかない。

壱花は泳ぎ続けて少し疲れたか海岸の岩場に上がり、持ってきておいたバスタオルを羽織って岩場に座り込んだ。

 

(一休みしたらもうちょっと泳ごうかな……)

 

こんなチャンスでもなければ海で泳ぐ機会は早々なく、壱花は今のうちに思う存分泳ごうと決めたらしい表情で休憩がてら海を眺める。

 

「いち……か?……」

 

「え?」

 

驚いたような途切れ途切れの声が聞こえ、壱花はこちらも驚いたように呆けた声を出して声の方を向く。

 

「ソウ……ちゃん?……」

 

そこには総司が制服姿で立っており、こちらを見て驚きを隠せてない様子の顔を見せていたのだった。

 

「散歩にでも来たの?」

 

「ん? あ、いや……まあ、そんなところだ」

 

壱花の質問に総司は歯切れ悪くそう答え、居心地悪そうに頭をかいて目を泳がせる。

 

「だ、だが気が変わった……部屋に戻って寝ることにする」

 

「え~。せっかく来たんだし海を見ていくくらいしなよ。ほら、月が海面に映って綺麗だよ?」

 

一緒に景色を眺めようよと誘ってくる壱花と困ったような顔をする総司。最終的に総司が根負けし、彼は壱花の隣に腰を落ち着ける。

 

「……」

 

「……」

 

しかしそこで会話が途切れてしまう。と言っても壱花は何故か上機嫌に足をパタパタさせながら景色を眺めており、会話がない事に気まずそうな雰囲気を見せているのは総司だけだったのだが。

 

「い……壱花」

 

「ん?」

 

やがて総司が口を開く。それは意を決したような真剣なものをはらんでおり、壱花も景色を見るのをやめて彼の方を向く。

 

「その……すまなかった……俺のせいで壱花が大怪我をしてしまって……」

 

「ああ、その事? 別にもういいよ。私は気にしてないからさ」

 

「も、もういいなんて訳にはいかないだろう!? 嫁入り前の肌に傷をつけてしまったんだ!」

 

「別に大丈夫だってば――」

 

総司が血相を変えて叫ぶのに対し、壱花はへらへらとなにも気にしていないかのように笑う。

 

「――だってもう治っちゃってるし」

 

「…………は?」

 

その言葉に総司の目が点になり、その口からは呆けた声が漏れる。それから壱花は自分の肩にかけられ背まで隠していたバスタオルを身体からどける。

 

「ほら。目が覚めて、IS展開して、気がついたら治っちゃってた」

 

「そんなわけないだろ!?」

 

たしかに水着の関係上大きく露出した背中には傷一つなく、お年頃の女の子らしい玉子のようなすべすべのお肌が覗いている。しかし彼女の能天気な言葉に対し総司はそう叫んで、月光に照らされる壱花の背中を注視していた。

 

「ほら、あれじゃないの? ISの操縦者保護機能」

 

「あれは保護だけだ。傷が治るなんて聞いたことがない……」

 

壱花は自分の持つISに関する知識から論理的な結論を出すが総司はその機能の矛盾点からあり得ないと論破、「おかしいおかしい」と言いながら彼女の背中を注視、まだ納得がいかないのか彼女の露出した腕や足にまで視線を向けていた。やはりその肌には傷一つない。

 

「……あ、あのぉソウちゃん……そんなにじろじろ見られるとその、恥ずかしいっていうか……」

 

最終的には頬を赤くした壱花から控えめなブーイングが飛び、それを聞いてやっと我に返ったのか総司は途端に顔を真っ赤にしてその場を飛び退いた。

 

「す、すまん! 女性の肌をじろじろ見るなんて、不躾だった!」

 

「分かってくれればいいよ。ま、傷も治って私はもう元気いっぱいだし。もういいから、ソウちゃんも気にしないで」

 

「そ、そんなわけにいくか! 俺のせいで壱花が怪我をしたっていうのに……そんな、気にしないでくれなんて、簡単に許されても……」

 

