華郷少女   作:竹林木風

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華郷少女 不思議の国の章 2話

華郷少女 不思議の国の章

2話 巡る時計と白ウサギ

 

ここは昔カプリア王国のあった場所の真ん中に建っている屋敷の中。

「稚菜と結…。あの二人はあの雷神少女と渡り合える数少ない人物なのに。」

と、少女…アリスは言った。

「少し飽きっぽい…というか子供っぽいのが玉にきずですね。まぁ、今回は相手が部下の方だったのも原因でしょうね。」

そう言ったのは彼女の従者である、ノヴァ・カイタール。

「鳳仙達の邪魔が無ければ王国の復活も早いんですけどね。」

と彼…ノヴァの妹リナが言う。

「いざとなれば私が自分で行くとして、次誰がいいかしら?」

「それならつぎはカーネとギアを行かせましょう。彼等は個々なら稚菜と結より強いですよ。」

「そうね…。いいわ。でも彼女達の強さは予想をはるかに上回るものだということをちゃんと伝えておきなさい。」

「はい。」

 

***

 

ここは草原の中に位置する花畑。そこを今六人は歩いていた。

「リュウ、しりとりしようぜ。」

「いいけど、フィーラスお前から。」

「じゃあ、しりとりの『り』からな…」

那覇(なは)

「話の途中だろ!」

老廃物(ろうはいぶつ)

「続けるのか…」

「海洋」

「……。」

「俺さぁ、なんだかんだでしりとりになってるお前らってマジ尊敬するわ。」

と、いう謎のやり取りをしながら進んでいると、

「じゃあ、やりなおします?」

「…は?」

「ギア!この人達変なことばっかり言ってるねぇ!」

挑発するような物言いの少年と、無邪気に笑っているうさ耳をつけた男の子が出てきた。

「自己紹介が遅れましたね。私の名は、ギア・ロロガス。以後、お見知りおきを。」

「僕はね、カーネ!カーネ・リエーヴル!にーちゃん達よろしくね!」

テンションの高いカーネ。そしてそれを見守る保護者のようなギア。そんな微笑ましい二人もこうして鳳仙達の前にいるのだから敵であるとみなすしかないのだろう。

「ところで…。早速本題に入りますがアリス様の邪魔をして欲しくないので帰っていただけませんでしょうか。あなた達が素直に帰ってくださるとは思えませんが。」

「よくわかってんじゃん。鳳仙、どうする?俺らでやるか?」

「いや、ここは美桜里、リュウ、お前達でやってみろ。」

「「はい。了解しました!」」

【ツール】ライト・パンデュール

【ツール】Mr.ホワイトラビット

ギアの握る怪しげな懐中時計の今まで回らずに12時をさし続けていた針が回ると彼のツールへと変化した。一方、カーネはずっとつけていた皮手袋に黒と赤のハートが浮かび上がるとツールとしての機能が果たせるらしい。

「いやぁ、これってまるで二人合わせると不思議の国のアリスの白ウサギですね。」

「それはどうも。その話と違うところといえば、アリス様が不思議の国を創ったことですかね。他はだいたい合ってますね。」

「だってアリス様をカプリア王国の女王になるようにサポートしたのは僕らだもん!そうだよね!ギア!」

「それは言っちゃいけない約束だろ?カーネ。」

「…その話、後でじっくり聴かせてもらうぞ…!」

そう言ってリュウはツールである、マジック オブ ブックを片手に先制攻撃を仕掛けた。

 

___ ドラゴン・ブレイク

 

すると、マジック オブ ブックのページが何枚か飛んで行き、黒く染まってから炎を上げて周りに拡散されていく。それを避けながらカーネが攻撃態勢に入る。

 

___ ラビットホール

 

カーネの手袋の指差した先に次々と穴が開いていく。リュウはそれをおとくいの脚力で避けながら駆けて行った。そしてつぎはギアが仕掛ける。

 

___ ミニッツ ハンド

 

ギアの攻撃はリュウではなく、美桜里の方へ飛んでいった。美桜里はそれを避けるため、ブロッサムステッキでツールマジックを使おうとしたその瞬間、

 

「(技が…使えない⁉︎)」

 

