華郷少女   作:竹林木風

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華郷少女〜記憶という名のプロローグ〜

何の変哲もないこの街に一つ異彩を放つ洋館が建っている。『風雷荘(ふうらいそう)』と呼ばれる館に住んでいるのは少女一人、少年一人。そんな怪しい館に近所の人々は誰も近寄ろうとはしなかった。

 

ーーこのようなおかしな館になぜ私が貴重な休みを使って訪ねに行かなくてはならないのだろう。

そんなことを考えながら、風雷荘の近所に住む中学二年生の安倍美桜里(あべみおり)は一人トボトボと歩いていた。

始まりは母の一言だった。

「流石に誰も挨拶に行かないのはまずいわよねぇ」

と、いうことで母に頼まれ部活も学校も休みの日にこうして風雷荘を訪ねてきたのだ。

体育祭の練習や、部活の夏の大会に向けての特訓(ちなみに卓球部だ)があり、最近は疲れきっていた。だから今日は家でゆっくりしようと考えていたのだ。

ーーよし、家に帰ったらあんまん食べて昼寝しよう!

と心に決めたところで、風雷荘の目の前に来ていた。

間近で見るとやはり大きく、一瞬ひるんだがすぐに用を済ませたい一心で呼び鈴を鳴らした。しばらくして、中からピンク色の髪をポニーテールに束ねた可愛らしいメイドがやってきた。

「お入りください」

微笑みもしないメイドに案内され、この館の主人の部屋の前までやってきた。

「失礼します」

入った部屋はとても綺麗で、自分の住んでいる部屋とは比べ物にならないものだった。

その部屋には綺麗な少女と、少年がいた。

少女の方は銀色の髪に緑の目。体は全体的に細かったが、どこか力強い雰囲気を醸し出していた。

少年は、綺麗な金髪で、目の色は赤だった。少女の和服と反対に、少年は貴族が着るような豪華な服を着ていた。

二人に見とれていると、不意に、

「君、名前は?」

と、少女に聞かれた。

「あ、安倍美桜里です。この近所に住んでて、今日はその、引っ越して来られたので挨拶に、と…」

「そうか。」

少女は、小さくそれだけ返すと、となりの少年とひそひそ話していた。

私がつまらなそうな顔をしていたのか、二人はこっちを見て、話かけてくれた。

「自己紹介がまだだったな。私は東雷(とうらい)鳳仙(ほうせん)だ。よろしくな」

「俺は灯明(とうみょう)鬼火(おにび)だ。こいつの相棒とでも思ってくれ。」

しばらくの間沈黙が続いた。向こうは何かを待っているような感じだったが、やがて悲しそうな顔をして、こう言った。

「何も…思い出さないか?」

思い出せない。何か心の奥の方で渦巻く何かは有るがそれ以外は何もなかった。

「すいません…何も…」

「そうか。変な質問をして悪かったな…」

その後、他愛のない会話をして私は帰ることになった。

「今日はありがとうございました!ではさようなら」

「待ってくれ。これを持っていってくれないか?」

わたしを引き止めて鳳仙はわたしにお守りを一つ渡してきた。桃色と緑色のお守りで、表には春、裏に雷と書いてあった。

「いきなりこんな怪しいもの渡してすまんな。でも、肌身離さず持っててほしい。」

「は、はぁ。」

わたしは気の無い返事をして風雷荘を後にした。

 

 

次の日

大会まであと二週間を切った部活はいつも以上にきつかった。特に先輩達のやる気がすさまじく、練習メニューがいくつか増えていた。

私が体育館で帰りの準備をしていると、親友である、山茶花(さざんか)(しょう)溝呂木(みぞろぎ) (まい)がやってきた。

「弓道部もバスケ部も終わるの早いね」

「うちらはもう大会終わったから。」

「そっか。ちょっと待ってて。準備するからさ。…よし!準備完了!帰ろっ!」

「うん!そういえば舞、美桜里が準備してる間ずっと美桜里のカバン見てたでしょ」

「あ、そうそう!美桜里さ、そのお守りどうしたの?」

そう言って舞は美桜里のお守りを指差した。

「これ?これはね、昨日ある人からもらったの。肌身離さず持っとけって言われて。」

「そうなんだ…」

「ん?」

「ま、いいや。帰ろ〜」

美桜里と唱は何かいつもと違う舞に疑問を抱きつつ家路に着いたのだった。

そんな三人を影から見ている怪しい人物がいることに三人は気づいていなかった。

「フッ…見つけた…!」

 

 