もう治ったんだし全部終わったんだから気にしなくてもいいと暢気に笑う壱花に対し、総司は最初こそ強く否定するものの次第にトーンが落ち、歯切れも悪くなる。

元はといえば壱花が傷つき倒れたのは全て自分が道を違えてしまった事が原因。だというのに咎められることも罰せられることもなく(千雪から受けた罰は独断専行に対するものなのでノーカン)壱花の傷が完治したためになあなあになっている。そんな事ではどうにも自分で自分を許せない。と彼の表情が語っていた。

恐らくだがさっきから総司の姿が見えなかったのもきっと戦いが終わって落ち着いた後、改めて考えると自分は壱花に合わせる顔がないとでも思ったんだろうと予想される。

 

(もう、意地っ張りだなぁ)

 

壱花が心中で呆れた様子を見せるが、そんな真面目で責任感が強く優しいからこそ彼なのだという事も知っており、しょうがないからここは一肌脱いでやるかと頷いた。

 

「分かった。じゃあ今から罰を与えるからね。ソウちゃん、目を閉じて」

 

「うむ……」

 

壱花の言葉に総司は素直に従い、正座をして背筋をピンと伸ばした状態で目を閉じる。まるでこれから切腹でもするかのような雰囲気に壱花は大袈裟だなと苦笑を漏らした。

 

「へみゃっ!?」

 

直後総司の情けない声とべしっという音が重なり、同時に総司の額に小さな痛みが走る。突然のそれに総司は目をバッテンマークにして怯み、元に戻った目で前方を確認。そこには壱花が自分に右手を開いた状態で向けている光景があった。

 

「はい。これで罰は終わりだよ」

 

デコピンをしたらしく、悪戯っぽく笑う壱花を前に総司は目を瞬かせる。

 

「な、は?……ふ、ふざけないでくれ! 俺は真剣に――」

「別にふざけてるつもりなんてないんだけどな……」

 

ふざけていると思われたか顔を真っ赤にして怒る総司に対し、別にこっちとしては罰を与えたいわけではない壱花も呆れ顔になる。

 

「——だが、こんなデコピン一発なんかで終わらせるなど……」

 

「はいはい分かったよ、もー」

 

自分に与えられるべき罰はこんなものではないはずだ、と主張する総司に壱花は呆れたようなため息をつくとどこかやけになったように総司を睨むと彼の顔を両手で挟み込む。そして先ほどデコピンを当てた彼の額に口づけを一つ行った。

 

「はい、これでホントに終わりだよ」

 

「……な、え? はぁっ!?」

 

心なしか顔を赤くしてそう言う壱花と共に、額に手を当ててこっちも今度は羞恥で顔を赤くする総司。すると壱花はぷいとそっぽを向いた。

 

「別にさ、私もソウちゃんに守られたんだから。さっきのデコピンの罰でも軽いくらいだもん。こっちはあれだよ、与え過ぎた罰の返済分と、赤いエネルギーシールドで私を守ってくれたお礼」

 

「え……あ、いや……でも……」

 

「デモもストもないの! ぶっちゃけ私だって恥ずかしいんだからね! こんな事誰にだってするわけじゃないんだから! はい、これでこの話は終わり!」

 

顔を赤くしてそっぽを向きながら、この口づけはお礼だと答える壱花に総司は納得していない様子を見せるが、壱花が真っ赤な顔で彼を睨みながらまくし立ててこの件を強制終了させる。

それから二人は再び隣り合って海を眺める状態に戻るが、顔を真っ赤にしてぷしゅ~と湯気を出していそうな壱花と同じく顔を赤くして壱花の方を見ないようにしている総司の二人はどう考えても海を眺めているようには見えなかった。

 

「あ、あのっ、壱花!」

 

「なに? もう謝罪は受け付けないからね?」

 

沈黙を破る総司に壱花は頬を赤らめた状態で照れくさそうに睨みながら答え、それに総司は図星を突かれたか一瞬沈黙。

 

「いや、その、まさか……えーと……そ、その水着似合ってるな!」

 

目を泳がせながら即座に言い訳を考え、思いついた言葉をそのまま口に出す。

 

「……え?」

 

「……あ」

 

その言葉に壱花の目が点になり、同時に総司も失言に気づく。

 

「いや、その……」

 

「に……似合ってる?」

 

