バカとテストと謝肉祭   作:ハガル_ゴールド

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 新作投下……こっちは不定期に気が向いた時に更新


ZERO

 

濃厚な死の匂いが充満するボロボロで暗闇に包まれた学校の中で―――

血だまりの中、一人の少年が縋り付いて泣いている少女をなで続けていた、名残惜しいかのように……愛しそうに。

 

 『――――約束は守る、その子だけは返してあげる』

 

そんな二人を見ていた赤い服を着た少女が敗北感に包まれながら、少年に告げていた。

かねてからの約束を――己に打ち勝った少年に対して。

 

 『…………だってさ、○○さん……これで○○に会えるよ?』

 

 『―――違う!そうだったけど……違う!!私は……私は……!!』

 

最後の最後まで勘違いを続ける少年にそれは違うと少女は叫んでいた。

否、勘違いをせざるを得ない状況かもしれないのだが、それでも少女自身が己の心と向き合って否定しているのだ。

過去の恋に終止符を打って、ようやく向き合えたのに―――

 

 『違わなくないよ……ほら、吊り橋効果ってあるじゃ……ないか』

 

 『……でも……でも――!私は○○が―――!』

 

ここで変化が訪れる……叫び続けていた少女の体が光に包まれ始めたのだ。

―――おそらく、この学校からはじき出され、下の空間へと戻れるのだろう――今も逃げ惑っている少年が守り抜いた人々も含めて、誰ひとりとしてかけることなく。

だが、そこに少年は加わらない――何故なら勝利したとは言え、既に致命傷なのだから―――

 

 『ああ……走馬灯かなあ……姉さんや父さん……母さん……兄さんや○○の事が見えるよ……

  喧嘩してそのままなんてちょっと嫌かな……でも○○は僕を目の敵にしてたからせいせいしてる……かな』

 

 『……まだ、戻れる!……急げばまだ助かる!!』

 

無駄な努力だと知りながらも少年の傷口の部分を抑えつつ、少女は少年に生きていて欲しいと願う。

理性と想いは今、矛盾しているのだ―――少女は愚かではない、故に既に手の施しようが無いと理解している。

だが、少女は愚かだ―――少年に助かって欲しいと願い続けているのだから。

 

 『……大丈夫だよ、すぐに僕なんて忘れて本当に好きな人を好きになれるから』

 

最早焦点の合ってない瞳で……それでも少女の姿を決して逃すまいとしつつ薄れゆく少女を見る。

……記憶にある少女はほとんど無表情に近いものだったが、今は顔を真っ赤に染めつつ涙混じりだ。

結局、少年の望んだ表情ではない……己のみに笑顔を向けて欲しかった……少女が好きな者の話題にのみ見えた笑顔でもいいから見ていたかったのだが。

 

 『さようなら―――僕の―――』

 

 『○○――――!!!!』

 

―――好きな人、愛おしい人……どちらをつぶやいたのかは少年にしか知る由がない。

何故なら少女は完全に目の前から消え去ってしまった後なのだから。

 

 『―――ここで死んでも呪いは終わってるよね』

 

 『……私と貴方が永劫囚われ続けるだけ……既に魂は全部解放されてるけど残滓だけが残り続けてる影響で……』

 

赤い少女は先ほどの少女と目の前の少年が幸せに歩く姿を見てみたくなった……だが、自分にはそのような力はない。

既に少年に意識はない……もうすぐ肉体から魂が離れてしまうだろう……そうなれば永遠に一緒である。

少年と共に居続けられるという事に関しては赤い少女としては嬉しい限りではあるが……同時にそれはいけないとも。

 

 『……じゃあ、呪いの連鎖は終わりだね』

 

 『貴方が彼女を呪えばその時点で復活するだろうけど』

 

 『それはないよ……断言できる……絶対に、無いって……』

 

意識がないにもかかわらず話し続ける奇妙な状態に赤い少女は驚きもしない。

―――ここで、赤い少女と死にゆく筈の少年が光に包まれ始めた。

 

 『……これは?』

 

危険を感じない光……何らかの奇跡なのだろうか?それとも裁きなのだろうか?

それはわからない――――だがしかし……光に包まれているあいだに赤い少女は先ほどの望んでいた光景を見ていたのだ。

まるで、これから起こりうるという確信であるかのように。

 

 『誰だか知らないけど、感謝するわ―――』

 

そう言って赤い少女は少年と共に消え去った―――学校の校舎全てを巻き込み、虚無へと返して―――

そうして虚無の空間の中小さな光が現れ周囲を見わたすかのようにウロウロとしたあと、満足したのか消え去った。

 

 

 





 少年は明久……残りの人物は誰でしょうね(赤い少女はバレバレな気がしますが)

 ではではまた不定期な次回にでも
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