「唱、食べ過ぎだよ〜」

「大丈夫だって!美桜里も食べる?」

「いや、遠慮しとく」

いつものたい焼き屋さんに寄り道して帰っている途中だった。いつものような会話をしていると、

「あ、猫!」

と言って唱がその猫を追いかけて行ってしまった。

「唱!待って!」

「あの猫!まさか…!」

やっとの事で唱に追いつくと、唱と見知らぬ女の子が話していた。

「おねーさん、猫見なかった?」

「あら、私を見ても思い出せないなんて。」

二人は美桜里と鳳仙のような会話をしていた。思い出すとか出さないとか。

「唱、帰ろうよー」

「でも…」

「ちょうどいいわ。春姫も秋姫も同時に成敗してやるわ!」

そう言って彼女が取り出したのは、鞭のようなものだった。

 

____【ツール】キャットウィップ

 

「やばいっ!」

舞がそう呟いたと同時に三人は鞭に捕まっていた。

「随分と簡単だこと。」

「人の可愛い部下に何やってんのかな?」

「あら、やっと真打登場ってとこかしら?」

そこに立っていたのは他でもない鳳仙だった。

 

____【ツール】雷針(らいはり)

 

「お前、今美桜里達が何も出来ないとわかってて襲っただろ」

「よくお分かりで。こちらから行かせてもらいますわよ!」

 

____ポイズンウィップ

 

そうすると相手の鞭が紫色を帯び、鳳仙を狙って打ちつけられていく。鳳仙はそれを綺麗に避けて、反撃の準備をする

 

____雷砲・ボルトキャノン

 

三本の針が鳳仙の前で円を形作り、その中心から黄金色の砲撃が何発も打ち出される。それは一つ一つの威力があるわりにスピードが速く、避けるのは難しい。

「くっ…!」

そのうちの一発が相手に当たる。それに残りの砲撃も追い打ちし、最後には針が何本か飛んで行き相手の動きを止めた。

「どうせ、あいつに命令されたんだろ?これに懲りたらお前はもううちに手ェ出すなよ、小百合(さゆり)。」

「チッ」

小百合と呼ばれたその人は、舌打ちをするとそそくさと帰って行った。

椿(つばき)、あんたがいたのに捕まったのか?」

「はい…すいません…」

「じゃあ、明日から訓練三倍だな!」

「へ?」

その会話を聞いている間美桜里は考えていた。この会話、いつかしたことあるだろう、と。

「ところで、美桜里、唱。思い出せたか?」

 

 

「「はい!鳳仙様!」」

 

 

一話end ↓キャラ紹介

 

 

東雷鳳仙(とうらいほうせん)

13代目雷神。銀髪緑眼の少女。見た目は14歳ほど。ツールは雷針(らいはり)。四神の一人。華郷出身。

 

灯明鬼火(とうみょうおにび)

8代目風神。金髪に赤い眼の少年。見た目は14歳。ツールは風扇子(かざせんす)。四神の一人で華郷出身。

 

安倍美桜里(あべみおり)

桜の里出身の少女。今の時代だと中学二年生になる。卓球部に所属している。ツールはブロッサムステッキ。鳳仙の部下。

 

山茶花唱(さざんかしょう)

歌の里出身の少女。今の時代だと中学二年生になる。弓道部に所属している。ツールは強弓(ごうきゅう)岩花火(いわはなび)

鳳仙の部下。

 

海榴(うみる)椿(つばき)

溝呂木舞の本名。鳳仙達のことを忘れていなかった数少ない人物。バスケ部に所属している。ツールは華手裏剣(はなしゅりけん)。鳳仙の部下。

 

リュウ・バーリシア(一話未登場)

龍の里出身の少年。白髪に青い眼。この時代だと14歳くらい。非常に頭が良い。ツールはマジック オブ ブック。鬼火の部下。

 

フィーラス・カリメンタ(一話未登場)

煌の國出身の少年。青い髪に黄色い眼をしている。煌の國の第二皇子だった。王位継承権を放棄して鬼火に仕えた。ツールは短槍(たんそう)夏王国(かおうこく)

 

金澤(かなざわ)小百合(さゆり)

化け猫少女。普段は猫の姿をしているが、女の子にもなれる。見た目は10歳ほど。ツールはキャットウィップ。

 

〜バトルについて〜

ここではオリジナル(?)バトル方法として、ツールバトル方法を用いています。

ツールバトル方法は、ツールと呼ばれる道具を個々に持っていて、それを自分の魔力の依り代にして技を使うという方法です。

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