総司の言葉を遮るように、壱花がこてんと首を傾げてそう問いかけていた。

 

「その、これね……蘭ちゃんと遊びに行った時に買ったんだけど……セシル君達と遊んでた時は気にならなかったのに、今はその、ちょっと露出が多すぎたんじゃないかなって気になって……な、なんでだろ?」

 

さっきの恥ずかしさとは別の意味でだろう、顔を真っ赤にしている壱花を見た総司の胸がドキリと高鳴った。

 

「そ、そんな事はない! とても似合ってるし、その……綺麗だ」

 

総司の言葉が無音になった浜辺に広がる。ザァン、と波が岩に当たって砕ける音だけが静かに響き、そんな中で二人は無言のまま向かい合っていた。

 

「い……壱花」

 

「ひゃ、ひゃい!?」

 

意を決した総司が真っ直ぐに壱花を見ながら声をかけ、その言葉に壱花もびくんとやけに大袈裟に飛び跳ねながら返答の声を出す。総司は自分の心臓がドキドキと高鳴っている事を自覚しながら、しかしそれを受け入れるように自身の胸に手を当てる。

 

「壱花、俺は――」

 

彼が壱花に向けて一世一代、自分の胸の内をさらけ出そうとした、その時だった。

キュインという音が響き、直後岩場の一部がチュドンッと音を立てて爆発する。

 

「きゃあっ!?」

 

壱花が悲鳴を上げ、すぐ近くにいた総司に抱きつく。

 

「よお総司。てめえ何抜け駆けしてやがるんだ?」

 

そこにタイミングよく出てくるのはボキリ、ボキリと拳を鳴らす蓮。なお正確には彼は甲龍を展開しているためナックルを鳴らしているようなものだが。その背には怒りの炎が燃え上がっていた。

 

「……(プリンセス)に手を出す者は、その騎士として僕が粛正する」

 

その隣に立つセシルは総司に右手に握るレーザーライフルの銃口を向け、引き金に指をかけている。その目は心なしか光が消えているように見えた。

 

「ああ、安心してよ壱花。実は今回の戦いの反省会をしようとしてたんだけどね、総司がいないから探してただけなんだ」

 

シャルルがにっこりと微笑んで壱花に事情を説明する。淀みないそれはまるでずっと前からこういう場面ではこう言おうと決めていたかのようなある種の不自然さが漂っていた。

 

「ご主人様、総司をこちらに。我らで軍法会議にかけます」

 

最後にラウルが何か意味の分からないことを言っていた。

 

「ふふ……ふふふ……」

 

四人の代表候補生(全員IS展開済み)を前に、壱花の不気味な笑い声が響く。そして壱花は不気味な笑顔のまま、ゆっくりと彼らの前に立ちはだかった。

 

「なんでかなー? 私、なんでか今すっごくイラついてるの……うん、なんでか分かんないけど」

 

そう言って壱花は白式を展開。同時に水着も自動的にISスーツへと早変わりする。その表情は怒りで彩られており、しかし同時に見える困惑は彼女自身何故自分が怒っているのかを理解できていないようだった。

 

「とりあえず……皆を斬ってストレス発散させてもらうね!! いくよ、エクスカリバー!!!」

 

「「「「…………」」」」

 

黄金の輝きを放つ王の剣を手に壱花が斬りかかる。まさかの展開に四人の代表候補生は目を点にして硬直。

 

「「「「ぎゃああああああ!!!!!」」」」

 

直後彼らの悲鳴が夜の浜辺に響き渡る。

ざっぱーんという波の音が騒がしいそれらを打ち消そうとするように優雅に響くのであった。

 

 

 

 

 

翌朝。朝食の後IS及びIS専用装備の撤収作業が終わったのが十時過ぎ、臨海学校は終了し生徒達は帰りのバスに乗り込もうと駐車場に向かっていた。なお昼食は途中のサービスエリアで取る予定らしい。

 

「全くもう、昨日は皆騒がしかったよね。私はせっかく静かな海を堪能してたっていうのに……」

 

