華郷少女   作:竹林木風

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華郷少女 不思議の国の章 3話

華郷少女 不思議の国の章

3話 女王アリスと無才の姫 上

 

「まさか、自分から動くとはな」

「まぁ、そうおっしゃらずに」

フフッ、と楽しそうに笑いながらアリスが答えた。

今、鳳仙(ほうせん)達は、待ちきれなくなって出てきたアリスとその従者のノヴァとリナの相手をするため三手に別れていた。

こちらは対アリスの鳳仙と鬼火(おにび)

「さぁ、始めましょう!」

 

【ツール】カプリア・レッフェル

 

「それはっ…!」

彼女が握っていたのは先日発見されたはずのティースプーンだった。

「それは歴史の調査をする団体が保管しているはずじゃないのか?」

「そんなの…。忘れさせればいいじゃない。私にとってその情報はいいものではないから記憶から消した。それだけよ。貴方達も…全てを忘れなさい!」

 

 

唱、フィーラスside

ここでは、唱とフィーラスがノヴァの相手をすることになっていた。

「これはこれは。初めまして。僕はノヴァ・カイタールと申します。よろしくお願いしますね。唱さん。貴方のような美しい方に会えて光栄ですよ。」

「は?はぁ…」

と、唱は気の無い返事をした。そんな彼女もすぐに気持ちを切り替え、ツールを出した。

「残念だけど私はあんたみたいなやつは好みじゃないんだよ。な、フィーラス。」

「え?でも結構イケメンだぜ?」

「か、顔じゃないんだよ!」

「えー、でも…」

「あー!もう!さっさと始めるぞ!」

そう言って唱が強弓(ごうきゅう)岩花火(いわはなび)を持つ。それに続くようにフィーラスも自分のツールである、短槍(たんそう)夏王国(かおうこく)を握る。

そして対するノヴァも自分のツールを出す。

 

【ツール】ティータイム・プレート

 

彼のツールは皿のようなもので、カプチーノ家の家紋がデザインされているものだった。

カプリア王国は、元々ティータイムだとかお茶会とかが好きで、よくそういう会が開かれていたらしい。

「貴方達からどうぞ。」

「お言葉に甘えて。」

 

___ 彩時雨(あやしぐれ)

 

唱の色とりどりに輝く矢の雨を皿で防ぎ、ノヴァは自分の攻撃を仕掛ける。

 

___ Break plate

 

無数の割れた皿が二人の元へ飛んでくる。一つ一つが細かいので当たりやすいが、逆に細かいので大したダメージはない。

と、思っていたのだが、

「ちなみにその破片には毒性がありますのでご注意を。」

と言いながら楽しそうに笑う。そうなれば、毒が身体中にまわるまえにノヴァを倒さなくてはいけない。

ならば今すぐ作戦を…ということを考えるはずもなく、

 

___ キングダムフィールド

 

フィーラスが短槍を地面に突き刺すと、地面が揺れ、やがてその揺れの波が周りへと広がっていった。

「今この辺一帯は俺のフィールドだぜ。俺のスピードと技の威力が上がる!」

そしてフィーラスは素早く次の技を出す。

 

___ サマーランサー

 

相手を突く威力とスピードが増し、短槍がノヴァを狙い攻撃を続ける。そしてとうとう攻撃を受けたノヴァは次の攻撃をする。

 

___ poison plate

 

円盤投げのように飛ばされた皿には毒が霧のような形で付いていて二人に襲いかかる。

それに対抗するように唱が技を繰り出す。

 

___ メロディ ストリート

 

沢山の音符の形の弾は皿をめがけて飛んで行き相打ちさせた。

「攻撃なんて相手に当てなければ意味がないじゃないですか。そんなの……!まさか!」

そう言って振り向いたときには遅かった。

 

___ 王国魔法(キングダムマジック)・短槍

 

すでに、フィーラスがノヴァの後ろで技を出していた。

「まさか、唱さんの攻撃で気をそらして僕の背後にっ…!なぜ僕が気付けなかった…⁉︎」

「お前の身体も限界だってことだよ。」

「いつから気づいていた…?」

「お前の1番最初に技を出したとき。多分、唱。お前も気付いただろ?」

「まぁな。」

二人は考えずに行動するだけで、決して頭が悪いわけではなかった。特に、人や相手を観察する力に関しては六人の中でも群を抜いていた。

「詳しく聞かせてもらおうか。」

「…。しょうがないですね。僕と妹はギア達とは違い、アリス様が初めて仕えることになった主人でした。王国のあった頃こそはとても良好な関係を保っていましたが、王国が滅んだ後、アリス様の願いを聞いてから自分もアリス様の力になりたいと考えたのです。それから僕はアリス様をサポートするために戦闘術を身につけました。それがツールバトルです。僕はさらに強くなる為に毒の研究を続けました。毒を使うものが皆、毒に耐性があるわけではありません。あの頃はただ、アリス様のお役に立ちたくて、その一心だったので毒が自分の身体を蝕んでいることに気がつけませんでした。それからそういう生活を続けて、今に至るというわけです。そのことをアリス様や妹のリナに気付けれないように注意していたのでその辺は大丈夫のはずですがね。」

「いや、アリスにはばれてないかもしれないけど、多分リナにはばれてると思うけど。」

と、話を聞き終えた唱が呟いた。

「どうしてです?リナに人の事がわかるという能力があるのは報告されていません。」

「能力とかそんなんじゃなくてさ、」

唱はノヴァに向き直り、

「大好きな兄貴のことだからだよ」

と告げた。その言葉にフィーラスも、

「だな。止めに入らなかったのは、きっと兄であるお前が自分に隠そうとしてるのに気付いて、知らないふりでもしてたんだよ。きっとお前の努力を無駄にしたくなかったんだろうな。俺は弟だったからさ、リナの気持ちはわからなくもないんだ。」

と言った。

 

二人の話を聞いたノヴァは眼からほろりと涙を流していた。

 

続く。

 

 

キャラ紹介

 

ノヴァ・カイタール

アリス専属の従者。毒の研究をしていた為、自らの身体も少しずつ蝕まれていた。だが、その研究の成果は素晴らしく、彼の毒はとても強力だった。ツールはティータイム・プレート。

 

リナ・カイタール

アリス専属の従者。ノヴァの妹。アリスが個人的に気に入っている数少ない人物。ツールはティータイム・カップ。カプチーノ家の紋章入り。

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