それでも相手の技が止まってくれる事もなく襲ってくる。呆然として動かない美桜里をリュウは突き飛ばして無理やりながらも避けさせる。

「美桜里、どうした⁉︎」

「技が…ツールマジックが使えなくなってるの!」

「マジか…。下がってろ、俺がこいつらは倒す!」

「…ごめん。」

 

とは言ったものの、相手は二人。明らかに不利である。どうしたものかと考えていると、

「仕方ない。今回だけは参戦してやる。」

と、鬼火が隣にやってきた。

【ツール】風扇子(かざぜんす)

 

___ 暴風警報

 

鬼火が風扇子を一振りすると、物凄い暴風が吹き、ギア達を襲う。

「くっ…!やはり風神は強さの次元が違う…!」

「ギア〜!僕、と〜ば〜さ〜れ〜る〜!」

 

ギア達はそれに反撃しようと技の準備をするが、その隙も与えずに鬼火が技を出す。

 

___ ウィンドブレイカー

 

今まで吹き荒れていた風たちの吹き方が変わり、敵を巻き込みながら上昇し、程よく上がったところで風が止まり、敵は地面に叩きつけられる。

「終わりみたいだな。」

あっという間に終わってしまった戦いに呆然としていたリュウだが、すぐに美桜里のところへ行き、質問した。

「改めて聞くが、技が使えないってどういうことだ?」

「使い方はわかるの。でもパワーっていうか魔力みたいなのが湧き上がってこない感じかな?」

「…。美桜里、リュウ、それはとりあえず後で考えるとして、ギア、カーネ。お前達がアリスを女王にさせたってどういうことだ?」

鳳仙はリュウ達の話を中断させてギア達に聞いた。

「昔、私はカプリア王国の二代目となる女王でありアリス様の母親、ユラ・カプチーノ様に仕える従者でした。この懐中時計はユラ様に貰ったものです。子供の教育を力を入れる王政をとったユラ様は国民からも愛される素敵な女王でした。ですがある日、ユラ様は急に難病にかかってしまいお亡くなりになられました。私はユラ様がなくなる前にこんなことを託されました。『アリスをサポートしてあげて』と、言われました。私はユラ様の最後のご命令を守ると誓いました。アリス様はお年を召されるにつれてプレッシャーが重くなっていきました。亡くなった母の代わりに家族や国を守ろうとしたりしていました。アリス様は元々不器用な方で、何事もコツをつかむのがうまくいきませんでした。それとは真逆に妹であるゼーラ様は才能に溢れていてなんでもできましたが、なんせ何に対しても興味がなく、やる気のない方でした。それこそ口には決して出しませんでしたが、『なぜだらけている妹にできて私にできないのか』と悩んでいるように見えました。そこでわたしは知り合いだった白ウサギのカーネと相談して私は禁じられている、悪神の召還をしてしまいました。その悪神はアリス様に取り付きました。…残念ながら私のわかることはここまでです。他は全て忘れてしまってるんです。ほとんどの記憶は思い出せたのですが、そこだけぽっかりと記憶が無いんです。なのであとはアリス様に聞くしか…」

「そうか…長々と話をしてもらって悪かったな。じゃあ私達はアリスの元へ向かう。それじゃあな。」

と、行こうとした鳳仙達を「まって!」とカーネが止めた。

「元はと言えば僕たちが悪いんだけど、あんなアリス様僕は嫌なんだ…。だからねーちゃん達にさ、アリス様を止めて欲しい!」

涙目で鳳仙に訴えたカーネの頭をふわりとひと撫でして鳳仙は歩いて行った。彼らの願いを叶えるために。敵であるはずの自分達に全てを語ってくれた、彼らのために。

 

続く。

 

キャラ紹介

 

ギア・ロロガス

20歳くらいの男性。一人称は(わたくし)。燕尾服のようなものを着ている。ツールはライトパンデュール。ロロガスとは時計のこと。

 

カーネ・リエーヴル

小学校高学年くらいの年の男の子。白いうさ耳が生えている。白ウサギの化身みたいなやつ。ギアとは昔からの付き合い。ユラのことをハートの女王と呼んでいた。ツールはMr.ホワイトラビット。リエーヴルとは野ウサギのこと。

 

ユラ・カプチーノ

カプリア王国の二代目女王。子供の教育に力を入れていた。ハート柄のものを好んで身につけていたことから、別名ハートの女王とも呼ばれていた。アリスの母親。ギアとカーネをとても信頼していた。

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