壱花が昨夜の事を思い出してぷんぷんと軽く怒気を漂わせながらそう呟き、「うん、だから怒っちゃったんだね。きっとそうだ」と自分で自分を納得させる。

なお彼女が怒る直前に総司から告白を受けそうになっていた事はセシル達への攻撃&疲れて一晩ぐっすり眠ったことで綺麗さっぱり記憶から飛んでいる様子であり、その結果に隣を歩く総司はがくりとうなだれ、しかし今更告白しなおす勇気も持てていなかった。

 

「あなたが織斑壱花さんですか?」

 

「ほえ?」

 

唐突に声をかけられ、壱花は声の方を向く。

そこには恐らく二十歳くらい、少なくとも彼女らよりは確実に年上の男性が鮮やかな金髪を陽光に輝かせながら、こちらに柔らかな微笑みを浮かべて立っている姿があった。おしゃれなカジュアルスーツがより彼の魅力を引き立てていた。

 

「あ、はい。そうですけど……あなたは?」

 

「私はネイト・ファイルス。銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者です」

 

にこり、と微笑んでみせるその笑みはその口から紡がれる言葉と同じくらいに柔和で、銀の福音が暴走していた時の狂気はどこにも存在しない。その微笑みに壱花が見惚れたようにぽかんとしているとネイトは彼女に手を差し出した。

 

「昨日はありがとうございました。よろしければ後日改めてお礼をしたいのですが……」

 

そう言い、壱花を誘おうとするネイト。しかしその瞬間彼は自分を取り囲む殺気に気づき、「おや」と呟いて周りを見回す。

 

「我が(プリンセス)に近づく無礼者がまだいたとはな」

「そうは問屋が卸さねえぞ」

「それ以上は許さないよ」

「ご主人様、この無礼者を排除する許可を」

 

ネイトを取り囲む殺気の正体はセシル、蓮、シャルル、ラウルの四人。そしてネイトは真正面から壱花を守るように彼女の前に立ち、こちらを睨みつける総司を見た。

 

「壱花に手を出すな」

 

ひと際強い威圧を行っている総司を見たネイトはくすりと笑うと降参したように両手を挙げる。

 

「ハハハ、これは手ごわい騎士(ナイト)がたくさんいるようだ。ここは退散させてもらうとするよ……じゃあね、壱花さん」

 

壱花に背を向けながら、振り返ってパチリとウインクしてひらひらと手を振り、「バーイ」と言い残してネイトは去っていく。その先には彼が本来目的としている人物の姿があった。

 

「おい、ネイト――貴様何をやっている?」

 

「ハハハ、相変わらずだね千雪。心配しなくてもちょっとした挨拶だよ。思ってたより素敵なレディだったからつい」

 

千冬の威圧にネイトは笑いながら対応、慣れているのか千雪はチッと舌打ちを叩くだけでその場を終わらせる。

 

「ったく……それより、もう動いて大丈夫なのか? 昨日の今日だぞ?」

 

「ええ、心配なく。身体の節々がちょっと痛むけど、逆に言えばそれぐらいさ」

 

「……壱花達をあんなにボロボロにするような戦闘をしてか」

 

その言葉通り身体が痛む事は痛むのか、ぐるぐると肩を回して健在を示しながら僅かに顔をしかめるネイトに千雪がそう漏らす。その言葉にネイトは先ほどまでの笑みを消した真顔になった。

 

「ああ。あの時の事はほとんど覚えていない、俺の意識の全ては奪われ、あいつが俺を守るために一人で戦ってくれていた。だが、心の底から湧き上がる狂気、周り全てを敵だと認識させる力……あいつの判断力を狂わせ、あいつの翼を奪い取った奴を俺は許さない」

 

先程までの柔和で軽快な声は重くのしかかるようなものに変化しており、彼の怒りの度合いを示す。

福音はそのコアこそ無事だったが暴走事故を起こしたという事実を重く捉えられ、今日未明に凍結処理を行われる事が決定したのだ。

強く握られた拳はぶるぶると震え、悔しさのあまり噛みしめている唇はこれ以上強くすると噛み切れて血が出そうなほどに噛みしめられている。その姿を見た千雪が静かに口を開いた。

 

「……あまり無茶はするなよ。これから査問委員会もあるんだろう? しばらくは大人しくしておいた方が身のためだ」

 

「……それは忠告ですか? キング・アーサー」

 

IS世界大会『モンド・グロッソ』、その総合優勝者に授けられる最強の称号・円卓の騎士王ことアーサー王の異名。

千雪はその第一回受賞者であり、その異名に不思議な縁を感じている。

 

「ただのアドバイスだ」

 

「……そうですか。では、それを聞き入れて大人しくしているとしましょう……」

 

千雪の言葉を受け、ネイトは先ほどまでの柔和な微笑みを浮かべてそう返す。

 

「しばらくは、ね?」

 

しかしその目は笑っておらず、二人の間にバチリと火花が散った。そして千雪はバスに乗ろうと、ネイトは帰路につこうと、互いにすれ違うように歩みを進める。

 

――またいずれ。

 

そんな声にする必要もない言葉が、二人の間に交差した。




アルトリア ああアルトリア アルトリア byカイナ

こんにちはカイナです。皆様FGOではいかがお過ごしでしょうか?
ついに第二部開幕が近づいたりなんか噂によるとアポクリファとのコラボがあるとの事。これはジーク君実装フラグ、脳内でジャンヌが小躍りしております。(ジクジャン並感)
僕の読みではジーク君配布、ケイローン先生星4、アキレウス星5ですね。ケイローン先生は「これで星5ステータスとかぶっ壊れだろ!」なスキルを持つ代わりにステータスは控えめ系のための星4と予想。

なお後書き冒頭の俳句は今回のセイバーウォーズピックアップの僕の心情を表しています。
自分に出来る限り回して、資金的にもこれが最後と欠片までかき集めての最後の十連、金色に光る星4以上鯖確定演出が入って来たか!と思いきやセイバー→「問おう、貴方が私のマスターか」
アルトリアはアルトリアだけどさ、そっちのアルトリア顔じゃないの君を殺そうとするセイバー(アサシン)が欲しかったんだよ俺は!(床ドン)
まあアルトリアは持ってなかったからそれはそれで嬉しいんだけども!

ちなみにその前にはガウェイン、ランスロットを当て、この前の円卓の騎士ピックアップではトリスタンを引き当てていました。(全てご新規様)当然ベディヴィエールも宝具レベルが5に。
これでモードレッド以外の本作出演円卓の騎士は引き当てた事になるね。モードレッドは……まあサーファーモーさんで代用しよう。(無茶振り)
きっとこれはインフィニット・フェイト本編終了のお祝いに円卓の騎士が来てくれたんだ!うん、きっとそうだそうに決まってる全くモードレッドはお祝いに来るのが恥ずかしいなんて照れやさんだなぁあっはっは!(現実逃避)


冗談はさておいて。
本作をもってインフィニット・フェイト本編は終了の運びとなりました。皆様応援ありがとうございました。
前々から告知していた通り、次回からは一話完結型の特別編の投稿を目指していきますのでお楽しみに。ただし不定期連載となりますのでご了承ください……まあ元々定期的な投稿なんてしたことないけども。(汗)

現在特別編は
・織斑家に本作ヒーローズ訪問
・本作ヒーローズ&壱花の夏祭り
・本作ヒーローズ&壱花のプール
の三つの執筆を予定しております。あとは活動報告でお願いしてるアイディア募集のものもまだ数は少ないけど「あ、これ面白そう」ってのありますし。(ニヤリ)
ああ、あと最終的には
・原作ISキャラとの座談会
の執筆も目指したいんですがこれ完全にネタがありません……座談会ってマジで何を書けばいいんだろう?
というところで思いついているのが所謂「質疑応答コーナー」なので読者の皆様からの本作における質問に壱花達が答えたり一夏達がツッコミ入れたりという感じでやれば形にはなるのかな?と思ったりしています。
この辺、「もっとこういうのすればどうか」とかのアイディアがあれば喜んで募集しますし、もしも本作についての質問や壱花達へのリクエスト等あればどうぞこぞってアイディア募集コーナーに書き込んでくださいませ。
もちろん「壱花達のこんな話を見たい!」というリクエストもあればどうぞお気軽に。面白そうだと思えば喜んで採用いたします。

では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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